グランブルーから地上へ行くのは間違っているだろうか? 作:クウト
あの後、ダンジョンに向かうベル君を見送り、俺はグースカ寝ているヘスティアちゃんを起こす。ステイタスの更新をしてもらう為だ。
「ステイタスの更新?僕まだ眠いんだけど……」
「目を覚ましてあげるから、やってくれない?」
「仕方ないなぁ。……グラン君Lv.2キタァああああ!!!!」
そう言ってヘスティアちゃんは飛び起きた。
その時、各パラメータもオールSSSとかいう規格外だったようだが、まぁこれはいいだろう。普通にレベルを上げてもらうようにステイタスを更新した。
それから騒ぐヘスティアちゃんを黙らして一日中寝た。それが昨日のお話。そして今日、レベルが上がった事もありナルメアを召喚できないか試してみる事にした。手紙にね、書いちゃったからね。すぐに呼ぶからってね。やるしかないね。
「さすがにこれ以上は、副団長としてと、俺自身としても見逃せないからなぁ。ただでさえジータに負担かけすぎてるし」
そう思いながら教会内で詠唱を開始。
だが。
「あ、あれ?前より魔力切れが、酷いような……」
「あれ?グ、グランちゃん?……あぁ!グランちゃん!!」
グランは目の前が真っ暗になった。
目が覚めると目の前にナルメアの顔があった。
近くないですか????
あぁ、気絶したから教会の椅子の上で膝枕ですか?嬉しいです。
「起きた?グランちゃん。もう少し寝ててもいいよ?お姉さんグランちゃんの寝顔見てるの楽しいしそれに疲れたでしょ?ほら、ね?目を瞑って?」
一息で言い切りやがった……!
いや、寝てる間に何してんですかね?
驚くほどに顔が至近距離なんですが?
「起きるよ」
「そう?そっか、残念だけど、仕方ないね」
左手で肩を抑えられる。
右手で頭を撫でられる。
ナルメアの身体が少し前傾姿勢の為、このまま起き上がると顔にアレがアレする。……起こす気ないよね!?
膝に対して身体を横向きで膝枕をするとこんな風に固められるのか。グラン、一つ学んだ。
あ、そういえば。
「あれ?そういえば俺ってまた汁飲んだの?」
「うん。美味しかったね」
「美味しかったね?ありゃ飲み過ぎて、美味しさとか通り越して無条件に、不味い」
味を思い出してしまった。うーん不味い。
「あぁ、そうだね。うん、こっちの話だったかな」
「なにか、やった?」
「んーん。何もやってないよ?普通の事だけ、したかな?」
……なら、いいか。
とりあえず、このままここで寝てても仕方ない。
「ナルメア、どっか行かないか?」
「どこに、いくつもり、なのかな?」
アレェ?何でこんなに闇オーラが強いの?確かに貴女の属性は闇かも知れませんが強過ぎません?
「いや、せっかくナルメアが居るんだし、オラリオの中色々と回らない?」
「え?……それって。うん!行こうグランちゃん!あ、身体大丈夫?お姉さん、起こしてあげよっか?肩貸す?歩ける?」
「大丈夫。やわになったかも知れないけど、そこまで落ちたわけじゃないよ」
そんな訳で街へ繰り出す事にした。
もう上機嫌なナルメアが腕組んできたり、左手が幸せだったりなんか、なんかもう、もっと早く頑張ればよかった。そうして教会から出ようとした時。
「あ!忘れるところだった」
「ん?」
ナルメアは俺から離れてさっきの所まで戻る。
そして持ってきたのは大きな袋。
「グランちゃん手紙にね、すぐに呼ぶって書いてくれたよね?それって望んでお姉さんを呼べたって事でいいのかな?」
「え?まぁうん。そうだね」
「よかったぁ!なら団長ちゃんに、ちょっと無理矢理だったけどアレ、持たせてもらってよかったかなぁ」
アレ?
てか何その袋なに?すごい大きいな。
「はい。団長ちゃんからね」
そう言ってにこやかに差し出してくる袋。
え?受け取りにくいんだけど。
「えっと、中身って聞いていい?」
「え?グランちゃんの武器だよ?リディルとルナティック・ブルーム、無銘金重だけど」
何やてナルメア!!
