ハリー・ポッターと終末の魔法使い   作:サーフ

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遂に最終決戦です。



ホグワーツ

 ラプターがブラック邸の上空に到着する頃には、進撃を続けていた混成部隊の動きが止まる。

 

「う…うぅう…」

 

「動きが…止まった?」

 

「攻撃を中止してください!」

 

 マクゴナガルの指示に従い、トムが自衛兵器の軌道を一時停止させる。

 

「うぅ…俺達は…一体何を…」

 

 ハグリッドが頭を抱え呟く。

 

「ハグリッド! ハグリッド!」

 

 ハリーがシールドから飛び出し、ハグリッドに駆け寄る。

 

「ハリー! お前さん! 生きてたのか!!」

 

「うん! ハグリッドも正気に戻ったんだね」

 

 ハグリッドは駆け寄って来たハリーを抱きしめる。

 

「すまなかったな…お前さんを見捨てて…俺は…ダンブルドアに…」

 

「気にしないで良いよ」

 

「すまねぇな…さっきまでの記憶が無くてな…」

 

「恐らく、服従の呪文だろう。さっきのオービタルフレームから発生していたからな」

 

「なるほど…だから服従の呪文が解けたのね」

 

 コックピット内部でハーマイオニーは数回頷く。

 

「おのれ! ふざけるなよ!!」

 

 瓦礫を掻き分け、ロンがハンドガンを片手に立ち上がる。

 

「ロン…」

 

「君達裏切り者のせいでダンブルドアの計画が台無しだ!!」

 

「ロン…もうやめるんだ。ダンブルドアは間違って居たんだ」

 

「間違う? ダンブルドアが? そんな訳無いだろう!!」

 

 ロンは激昂し、ハンドガンをハリーに向ける。

 

「ロン! やめろ!!」

 

「五月蠅い! 僕に命令するな!!」

 

 ロンは感情のまま引き金を引き、銃声が響き渡る。

 

 銃声が響き渡った後は、静寂が支配した。

 

 ロンが発射した弾丸はハリーを庇う様に抱きかかえたハグリッドの背中に命中する。

 

「ハグリッド!!」

 

「クソ! ハグリッドまでダンブルドアを裏切るのか! ふざけるな!!」

 

 ロンは引き金を引き続ける。

 

 その度放たれた弾丸はハグリッドの背中に命中する。

 

「ハグリッド! ロン! やめてくれ!!」

 

「うおぉぉおおぉぉお!!」

 

 ロンは銃倉の中身を全て打ち尽くし、ハンドガンから虚しい金音を響かせる。

 

 ハグリッドは膝を付く事無く、ハリーを護る盾となっている。

 

「クソ!」

 

 激昂したロンは杖を振り上げる。

 

「アバダケダブラ!!」

 

 ロンの杖から緑色の閃光が迸る。

 

「おっと、そこまでだ」

 

 緑色の閃光をラプターの腕部が防ぐ。

 

「なにぃ!!」

 

 ロンが数歩後退ると同時に、ラプターのコックピットが開く。

 

「エクスペリアームズ!!」

 

 ハーマイオニーが杖を振り、赤い閃光がロンに直撃する。

 

「うぉ!」

 

 赤い閃光が直撃したロンは吹き飛ばされる。

 

「ぐぅ!」

 

 ハグリッドは唸り声をあげ、その場に膝を付く。

 

「ハグリッド!」

 

「大丈夫?」

 

「あぁ…この程度、ドラゴンの世話に比べりゃ…なんてことはねぇ」

 

 ハグリッドは脂汗を浮かべながら微笑む。

 

「死の呪文から護ってくれたな。お前さんにも感謝するよ」

 

「フン」

 

 トムは詰まらなそうに呟く。

 

「じっとしてください、今治療します」

 

 マダムポンフリーがハグリッドの治療を開始した。

 

「そうだ。そう言えば、あの2人が居ないな」

 

「あの2人?」

 

「イーグリット姉妹だ」

 

「あの2人ですか? ホグワーツに向かいましたが…」

 

