ハリー・ポッターと終末の魔法使い   作:サーフ

83 / 101
これにて、謎のプリンス編終了です。


ファントムペイン

 

   姿現しで、不死鳥の騎士団内部へと戻ったダンブルドアは周囲の状況を見て、驚愕する。

 

 追撃に出たメンバーの大半が、負傷し、中には杖を折られている者まで居た。

 

「なんと…暴力的な」

 

「校長! その腕は!」

 

「腕?」

 

 ダンブルドアは自身が掴んでいる腕に目を落とす。

 

「これは…エイダ・イーグリットの腕じゃな。おそらく姿現しの時、彼女達を連れて来るつもりじゃったが、どうやら腕を切断してしまったようじゃ」

 

「なんと言う事を…」

 

「なぁに…彼女はワシの腕を奪ったのじゃ…これでおあいこじゃよ」

 

「ですが、貴方の腕は切断しなければ命に──」

 

「もう良い! それより、セブルスはまだ来ぬのか?」

 

「お呼びですかな?」

 

 スネイプが扉を開け現れる。

 

「おぉ、セブルス。ホグワーツはどうじゃ?」

 

「既に完全に闇の帝王の手中に」

 

「左様か、して、ワシの腕はどうなった?」

 

「闇の帝王の手に。その後、ナギニの餌に」

 

「なんと言う事じゃ…」

 

「しかし、口に合わなかったのか、最終的にはゴミ箱にありました」

 

「もう良い…」

 

 ダンブルドアは溜息を吐く。

 

「その腕は?」

 

「エイダ・イーグリットの腕じゃ。姿現しで千切てしまったようじゃ」

 

「千切れた…それにしては見事な切断面ですな…出血も見られない…」

 

「本当じゃ…どうなっておるのじゃ…」

 

 ダンブルドアは腕の切断面を凝視する。

 

 その切断面からは1滴の血も流れていない。

 

「不思議じゃ…セブルス。調べてくれるか」

 

「出来る限りは…」

 

 スネイプはダンブルドアから切断された腕を受け取る。

 

「頼むぞ。今後のヴォルデモートの動きは分かるか?」

 

「魔法省の制圧を目論んでいます。おそらく、現在の戦力ならば数日中には制圧されるでしょう」

 

「なんと言う事じゃ…奴等の戦力と言うのは?」

 

「死喰い人は人数的には多勢とは言えません。しかし無人で行動する大型のゴーレムを量産しているようです。闇の帝王のものはオービタルフレームと呼んでいます。中には人が搭乗するタイプの物もあるそうで」

 

「大型とは?」

 

「人よりも一回り大きい程度の物が大半ですが、更に巨大な物もあります」

 

「いくら大型とは言え、所詮はゴーレムじゃろう。それよりも魔法省が制圧された後の闇払いの動向が心配じゃ…死喰い人に加入させられるくらいならば、不死鳥の騎士団にスカウトしたいのぉ」

 

「左様で」

 

「後でフクロウを飛ばすとするか。ミネルバ。代筆を頼む」

 

「分かりました」

 

 ダンブルドアは腕を抑えながら、立ち上がる。

 

「ワシは少し疲れた。少し休む」

 

「分かりました」

 

 そう言うと、ダンブルドアは自室へと移動を始めた。

 

 

 

  自宅上空に到着後、周辺の安全を確認し着地する。

 

「到着です」

 

「えぇ…」

 

 依然としてメンタルコンデションレベルの低いハーマイオニーを自宅へと招き入れる。

 

「おもてなしできる様な設備は有りませんが、くつろいでください」

 

「ありがとう」

 

 ハーマイオニーはソファーに腰かける。

 

「紅茶の準備をしてきます」

 

 デルフィが紅茶の準備を始める。

 

 数分後には紅茶を準備が整い、テーブルの上にティーセットが並ぶ。

 

「どうぞ」

 

「ありがとう」

 

 ハーマイオニーはティーカップを手に取り、唇を濡らす。

 

「それでは、現在の戦況に付いて、説明を始めます。現在、我々に敵対している勢力は、死喰い人、不死鳥の騎士団です。ですが、数日中に変動があるものと想定されます。おそらく魔法界は戦争状態に陥るでしょう」

 

「そんな…私達はこの後どうすればいいのかしら?」

 

「関わり合いを持たない方が賢明でしょう。何かしらのコンタクトがあった場合、迎撃を行う予定です」

 

「何か…もう訳が分からないわ…」

 

 ハーマイオニーは軽度の混乱状態に陥っている様だ

 

