グランブルーから地上へ行くのは間違っているだろうか?   作:クウト

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やばい。ほんまに楽しくなってきた。


ベル・クラネル育成計画

「すげーです!!」

 

「あぁ、すごい魔法だったな」

 

目の前が氷に包まれている。

中々な威力の魔法。イシュミール達にも追いつくかもしれない。

 

「レフィーヤ、ありがと!」

 

無乳の方のアマゾネスがレフィーヤに抱きつく。

あーあー。痛そうだなぁ……。

しゃあねぇか。あんまり得意じゃないから使いたくなかったんだが……。

 

「ありがとう、レフィーヤ。リヴェリアみたいだった……すごかったよ」

 

「アイズさん……!」

 

「すごいじゃないレフィーヤ。見直したわ」

 

ワイワイと喜び合っているところに悪いが、ちょっと混ぜてもらうとしよう。

 

「はいはい。その辺にしてやれ、痛そうだろ?」

 

ジョブチェンジ。

セージ。

 

「あんまり使いたくないし、見せたくもないんだがなぁ」

 

今回のこいつらを見た限りでは悪い奴らでもないのだろう。ベート・ローガがしたベル君の件で悪く見過ぎていたのだろうな。そこは反省点だ。だからこそ謝罪含めて今回だけだ。たぶん……。

 

「これから起こることの質問等は、一切!受け付けません」

 

『黒竜の加護』発動。

バハムートソード・フツルスをバハムートスタッフ・フツルスに変化。

 

「え!?武器が変わった!?」

 

「うるさい。ヒールオールⅢ」

 

レフィーヤ含めてこの場にいる全ての人に回復をかける。だが思わぬ効果を発揮してしまった。

 

「あれ?傷が治った?」

 

「それだけじゃないわよ?」

 

「……疲労感が、なくなった?」

 

「なんですかこの魔法は!!」

 

「相変わらずグランの魔法は、加減が効いちゃいねぇです」

 

だから使いたくなかったの!!!

あぁ、俺はジータと違って加減ができないのだ。だから高火力、高威力が出てしまう。逆にジータがベルセルクとかになったら加減が効かず周りの環境が破壊し尽くされる。依頼どころじゃねぇだろうが!!ってなってしまうのだ。

 

「とりあえず!俺はもう祭りに戻って楽しむ!あとは任せるけどいいな!?ほら、クムユ行くよ!!」

 

「は、はいです!!」

 

そう言ってクムユを抱え上げてその場を去ろうとした時。

 

「待ってください!」

 

レフィーヤに止められた。

 

「なんだ?」

 

「あなたの名前、教えてもらえませんか?」

 

「……グランだ。よろしくなレフィーヤ」

 

「はい!よろしくお願いしますグランさん!」

 

今度こそ俺はその場から去ることにする。

 

「ククル姉ちゃん達に報告です」

 

「え?」

 

「なんでもねぇです!おろしやがれです!」

 

なぜ急に不機嫌なんです!?

 

「早く来やがれですグランさん!」

 

「お、おう!」

 

 

 

疲れた。

あれから何故か不機嫌なクムユに連れ回されて姉ちゃん達のお土産を買ったりして、なんとかご機嫌をとったおかげか帰りには笑顔が戻っていた。お兄ちゃん失格になるところだったぜ。

 

「あら?ベル君、傷だらけだね?」

 

「あ、おかえりなさい!」

 

「おかえりグラン君。って!君も服とか穴空いてるじゃないか!!どうかしたのかい?」

 

「うん。ただいま。それとヘスティアちゃん。特になんでもなかったよ」

 

ロキファミリアと共闘したとかあったが、まぁ別にいいだろう。それよりその武器なんだ?特別な感じがするんだが。

 

「あ、これですか!神様が僕に、作って、くれた、みたいで……」

 

ん?ベル君の勢いが無くなったぞ?どうしたどうした?