「そりゃ…ちとまずいかもしれないですね…」

 

「どう言う事です?」

 

「今、ホグワーツにはダンブルドアですが…周辺には強力なゴーレムが腐る程いて…」

 

「それに関しては…大丈夫だと思うのですが…」

 

 マクゴナガルが苦笑する。

 

「でも…心配ではありますね…」

 

 ハーマイオニーがコックピット内部に戻り、呟く。

 

「それなら、ホグワーツへ攻め込むか?」

 

「え?」

 

「この機体なら10分程度で着くだろう」

 

「でも…」

 

 ハーマイオニーが口籠る。

 

「行きなさい」

 

「え?」

 

 マクゴナガルがラプターを見据える。

 

「グレンジャー。貴女が行きたいと思うなら、それに従いなさい」

 

「でも、もしかしたらまた敵が…」

 

「その時は、私達が何とかするさ」

 

 スネイプとシリウス、ルーピンが杖を構える。

 

「だから、私達の事は気にせず、行きなさい」

 

「マクゴナガル先生…」

 

 ハーマイオニーは数回深呼吸をする。

 

「分かりました! 行ってきます!」

 

「了解。ラプター起動」

 

 ラプターのスラスターが起動する。

 

「トム・リドル!」

 

 マクゴナガルがラプターに声を掛ける。

 

「彼女の事…任せましたよ」

 

「あぁ」

 

 トムはそう答えると、ラプターは宙高く飛び上がった。

 

 

 

 ホグズミード村周辺の防衛部隊との戦闘を開始してから数十分。

 

 既に敵部隊は壊滅状態となり、残骸となったラプターが地面に散乱していた。

 

 これにより作戦を次の段階へと移行する。

 

 ホグワーツへ移動を開始しようとした時、所属不明のラプターが接近する。

 

 デルフィがウアスロッドを構えると、ラプターは急に動きを止めた。

 

『待って、私達よ』

 

『攻撃は止めてくれ。君達の攻撃じゃ流石に防げない』

 

 どうやら、所属不明のラプターにはハーマイオニーが搭乗している様だ。

 

『心配になってきちゃったわ』

 

『危険です』

 

『分かってるわ。でも…』

 

『まぁ、少しは気持ちを汲んでやってくれ。それに、ここまで来たんだ、今更戻れないだろう』

 

『了解』

 

『先行し敵戦力を排除します』

 

『わかったわ』

 

 私達はホグズミード村を後にホグワーツへ進撃を開始した。

 

 ホグワーツ周辺に接近する。

 

 しかし、依然として敵影は確認できない。

 

『おかしいな…』

 

『不気味なほど…静かね…』

 

 周辺の索敵レベルを上げるが、熱源、及びオービタルフレームの反応は無い。

 

『あれ見て!』

 

 ラプターがホグワーツの正門前を示す。

 

 そこには、白いローブを羽織ったダンブルドアが立っていた。

 

『ダンブルドア…だと…』

 

『なんでこんな所に居るのかしら…』

 

 私達は武装を整え、正門前に接近する。

 

「ようこそ我が城へ。良く来たのぉ」

 

 両手を広げたダンブルドアは緩やかに一礼をする。

 

「どうじゃ? ゆっくりとお茶でも飲みながら話さぬか? ん?」

 

『どういうつもりだ…』

 

『罠の可能性があります』

 

『えぇ…でも、行くしかないわね』

 

 ラプターが正門前に着陸すると、ハーマイオニーはコックピットを開ける。

 

「おぉ、ハーマイオニーか。君もついて来ているとは思わなかったよ」

 

 ラプターの手の平に乗り移ると、そのまま地面に降りる。

 

「ダンブルドア…先生。どういうつもりですか! なんでこんなバカげたことを!」

 

「まぁ、その事についてはゆっくりと話そう。さぁ、中に入るのじゃ。お主達もな」

 

 私達はジェフティとアヌビスをベクタートラップ内に収納し、ハーマイオニーの隣に着地した。

 

「さて、こっちじゃ」

 