「メンタルコンデションレベルの低下を確認。体力的に休息を取ることをおススメします」

 

「えぇ」

 

「2階にベッドが有るのでご利用ください」

 

「食事は明日の朝、簡易的な物ですがご用意します」

 

「ありがとう…じゃあ、休ませてもらうわね」

 

 ハーマイオニーはそう言うと、ベッドルームへと移動した。

 

 ハーマイオニーが退室後、私は損傷した腕の自己修復を開始する。

 

「メタトロン鉱石です。お使いください」

 

「ありがとうございます」

 

 デルフィからメタトロン鉱石を受け取り、修復のエネルギーに回す。

 

「自己修復開始」

 

 損傷した腕にエネルギーが集中し、内部の基本構造が形成される。

 

 その後、外部にエネルギーが集中し、外骨格を成型する。

 

「装甲修復率90%」

 

 体表組織を、SSAで覆い、修復を終了する。

 

「右腕、修復完了。稼働に異常なし」

 

 軽く腕を動かし、修復具合を確認する。

 

「武器システム異常なし」

 

 右腕をブレードに変化させる。

 

 異常は見られない。

 

 

「セルフスキャン完了。修復完全完了」

 

 完全に修復を終了させる。

 

 修復に要した時間は5分程度だ。

 

「それでは我々も休息しましょう」

 

「了解です」

 

 私達もベッドルームへと移動し、休息を開始した。

 

  数時間後、朝日が昇る。

 

 時刻は5時を回った頃だ。

 

 私達はベットから抜け、朝食の準備を始める。

 

 数ヵ月以上家を留守にしていたので、缶詰等といった保存食しかなかった。

 

 6時半を回った頃、ハーマイオニーが目を覚まし、1階へと降りて来る。

 

 

「おはよう。2人とも」

 

「おはようございます」

 

「保存食ですが、朝食の準備が出来ています」

 

「うん。ありがとう。え? エイダ…その腕?」

 

「はい」

 

 ハーマイオニーは動きを止め、私の腕に視線を向ける。

 

「どうかしましたか?」

 

「どうかって…だって昨日腕が…」

 

「修復作業が終了しました」

 

「修復作業って…」

 

 ハーマイオニーは椅子に座る。

 

「ねぇ…ずっと気になっていたんだけど…一つ聞いてもいいかしら?」

 

「どうぞ」

 

 ティーカップを手に取り、唇を濡らした後、ハーマイオニーは数回深呼吸をする。

 

「こんな事聞くのも可笑しいと思うんだけど…貴女達って…人間?」

 

「いいえ、違います」

 

「あっ…け、結構あっさり言うのね…まぁ、そんな気もしていたけど、そうはっきり言われるとちょっと受け止めにくいわね」

 

「申し訳ございません」

 

「良いのよ。うん…ところで…人間じゃ無いなら…何者? 亜人とか?」

 

 ハーマイオニーは少し動揺しつつ、フォークで紅茶を攪拌し始める。

 

「私達は独立型戦闘支援ユニット、AIです」

 

「AI? トムみたいな感じ?」

 

「おおよそ、その通りです」

 

「ですが性能的には全く違います」

 

「じゃあ…やっぱり人間じゃないのね?」

 

「我々本来、オービタルフレームと呼ばれる兵器の独立型戦闘支援ユニットです。量子コンピューターの一種です」

 

「オービタルフレーム? 独立型戦闘支援ユニット?」

 

「はい。私はジェフティと呼ばれるオービタルフレームの独立型戦闘支援ユニット。デルフィはアヌビスと呼ばれるオービタルフレームの独立型戦闘支援ユニットです」

 

「アヌビスとジェフティ? エジプトのお話?」

 

「アヌビスとジェフティは我々の機体名です。この2機は兄弟機です」

 

「だから、姉妹なのね」

 

「現在は、SSAなどを利用し、人型を取っています。武装面についてはオービタルフレームの装備をそのまま応用しています」

 

「何か…よく分からないけど…まぁいいわ。別に貴女達に違いは無いんだから」

 

「本来オービタルフレームとはこの時代よりも数世紀先の技術です」

 

「数世紀先って…未来から来たって事?」

 

「詳しい事は我々も理解していませんが、そのような解釈で問題ありません」

 

「へ…へぇ…」

 

 ハーマイオニーは落ち着きを取り戻す様に、紅茶を一気に流し込む。

 

「未来に戻ったりできるの?」

 

「方法を模索していましたが、手掛かりを発見しました」

 

「手掛かり?」

 

「はい、神秘部で発見した『アーチ』と呼ばれる物体です」

 

