翌朝。
日が昇るよりも早くに、不死鳥の騎士団員各員が、武装を整え正面玄関に集結する。
「皆、覚悟は良いな」
「うん」
「はい!」
覚悟を決めた者も居れば、流れに逆らう事の出来ない者も居る。
全員が、多様な感情を抱えている中、マクゴナガルの周辺にシリウスとルーピン集まる。
「遂に…始まってしまいますね…」
「えぇ…」
マクゴナガルは悲しそうに呟く。
「このままでは…下手をすれば全滅ですね…」
「えぇ…しかし、私もこのまま全滅を待つ心算はありません」
マクゴナガルはそう言うと、無線機を取り出す。
「彼女達に援護を頼みます」
「しかし、ダンブルドアは彼女達の事を敵視している筈です」
「それは、ヴォルデモートも同じはずです。それに彼女達は私達の敵ではない筈ですよ…」
「少しでも希望があるならば、それに掛けるべきです」
マクゴナガルは縋る様に無線機で通信を繋いだ。
早朝早くにマクゴナガルに渡した無線機から通信が入る。
『御用でしょうか?』
『朝早くに申し訳ありません、実は…』
マクゴナガルから事情を窺う。
『そんな…バカげてるわ!』
いつの間にか目を覚ましたハーマイオニーが通信に割り込む。
『えぇ…私もそう思います…しかし、既に賽は投げられました…』
『そんな…』
『そこで、差し出がましいようですがお願いがあります』
『ご用件は?』
『単刀直入に言います。私達に力を貸していただきたい』
『もちろんです! そうよね?』
『問題ありません』
『ありがとうございます』
『合流ポイントは?』
『私達の作戦では、周辺の死喰い人を突破後、キングスクロス駅を占拠する予定です』
『じゃあ、不死鳥の騎士団本部に向かえばいいですか?』
『いえ、それでは混乱が起こる可能性があります。なので貴女達にはキングスクロス駅の占拠をお願いしたいのです』
『ミッション内容を把握しました』
『助かります…キングスクロス駅は、既に死喰い人に占拠されている筈です。重要拠点という事もあり、警備も厳重でしょう…』
『問題ありません』
『心強いですね』
マクゴナガルの声質からして、メンタルコンデションレベルが若干上昇した。
『そろそろ、時間です…では、キングスクロス駅で会いましょう』
通信が終了する。
「作戦開始します」
「そうね、私も行くわ」
「危険…だと言っても付いて来るのですね」
「もちろんよ」
ハーマイオニーはタブレット端末を抱え、銃を手に取る。
「さぁ、行きましょう」
「了解です」
私はハーマイオニーを抱え、デルフィと共に宙へと飛び上がり、キングスクロス駅へと移動した。
作戦開始時刻。
不死鳥の騎士団本部、正面玄関の扉が開かれる。
「行くのじゃ! 全員でキングスクロス駅を目指せ!」
ダンブルドアが杖を振り下ろし、死喰い人の包囲で一番手薄な部分に攻撃を行う。
「何事だ!」
「分かりません!」
「状況を!」
不死鳥の騎士団員の総攻撃により虚を付かれた死喰い人の包囲部隊は、その包囲を崩壊させた。
「行くのじゃ!」
ダンブルドアの指示に従い、ある者は箒を使い、またある者は走り出した。
そんな中、ダンブルドアは箒も使わずに宙を飛び、周辺の死喰い人へ攻撃を行う。
「くそ! 逃すな! 全員殺せ!」
死喰い人も攻勢に転じ、離脱を開始した不死鳥の騎士団員に攻撃を行う。
「うぁ!!」
死喰い人の攻撃により、不死鳥の騎士団員にも被害が出る。
「立ち止まるな! 突き進むんだ!」
ロンが杖を振りながら叫びぶ。
「邪魔をするな!」
ハリーや、他の生徒も杖を振り、またある者は銃を取り、死喰い人の包囲を突破する。
「逃すんじゃないぞ!」
死喰い人は緑の閃光を放ち、それにより、複数人の死傷者が出る。
「じゃまだ!」
不死鳥の騎士団員は、銃を、またはロケットランチャーを構え、それにより、敵陣を吹き飛ばし突破する。
近代兵器を採用した差も功を奏したのか、不死鳥の騎士団は無事に死喰い人の包囲を突破し、安全圏まで移動出来た。
包囲を突破後、不死鳥の騎士団員は、キングスクロス駅手前の空き地に集結した。
「無事包囲を突破した物はどれくらい居る?」
「負傷者。死傷者は全体の5%ほどです」
「そうか…思ったより生き残ったな…」