 ダンブルドアは踵を返し、ホグワーツに入って行った。

 

「私達も行きましょう」

 

「了解」

 

 ハーマイオニーはラプターに振り返る。

 

『安心しろ。ナノマシンで会話はできる。僕はここに居るさ』

 

『わかったわ』

 

 ハーマイオニーは一呼吸置いた後、歩みを始めた。

 

 

 ホグワーツ内部は、朽ち果てており、生活感が無かった。

 

 屋敷しもべ妖精の反応も無い。

 

「この作戦で、多くの者は戦艦に乗って出撃した。まぁ、お主達が居るという事は皆帰らぬものとなったのじゃろうな…フッ」

 

 暗い廊下を歩きながら、ダンブルドアは口を開く。

 

「貴方と言う人は…なんでそんなに…他人事のように言えるのですか! 貴方の指示のせいで多くの人が…」

 

「ワシは皆を信じた。彼等もワシを信じてくれた。じゃが、それは互いに間違えた相手を信じてしまったのじゃろうな」

 

 ダンブルドアは呟くと、大広間の扉を開ける。

 

「さぁ、入るが良い」

 

「くッ…」

 

 苦虫を嚙み潰したような表情でダンブルドアを睨みながら、ハーマイオニーは勧められるがまま入室した。

 

 大広間の中心には、巨大なエネルギーラインの走る主柱がホグワーツの内部を突き抜けており、その前にコントロールデバイスと思われる玉座が存在した。

 

「ふぅ…」

 

 ダンブルドアは溜息を吐き、玉座に座る。

 

 それと同時に、主柱に赤色のエネルギーラインが走る。

 

 ダンブルドアを中心に小規模なエネルギー反応を確認する。

 

「さて…では何から話そうか…」

 

「最初も言いました! こんなバカげた戦争は止めてください!」

 

 ハーマイオニーは声を荒らげる。

 

「バカげた…か。君は本当にそう考えているのか?」

 

 ダンブルドアは鋭い視線でハーマイオニーを睨み付ける。

 

「君は…マグル出身だが、その魔法の力はとても素晴らしいものと思う。とても希少な存在じゃ」

 

 玉座に座りながら、ダンブルドアは顎に手をやる。

 

「しかし、マグル達から魔法使いが生まれる確率はかなり低い。まぁ、逆に魔法使い同士でも魔法が使えぬものが生まれる事があるが、それは稀じゃ」

 

「それが…何の関係があるんですか?」

 

「まだ分からぬのか? ワシが言いたいのは、魔法使いと言う存在は選ばれた存在なのだよ! そこに純血も混血も穢れた血も関係ない!」

 

「選ばれた…存在?」

 

「そうじゃ。この世界に多く生息するマグル共は火をつける事も、物を浮かす事も、人を殺す事も、総てに労力を掛ける。しかし、ワシ達魔法使いは総てが杖1つで事足りる。なのに奴等は、魔法使いに敬意を払いもしなければ恥じる事も無く、堂々とこの世を支配している」

 

「支配?」

 

「そうじゃ。そんな大した力も能力も無い無能共がこの世界を支配し、あまつさえ、ワシ達選ばれたる魔法使いを迫害している!!」

 

 ダンブルドアは声を荒らげ、髪を振り乱す。

 

「ワシはこんなおかしな世の中を正さなければならない!! その為にはマグル共をワシ達魔法使いが管理するのだ!!」

 

「マグルを管理なんて…人は! 人間は! 管理されるものでは無いわ!! 家畜とは違うのよ!!」

 

「所詮マグルのような力無き無能な存在は! 家畜と何ら変わらん!!」

 

「そんなの間違ってるわ!!」

 

「否! 間違ってなどおらぬ!! 所詮奴等は暴力で支配する事しかしない! 家畜と何ら変わらんではないか!!」

 

「それは偏見だわ!」

 

「偏見では無く真実じゃ!! マグル共はワシの指揮の下で魔法使いに管理されるのじゃ!」

 

「馬鹿げてるわ! そんな事…出来る訳がない!」

 

