物語は大きく変化します。
ダンブルドアの姿現しにより、私達はホグワーツへと到着する。
「ふぅ…疲れたのぉ…」
「報告します。現在、ホグワーツ内部で死喰い人との戦闘が行われているようです」
「何じゃと!」
「助けに行かなきゃ!」
「敵性勢力の排除へ向かいます」
「待つのじゃ!」
移動を開始しようとすると、ダンブルドアが声を荒らげる。
「現在の状況は?」
「現在、ハーマイオニーとミネルバ・マクゴナガルが死喰い人を迎撃し、生徒の避難を行っているようです」
「ならば問題はあるまい。それよりも、重要な事があるのじゃ」
「重要な事? なんですそれは?」
「先程の分霊箱を」
「こちらですか?」
デルフィがスリザリンのロケットをベクタートラップ内から取り出す。
「スリザリンのロケット?」
「今は危険な状況じゃ…お主達が守っておくのじゃ」
「了解」
その時、下の階の扉が開く。
「あれは…」
扉からマルフォイとスネイプが現れた。
「なんでアイツらがこんな所まで」
「ハリー…」
「なんです──」
ダンブルドアは杖を振り、ハリーへ魔法を放つ。
魔法が直撃したハリーはその場で石のように固くなり、身動き取れない状況になった。
「どういうおつもりですか?」
「しばらく、大人しくしてもらうのじゃよ」
再びダンブルドアが杖を振るうと、透明マントが現れ、ハリーの上に覆いかぶさった。
「透明マントじゃよ。これで隠れていてもらうのじゃ…」
ダンブルドアは何処か寂しそうな表情で、ハリーを見ていた。
その時、階段を上り切ったマルフォイが杖を構える。
「ダンブルドア! き、君達まで!」
「おや、ドラコかの? 良い夜じゃの。何をしに来たのじゃ?」
「任務を遂行する!」
マルフォイは震える手でダンブルドアに杖を突き付ける。
その後ろでスネイプが腕を組み、事態を見守っている。
「なるほどの…呪いのネックレスや、毒入りの蜂蜜酒…総てはワシの暗殺が目的かの?」
「そうだ!」
「それにしては…ちーとばかし回りくどいのぉ。てっきり殺す気はないのかと思って居ったわ」
「なんだと!」
マルフォイは声を荒らげ、ダンブルドアに杖を突き付ける。
「君には人は殺せぬよ…」
「こうするしか…こうするしかないんだ! でなければ僕が殺される!!」
「そうか。ならばやるが良い」
ダンブルドアは杖を手にしながら両手を上にあげている。
「どうしたのじゃ? 早くやらぬか?」
「え、エクスペリア──」
「ゲイザー投擲」
マルフォイが杖を振り下ろすより早く、私はマルフォイにゲイザーを投げる付ける。
「ウッグ!」
「敵対象を無力化」
「何をするのじゃ!」
ダンブルドアは声を荒らげる。
「これでは…計画が…」
「校長」
スネイプが声を上げ杖を手に取る。
「セブルス…こうなれば仕方ない。当初の計画通りに進めよう」
「よろしいので?」
「仕方あるまい。セブルス…頼む…」
ダンブルドアはそう言うと、両手を広げ目を閉じる。
「では…」
スネイプは杖を構える。
「一つよろしいですか?」
「…なんじゃ…」
ダンブルドアはゆっくりと目を開くと、こちらを見据える。
「自ら命を絶つおつもりですか?」
「それしかないのじゃよ…それに、この体じゃ、そう長くは持たぬ」
そう言うと、ダンブルドアは自身の変色した右腕を見せる。
変色部は肩部にまで及んでいる。
「スキャン完了。変色部を取り除けば、生存の可能性はあります」
「左様か…しかし…魔法使いにとって、杖腕を失うという事は死を意味するのじゃよ」
「校長…」
「あぁ、そうじゃったな」
ダンブルドアは目を閉る。
「では…お許しください…校長」
スネイプは杖を軽く振ると、赤い閃光が飛び、ダンブルドアに直撃する。
「ぐぉ!」
呻き声を上げたダンブルドアはその場で倒れ込み意識を手放した。
「生命反応確認」
「当たり前だ。殺しては居ない」
スネイプは杖を仕舞い、こちらに視線を向ける。
「先程の話し…本当か?」
