ハリー・ポッターと終末の魔法使い   作:サーフ

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まだ授業は始まりませんが、ホグワーツが順調に毒されて行きます


スキャニング

   組み分けが終わると、なにも無かったテーブルの上に豪華な食事が出現した。

 

 原理の解明は一切できていない。

 これが、魔法の力と言う物だろうか。

 

「凄い豪華ね。食べきれるかしら?」

 

 ハーマイオニーはそう言いながら、近くの席に座る。

 

「貴女達が同じ寮でよかったわ。知り合いが居るってだけでとても心強いわ」

 

「そうですね。共同生活する上では、とても重要な要因です」

 

「えぇ、ところでデルフィ」

 

「なんでしょう?」

 

「ちょっと気になったんだけど、組み分けの時、帽子は最初スリザリンって言いかけなかった?」

 

「私は全ての寮に対して適性があり、迷って居たそうです。ですが最終的には、こちらの寮で決定されました」

 

「そうなの? 私の時も、レイブンクローと迷うって言われたわ」

 

 ハーマイオニーは少し嬉しそうにそう言うと、キャンディーを一つ口へと投げ込んだ。

 

「まさか、君達がグリフィンドールに入るなんてね」

 

 振り返るとそこには、ハリーとロンの2人が立っていた。

 

 方面上は落ち着いた素振りをしているが、メンタルコンデションレベルはかなり低い値で、こちらに対して若干の嫌悪感を抱いている様だ。

 

「以後よろしくお願いします」

 

「あぁ、よろしく。ところで聞きたいんだけど。デルフィ、君はスリザリンって言われてなかったか?」

 

 ロンは、スリザリンという単語を嫌そうに言うと、デルフィを睨み付けている。

 

「最初はその様でしたが、最終決定はグリフィンドールです」

 

「そうかい、一体どんな手を使ったんだ?」

 

「どういう事でしょう?」

 

「スリザリンとグリフィンドールは敵対しているんだ、犬猿の仲、水と油さ。それなのに君はスリザリンからグリフィンドールに変更された。それはちょっとおかしくないか?」

 

「そうでしょうか。配属先の変更など良くある話では?」

 

「そうかな? でも僕はどうしても気になるんだ。スリザリンと決りかけたのに、グリフィンドールになるってのがね。ハリーもそう思うだろ?」

 

「え? う、うん…そうだね。おかしいよね」

 

 ハリーは若干だが動揺している。

 

 何らかの虚言を言っている様だ。

 

 それについては心当たりがある。

 

 組み分けの時、ハリーは最初はスリザリンに配属されるはずだった。

 

 しかし、本人の希望によってスリザリンになる事は無かった。

 

「ハリーもそう言って居るぜ。一体どんな手を使ったんだ?」

 

 ロンは追及の手を緩めようとはしない。

 

「別段、違法行為などは行って居ません」

 

 確かに違法行為は行って居ない。強いて言えば帽子への脅迫じみたハッキングだけだ。

 

「ですが、組み分けの際、希望を聞き入れていただける場合もあります。例えば『スリザリンは嫌だ』など」

 

「っ!」

 

 デルフィの発言で、ハリーの心拍数が一気に上昇した。

 明らかに動揺している。

 

「どうされました? 顔色が悪いですが、何か心当たりでも」

 

「べ、別に…」

 

「そうですか」

 

 ハリーは冷や汗を掻きながら、こちらを見ている。

 

 そして、そんなハリーをロンが不思議そうな表情で観察している。

 

「はいはい、この話はここでおしまい。これからは一緒の寮な訳だし、仲良くしましょう」

 

 現状を見かねたハーマイオニーが軽く手を叩きながら、仲裁にはいる。

 

「ま…まぁそうだな…」

 

 ロンとハリーは少し納得いかない表情だが、仕方なさそうに席に着く。

 

 その時、教壇の方から、甲高い金属音が響き渡る。

 

 教員席の中央で校長が、金属製のゴブレットをスプーンで叩いている。

 

「皆寮も決まって話をしたいのも分かるが、少しこの老いぼれの話しを聞いてくれぬか。新入生の為に自己紹介じゃ、ワシは『アルバス・ダンブルドア』じゃ。本名はもうちょっとばかし長いのじゃが、不便でのぉ」

