私は全て仕事です。
眼前に現れたオービタルフレームを目の前にハーマイオニーは数歩後退る。
「なんで、オービタルフレームが!」
「恐らく、ベクタートラップ内に隠匿されていたものと思われます」
「データ参照終了。対象機体。ハトールと推定。現在はチャイルド形態です」
ハトール。
別名イシスの片割れとも呼ばれる、オービタルフレーム。
現在はチャイルド形態と呼ばれる手足が拘束・収納され、下半身が花弁に包まれたような状態。
「さぁ! もう一度思い出して貰おうか…この魔法の力を!」
複数本の触手の様なワイヤーがダンブルドアの体を包むと、ハトールのコックピットへと収納される。
ダンブルドアの収納後、ハトールがバーニアを起動し、浮上する。
「きゃぁ!」
浮上の衝撃により、ホグワーツ内部が大きく揺れ、城全体が崩落を開始する。
「ちと派手すぎたな。手を貸してやろう」
ハーマイオニーが立っていた床が触手状のワイヤーによって持ち上げられる。
「なに? なんなの?」
突然の出来事にハーマイオニーは混乱し、その場に座り込む。
その間に、持ち上げられた床ごと、ハーマイオニーがハトールに接近していく。
「救出します」
私は、バーニアを起動する。
その時。
「動くな!」
ダンブルドアの声が響き渡り、ハーマイオニーにハトールの装甲が変化したブレードが付きつけられる。
「下手に動けば、穢れた血が流れることになるぞ」
ダンブルドアの嘲笑うような声が響き渡る。
「い…いや…」
持ち上げられた床の上でハーマイオニーは怯えている。
「そう怯える事は無いじゃろうて」
ハーマイオニーにブレードを突き付けながら、ダンブルドアは含み笑いをする。
その間にハトールは完全に浮上し、高度500mに到達していた。
「どうじゃ? この高さじゃ。怖かろう?」
「一体、何が目的なの…」
「人質じゃよ。彼女達が居ては計画が無駄になってしまうかもしれんのでな」
「え? きゃぁ!!」
次の瞬間、ハトールの前面から8本のホーミングレーザーが私達に向け照射される。
「シールド展開」
シールドにより、ハトールの攻撃を防ぐと、ダンブルドアは溜息を吐く。
「まったく。ワシは動くなと言ったはずじゃが…お主達は言う事を聞かぬなぁ」
ハーマイオニーが居る床を固定するワイヤーが若干揺れる。
「きゃぁあ!!」
「ほれほれ、これ以上下手に動けば彼女は落ちるぞ。結界を解除するのじゃ」
「「シールド解除」」
「2人とも!!」
ダンブルドアの要求を承諾し、シールドを解除する。
「そうじゃ、それでよい。さて、ちとばかし本気を出すかの」
ハトールのエネルギー量が急上昇し、ハトールの四肢から翼状のジェネレーターが開放された。
リミッター解除形態と推測される。
「さて、お主達はどれだけ耐えられるかな?」
ハトールが右手を構え、バーストショットチャージする。
「くらえ」
ハトールが発射したバーストショットが私達に直撃する。
「エイダ!! デルフィ!!」
「ダメージ確認」
「装甲損傷率13%」
「ふむ…意外と耐えるではないか。さて、次を試すかのぉ」
ハトールが手を振り上げると、ホグワーツ周辺に201機のラプターが集結する。
「流石にこの数を操るのはちとキツイのぉ」
「まさか…これ全部操っているの…」
「そうじゃ。ワシに掛かればラプターを200機操るのは容易い!」
恐らく、ハトールに搭載されたマスコントロールシステムにより、ラプターの制御を可能にしているのだろう。
「さて、一斉攻撃じゃ」
ハトールが腕を振り下ろすと、200機のラプターから一斉にエネルギーショットが迫り来る
そのすべてが私達に直撃する。
30秒ほどすると、ハトールが手を振り上げ、ラプターの掃射が止む。