「確かにこの世に蔓延るマグル共を完全に支配するのは難しいだろう。そこでワシは一つの作戦を思いついた」

 

「作戦?」

 

「そうじゃ! これがその作戦じゃ!!」

 

 ダンブルドアは立ち上がり両手を広げると、周囲の床から筒状のメタトロン製カプセルがいくつも現れる。

 

 それと同時に、主柱に高エネルギー反応が走り、エネルギーラインから、光が溢れ出す。

 

 カプセルの中には魔法使いが培養液の中に浮かんでいた。

 

 その中には、ホグワーツの生徒や、教職員。ロンの家族の姿も有った。

 

「これは一体…」

 

「生体反応は微弱です。恐らくもう長くは無いかと」

 

「全員…」

 

「全員です」

 

「彼等は決戦連合艦隊を維持する為の魔力の供給源じゃ。ワシの理想を叶えてくれる為に自ら進んでその命を差し出してくれたのじゃ。まぁ…多少はワシが背中を押したがのぉ…まぁ、今となっては搾りカスみたいなものじゃ」

 

「一体…彼等は何の為に! それにロンの家族だって…」

 

「ロンの家族か…ロンは優秀じゃぞぉ。自ら進んで家族を差し出してくれた。褒美として艦隊司令官の任に付かせてやったが…ワシの見立て違いか」

 

 ダンブルドアは詰まらなそうに呟く。

 

「さて。本題に戻ろう。ワシはこの主柱に…ホグワーツ城にありとあらゆる霊脈や地脈を結合させたのじゃよ」

 

「一体…何の為に…」

 

「分からぬか? この地は、大昔から魔法使いや魔法動物が生き、そして死んでいった場所じゃ。それだけ多くの血が流れており、その血を全て吸って来た。魔力の源とも呼んで良い血をな」

 

 ダンブルドアは不敵な笑みを浮かべる。

 

「そんな土地の膨大な魔力を霊脈や地脈に流せば…どうなると思う?」

 

「どうって…」

 

「恐らく、エネルギーの暴走が起こり、各地で一斉に噴火や地震などと言った自然災害が多発するでしょう」

 

「その結果、経済は破綻し、環境汚染により食糧難に陥ります。最悪の場合、人類は死滅します」

 

「そうじゃっ! その通りじゃ! 流石はお主達じゃ、その賢さだけは評価に値する。グリフィンドールに10点あげようッ!!」

 

 ダンブルドアは心底嬉しそうに高笑いしている。

 

「そんな! そんな事をしたら魔法界だって被災するわ! そうしたら…イギリスだけじゃ無いわ! 全世界の人間が…」

 

「それがどうしたというのじゃ! まずは手始めに全人類を滅ぼしてやろう!」

 

 ダンブルドアが杖を振ると、複数のカプセルが地面へと吸い込まれて行く。

 

 次の瞬間、周辺に大規模なエネルギーの収縮を確認した。

 

「一つ言い忘れておったわ。彼等の亡骸じゃがな。意外と有用性があってな。多少ながらも残った魔力はメタトロンと良く結合してな。いい起爆剤となった様じゃ」

 

 周囲で小規模な爆発が頻発する。

 

「先程の爆発によりダンブルドアの背後の主柱より地中へのエネルギーの流出を確認」

 

「さて、これで準備は整った。後は少し時間が経てば…すれば、全ての霊力が一斉に各地に流れるじゃろう。さすればこの世はワシの物じゃ!!」

 

「そんな事…させないわ!」

 

 ハーマイオニーは銃を手に取ると、引き金を引く。

 

 数発の銃声が鳴り響き、ダンブルドアに弾丸が迫る。

 

「無駄じゃよ」

 

 弾丸を遮る様に、エネルギーフィールドが発生する。

 

「なに!」

 

「いかにも野蛮な穢れた血の考え方じゃな! この程度では計画を止める事など出来んよ!」

 

 ダンブルドアの背後に。2枚の花弁状の装甲に身を包んだ純白のオービタルフレームが姿を現した。




さて、世界が崩壊する準備は整いました。

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