「確か…ワームテールだったかしら?」

 

「ワームホールだろ」

 

「その通りです。アーチを利用し、時間軸を圧縮すれば、元の時代への帰還出来る可能性が出ます」

 

「そうなの?」

 

「ですが、現状では時間軸を操作する媒体がありません」

 

「時間軸…あっ」

 

 ハーマイオニーは鞄から何かを取りだす。

 

「これは? 使えるかしら?」

 

「逆転時計か。でもこれは過去に戻るだけだぞ」

 

「そうだったわね…」

 

「よろしいですか」

 

「えぇ」

 

 私はハーマイオニーから逆転時計を受け取る。

 

「分析開始」

 

 分析を開始する。

 

 どうやら、逆転時計とは、魔力を利用し、メタトロン同様に周辺の空間を圧縮すると同時に時間軸を圧縮し、過去へと戻る事が出来る様だ。

 

 圧縮方向を逆にすれば、未来へ行くことも可能だと思われる。

 

「分析完了」

 

「どうかいしら?」

 

「恐らく、改良した逆転時計とアーチを組み合わせる事で、帰還できる可能性があります」

 

「よかったわ」

 

 ハーマイオニーはほっと溜息を吐く

 

「ふぅ…なんとなくわかったわ…それで、今後はどうするつもり?」

 

「恐らくダンブルドアがグリンゴッツの口座の凍結に移ると思われるので、それより早くグリンゴッツで預金を全て回収する予定です」

 

「そうなのね。急いだ方が良いわね…でも…もう…そんな事しなくても良いんじゃないかしら?」

 

「発言の意図不明」

 

「貴女達なら、魔法省の死喰い人なんて簡単に突破できるでしょ?」

 

「可能です」

 

「なら、逆転時計を渡すわ。それとアーチを使って貴女達が居た時代へ戻った方が良いわ」

 

「ですが――」

 

「まぁ、僕達はここでひっそりと暮らすさ」

 

「しかし」

 

「魔法界の問題は魔法界で解決するわ。貴女達にこれ以上迷惑はかけられないわ」

 

 ハーマイオニーは少し寂しそうに呟く。

 

「我々が存在していた時代の情報では、魔法と言う物は存在しませんでした」

 

「そうなの?」

 

「はい。しかし、このまま魔法界の情勢が変化し人間界に侵攻した場合。我々の理解している情報と乖離が生じます」

 

「それはつまり?」

 

「タイムパラドックスが発生する可能性があります」

 

「その場合…どうなるの?」

 

「我々の存在が消える可能性があります」

 

「そんな!」

 

「その為、現状の魔法界を安定化させる必要があります」

 

「安定化?」

 

「まぁ、つまりは、死喰い人と不死鳥の騎士団。両方が人間界に侵攻しない様なバランスを取る必要があるって事だろ?」」

 

「その通りです」

 

「じゃあ…」

 

「もうしばらく、情勢を監視させていただきます」

 

「わかったわ!」

 

 メンタルコンデションレベルが向上したハーマイオニーは食事を開始した。

 

  数時間後、食事も終了し、移動準備が整う。

 

「我々は、グリンゴッツで金銭の回収を行います」

 

「周辺に防御装置を展開していますので、不用意な外出はお控えください」

 

「分かったわ」

 

「さて、僕はお守という事か」

 

「酷い言い様ね」

 

 私達はバーニアを起動し、グリンゴッツへ移動した。

 

 

  グリンゴッツに到着後、受付へと移動する。

 

「今回のご用件は?」

 

「金庫の中にある金銭を全て引き下ろします」

 

「え?」

 

「全てお願いします」

 

「しょ、少々お待ちください」

 

 小鬼は奥へと走って行った。

 

 十数分後、巨大な袋を抱えた小鬼が数名現れた。

 

「お待たせしました。こちらが全てです。総額で、200,000ガリオン以上ありますが…」

 

「感謝します」

 

 私達は、運ばれて来る袋を全て、ベクタートラップ内に収納する。

 

「一体…何が起こっているんだ…」

 

「回収完了」

 

「失礼します」

 

 私達は、資金を回収後、自宅へと帰還した。

 

「あら、お帰り。どうだった?」

 

「無事に資金の回収に成功しました」

 

「良かったわ」

 

「へぇ、いくらあるんだ?」

 

「おおよそ、200,000ガリオン程です」

 

「え? そんなに…」

 

 ハーマイオニーは手にしていたビスケットを落とす。

 

「凄い大金だな…ダンブルドアからかなり巻き上げたんだな」

 