俺はナルメアから袋を受け取り中身を確認。
確かに武器が揃っていた。ジータ、ありがとう。
「グランちゃんはこの武器じゃないと、Ex2ジョブはできないでしょ?団長ちゃんは使いこなしちゃうけど。だから団長ちゃんは、もしグランちゃんが魔法を自由に使えるようになったら、団員に持たせて渡そうとしてたみたい」
「それを今回は、ナルメアが強行で持ってた訳か」
「うん!グランちゃんが呼んでくれるって、お姉さん信じてたから!」
おぉう。その信頼が少し痛いような気がするのは何故なのか。
話を戻そう。そう、ナルメアが言う通りなのだ。俺はなぜか専用の英雄武器じゃないとEx2ジョブはなかなか上手くいかない。しっくりこないというか、大事な所でミスをしてしまうようになる。何というかマスターできていないといいますかはい。武器があれば別だけどさ。それにしても。
「何処に持とうか……」
「あ……」
「「…………」」
「お姉さんが持っててあげるね!ほら、貸して?」
「いやいや!いくらナルメアでも、この量は重いでしょ?」
「大丈夫だよ!ランスロットから手紙をもらった時から、ずっと肌身離さず持ってるから!!」
「それはそれでどうなのかな!?」
「お姉さん丈夫だから大丈夫だよ!?」
「そう言う問題じゃねぇ!!」
い、何時もよりしつこい!!
てかさぁ!
「ナルメアに持たせてたら、俺の格好がつかないでしょ!?」
「……あ」
パッと離してくれた。
はぁくっそぅ。いわせんな恥ずかしい。
「……そっかぁ。そうだよね。ごめんね?お姉さん察しが悪かったね」
「えっと、ナルメアに頼るのが嫌というわけじゃなくて、と、とにかく!俺が持つ!ありがとうね!!」
女の笑顔が漢のロマンって教わったからね!
それを守る為にも俺がここでナルメアに荷物持たせたら鉄拳制裁もあり得る。とにかく俺は武器を肩から斜めに背負って持つ。はぁ、やっぱりなかなか重いじゃんか。そう思いながらも俺達は今度こそ街に繰り出した。
そうして街に繰り出したわけだが。
「グラン。昨日ぶりだな」
「オメェがなんでいんだよ」
唐突なオッタル。
ナルメアは空気を読んでくれているのか黙ってくれている。だが俺が出している雰囲気で只ならぬ相手だというのはわかってくれているだろう。
「貴様に期待している御人がいてな。これを持たせて来いとの指示を受けた。受け取れ」
そう言って渡されるのは一つの本。
あん?なんだこれ?魔導書かなんか?ジータにやれジータに。
「これを読むだけで魔法を覚える事ができる。活用するといい」
「ありがたくもらうわ」
活用するする。貰えるもんはポケットティッシュでも貰うわ。
「次も、お前との勝負を楽しみにしている」
「ナルメア、こいつが俺をいじめる」
「……そうなんだ。なら、消さないと」
冗談です。
ちょっとふざけてみたらナルメアが蝶となり消え、オッタルの後ろに現れる。その時には既に刀を抜こうとしており。
「ストップ。こいつにお返しするのは俺だから」
「「!?」」
その状態のナルメアの刀を掴み止める。
こうなる事はわかっていた。だが、これでわかっただろう?
「オッタル。改めて言っておく、次は潰す」
「フフッ。ハハハハハ!!いいだろう。ならば俺も研鑽を積む事としよう」
そう言って去っていくオッタル。
その背中を見ながらナルメアが話しかけてくる。
「よかったの?」
「うん。あいつを潰すのは俺だから。それに、次が簡単に終わったら面白くないだろ?」
これは警告だ。
お前の事は聞いているからな。神フレイヤを守り側についている事が多いとか。……ふざけるな。それでさらに強くなれると思うなよ?ダンジョンに潜れ。さらなる強さを掴め。次、お前のその壁は俺には低く、脆すぎるぞ?
「ナルメアが武器持ってきてくれたし。次は斬り落とす」
「頑張ってねグランちゃん!」
任せろぉ!!!
やったるでぇええー!!
オッタルなんか開幕レギンレイヴブッパでワンパンや!
感想で指摘を受けました。
恩恵って自分の力+恩恵になるのね。なら、グランの弱体化はなんだよ?って事だそうで。
後々修正するね。ダンまちにわかでごめんね。
なんだこれは!クソかよ!って思うぐらいならブラウザバックの方がいいよ。
俺は俺で好きにやるから、それでもいいぞって人が楽しんでくれればありがたいです。