グランブルーから地上へ行くのは間違っているだろうか?   作:クウト

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前回でダンまち三巻が終わったと思った?
残念。まだ終わらんよ。


いつでも俺らは巻き込まれている

ベル君が無事ミノタウロスを倒した後。

ロキファミリアの連中がすこし騒ぎ出す。

 

「何なんだ、あいつは。どうなってんだよ!!」

 

「ベートの言うとおりだ。聞いてもいいのかい?」

 

「それはどう言うことかわかって聞いてるのか?ロキファミリア団長」

 

自分達の手札を簡単に見せるわけねぇだろうが。

だがまぁ。

 

「前にベート・ローガには言っただろ?あの子は、ベル・クラネルはすぐにその高みに駆け上がるぞって」

 

さて、適当にロキファミリアをあしらいながら気絶したベル君を回収する。アイズとリヴェリアさんにベル君を任せておく。

嫌な予感が収まらない。それどころかどんどんと大きくなっていく。

 

「……来るか」

 

目の前の空間に歪みが出来上がり、そこから黒い靄が溢れ出す。その靄の中からズズズッと出て来るのは見覚えのあるモンスター。いや、魔獣。

 

「まさか、こんな所で出て来るところを見る事になるとはな」

 

出てきたのはサイズが小さくなっているベヒーモス。そして何匹かのゴツゴツとした二足歩行のドラゴン。確か、アリゲイディス?いや、同じようで名前が違うからわかんねぇけど。あ、色違いもいるの含めて五匹か。

魔獣達を出し終わると元に戻ろうとする空間と一緒に戻っていく黒い靄。飛び込もうか迷ったが得体が知れなさすぎる。無理は禁物だろう。

それより。

 

「なんだ。あのモンスター達は」

 

「新種か?……グラン。君は何か知っていそうだが、教えてはもらえないか?」

 

はぁ。これは言い逃れできないのかなぁ。

俺は質問してきているリヴェリアさんを無視しながら考える。

この数の相手はできるが、気絶したベル君に、警戒したロキファミリアの連中がいるのを気にしながらじゃめんどくさい。……仕方ないか。

俺の支援が出来て、敵の弱体もしてくれるとありがたく、とにかく味方で心強いのは。

 

「【蒼き空、彼方の絆。結びて繋げ。今ここに求める者との共闘を】」

 

遠くなる意識を歯を食いしばり耐えて、マジックポーションをガブ飲みする。

そして出てきた仲間は。

 

「お?久しぶりやなぁグラン!」

 

「え?ユエルちゃんも?って、あぁ!グランはん!し、しっかり!」

 

「ほらソシエ、これ飲ましたり。しっかし初めて呼ばれる人らは、グランが気絶しそうなのを見ると、絶対に心配するらしいのホンマやな」

 

ユエルの呟きを無視しながらカリオストロ特製半汁を飲み干す。

あー。無駄に味にも気を配って美味しいのがなんか腹立つ。後味スッキリでスポーツ飲料ですかね?

 

「グランはん。なんで、うちの事すぐに呼んでくれんかったん?……心配やったんやで?」

 

「ソシエにこんな風に言われるとか……グランちょい顔貸してくれん?いや、別に怒っとる訳ちゃうから」

 

「そんな場合じゃねぇから!!」

 

獣人が現れたやら、あいつはあの時の獣臭い奴とか、あの魔法はとかペチャクチャと煩い外野は放っておいて。現状の説明を軽くする。

 

「なるほどなぁ。なら、うちらはアレを倒せばええんやな?」

 

「おう。周りの雑魚は頼む。俺はベヒーモスをやるから」

 

ユエルが双剣を構え、ソシエが扇を開く。

さて、俺も準備しないとな。

ジョブチェンジ。

ベルセルク。

こちらの戦闘準備に反応してか、ベヒーモスが吼えて走って来る。

 

「私に任せて!陸之舞・雲龍!!」

 

扇を広げたソシエがベヒーモスの突進を受け止める。そして流れるように更にソシエは舞う。

 

「壱之舞・霜月!!」

 

ベヒーモスの顔を上に逸らし、ソシエは自分の身体を回転させてベヒーモスに強く扇を叩きつけカウンターを決めてベヒーモスを飛ばす。

 

「グランはん!」

 

「任せろ!レイジIII!!とっとと消えろぉ!!!」

 

ソシエの上を飛び越えて、打ち上げられたベヒーモスの目の前に飛ぶ。そしてバハムートソード・フツルスで切りつける。だが、相手も身体を捻り自分の角を犠牲にしながら致命傷を避けながら吹っ飛んでいく。

身体が小さくなった分、小回りが効くようになってるのか?あんな動き今までしてこなかったんだが、簡単には終わりそうにないか?

 

「よっしゃあ!じゃあ、いっくでぇ。燕返し!!からのぉ紅蓮!!」

 

ユエルがドラゴン達の前に突撃し、舞うように敵を倒し始める。ユエルもソシエも今は火属性で攻めているようだ。なんというか、仲良いなぁ。

 

「っと!あっぶねぇ!!」

 

ベヒーモスが地面に自分の足を叩きつけ、隆起した地面が俺の方に迫って来る。破片で少し肌を切るが、問題はない。

 

「グランなにしてんの?油断禁物やで!」

 

「グランはん。私に任せて、壱之舞・神楽」

 

ソシエの舞で俺の傷が癒える。

今更だが舞で傷が癒えるとか凄いな。

というかソシエ。すぐに属性を切り替える辺り歴戦の猛者感がすごいぞ?