私達の周囲の瓦礫と土煙が晴れると、デルフィの体から火花が飛び散り、損傷を確認する。
「装甲損傷率48%」
「痛いです」
「ほほほぉ! これにも耐えるというのか! ではコイツで止めじゃ!!」
イドロの脚部に搭載された左右の翼状ジェネレーターが展開し、ジェネレーターの間にエネルギー粒子が収束する。
「敵オービタルフレーム、バーストトランスを確認」
バーストトランス。
オービタルフレームに搭載された、対拠点、対要塞用の高出力の粒子砲。
記録によれば、軌道エレベーターの末端であり、遠心力で支えるアンカーステーションの岩塊を掠めただけで吹き飛ばす出力を持っているという。
「さぁ! 吹き飛ばしてやるわ!」
「止めて! お願い!」
「できんなぁ! さぁ、ハーマイオニーよ、そこで大人しく見ておるが良い!! こやつらが死ぬところをなぁ!!」
ハーマイオニーが声を荒らげ、ダンブルドアは高笑いをしている。
「そんな事はさせないわ!!」
ハーマイオニーが走り出し床から飛び降りる。
「なにっ!」
500mの高さから飛び出したハーマイオニーは重力に従い、地面へと吸い込まれて行く。
「馬鹿な! このままではっ!」
ダンブルドアは声を荒らげ、事の行く末を見据える。
自由落下を続けるハーマイオニーにラプターの軍勢から1機のラプターが急接近する。
「トム!!」
「任せろ!!」
トムが搭載されたラプターが落下中のハーマイオニーを空中で回収する。
「全く…君って奴は危ない事をするな」
「危険な賭けは嫌いじゃないの、それに、貴方が来てくれるって信じてたわ」
「そうかい………ま、まぁ、まだフェリックス・フェリシスの効果中だったんだろう」
「そう言う事にしておいてあげるわ」
「収納するぞ」
トムは手の平のハーマイオニーをコックピット内部に収納する。
「おのれぇぇえええええ!! トムリドルぅうぅううぅ!! この死にぞこないがァァア! 奴を撃ち落とせ!!!」
ダンブルドアが声を荒らげると、200機のラプターが一斉にトムにエネルギーショットを放つ。
「こりゃマズイ!」
「回避行動!!」
ラプターが高速で回避行動を取り、エネルギーショットを回避するが、総てを回避するのは不可能であり、多数の被弾を確認する。
「ぐぉ!」
「トム!」
「機体…損傷率…80%…左腕損傷…まだ行けるさ!!」
「まだ来るわ!!」
「さぁ! トムリドルを撃ちおと、ぐぉおお!!」
私達はハトールと周辺を飛び交うラプター全てを標的に納め、レーザーランスと、ハウンドスピアを乱射する。
発射されたレーザーランスとハウンドスピアは、次々とラプターの胴体部を貫通し破壊する。
「敵、ラプター部隊。半数に損害を与えました」
「ハトールの損傷は軽微」
「おのれ! 死にぞこないがぁ!!」
ハトールがフルチャージのバーストランスをこちらに向け発射する。
「「ベクタートラップ開放」」
「オービタルフレーム。ジェフティ」
「オービタルフレーム。アヌビス」
「「起動」」
「「シールド、最大出力」」
ジェフティとアヌビスが同時に最大出力のシールドを展開する。
最大出力で展開された2機のシールドにより、ハトールのバーストトランスを防ぎ切る。
「お…おのれぇ!!」
「反撃開始です」
「了解」
2機のOFが同時に飛び上がり、ハトールに急接近する。
「くそぉ!!」
ダンブルドアは声を荒らげ、ハトールのシールドを展開する。
しかし、私達はハトールを通り過ぎ、トムの追撃を行っている、ラプターの一団に接近する。
「援護します」
アヌビスのハウンドスピアでラプターを一掃後、ジェフティでトムを回収する。
「ご無事ですか?」
「これが…無事に見えるか? 君も冗談を言うんだな…」
既にトムは全身に複数のエネルギーショットが被弾しており、機体損傷率も90%を超えていた。