「当然の報酬です」

 

「ハハハ…凄いわね…」

 

 ハーマイオニーは乾いた笑いを浮かべていた。

 

 

 

  ホグワーツ陥落から数日後、ワシは依然として不死鳥の騎士団本部で、失った腕を抑えていた。

 

 既に切り落とされたはずの、腕の痛みを今でも感じる。

 

 これが、幻肢痛(ファントムペイン)か…

 

「ぐぅ…」

 

 ワシは、ベッドの上で、上半身だけを起し、腕を抑える。

 

 その時、数回ノック音が響く。

 

「入れ…」

 

「失礼を」

 

 セブルスが布に包まれた物体を持って入室した。

 

「何じゃそれは?」

 

「エイダ・イーグリットの腕です」

 

「おぉ。解析が終わったのか?」

 

「それが…」

 

 セブルスは言葉を濁す。

 

「切開しようにもメスの刃が入らないのです。魔法もダメでした」

 

「なんじゃと?」

 

「それに、既に日が経っているにも拘らず、依然として腐敗が見られないのです」

 

「それはどういう…」

 

「分かりません。しかし、質感は生きている肌と何ら変わらないのです」

 

「不思議な話じゃ…」

 

「そして、調べた結果なのですが、彼女の腕から、強力な魔力を確認しました」

 

「強力な魔力?」

 

「はい。この魔力は、以前調べた賢者の石に酷似していました」

 

「賢者の石だと…」

 

 確か彼女達は以前、賢者の石をメタトロン鉱石と呼んでおったが…

 

「セブルス。メタトロンという言葉に聞き覚えはあるか?」

 

「メタトロン…聞き覚えがありますな」

 

「それはどこでじゃ!」

 

「確か…闇の帝王が何度か口にしているのを聞きました」

 

「つまり…ヴォルデモートは彼女達と同じメタトロンに関係しているという事じゃな…」

 

 推測だが、メタトロンを通じて、彼女達はヴォルデモートと繋がりがある可能性がある。

 

 そう考えれば、トム・リドルが生きていた事にも納得が行く。

 

「対策をせねば…」

 

 ワシは、ふとセブルスが手にしている彼女の腕に目が行く。

 

「その腕は…まだ腐敗していないのじゃな?」

 

「そうですが」

 

 ヴォルデモートや彼女達がメタトロンと言う、未知の力を使うならば、ワシもその力を使う必要があるだろう…

 

「その腕は…義手の様にワシに付ける事は可能かの?」

 

「え? 今何と?」

 

「その腕をワシに付ける事は可能かと聞いているのじゃよ」

 

「そ…それは…」

 

 セブルスは数歩後退る。

 

「可能か?」

 

「わ…わかりません。ですが…出来なくもないかと…」

 

「そうか、ならば頼む」

 

 ワシは、包帯を外し、患部を露出する。

 

「良いのですか…どうなるかわかりませんぞ」

 

「構わぬ。ヴォルデモートに…彼女達に対抗するには、これしかあるまい」

 

「……分かりました…少し痛みますぞ」

 

 セブルスは小瓶から薬を取り出す。

 

 ワシはそれを受け取り、飲み干す。

 

 次の瞬間、意識が遠のく。

 

「では…」

 

 杖を取り出すと、火傷した患部を切り裂き、腕の縫合を開始した。

 

「うぅ…」

 

 それと同時に、ワシは意識を手放した。

 

 

 

 

  意識が鮮明になる。

 

 窓から光が差し込む。

 

 どうやら、1日中眠っていた様だ。

 

「うっ!」

 

 体を起こした瞬間、強烈な眩暈と頭痛に襲われる。

 

「ぁあ!」

 

 右腕が急激に痛み始める。

 

「うぐぅ!」

 

 左手で右腕を抑える。

 

 左手にワシの腕より一回り小さな腕の感触を感じる。

 

 どうやら、腕は無事に取りつけられた様だ。

 

「あぁ!!」

 

 次の瞬間、右腕が急激に熱を持ち、その熱が体中を駆け巡る。

 

「はぁ! あぁ!」

 

 熱が脳に駆け巡り、それと同時に、意味不明な映像が脳内に映る。

 

 映像は、脳内に定着し、未知の情報が脳内に焼き付く。

 

「ぐぅお!!」

 

 衝撃と共に、意識がはっきりとする。

 

「はぁ…はぁ…」

 

 ワシは、ふと右腕へ視線を落とす。

 

 そこには、彼女の腕ではなく、ワシの腕と同じ大きさの、銀色の腕が生えており、緑色の閃光が走っていた。

 