 

 そう言うと、ダンブルドアはゆっくりと立ち上がった。

 

 その後は、当たり障りのない簡単な自己紹介と学校使用における校則、設備管理要項そして、進入禁止エリアの説明だった。

 

「さて、以上でワシの長い話も仕舞いじゃ。明日から授業が始まるでの、今日はゆっくり休んでくれ」

 

 そう言うと、入学式は終了し、数名の生徒が立ち上がった。

 

 どうやら、各寮の監督生のようだ。

 

 

 

  私達は監督生の引率に従い、寮へと移動した。

 

 各寮の談話室には、それぞれ決められた合言葉があるようだ。

 

 しかし、合言葉とは、なんとも脆弱なセキュリティだろう。

 

 合言葉は定期的に変更されるとは言え、外部の人物が把握すれば侵入が可能という事だ。

 

 生体認証などを導入した方が良いだろうに。

 

 

 寮に入った後、部屋分けが行われた。

 

 デルフィの強い希望もあって、私達は同室になった。

 

 そして、人数の都合上あと一人同居人が必要となった。

 

 そんな時、ハーマイオニーが名乗りを上げた。

 

 こうして、私達3人は同室へと振り分けられた。

 

 部屋に入ると、狭い空間に簡素なベットが3つ置かれているだけだった。

 

「ちょっと狭そうね。でも仕方ないわね。他の部屋だと、5人とか6人とかになっちゃうし」

 

「そうですね。3人で生活する分には問題ないでしょう」

 

 部屋の一角にはハーマイオニーのだと思われる大荷物が置かれている。

 

「ねぇ、貴女達、荷物はどうしたの?」

 

「すでに持ち込んであります」

 

 私は空中に手を差し出すと、ベクタートラップ内から1冊の本を取り出す。

 

「え? 何それ? どうなってるの?」

 

「秘密です。それより早く寝た方が良いのでは?」

 

 デルフィはそう言うと、すでにベットメイキングを完了させていた。

 

「早いわね。まぁ確かに眠くなってきちゃった…」

 

「その様ですね。そろそろ寝た方が良いでしょう」

 

「えぇ、荷物の片付けは明日やるわ…お休み…」

 

「「おやすみなさい、ハーマイオニー」」

 

 私達は、同時に発言すると、室内のライトを切る。

 

  それと同時に、デルフィに通信を繋ぐ

 

『睡眠状態を確認。簡単には起きないでしょう』

 

『その様ですね。では早速始めましょう』

 

 私達はベクタートラップから、ステルスシステムを搭載した数百を超える小型ドローンを展開させる。

 

 ドローンによる城内の偵察、情報収集、スキャニングによる内部構造の把握をこの一晩で行う予定だ。

 

『それでは、私は書籍データの回収を担当します。デルフィは地形データを』

 

『了解』

 

 私達は、ステルス状態のドローンを小さな窓から一斉に室外へと放出する。

 

 無論このドローンにもこの世界特有の外部からの、不正アクセスに対する抗体ソフトを搭載してある。

 

 私は、50機以上のドローンを図書館内部へと侵入させた。

 

 

 現在、周囲に動体反応などは無い。

 

 その後、ドローンによる書籍データのスキャンが始まる。

 

 送られてきたデータをすでに構築済みのデータベースに納めていく。

 

 図書館全体の半分ほどのスキャンが完了後、ドローンは鉄格子で隔離された区画へと侵入する。

 

 送られてきたデータは、劇薬や法律によって仕様が禁止されている薬物の作成方法などが記されている。

 

 数時間後、全ての書籍データの回収が終わり、私はドローンを帰還させる。

 

 ちなみに、これら全ての情報が、電子化されたデータならば、数十秒で終了しただろう。

 

『スキャン終了、詳細なマップデータの構築が終了しました』

 

『こちらも、書籍データの解析が終了。共有を開始します』

 

 私達の間に、量子化されたデータが微弱な光を放ちながら交差する。

 

 デルフィから送られてきたマップデータは細部に至るまで完璧に作り上げられている。

 

『この城の地下に大規模な空間と微弱な生体反応を検知しました。現状では壁の一部を破壊する以外、進入する方法は無いでしょう』

 

