グランブルーから地上へ行くのは間違っているだろうか? 作:クウト
完全無欠に異世界だった。
路地裏で頭を抱え絶望に浸っていたがそれで解決するわけも無く、何もしないよりは動いてみようという精神でいく事にする。
だからという訳ではないがまず俺がした行動は
「ジャガ丸くん安いよー!」
アルバイトだ。
いやね?どうかと思ったよ?仮にも騎空団の副団長だったんだ。装備もあるし冒険だー!ってなるのが物語だと俺も思う。けどダンジョンに入るには神様の眷属にならないといけないとかなんとか。安易に行動しすぎていざ戻る時に問題山積み!とかになったらめんどくさいじゃん?
だからこそ!日々の糧を手に入れる為にアルバイトをするのだ。現実的に考えようぜ?な?
「坊主!なかなか大きな声で呼び込むじゃねぇか!」
「おっちゃんの店に悪い印象与える訳にはいきませんしね」
「にしてもいきなり働かせてくれって言われた時は驚いたが助かったよ。バイトが全然来なくてな」
「遅刻とかですか?それは良くないっすねぇ」
現在、気の良さそうなおっちゃんがやってた屋台で働いています。まぁただ働く訳ではない。情報収集も勿論兼ねてだ。
成果はちゃんとある。まず種族。ヒューマンは変わらないがそのほかにエルフ、ドワーフ、アマゾネス、獣人、パルゥムがいることがわかった
普通、綺麗系、筋肉ダルマ、褐色、ケモ耳、小さい。覚えたグラン君偉いからね。あとは神様は一目見れば気配が違うなってわかったしそこはすぐに判断できた。
「おっちゃん!遅れてごめんよ!」
「遅いぞヘスティアちゃんよぉ!いくら神様だからって仕事に遅れるのは良くねぇだろ!!」
「ごめんよぉ!あっちでおじいさんを助けてて遅れたんだよ」
「前もそんなこと言ってたじゃねぇか。はぁ、とにかく気をつけてくれよ?それより新しいバイトだ」
「どもー。グランって言います。短い期間だけですけどお世話になりまーす」
「君は……」
んー。神様とのエンカウントは初めてだからなぁ。どんな反応されることやら。ヤバそうなら速攻トンズラこくか。
「君!グラン君!僕のファミリアに入らないかい!?」
「……は?」
「実は僕のファミリアにはまだ一人しか居なくてね!その子が無茶をしないかとか一人でダンジョンに行かせるのが心配で心配で!!君も居てくれると本当に助かるんだよ!だからどうだい!?」
こ、この神マジか。
遅刻の後に速攻勧誘とかおっちゃんに怒られたばっかりなのによくやるな……。それに勧誘理由がもう一人の眷属が心配だからって。俺はなんとも思わないけど受け取り方によってはそいつの為だけには入れって言ってるようなのもじゃね?まぁその辺はどうでもいいけどさ。
「ヘスティアちゃん?」
笑顔なのに凄みがあるねおっちゃん。
「……は!?お、おっちゃん?これはなんというかそのぉ」
「今日の残りはグラン君にあげる事にするから」
「ごめんよぉおお!!!お願いだから僕にもちょうだいぃいい!」
「やりぃ」
まぁ貰えるもんは貰おう。
だがそれよりも今晩泊まる場所もなんとかしないといけないだろう。
そんなこんなで太陽が落ちていき辺りが暗くなった頃。店じまいもして給金と売れ残りを貰った後、俺はこの辺に安い宿は無いかと聞く。
「宿ねぇ。この通りをまっすぐ行けばあるよ。まあ今日の給金じゃ泊まるぐらいしかできないだろうがなぁ」
「飯はおっちゃんがくれたジャガ丸くんがあるし大丈夫」
「にしても坊主。何かの縁だしどっかファミリアを探せばいいんじゃないか?」
「んー。今の所その辺は考えてないかなぁ。しばらく日銭を稼いで適当に見回ってみるつもりだし」