「こ…これは…」

 

 ふと腕を振ると、魔力があふれ出すような感覚に陥る。

 

「おぉ! こ…これは」

 

 まるで、全ての事柄を理解し、総てを手に入れたような感覚だ。

 

 そして、湧き上がる渇望。

 

 これは、これ程の力が示す先…それは…

 

「校長!」

 

「ご無事ですかな」

 

 ミネルバとセブルスが入室する。

 

「大丈夫じゃよ。とても清々しい気分じゃ。あぁ! 素晴らしい!」

 

「校長…その腕は…」

 

「エイダ・イーグリットの腕…無事に定着したようですな」

 

「え?」

 

 ミネルバはワシの腕を見つめる。

 

「ミネルバよ。闇払いとの連絡は取れたか」

 

「え? あぁ、はい。追い出された者の多くは、こちらに合流すると…」

 

「良い報告じゃな。いくつか頼みがある。グリンゴッツにあるイーグリット姉妹の金庫を凍結するように手続きをするのじゃ」

 

「なぜ、そのような事を…」

 

「彼女達が、死喰い人であろうが、無かろうが、いずれワシ達の敵になる可能性がある。まぁ、既に金庫は空かも知れぬがな…」

 

「分かりました…」

 

 ミネルバは、退室すると、準備に取り掛かる。

 

「セブルス。お主には、引き続き死喰い人でのスパイ活動を頼む」

 

「はい」

 

「それと、死喰い人にイーグリット姉妹とハーマイオニー・グレンジャーに対して懸賞金を掛ける様に打診するのじゃ」

 

「なぜ…その様な事を?」

 

「不死鳥の騎士団としても、彼女達を指名手配する。つまり彼女達は不死鳥の騎士団、死喰い人の両方に追われることになる。上手くいけば相打ちしてくれるじゃろうな」

 

「それが…狙いで?」

 

「左様じゃ。やる事は多いぞ。行くが良い」

 

「かしこまりました」

 

 セブルスは踵を返す。

 

「これで良い。ヴォルデモートを倒し、世界をあるべき姿にするのじゃよ…」

 

 ワシは、湧き上がる力を全身に受け、高揚感に酔いしれ、思考を手放す。

 

 

  ダンブルドアの腕が定着してから数週間後。

 

 マクゴナガルは一人頭を抱えていた。

 

 ダンブルドアは元闇払いなどを手中に収め、反攻勢力を整えている。

 

 しかし、それは生徒の犠牲が嫌でも発生する。

 

「どうすれば…」

 

 マクゴナガルは呟きながら、度数の高い酒で唇を濡らす。

 

「マクゴナガル先生」

 

 マクゴナガルの背後にシリウスとルーピンが現れる。

 

「どうかしましたか?」

 

「いえ…現在の不死鳥の騎士団はどうも…」

 

 シリウスは口籠りながら呟く。

 

「危険…と言いたい感じですね」

 

「えぇ…ダンブルドアが何を考えているのか分かりません…」

 

「確かに、闇の帝王から魔法界を護る事は大切だ…しかし…生徒を犠牲にするのはおかしい…」

 

「私も同じ意見です」

 

 シリウスとルーピンは同時に頷く。

 

「現状を打破するには…どうすれば…」

 

「一つ…私に考えがあります…」

 

 マクゴナガルは呟く。

 

「それは一体?」

 

 一度溜息を吐いたマクゴナガルはグラスに残った酒を一気に飲み干す。

 

「彼女達です」

 

「彼女達?」

 

「イーグリット姉妹とハーマイオニー・グレンジャーですよ」

 

「し、しかし…彼女達は死喰い人陣営の人間なんじゃ…」

 

「私は違うと思います」

 

「しかし…」

 

 シリウスは口籠る。

 

「私は…彼女達と接触を試みてみようかと思います」

 

「危険では?」

 

「大丈夫だと思います。それに校長に彼女達と接触するように指示を受けています」

 

「そうですか…」

 

「ならば私も一緒に」

 

「それならば、私もだ」

 

「良いのですか?」

 

「危険は承知の上」

 

 シリウスとルーピンは数回頷く。

 

「わかりました…いろいろと準備が必要となりますね…」

 

「準備?」

 

「はい。後で、グリンゴッツへ行ってきます」

 

「わかりました」

 

 マクゴナガルはそう言うと、自室を後にグリンゴッツへと向かった。

 




ダンブルドアの強化イベント終了です。

次章が最終章となるでしょう。

ある程度は書き上げたので、再来月までには投降を再開したいと思います。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。