グランブルーから地上へ行くのは間違っているだろうか?   作:クウト

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お久しぶり。
ンナギ漁楽しかったね。


楽しいことの後はなにかしらイベントが起こる

バカンス。

それは心と身体を休ませながら楽しむものである。だというのに、なんの魔法なのかどんなに疲れるようなことをしても楽しんでしまい、疲れを感じさせることがないのである。

 

「うぉおおおお!!!!!」

 

だから火起こしも楽しめるのだ。

 

「……煙が立って来たわね」

 

「よっしゃ!」

 

もぐさのような物を使って火を移す。

なんとか火を消さないように火種を大きくしていく。……いや、何やってんだろ?

 

「これは、意味があったのか?」

 

水着スタイルになって焚き火を作ろうとしたのだが、何故かイシュミールにお願いされて原始的な火起こしをしていた俺。無事に火起こしが終わったら冷静になってしまった。

いくら俺が魔法を使うのが苦手だからってこれはないんじゃ……。一応火打ち石とかあるぜ?

 

「ふふ……。頑張っているグランが、素敵だから……見たかったの」

 

「怒るに怒れないな」

 

何故なのだろうか。

イシュミールに対しては強く出れない所があるのだ。ユエルとならお互い揉みくちゃになりながらふざけ合うし、組織連中ならとりあえずベアトリクスを生贄にしておく。そんな風にイシュミールとはできないと言うかなんと言うか。

 

「イシュミールと居るとゆっくりしちゃうんだよな」

 

「私は……グランとゆっくり過ごすのは……好きよ?」

 

「あぁ、俺もそれだ」

 

「……そう。よかったわ」

 

そうだ。

イシュミールと居る時は基本的にゆっくりとするのだ。火起こしがゆっくりなのかはさておき、二人で居る時はお互い無言の時も多い。なんと言うか穏やかな空気感が好きと言うか。

 

「……グラン。私は料理をするけど、どうしたいかしら?」

 

座ったままでも調理ができる様に、まな板として良さげな石を持ってきている。それを自分の前に置き、包丁を持ちながらイシュミールは聞いてくる。

 

「んー。できれば見ておきたいかなぁ」

 

「えぇ。なら、私に任せて」

 

素早い手の動きでカニや魚を捌いていくイシュミール。……どこかの姫の様な容姿でこの手捌き、ギャップありすぎるなぁ……。

うちの団に入ると誰もが何かしら逞しくなる。

だからギャップが発生する事も普通にあるんだがイシュミールのコレはその中でも驚いた中の一つだ。

ジーッとイシュミールの料理姿を鑑賞していたからだろうか。

 

「どうかしたのかしら?」

 

顔を上げながらそう聞いて来た。

だから俺は。

 

「あーん」

 

口を開けてみる。

 

「ふふ。……あーん」

 

捌いたばかりの魚を口に運んでくれる。

おぉ、生でもいけるやつだったから頼んだがやっぱりうまいな。口の中で魚の脂がとろける。

 

「うんまいぞぉ!!!」

 

「それは、よかったわ」

 

「イシュミールも食う?」

 

「……ありがとう。けれど、調理が終わってからでいいわ」

 

何故か顔を赤くしながらそう言った。

ははーん。さては、恥ずかしいんだな?

俺はイシュミールが切っている魚をつまんで差し出す。

 

「ほらほらあーんあーん」

 

「……しつこい子は、嫌いよ」

 

魚を持っていた手が凍った。

 

 

 

悪い事はしないほうがいいと改めて感じました。

あの後直ぐに氷をかち割った。イシュミールの氷って溶けにくいとかあるのになんで俺は砕けたのか……。とっさの馬鹿力は凄い。

しばらく離れておけと言われて俺は水辺に足を突っ込んで寝転んでいる。やらかした後はいつもこんな感じでボッチになってしまうあたりどうしようもない。

 

「できたわよ」

 

そう言って俺を呼ぶイシュミールの元に行き、海鮮づくしの料理を堪能していた時だった。

 

「あ、グラン……」

 

「ん?アイズ達か」

 

そこにはアイズとリヴェリアさん、ティオナ・ヒュリテがいた。

 

「あれ?アイズいつの間に仲良くなってたの?」

 

「……うん。色々とあって」

 

「へぇー。それよりその食べ物何?それになんでそんな格好なの?」

 

海鮮づくしと服装に目が行くか。

まぁこんな所でこんな贅沢をしているやつはいないだろうし、ましてや水着なんて軽装は信じられ……いや、お前も水着みたいなもんじゃん。

 

「あなたが……言うのかしら?」

 

ほら、イシュミールも同じこと思ってた。

まぁまぁなんて言いながら俺たちの隣に座って物欲しそうな目をして来る。まぁいいかと思いエヴィを差し出すと喜んで食べ始める。

……いや、なんなの?