「はい、変色部を切除すれば、生存の可能性はあります」
「そうか…切除は…お前達に出来るか?」
「可能です。ですが、1度切除した場合、義手等になります」
「左様か…」
スネイプは杖を振り、ダンブルドアとマルフォイ、ハリーの体を浮遊させる。
「吾輩の部屋へ行くぞ」
「了解。先行し敵部隊を排除します」
「頼む」
私達はスネイプの部屋へと移動を開始する。
道中、数名の死喰い人と会敵したが、総て排除し目的地へ到着する。
「入れ」
「了解」
スネイプは部屋へと到着すると、テーブルの上の書物を退け、ダンブルドアの体を横たえる。
マルフォイは近くのソファへと降ろした。
ハリーはスリザリンの談話室にある暖炉へ押し込み、不死鳥の騎士団本部へと移送する。
「ここなら処置を行えるか?」
「可能です」
「では頼む。吾輩は外で見張って居よう」
「了解」
スネイプは部屋を出る。
私はマルフォイを別室へと移動させる。
「滅菌開始」
室内の滅菌処理を行う。
「切除に移行します」
デルフィはダンブルドアの袖を捲り、変色部を露にする。
「消毒」
ダンブルドアの腕に消毒液を掛け、消毒処理を来なう。
「医療用ナノマシン注射」
ダンブルドアの首筋に医療用ナノマシンを注入し、麻酔を施す。
「切除します」
私は、腕をブレード化させ、変色部の3㎝上部にブレードを振り下ろす。
ブレードにより、ダンブルドアの腕は肩部から簡単に切除される。
切除と同時に、ブレードの熱量により、切除部は止血処理される。
「心拍数、血圧。共に安定」
「処置終了です」
切除部に止血帯と包帯を巻き、処置を終わらせる。
「終わったようだな」
スネイプが部屋に戻ってくる。
「切除した腕は?」
「こちらに」
スネイプは切除したダンブルドアの腕を布に巻くと、テーブルの上に置く。
「わかった。吾輩は死喰い人に戻らねばならぬ。校長を頼む」
「了解しました」
スネイプはダンブルドアをスリザリンの暖炉へ押し込むと、ハリー同様に不死鳥の騎士団本部へと移送する。
「吾輩は戻れぬ。この手紙をミネルバ・マクゴナガルに渡してくれ」
「了解しました」
手紙を受け取り、私達も暖炉を使用し、不死鳥の騎士団本部へと移動する。
数分後、マルフォイが目を覚ます。
「あれ…ここは…」
「目を覚ましたか、ドラコ」
「すっ、スネイプ先生! ダンブルドアは!」
「逃げられた」
「そんな…」
マルフォイはソファで項垂れる。
「だが安心しろ」
スネイプはマルフォイに向け、布で包まれた物体を投げ渡す。
「おっと…なんですか? これ?」
「開けてみろ」
「ん? ヒッ!」
マルフォイは布を解くと悲鳴を上げる。
「ダンブルドアの腕だ。逃げられる時、切り落とした」
「え…え?」
「これがあれば、我が君もお許しくださるだろう」
「そ、そうですね」
その時、スネイプの部屋にノック音が響く。
「入れ」
「上手くいったようだな」
ルシウスが杖を仕舞いながら入室する。
「父上! 見てください!」
「これは…ドラコよ。よくやったな」
「はい!」
「それにしても、ダンブルドアの腕とは…」
「早く我が君に報告を」
「あぁ、もう少しでホグワーツの占拠も終わるだろう」
「あぁ、吾輩が全生徒と教職員をホグワーツから追い出したからな」
「流石だな。さて、我が君を迎えに行こう。ドラコ、お前もだ」
「はい!」
2人は嬉々として部屋を後にした。
暖炉を使用し、不死鳥の騎士団本部へと戻ると、マクゴナガルが驚愕した表情を浮かべている。
「気絶状態のハリー。片腕を失った校長の次は、貴女達ですか」
「こちらを」
「手紙? スネイプ先生から?」
マクゴナガルは手紙を読み、表情を変える。
「なるほど…」
「手紙にはなんと?」
「スネイプ先生は校長の指示で死喰い人へスパイとして潜入していたようです。それと、校長の腕を切除したのは貴女方だと」
「必要な処置です」
「そうですか。校長は今奥の部屋で休んでいます。もうじき目を覚ますでしょう」