「トム! しっかりして!」
「この程度…なんてことは無いさ。ただ少し疲れた」
「トム!」
「僕は問題無いさ…それより、ダンブルドアを…奴を止めるんだ」
「そうよ…ダンブルドアを止めないと! 二人とも…お願い!」
「了解しました」
「作戦を開始します」
損傷状態のトムを戦闘エリアの外に移動させ、私達はラプターを率いるハトールと対峙する。
「行け! 奴等を倒すのじゃ!」
残存したラプターがハトールの前面に集結し陣形を組み、一斉にエネルギーショットを発射した。
「突撃します」
「行きます」
私達はシールドを展開し、エネルギーショットの弾幕に突っ込む。
シールドでエネルギーショットを防ぎつつ、敵部隊と交差する瞬間に、アヌビスはウアスロッドで、ジェフティはブレードで敵部隊に損害を与える。
「なんじゃと!」
「敵残存戦力残り20%」
「とっとと片付けましょう」
残った数少ないラプターに対し、ジェフティのホーミングミサイルを発射する。
発射されたホーミングミサイルは的確にラプターの装甲を貫き、撃墜する。
「お…おのれぇ!」
「敵部隊、残りはハトールのみです」
「許さんぞ!!」
ダンブルドアの怒号と共に、ハトールが自らの両腕をブレードに変化させ、急接近する。
急接近後、ハトールは両腕を振り上げ、ブレードによる攻撃を行う。
「回避します」
攻撃予測を行い、ブレードの間合いを回避する。
「攻撃に移行します」
ハトールの攻撃を回避した後、ジェフティはブレードを振り上げる。
「ふん!!」
ハトールは両腕を交差させ、ジェフティのブレードを受け止める。
ブレード同士が、反発し、火花が散る。
「援護します」
アヌビスがハトールの背後に回り込み、ウアスロッドを横に薙ぐ。
「その程度!!」
ウアスロッドがハトールに直撃する瞬間、ハトールが姿を消した。
「空間湾曲検知」
「そこじゃあ!!」
次の瞬間、ハトールはアヌビスの背後から出現し、ブレードを振り下ろす。
「防衛行動」
アヌビスに搭載されたウィスプが防衛形態を取り、ハトールの攻撃を防ぐ。
「良く防いだ! じゃがこれならどうじゃ!!」
ハトールは姿を消すと、別の場所へ瞬間移動をし、再び姿を現す。
ダンブルドアは高笑いを浮かべながら、その行動を数回繰り返す。
「どうじゃ! 怖かろう!!」
「分析完了。敵オービタルフレームは自機をベクタートラップ内に収納する事で、姿を消し、高速移動を可能としているようです」
「疑似的なゼロシフトの様な物です」
「フハハハハハ!!」
ハトールは姿を消す。
「空間湾曲検知」
「出現位置予測完了」
「攻撃開始」
私は、ハトールの出現位置を予測し、ジェフティのバーストショットを発射する。
「フハハハハッ! なにぃ!!」
ハトールは出現と同時に、バーストショットの直撃を受け、体勢を崩す。
「お…おのれぇ!!」
「今です」
アヌビスが体勢を崩したハトールにゼロシフトで詰め寄ると、ウアスロッドによる近接攻撃を行う。
「ぐぉ!!」
アヌビスの攻撃により、吹き飛ばされたハトールはジェフティの方角へと吹き飛ばされる。
「ま…まずい!!」
ハトールがスラスターで姿勢制御を行うが、既にジェフティの間合いに入っている。
ジェフティはバーストモードへ移行し、そのまま、機体を一回転させるようにブレードを横に薙ぐ、バースト切りを行う。
「ぐおぉおぉおあぁぉあおお!!」
ジェフティの攻撃により、脚部が破損し、ハトールの翼状のジェネレーターが飛び散る。
ジェネレーターの損傷により、推力を失ったハトールは墜落していく。
「動け! えぇえい!! なぜ動かぬ!!」
ダンブルドアの虚しい声が響き渡る中、ハトールは瓦礫と化したホグワーツに飲み込まれた。