 

「あの、神様。これ、僕だけなんでしょうか?」

 

「……ハッ!」

 

あぁ、そういう事か。

その武器はヘスティアちゃんがベル君の為に用意したのか。この間の宴の後、帰ってこなかったのはこれが理由か。大方ヘファイストスファミリアにお邪魔していたのだろうな。

 

「気にしなくていいよ?」

 

「え?で、でも」

 

「この際だ。教えておこうか」

 

そこからベル君に少し話をしてみた。

俺が前までいた所ではバハムートシリーズという武器を持っていた事。今はこのバハムートソード・フツルスだけだが、俺のスキルで武器が変化する事。

 

「まぁそんな訳で、俺の武器も特別製なんだ」

 

「それ、すごいじゃないですか!!」

 

「まぁ状況に応じての、使い分けはできるね。それよりベル君?」

 

「なんですか?」

 

「君のそのヘスティア・ナイフは、君と一緒に成長する。そうだね?」

 

「はい。神様がそう言ってました」

 

「大事に、するんだよ?君の成長の証は、その武器と共にあるんだから」

 

「……はい!!」

 

その日、ベル君はヘスティア・ナイフと一緒に寝た。ヘスティアちゃんは嬉しいのか悔しいのかよくわかんなくなったようで不貞寝していた。こいつら面白可愛い。

 

 

 

それから数日後。

この数日の間にベル君はダンジョンの7階層まで進み、更には装備を一新した。そして今日の訓練の時に教えてくれたのは。

 

「獣人のサポーター?」

 

「はい。リリルカ・アーデって子なんですけど」

 

「へぇ。まぁいいんじゃないかな?他のファミリアとのパイプを持つのも悪い事じゃないと思うよ?どこのファミリアの子?」

 

俺もリーシャとかモニカとかと知り合ったし。

てか仲間になったけどさ。

 

「ソーマファミリアです」

 

「あぁ、あの……。ベル君、あげていくよ」

 

「え!?」

 

ガキンッ!!

さっきより強く剣をぶつける。

最近はもう剣で訓練をしているのだ。剣速が上がった事でさっきより顔を歪めながら受け止める。

 

「ふむ。見えるか……」

 

「えっと、どうしたんですか?」

 

「ごめん、今日はここまでにしよう。急用を作った」

 

「作った!?」

 

「ベル君、今日は夕方には帰ってきてね?約束だから」

 

「はい。わかりました」

 

もうちょっとやりたかったとかブツブツと言いながらもベル君はダンジョンに向かう準備を始めたようだ。さて、ちょっと俺も準備をしよう。幸いまだ早朝でだ、時間はたっぷりとある。

 

 

 

お前達姉弟は感覚派だねぇ。

ある人に俺達はそう言われた事がある。今まで色々な人に教わってきて飲み込みは早い。だが、それを教えるとなったら同じ感覚派じゃなければ掴みにくいとも言われた。だから今回の俺は目的の為に本気である。

 

「頭に描き焼き付けろ。短剣を使える仲間達を……。【蒼き空、彼方の絆。結びて繋げ。今ここに求める者との共闘を】」

 

魔力切れはいつもの事だ。だが気にならない。何故なら。

 

「短剣。短剣短剣短剣短剣短剣短剣短剣短剣短剣短剣短剣短剣短剣短剣短剣短剣短剣短剣!!!」

 

「お、おい!どうした!魔力切れでおかしくなったか!?早くこれを飲め!」

 

そう言って半汁を差し出してきたのは

 

「ランちゃん!!」

 

ランスロットだった。

きた!これで我々の勝利だ!!

 

「ランちゃんお願いがあります!!」

 

「久しぶりの再会だというのに、頭など下げないでくれ。グランの頼みなら喜んで聞こう」

 

俺はランスロットに頭を下げる。

それを見てランスロットは焦りながらも顔を上げるように言ってくれた。さらには願いまで聞いてくれるという。俺には出せないイケメン力だ。

 

「実は……」

 

そこから話したのはベル君について。

ほぼ独学で短剣を使っている事。不用意に俺が教えてしまうと変な癖がつくかもしれない。そう思い訓練では無駄な動きをさせないように、身体に戦闘時の動きだけを覚えさせているに留めている事。

 

「なるほど。それで俺はその子に、短剣の使い方を教えればいいんだな?」

 

「頼めるか?」

 

「もちろんだ。俺で良ければ喜んで教えよう」

 

感動した!

これでベル君の教師が一人ついたぞ!!

