グランブルーから地上へ行くのは間違っているだろうか?   作:クウト

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作戦がうまく行く事を願う

何故こうなったのだろうか?

あれよあれよと物事が進み、ベル君が起きるまでアイズが膝枕をする事に。ベル君起きたら驚いて逃げるんだろうなぁ。お礼ぐらい言えたら十分だろうか?……無理なんだろうな。純粋恥ずかしがり屋だからなぁ。

 

「そしてなんで俺はリヴェリアさんと歩いているのだろうか?」

 

「二人の邪魔をするわけにはいかないだろう?」

 

ふむ。それはあれか?

 

「後はお若い二人でという事ですか?」

 

「……なにが、言いたい?」

 

あ、あかんやつや。

 

「いえ、なんでもございませんです!」

 

そうして引き摺られて来たのは摩天楼に向かう通りにある喫茶店。

一応摩天楼でシャワーを浴びたがまずこんな所に連れて来られるとは……。適当に注文をして腹を満たしたら始まった不満の溜まった話。主神はどうとか幹部の子達はどうとかもう話が止まらない。

ていうか、そんなに内部の事話していいのか?

 

「リ、リヴェリアさん?」

 

「ん?あぁ、話しすぎたなすまない」

 

「いや、慣れてるからいいけどさ」

 

うん。慣れてるから。イルザさんとか凄いもん。

優しい人だからこそ心を鬼にするし、その不満が溜まっていくのは仕方ないのだろう。だからこそこうして不満を吐き出す場所は絶対に必要なのだ。

溜まりに溜まりすぎたイルザさんは酷いものだった。二人で酒を飲みながら不満を聞いていたら酔った勢いで襲われかけた。既成事実とかなんとか言っていたがナルメアが駆けつけてくれたのでセーフ。連行されたイルザさんは『エルーンだから仕方なかった』と主張していたとかなんとか言っていたとユエルが言っていた。一体なんだというのか。察したくないものがそこにはあるような気がした為、追求はやめておいた。

ん?今思えばナルメアが来るの異常に早かったんだが。なんで?

 

「そうか、慣れているのか」

 

「えぇ。たぶんそのうち会うでしょうし、機会があれば紹介します」

 

「楽しみにしていよう」

 

そうして緩やかな時間と共に世間話を再開。

ふむ。紅茶もいいが珈琲が飲みたい。

そんな時だった。

 

「うわあぁあああああああああ!!!!!」

 

叫び声といっしょに『白』が駆け抜けた。

 

「ん?まだ夜中だというのに叫びながら走るとは」

 

「うん。ごめんなさい」

 

「何故グランが謝るんだ?」

 

「いや、うん。なんとなくね……」

 

不思議な顔をするリヴェリアさん。

まぁ叫び声だけで判別はつかないだろう。

というか……ベル君。やっぱり逃げたんだね。

 

 

 

リヴェリアさんと別れてホームに戻る。

はぁ、なんだかんだで色々とあったせいか疲れたな。帰ってすぐに寝て、起きたらギルドにでも行ってアイテムとか換金しないとな。主とかも倒しただろうし結構な額にはなると思うけど。

 

「ただいま」

 

「グ、グググググランくん!!!大変だ!!」

 

「え?なに?どうしたの?」

 

話を聞いてみるとベル君は魔法を覚えたらしい。だがその覚えた方法が誰のかわからない借り物の魔導書を使用した事だ。

 

「おやすみ」

 

俺は寝ることにした。

 

「ちょっと待ってくれないかな!!」

 

「そうです!起きてくださいグランさぁん!!」

 

うるせぇ!!!

これ以上金の面倒なんて見られるかぁ!!!

無理矢理にでも俺は寝た。

 

 

 

そして翌朝、ベル君と訓練。

動きは見違えるものだった。

実践が少ない為、完全とは言えないが感心できる程ブレードインパルスを使いこなし、立ち回りも上手くなっている。

 

「うん。目立つ隙がなくなってきたね」

 

「本当ですか!?」

 

「ランちゃんには、結構厳しく指導されたみたいだね」

 

「はい。一日は訓練で!過ごしました」

 

おぉ!話の途中でも剣を振ってみたが反応できたぞ!?なるほどなぁ。ランちゃんも限られた時間の中でみっちりと育ててくれたみたい。

 

「今度、二本目の剣でも見に行こうか」

 

「え?」

 

「ん?どうしたの?」

 

「あ、いえその。ランスロットさんが言った通りだなって思いまして」

 

話を聞いてみるとランちゃんはベル君にこんなことを言っていたらしい。

 

『グランが君の成長を見たら褒めてくれるだろう。剣でも見に行く事になるだろうから今からでもどんな物にするか考えているといい』

 

その通りでした。

師匠がランちゃんだからな。ベル君の動きに隙は少なくなったのだが、動きにくそうなところが少しだけある。師匠が二刀流だからだろうな。相手の動きを見て、防いだり攻めたりするのに剣がもう一本あったら良さそうだなって箇所があるのは確かだ。

 

「まぁランちゃんとは付き合いが長いからね。それはそうとどんなのを買うか決めたの?」

 

「そうですね。この新調した防具の、製作者が作る武器とか気になってます」

 

「そうか。うん、いいんじゃないかな」

 

さて、話しながら続けていた訓練も、これぐらいにしておこう。今回は少し早い切り上げ。なぜかと言うと。

 

「そろそろ、逃げてないで現実を見ようか?」

 

「うぅ……。豊穣の女主人に行くのが、こんなに嫌になるなんて」

 

「やってしまったものは、仕方ないんだからさ。腹くくって謝ってこい。大丈夫、また、会えるよ」

 

「え?それ、どう言う意味ですか?嘘ですよね」

 

「俺は俺でやる事があるからさ。頑張ろうねベル君」

 

俺はベル君が引き止める声を無視して走ってその場から逃げた。ベル君の声も聞こえなくなった頃、俺は路地裏を歩き回る。さてさて、適当にぶらついてベル君をまいたしそろそろ本題に行こう。

ギルドに向かい早速換金。目立つのを覚悟でアイテムボックスを開き、だいたい五十万ヴァリス程の魔石やアイテムを換金する事にした。

 

「こ、こんなにですか?」

 

「うん!お願いね!」

 

勢いがよく。大きな声で返事しよう!

 

「少々時間がかかってしまいますが」

 

「ぜんっぜん!構わないよ!ゆっくり待っておくからさ!」

 

そして査定員は一度奥に入っていった。

さてさて、上手く連れてくれよな。わざわざ魔法を使ったり、大きな声で目立ってやったんだ。

 

「かかってくれよな。ソーマファミリア」

 

手持ち無沙汰を装って道具入れを弄り、自然な感じを装って周りを観察。軽く観察をしただけでも此方をジロジロと見てくるのがいる。もちろん少し目立ったんだから、見てくる奴らは多い。だが、それでも多くの人はすぐに興味をなくす。

……五人か。

このギルド内にいる男、五人が今も見てくる。

だが、おそらくこいつらは偵察要員だろう。儲けているやつを品定めしてマークする。後から大人数で囲んでハイ終わりって事か?そんな事をすれば目立つか。高レベル持ちを使い、因縁ふっかけて狩る方が楽か。

 

「まぁ、なんでもいいけど。めんどくさいから上手くいってくれよな」

 

作戦がうまく行く事を願いながら俺を呼ぶギルドの人の所まで歩いて行った。




仕事もあるし古戦場もあるから止まるね

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