私とデルフィは、ベクタートラップ内にジェフティとアヌビスを収納後、ホグワーツへ着地する。
瓦礫と化したホグワーツ内部において、ハトールが蠢いていた。
「お…おのれぇ…」
翼の折れたハトールはホグワーツの瓦礫を這う様に掻き分けながら、玉座にたどり着く。
「ワシは…ワシはまだ!!」
「そこまでです」
「投降してください」
私達は武装を整えダンブルドアに投降を呼びかける。
「ふ…フハハ…まだじゃ! まだ終わってない!」
ハトールは最後の力を振り絞り、主柱にしがみ付く。
しがみ付いたハトールが主柱に吸い込まれる。
すると、主柱に大規模なエネルギー反応が収束し、地震と共に、周辺のエネルギーレベルが危険域に突入する。
「アーハハハハハ!! ワシの勝ちじゃ! これでこの
両手は主柱に固定されたまま、前傾姿勢で上半身だけが出たハトールからダンブルドアの笑い声が木霊する。
その間もエネルギーレベルが上昇し、地中へのエネルギーの流出が続く。
「エネルギーレベル計算完了」
「早急に主柱を破壊する必要があります」
「破壊じゃとぉお! 出来るもならやってみろぉお!!」
ハトールが上半身を捻ると、主柱を護る様に、フィールド状の高エネルギーが流出する。
高エネルギーは幾重にも重なり、空間圧縮と空間湾曲、次元断層、高修復能力を有している。
「敵エネルギーフィールドの分析完了。現在のアヌビスに搭載されている武装での突破は不可能」
「ベクターキャノンを使用します」
私は本日3度目となるベクターキャノンモードへ移行する。
「ベクターキャノンモードヘ移行」
両手を上に上げると、私の周辺の空間が歪み、オービタルフレームの時と同じ大きさの、巨大な砲身が出現する。
それを私は受け止めると、両腕を通す。
「アハハハハハハハハ!!!」
ダンブルドアの笑い声が周囲に木霊する。
「エネルギーライン、全段直結」
ベクターキャノンの砲身と私のエネルギーラインを直結させる。
それにより、全身と砲身自体にも青白いエネルギーラインが走り出す。
エネルギーラインの直結により、砲身の前面に6個のアンプが浮遊する。
「ランディングギア、アイゼン、ロック」
衝撃に備え、脚部を固定する為に、赤い色のアイゼンを地面に打ち込む。
「チャンバー内、正常加圧中」
エネルギーがチャンバー内に集約される。
それに伴い、アンプにもエネルギーが供給され始め、緩やかに回転を開始する。
エネルギー供給ラインが上昇を開始する。
「ライフリング回転開始」
エネルギーの供給が終了後、アンプが高速で回転し、ライフリングを形成する。
回転速度も上昇し、安定期に入る。
「撃てます」
ベクターキャノン発射準備完了。
「発射」
トリガーを引き、ベクターキャノンを発射する。
ベクターキャノンより、高エネルギーの濁流が放たれる。
濁流は、主柱を飲み込む。
周囲はベクターキャノンの発射音に包まれる。
「ベクターキャノンモード解除」
ベクターキャノンモードを解除する。
眼前には、大量の土煙が上がっている。
数秒後、土煙が晴れる。
そこには、無傷の主柱と、エネルギーフィールドが存在した。
「アーッハハハハッハア!!! 無駄じゃ! 無駄無駄無駄ッ!!」
ダンブルドアは狂ったように笑い声を上げる。
「分析完了。現行、ジェフティにはシールドを突破する武装は存在しません」
シールドの分析進めるが、防御が薄くなっている場所などは存在しない。
ダンブルドアは狂ったような高笑いを繰り返す。
「どうしたぁ? もう手詰まりか!!」
ダンブルドアの声だけが木霊する。
現状、ジェフティもアヌビスも単独ではシールドを突破する事は出来ない。
ベクターキャノンを防ぐシールドを出すのは少し気が引けましたが、まぁ、ラスボスですし多少はね。