「了解」
「校長の枕元に置いておきます」
そう言うと、マクゴナガルは奥の部屋へと移動した。
私達も続くと、こちらに気が付いたハーマイオニーが声を上げる。
「2人とも、無事だったのね」
「問題ありません」
「良かったわ」
その時、扉が開き、ハリーがロンの肩を借りながら現れる。
「ハーマイオニー。それに君達。そろそろ説明して貰おうか。なんで、トム・リドル。アイツが生きているのか」
ハリーが指を差す先で、ホログラム化したトムが椅子に腰かけていた。
「いや…これは、そのぉ」
「ワシも説明が欲しい」
「校長!」
覚束ない足取りのダンブルドアが左手で扉を開けながら現れる。
「ワシの腕を切ったのは、お主達じゃな」
「はい」
私が答えると、ダンブルドアは小さく笑う。
「お主達が捕縛したトロールの腕と同じ断面じゃったのでな…ワシの腕を切るとは…とんでもない事をしてくれたのぉ…」
ダンブルドアは腕を抑えながら、近くの椅子に腰かける。
「はぁ…はぁ…ミネルバ。なぜ、ワシがここに居るのか。セブルスはどうした?」
「スネイプ先生なら、現在任務を継続していますよ」
「何じゃと…なぜお主がセブルスの任務を?」
「先程、手紙を頂きました。ご覧になって無いのですか?」
「腕を切った所までしか読んでなくてな…そうか…まぁ…良い。それより、ホグワーツはどうなった?」
「現状から考えるに、既に死喰い人に占拠されていると考えるのが妥当です」
「何と言う事じゃ…ミネルバ、なぜお主が居てこの様な事態に。なぜホグワーツを棄てた? 全ての教職員と全ての生徒でホグワーツを守れば」
「確かに、そうすればホグワーツが死喰い人に占拠される事は無かったかもしれませんが、そんな事をしていたら生徒にも被害が出ていたかもしれません」
「その通りだ。もっと生徒を大切にした方が良いぞ。じゃないと僕みたいなのがまた生まれる」
トムは椅子に座りながらダンブルドアを見据える。
「ミネルバよ…もしや…お主…トム・リドルの──」
「確かに、彼等の意見を参考にしました」
「何と…言う事じゃ…はぁ…ミネルバ…お主は眼前の物事しか見ておらぬ。もっと大局を見て欲しい。多少の犠牲を出してもホグワーツは死守するべきじゃった。それを奴の口車に乗せられ、みすみすホグワーツを手放すなど…何という様じゃ…」
「ですが、生徒の命が最優先です。その点においては彼等の判断は間違っていない筈ですし、私もそれに賛同しました」
「ミネルバ…この責任はいずれ負って貰うぞ…さて、では答えてもらおうかのぉトムよ。なぜお主が生きている?」
ダンブルドアは左手に杖を持ち、トムに突き付ける。
「結構事情が複雑でね。まぁ簡単に説明すると、僕も巻き込まれたようなものさ」
「何を訳の分からぬ事を…」
「ふざけるなよ!」
ロンは肩を貸しているハリーを払い除け、急に杖を抜き、トムに殴りかかろうとする。
「やめて!」
ハーマイオニーが声を上げ、ロンの動きが止まる。
「ハーマイオニー…なんでこんな奴を庇うんだ?」
「そ…それは…」
「殴っても無駄だからさ」
「ちょっと黙ってて」
「おぉ…怖い」
「ハーマイオニー…あぁ…そうか、そう言う事か、わかった。わかったよ」
ロンは、瞳孔を開き、ハーマイオニーの顔を見据える。
「最近の君はおかしいと思って居たんだ! クィディッチの試合も見に来てくれないし! 僕の相手もしてくれない!! でもようやくわかったよ。君はコイツに服従の呪文を掛けられていたんだね!!」
「え? 何を言っているの」
「そうさ、そうじゃなきゃおかしいよ。なんて奴だ、僕のハーマイオニーに酷い事を!! 許せないッ!」
「ちょ、ちょっと待って。僕のって、私がいつ貴方の物になったって言うの?」
「気にするのはそこか?」
「トム。ちょっと黙って」
「はいよ」
「あぁ、可哀想なハーマイオニー。奴の呪文がまだかかっているんだね。でも大丈夫だよ。僕が助けてあげるから」