『そうですか。そちらの偵察は後回しにしましょう。進入禁止区域の方はどうなっていましたか?』

 

 デルフィは、別のファイルをホログラムで表示する。

 

『ドローンによる偵察の結果、禁止区域には、3つ首の巨大な犬と思われる生物が鎮座していました。スキャンの結果、大型の生物の体の下に抜け穴の様な物を確認。最深部に中規模なエネルギー反応を検知しました』

 

『エネルギー反応の詳細は?』

 

『残念ながら、この距離でのスキャンではこれ以上のデータは得られませんでした』

 

『了解』

 

 

 

  互いに情報の共有を済ませた私達は、バックグラウンドでデータの整理を行う。

 

 その時、開け放った窓から一筋の光が、暗闇を引き裂いた。

 

 時間を確認すると、すでに日の出の時刻となっていた。

 

 これでは、睡眠(スリープモードへ移行)したところで、すぐに目を覚ます(再起動)事になるだろう。

 

「日の出です……紅茶でも淹れますか?」

 

「持って来てあるのですか?」

 

 デルフィが手を横に広げると、テーブルの上にティーセットが置かれている。

 

「準備は万端です」

 

「ではお願いします」

 

 デルフィは慣れた手付きで、紅茶を入れ始める。

 

 数分後には、部屋の中が紅茶の香りで充満する。

 

「あら…良い香りね…私も1杯頂こうかしら」

 

 紅茶の香りに釣られたのか、眠っていたハーマイオニーが目を覚ました。

 

「おはようございます。お目覚めですね」

 

「紅茶はミルクですか?」

 

「おはよう、二人とも。そうね…ストレートで良いわ」

 

 しばらくすると、2対のカップと1つのカップ、合計3つのティーカップに香り高い紅茶が満たされる。

 

「ティーカップは2人分しか用意していなかったので、申し訳ございません」

 

「良いのよ、私が急にお願いしたんだもの。それにしても美味しいわね。デルフィ貴女良い腕してるわ」

 

「恐縮です」

 

 こうして、人間社会での生活に慣れ始めた私達の学園生活が静かに幕を開けた。

 

 

 

 

 「はぁ…」

 

 最近、溜息が癖になりつつある。

 

 やはり年は取りたくはない。

 

 そんな事を考えながら、ワシはテーブルの上に置かれている、組み分け帽子と対峙している。

 

「さて…もう一度聞こうかの。なぜ彼女、『デルフィ・イーグリット』の組み分けを変更したのじゃ?」

 

「………」

 

「はぁ…だんまり…かのぉ」

 

 先程同様の質問をすでに5回は繰り返しているが、帽子は一向に口を開こうとはしない。

 

「お主が、始めはスリザリンに組み分けしようとした事は分かっておる。しかしその後、お主は不服に思いながらも、グリフィンドールに彼女を組み分けた…そう、イーグリット姉妹を同じ寮に振り分けた。それは一体どういう意図があったのかのぉ」

 

「………」

 

 帽子は一向に答えようとはしない。

 

「はぁ…まだ教えてはくれぬか…いっその事お主の心が読めればのぉ…しかし…それは無理な話じゃろうて…なんせあの――」

 

『………私もそう思っていた………』

 

 帽子は悲しそうに呟く

 

『だが…それはただの思い上がりだった…心を読むことに特化したこの帽子は、決して相手に心を…しかし彼女は…いや、彼女達は違った…』

 

「それは…どういう事じゃ」

 

『言葉の通り、彼女に総てを奪われたと言っても過言ではない。心を覗く筈のこの帽子が…逆に支配されようとはな…』

 

「どういう…」

 

『話は以上だ校長。少し疲れた…寝させてくれ』

 

 帽子は力なく呟くと、ゆっくりと項垂れる。

 

 ワシは、帽子を手に取ると定位置へと置く。

 

 帽子の話が確かならば…彼女は…帽子を操ったと言うのか? 服従の呪文か? はたまた別の…

 

「はぁ…」

 

 疲れを流す様に溜息を吐いたワシは椅子に深く座り込む。

 

「まぁ…しばらくは様子見じゃな…」

 

 思考を破棄する様に、ワシは呟いた。

 

 




まだ、ダンブルドアは余裕を見ています。

まぁ、いつまで持つでしょうね………
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