その間に何か進展があればいいんだが。
おそらくだが俺が眠ってる間にグランサイファー内が騒々しかったのは襲撃とか予測できない何かがあったのかな?アルルメイヤとかマギサ辺りが気がついていても良さそうだが……。まぁ置いておこう。ジータとルリアが俺の部屋に駆け込んだのはそれを知らせにきたか俺自身に何かが起こるのを察知したからか?星晶獣が関わって迷い込んじゃったとか考えていいのかね?ルリアと契約してるのジータだから正直その辺わからん。
「おーい!グランくん!!」
「ん?神様?どうしました?」
「君、お金が必要なんだろう?ならボク達の家に来たらどうだい?」
「ありがたい話しなんですけど何も返せないですよ?そんな立場なのに泊めてもらうのは気が引けます」
無いとは思うが対価に眷属になれなんて言われても困るのだ。ちょっと目を逸らした目の前の神様に俺は結構警戒心を抱いている。
「そ、そんなことしないさ!困ってる人に手を差し伸べるのは神として当たり前だろ?」
目をそらすな目を。
まぁまぁいいじゃないか!と言いながら俺の背中を押し始めた神様。下手に抵抗して話がややこしくなるのも嫌だし一応従うか。いざとなれば逃げる。
「それにしても君は剣を持ってるみたいだけど戦えるのかい?」
「まぁそれなりには」
「なら君を泊める対価は僕の眷属に戦い方を教えてあげてくれないかい?冒険者になったばかりだしボクは心配なんだよ」
「なるほど。それなら俺も役に立てそうですね」
「なら決まりだ!ちなみにボクの眷属はベル君っていうんだけど短剣を使うんだよ。冒険者になった時にボクに装備を見せてくるのが可愛くてね!でも怪我をして帰ってくるのを見て毎回ボクは落ち着かなくてしょうがないんだよ」
神様の長い話を適当に聞き流しながら歩いているとそこには見たことある教会。
「ここがボク達の家だよ!ベールくーん!お客さんだよぉ〜!」
そう言って駆け出した神様は本棚の裏にある階段を駆け下りていった。
え?何それ男の子心くすぐる秘密の部屋への階段?
「ベル君まだ帰って来てないみたいだね。こんな時も心配なんだよ」
「んー。でももうそろそろ帰ってくると思いますよ?」
「え?」
上から足音が聞こえた。
歩幅はそれほど大きくない。子供だろう。
子供がわざわざこんな教会に来る予定もないだろうしおそらくベル君とやらなんだろう。
「神様、帰って来ましたー!ただいまー!」
「おぉ!おかえりベル君!今日はボクらのファミリアにお客さんだよ!!」
「え!?新しい人ですか!?」
「ふふん。その予定だよ!」
その予定いつ決まったんです?
ともかく現れたベル君。白髪にルベライトの瞳。
まだ身体も出来上がっていないように思え神様が言うように心配をしてしまいそう。悪く言えば少頼り無さげに見える。
「初めましてベル君。俺はグラン。旅の途中の何かの縁でここに来たけどまだファミリアに入るつもりはないから予定とやらは忘れてね?」
「え?あ、はい。ベル・クラネルです。よろしくお願いしますグランさん」
「えーいいじゃないかグラン君!グラン君も僕のファミリアに入ろうぜ!」
「はぁ。急だけどしばらく厄介になるよ。対価としては君に剣の稽古を付けることだ。よろしくね?」
「え!?稽古をしてくれるんですか!?よろしくお願いします!!」
「二人してボクを無視しないでおくれよぉ!!!」
その後は次の日からの予定を決めつつ今日は休むことにした。
さてさて、今日は無事とは言えないが終わるみたいだな。これからどうなることやら。最悪ダンジョンに行く事を視野に入れながら眠ることにしたのだった。