マクゴナガルの報告を聞いたダンブルドアは顎髭を撫でながら頷く。
「ここから、キングスクロス駅まであと少しじゃ。準備を整え、一気に行くぞ」
「はい」
ロンが返事をすると、周囲の団員に指示を出し始める。
キングスクロス駅上空に到着後、ハーマイオニーを安全地帯に降ろす。
「しばらくお待ちください」
「わかったわ」
「作戦を開始します」
デルフィは上空から、キングスクロス駅に急降下する。
「うぉあ!!」
「なんだ!!」
土煙が上がる中、デルフィは直立不動で周囲をスキャンする。
「敵…」
「攻撃しろ!」
死喰い人が杖を取り、一斉に魔法を発射する。
「シールド展開」
死喰い人の放った魔法は、総てシールドで無効化される。
「どうなっている!」
「コイツら…まさか、報告にあった…」
「ウアスロッド展開。攻撃行動に移行します」
ウアスロッドを構えたデルフィが直近の死喰い人へ急接近する。
「近接攻撃」
ウアスロッドを横に薙ぎ、その衝撃で吹き飛んだ死喰い人の生命活動が停止する。
「くそ!」
「撃て! 攻撃を止めるな!」
私はステルスモードを起動し、デルフィに集中している死喰い人の背後に接近する。
「そう言えば、コイツら報告ではもう1人居るはずだ」
「なんだ…あ…」
攻撃圏内に入った死喰い人の首を、ブレードで切断する。
「こっちにもいるぞ!」
恐慌状態の死喰い人が乱雑に魔法を放つ。
「バーニア展開」
バーニアを起動し、滑る様に攻撃を避けながら、接近し、死喰い人を切り払う。
作戦開始から2分、既に大半の死喰い人の無力化を完了する。
その時、周辺に中規模のエネルギー反応を検知する。
駅舎内部より、外見だけがラプターに酷似した、複数の自立兵器が姿を現した。
エネルギーレベルや、外部装甲強度などをスキャンした結果、粗悪品であることが判明した。
「やってしまえ! こいつ等を始末しろ!」
生き残った死喰い人がこちらを攻撃するように指示を出す。
鈍重な自立兵器は、低速でこちらに接近する。
「邪魔です」
「排除します」
宙に飛び上がると全ての自立兵器をマルチロックする。
「レーザーランス展開」
マルチロックした対象にレーザーランスを打ち込む。
それにより、全ての自立兵器が消滅する。
「あぁぁぁあああ!」
レーザーランスに巻き込まれたのか、最後の死喰い人の反応も消滅した。
「作戦終了」
「制圧完了です」
こうして、私達は3分で、キングスクロス駅を制圧した。
「なんか…あっという間だったわね」
「ここの警備に付いた連中が哀れに思えるよ」
「そうね…」
ハーマイオニーは駅構内にあるベンチへと腰かける。
「ふぅ…」
一息入れたハーマイオニーは手で腹部を擦る。
「どうしたんだ?」
「え? いや、別に?」
「コンディションチェック。空腹状態であると判断します」
「アハハ…朝から何も食べて無かったから…」
「まったく…君と言う奴は…」
「売店内部に食料が残って居る可能性があります」
「そうなの。ちょっと見て来るわ」
「了解。売店内部に動体反応はありません。おそらく無人です」
「わかったわ」
ハーマイオニーは売店へと移動した。
数分後、両手にサンドイッチと飲み物を手に戻って来た。
「意外とちゃんとしたものを売っていたわ」
「腹の足しにはなるだろう。しかし、店員が居ないんだから代金を払う必要は無かったんじゃないか? わざわざテーブルの上に代金を置くなんて」
「だとしてもよ」
「そうかい」
再びベンチに腰かけたハーマイオニーは食事を開始した。
キングスクロス駅の100m程手前、準備を整えた不死鳥の騎士団員がダンブルドアの指示を待っていた。
「皆、準備は良いな?」
「はい!」
「良し! では行くぞ!」
ダンブルドアの指示で、不死鳥の騎士団員が一斉にキングスクロス駅に雪崩れ込む。
「死喰い人は…どこだ?」
「見当たらないぞ!」
予想とは違い、死喰い人の出迎えが無く、不死鳥の騎士団員は疑問を覚える、
「何処かに隠れているのかも知れない…」
「注意しろ!」
ハリーとロンは互いに周辺を警戒しつつ、歩みを進める。
「おい! あそこに!」
「あれは!」
ロンが指差した先には、サンドイッチを頬張るハーマイオニーの姿があった。