ロンはハーマイオニーに接近するが、ハーマイオニーは後退り、同じ距離を保つ。
「や、やめて。ロン。顔が怖いわ」
「そんなに怖がらなくていいんだよ。僕が助けてあげるから」
「ちょ…やめて…」
ハーマイオニーのメンタルコンデションレベルが低下し、恐怖を感じ始める。
「おやめください」
デルフィがロンとハーマイオニーの間に割り込む。
「なんだ君…まさか…そうか、分かったぞ! 君達も奴の仲間か! 僕とハーマイオニーの仲を引き裂こうとしているんだな!」
「彼は何を訳の分からない事を言っているんだ?」
「発言の意図不明」
ロンは杖を振り下ろし、デルフィに攻撃を行う。
「シールド展開」
放たれた魔法はデルフィによって、無効化される。
「戦闘の意思を確認。これ以上の攻撃は、敵対象と捉えます」
「ふざけた行動はおやめください」
「ふざけているのはお主達じゃよ」
ロンの背後にダンブルドアが立つ。
「ダンブルドア…校長…先生…」
「ロンよ。彼女はトムに心を操られている様じゃ…なんとも悲しい事じゃ…しかし、それを救えるのは君の…君の愛しかないんじゃよ」
「僕の愛…しか…」
「そうじゃよ」
「はい!」
「そうじゃ、それでいい。皆杖を取れ!」
ダンブルドアが声を上げると、何名かの生徒が杖を構える。
「ハーマイオニー・グレンジャー! エイダ・イーグリット! デルフィ・イーグリット! ワシは現時刻を持って! 君達にホグワーツの退学を言い渡す! それと同時に不死鳥の騎士団の脱退、そして…ワシ達を裏切った貴様達を敵とみなす!」
「校長! お待ちを!」
「黙るのじゃ! ミネルバ!」
ダンブルドアが怒声を上げ、マクゴナガルは一瞬身構える。
「どういう…状況なの…」
「どうやら、彼等は我々を敵とみなした様です」
「まったく、これだから老害は…変に早合点する」
私の背中にハーマイオニーを庇う様に避難させる。
「この場は一時撤退を推奨します」
「了解、退避行動を開始します」
デルフィはウアスロッドを構えると、横に薙ぎ、風圧を起す。
その衝撃により、杖を構えた全員が体勢を崩す、
「うぉ!」
「撤退します」
「えぇ! トム!」
「了解」
トムはホログラム化を解除し、姿を消す。
「逃すな! 撃つのじゃ!」
ダンブルドアの声に従い、多くの生徒が魔法を乱雑に放つ。
「防御開始」
デルフィはウアスロッドを回転させ、迫り来る魔法を防ぐ。
「殿を務めます」
「了解」
私はハーマイオニーの手を取り走り出す。
「私達はこのまま出口へと進みます」
「了解よ!」
扉を突き破り、大広間を抜ける。
階段を降り、出口の扉へ向かう。
「飛びます。掴まってください」
「うん!」
ハーマイオニーは私の左腕へとしがみつく。
その時、私の右側に空間湾曲を検知する。
「逃さぬよ!」
姿現しで、現れたダンブルドアが、私の右腕を掴む。
「ワシと一緒に来てもらうぞ」
再び空間湾曲を検知する。
どうやら、ダンブルドアは私達を姿現しで内部へと連れ込むつもりだ。
シールドを展開して無効化する事も可能だが、その場合、腕に掴まっているハーマイオニーにまで被害が出る恐れがある。
トムのシールドでは出力が弱すぎる。
「右腕パージ」
私は肩部より右腕をパージする。
それと同時にダンブルドアは姿現しで、内部へと消えていった。
「え…エイダ! その腕!」
「問題ありません。損傷は軽微です」
「私のせいで…ごめんなさい…」
ハーマイオニーは涙を流し、謝罪する。
「問題ありません。お気にせずに」
「で…でも…」
「敵部隊、追撃を断念。帰還します」
その時、デルフィが出口から現れる。
「了解。ハーマイオニーを頼みます」
「分かりました」
私はデルフィにハーマイオニーを預ける。
「帰投します」
私達はバーニアを吹かし、自宅へと帰還する。
エイダの腕をもぎ取る(パージ)させるとは…
ダンブルドアにしては頑張りましたね。
ついでに、ロンの精神が崩壊しました。