 

「ランちゃん、ありがとう!ベル君は夕方に帰ってくるから、それまで時間を潰すとしよう」

 

「あぁ、俺も話したい事があったからな」

 

「話したい事?」

 

俺が聞き返すと苦虫を噛んだような顔をしながら切り出した。

 

「まぁ、なんだ。そろそろ頑張って、ナルメア達を呼んであげてくれ」

 

「……そんなに?」

 

「最近はよく、虚空にいるグランに向かって、話しかけている」

 

「……えぇ……」

 

幻覚って事ですか!?

いや、本当にそろそろやばいな。

明日あたり頑張ってみよう。今日はもうこの魔力切れの気持ち悪さを感じたくない。ジータなら後二、三回目は余裕なんだろうな。

ナルメア。俺も呼びたいんだよ?あんなに世話を焼いてくれて悪い気なんて全然起こらないし、むしろ嬉しいぐらいだ。だがこればっかりは今の俺にはどうにもならんし。いっその事ダンジョンで魔法ブッパしまくるか?いやいや、もし階層とかブチ抜いたりしちゃったらって考えると他の冒険者を巻き込むかもしれない。

 

「支援専門なら、魔法を使ってもいいかも、しれないんだけどなぁ」

 

「ステイタスとやらが問題か。しかし、自分の力量が目に見えるというのは、興味深いな」

 

「魔法を使えば、魔力が上がるんだけどね。俺の場合、魔法職になってアビリティ使えばそれでも上がるし。セージにでもなろうかとも思ったんだけど」

 

「グランの場合は、それでも過剰になるか。クムユも言っていたからな。……なら、ナルメア達に手紙でも、書いてみればどうだ?俺からグランの言葉を伝えるよりはいいだろう」

 

「それだぁ!!!ランちゃんどっかの店に便箋買いに行こうぞ!!」

 

ランちゃんはやっぱり頼りになった。

そうして便箋を購入し、適当な喫茶店に入り手紙になんて書こうか悩む俺を、ランスロットは優しくアドバイスしてくれたのだった。

 

 

 

ランスロットに手紙を複数預け教会に向かう。

もうそろそろベル君も帰ってくる事だろう。これから日付けが変わる寸前までなんとかベル君の底上げをする。何故俺がここまで急にベル君の訓練を急ぐのか。それはあの子が今、ソーマファミリアの団員と一緒にいるからだ。

ソーマファミリア。

あいつらを何回か見た事があるが、どいつもこいつも金に執着しているイメージ。この世界で最初に絡んできたゴロツキ共もソーマファミリアだった事がわかっている。あの子は良い意味でも悪い意味でも純粋だ。悪意に晒される時は必ずあるだろう。だからこそ、それに太刀打ちできる力をつけて上げる必要がある。

 

「ただいま戻りました」

 

「おかえりベル君。紹介したい人がいるんだけど、良いかな?」

 

「え?はい。もちろんです。何時ものお仲間ですか?」

 

「そうそう。前からベル君の訓練をしているって話をしていてね。俺なんかより上手く教えてくれるから、今日だけ来てもらったんだ」

 

「え!?そんな!良いんですか!?」

 

驚くベル君。

だがそんな彼にランスロットが声をかける。

 

「君がベル・クラネル君だな?俺はランスロットという。君に少しだけだが、戦い方を教えてほしいと頼まれてな。君さえ良ければだが、どうだ?」

 

「是非!お願いします!!」

 

「あぁ、こちらこそよろしく。時間は有限だ。早速やろうか」

 

ふむ。これなら俺は邪魔だな。

あとはランスロットに任せておいても良いだろう。

 

「ランちゃん。あと頼んでもいい?」

 

「ああ、必ず期待に応えよう」

 

「ベル君も頑張ってね!じゃあまた後で」

 

「はい!ありがとうございますグランさん!」

 

さてと。装備はいいな。

 

「グラン!」

 

ランスロットが声をかけてくる。

 

「気をつけろよ」

 

わかってる。

俺は手を振ってそれに答え歩き出した。

向かう先はダンジョンだ。

 

 

 

ダンジョン12階層。

その中でも入り組んだ所にある広い空間。

探索をしている時に見つけた場所。何故かモンスターも出てこなく、そんな場所だからか冒険者も寄り付かない。

 

「一日中、着いて来やがって。誰だよ」

 

「……気がついていたか」

 

霧の向こうから現れたのは、大剣を背負った獣人。

 

「手合わせを願おうか?ヘスティアファミリアのグラン」

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