「え? ハリーに…ロン?」
サンドイッチを片手にハーマイオニーが唖然として居た。
「ハーマイオニー! 良かった、無事だったんだ」
「えぇ、ハリーも元気そうね」
ハリーとハーマイオニーは軽くハグをする。
「君達も、こんな所で何を──」
「ハリー! 戻れ!」
「え?」
ハリーが振り返ると、そこにはこちらに杖を向けたロンの姿があった。
「ロン? 何してんだよ?」
「ハリーこそどうかしてるよ。そいつらは裏切り者だぞ! 僕からハーマイオニーを…」
「ロン…まだそんな事言っているのか?」
「はぁ…」
ハリーとハーマイオニーは呆れた様に溜息を吐く。
ロンの大声により、人だかりが出来上がる。
「何事じゃ」
騒ぎを見たダンブルドアが人混みを掻き分けて現れる。
「お主達…一体なぜここに居るのじゃ…」
ダンブルドアが杖を構え、低い声で問いただす。
その動作を見た複数人が、同調するように杖を構えた。
「待ってください!」
「ハリー! 戻るのじゃ!」
「しかし!」
「ワシの言う事を聞くのじゃ! お主達も、一体何が目的じゃ!」
ダンブルドアは声を荒らげる。
「我々は援護要請を受け、キングスクロス駅を占拠しました」
「援護要請じゃと…一体誰が…」
「私です」
マクゴナガルが声を上げると、周囲の人集りが割れる。
「ミネルバ、どういう事じゃ?」
マクゴナガルは私達に接近する。
「私が、彼女達にキングスクロス駅を占拠するように依頼しました」
「なぜそのような事をしたのじゃ?」
「私達だけでは、生徒を守るには力不足です」
「それ故に裏切り者の手を借りたと? ばかげている」
「ばかげているのは貴方ですよ。ダンブルドア」
「何じゃと…」
ダンブルドアが面食らったように後退る。
「ほぉ、やるねぇ」
「思った事を言ったまでですよ」
トムはホログラム化する事無く、マクゴナガルに話しかける。
「この声は…ミネルバ! お主も裏切り者じゃったのじゃな!」
ダンブルドアがマクゴナガルに向け、杖を振り下ろす。
「シールド展開」
私はダンブルドアとマクゴナガルの間に割り込み、シールドにより魔法を無力化する。
「何じゃと…」
「助かりました。このように、彼女達は私を守ってくれました。敵対しているのならば守る必要など無いはずです」
「おのれ…」
「ここは協力し、ホグワーツを取り戻すべきです! 貴女達も力を貸してくれますね」
「もちろんです!」
「問題ありません」
「援護要請を受諾」
「助かります」
マクゴナガルが一礼する。
「おのれぇ…全員杖を構えるのじゃ! 裏切り者を許すな!」
ダンブルドアが杖を構えると、複数名の純血者が杖をこちらに向ける。
しかし、それと同時に複数人が隊列から抜け出す。
その中にはシリウスとルーピンと言った不死鳥の騎士団の主要メンバーも含まれていた。
「どう言う事じゃ…」
「彼等は貴方より賢い選択が出来るという事ですよ」
マクゴナガルの発言により、ダンブルドアのストレスレベルが向上する。
「ふざけるでない! 撃て! 攻撃じゃ!」
ダンブルドアが杖を振り下ろす。
それと同時に杖を構えていたメンバーも杖を振り、魔法を放つ。
「「シールド展開」」
私達は同時にシールドを展開し、迫り来る魔法を全て無効化する。
「なんじゃ…と…」
「無駄な行動はおやめください」
「これ以上攻撃を続けるのならば、反撃行動に移ります」
「ふざけるなよ!」
ロンが激昂する。
「戦力レベルを試算したところ、そちらの戦力で我々に勝てる確率は0%です」
「うぅうううぅ! くそ!」
唸り声を上げたダンブルドアが杖を下ろす。
「良かろう…一時的に協力関係になる事を認めよう」
「了解です」
「では早速じゃが、ワシの指示に──」
「お言葉ですが、貴方の指示に従う必要性が見出せません」
「何じゃと…」
「校長…仕方ありませんよ」
マクゴナガルがダンブルドアを宥める様に諭す。
「好きにしろ…」
そう一言だけ言い残すと、ダンブルドアはホグワーツ特急へと乗り込んだ。
ここで、次回作の被害者候補に上がった作品を。
進撃の巨人。
殲滅される巨人になる未来しかない為、没。
GATE。
破滅しか未来が無い…
それではまた次回。