 

「と言うわけでリヴェリアさん。説明をお願いします」

 

「あ、あぁ。本当にすまないな……」

 

「いっぱいあるからいいけどさ」

 

やっぱり苦労してんだね。

それから海鮮を貪り始めたアイズとティオナを見ながらリヴェリアさんの説明を聞く。

どうもダンジョン内で未確認、または武装したモンスターが増えていて、それも上層でもそのモンスター達は確認されている。ロキファミリアは近々遠征があるので問題ならない程度か調べに来たらしい。

 

「武装モンスターねぇ」

 

「……そういえば、ここのモンスターは……武器を持っているのが、少なかったわね」

 

「うーむ。キチンとした武器を持ってても冒険者達の落し物とかか?」

 

「あぁ、その筈だが……。防具をつけているのも確認されている。モンスター達が本格的に武装をしだすとは考えにくいのだが」

 

防具も着込んで剣や盾で武装かぁ。

向こうの魔物も武装してるのがいたが、やっぱ色々とおかしいよなぁ。どれだけ武器盗られてるんだよ……。

まぁそれは置いとこう。ともかく問題は基本、本能的にしか動かなかったモンスター達だが一部は明らかに異彩を放ち始めたのだ。注意深く相対すればレベル1でも問題はないようだが、囲まれでもしたら待っているのは死。ハードモード突入でしょうか?

 

「とにかく武装モンスターを見つけ次第倒していくべきか」

 

「グランの言う通りだ。新人達には少し荷が重いだろうから、できるだけ私達で対処すべきだろう。倒したモンスターの特徴はギルドに報告すべきだろうな」

 

「グランも、大変なのね……」

 

「気になっていたのだが、貴女はどこのファミリア所属だ?」

 

「リヴェリアさん」

 

「なんだグラン」

 

「この暴食二人組を止めてくれない?」

 

ガツガツと止まる様子がないアイズ達をリヴェリアさんに任せる。

いやぁ危ない所だったね。イシュミールに所属なんてないしバレればめんどくさいところだった。うちの騎空団所属ですぅ。なんて言っても変人扱いだろうし。

 

 

 

リヴェリアさんが二人を引きずって去って行った後、無残に食い散らかされた殻やらなんやらを片付けて仕切り直した。ごめんよベル君。君の分無くなっちゃった……。まぁ、それは置いといて少し怒り気味のイシュミールを宥めて食事も済ましてゆっくりしたのだ。

 

「……安心、したわ」

 

「安心?」

 

「話では聞いていたけど……元気なグランを見たのは、久しぶりだから」

 

「心配してくれてありがとな。仲間もできたしそれなりに楽しくやってるよ」

 

「……そう」

 

イシュミールの心配に答えておく。

運良く仲間もできた、ヘスティアちゃんの問題を抜けば生活もある程度は安定している。無理もあったがそれはそれだろう。

 

「……ねぇ、グラン」

 

「なに?」

 

「……言いたく、ないのだけれど」

 

なんだ?

イシュミールが言い淀むなんてあんまりないのだが……。

 

「……いつか、帰る方法が分かった時……貴方はどうするの?」

 

「帰るよ」

 

「……え?」

 

キョトンとした顔。これはレアだな。

にしてもこんな事を聞いてくるとはなぁ。まぁ他の仲間達も思っていたのだろうが、今回イシュミールは覚悟を決めて聞いてくれたのだろう。

 

「俺が帰るべき場所は、お前らがいるあの場所だ。だから、こっちにいる理由がなくなったら帰る」

 

「いる理由?」

 

「うん。現状うちって零細ファミリアだからねぇ。ベル君がキチンと団長ができて、俺が抜けてもいいと判断したら戻るさ」

 

実はこの件はヘスティアちゃんとも話したことだ。ベル君は知らないがいつかもっと仲間も増えて、あの子を支える人が増えたら俺は抜ける。

 

「副団長だしね。あの姉に任せっきりも怖いし」

 

「……そうね。いつまでも……グランが居ないなんて、考えたくないわ」

 

「はは。そっか、頼りにしてくれてるんだ」

 

「えぇ、ジータだけじゃ不安よ。団長としては、文句がないのだけれど、人としては……」

 

言わないであげてほしいなぁ。

にしてもやっぱりそんな認識だったのね。

そんな風にゆっくりとした時間を楽しみ満足した帰り道。

モンスターを倒しながらダンジョンを進んでいく。そんな中、目にしたのは俺達二人が今までよく見てきた武装したゴブリンだった。




次回から話が少し動き出すと思います。
とは言ってもラブライブイベントやらゼノコキュやら古戦場やら……。
時間が足りねぇよ……。ラブライブイベントは出来るだけ早めに終わらせてしまいたい。
サンシャインは見てないからわからない人なんだ……。早く終わらせてこっちに時間取れるように頑張る。

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