 

「ありがとう。ちょっと油断した」

 

「うちらがベヒーモスの方やろか?」

 

「うん、そやね。うちはユエルちゃんがええなら、それでもええよ?」

 

ユエルが自身有り気に、ソシエは少し控えめにそう言ってくれるが。

 

「大丈夫。ありがとなユエル、ソシエ」

 

さすがにここで代わってもらったら恥だよなぁ。

さぁ、そろそろ決めに行こう。

いつでも奥義を放てるようにウェポンバーストⅢで力を溜めておく。

 

「お?グランが決めにかかるみたいやな。ソシエ!うちらも行くで」

 

「う、うん!ユエルちゃん」

 

「さぁ!魔獣供!覚悟しぃや!」

 

「か、覚悟しぃや!」

 

ユエル達がドラゴン達に向かい一斉に舞い踊りながら攻撃を仕掛ける。俺も負けてられないな。

 

「ミゼラブルミスト!」

 

「ガアアアア!!!」

 

ベヒーモスの攻撃力と防御力を下げる。

だがそれでも構わずに突進してくるベヒーモス。俺もベヒーモスに向けて走り出し、すれ違いざまに剣でベヒーモスを切りつける。

 

「次ぃ!アーマーブレイクⅡ!!」

 

切りつけながらアーマーブレイクⅡをする事で防御力を更に下げる。さて、そろそろ決めるか。

バハムートソード・フツルスを構えなおして奥義を撃つ準備をする。

 

「ユエルちゃん。私、舞えるよ!」

 

「よーし!ならうちも舞ったるで!」

 

それに反応したユエル達も向こうで奥義を放つ準備をするようだ。

なら、一気に決めますか。

 

「そろそろ倒れてもらうぞ。ベヒーモス」

 

「ガアアアア!!!」

 

ベヒーモスの身体が紫電に包まれ始め、カオスラインを放ってくる。そして、俺はカオスラインが向かってくるのを冷静に見ながら奥義を放つ。

 

「レギン……レイヴ!!!!」

 

剣線の奔流がカオスラインを呑み込み、ベヒーモスを切りつけながら、その身体を吹き飛ばしユエル達の方へ投げ出される。

そして、ユエル達の方では二人が一緒に水属性になり、奥義を放とうとしていた。

 

「九尾を滅ぼす冷たき炎、受けてみぃ!紅之舞・凛炎改!!」

 

「九尾様に捧げる舞が一つ、白之舞・天華!」

 

ドラゴン達がひと塊りになるようにユエル達は計算しながら相手を切りつけ弾き飛ばす。そこに俺が吹き飛ばしたベヒーモスが、ドラゴン達を巻き込むようにぶつかる。

 

「いくでぇ!ソシエ!」

 

「うん!ユエルちゃん!」

 

「「ブルーデトネーション!!」」

 

青の奔流に俺が飛ばしたベヒーモスも巻き込まれながら飲み込まれていく。そして、後には魔石だけが残ったのだった。

 

 

 

「よっし!終わったぁ!ソシエ手でも繋ごうや!」

 

「え?うん!グ、グランはんも一緒に」

 

いつの間にか離れた所から近くに来ていた二人が俺の手を取る。いや、間に挟んだらお前ら二人が手をつなげないでしょ?って!なんで輪っかになって、いや、クルクル回るな!恥ずかしいわ!!

なんとかその輪から抜け出して魔石を回収する。うーむ。なんで魔石なんかが出て来たんだ?向こうからこっちに来た時点で生成されるとか?

……わっかんねぇなぁもう!

 

「お疲れ様」

 

「ん?あ、ロキファミリア団長か」

 

「フィンでいいよ。そんな風に呼んでも長いだけだろう?」

 

「ならお言葉に甘えようか。よろしくフィン。俺はグランだ、前は色々と済まなかったな」

 

「いや、アレに関してはもういいよ。こっちも一部の団員が迷惑をかけていたみたいだしね。おあいこだ」

 

「なら、良かった」

 

ふーん。

これがロキファミリアの団長。フィン・ディムナか。こんだけ若いのによくあの連中を束ねるなぁ。……激しくブーメランな気がする。

 

「グラン」

 

「あ、リヴェリアさん」

 

「君に聞きたいことが山程あるのだが、まず教えておいてやろう」

 

なんだ?

 

「フィンの年齢は三十過ぎているぞ」

 

「はぁあ!?」

 

いや!そりゃねぇだろ!?

俺と同じぐらいだと思ってタメ口聞いてたんだけど!!……いや、冷静に考えればそうだよな。ていうか、向こうにも外見と年齢が合わないのは普通にいたよな。

 

「あーあー。だから敬語を普通に出せるようにしときやって話したのに」

 

「グランはん。またうちらと勉強する?」

 

ユエルはうるせぇ。

ソシエはともかくユエルに教わるのはなんかいやだからいいです。つまり、ユエル抜きでの勉強会ならウェルカムです。

 

「また横からちょっかいかけまくったるわな」

 

「あれ本当にイラつくからやめてもらえないかな!!」

 

話が逸れた。元に戻そう。

もう何が元なのかはわからないけど。

……。うん。とりあえずベル君を受け取るところから始めましょうか。

 

「リヴェリアさん。ベル君の事、ありがとう。もうこっちで引き取るよ」

 

「あぁ、わかった。だがまずは」

 

ベル君を受け取ろうとしたのだが、その前に何故か腕を掴まれる……。え?いや、この手はなんですか?離してもらえませんか?

何故かリヴェリアさんが俺の手を掴んで離してくれない。

 

「君には教えてもらいたい事が山ほどあると言っただろう?あぁ、安心しろこの子達は私達が責任を持って地上へ運ぼう。だからグランはフィン達と一緒に居てくれないか?」

 

「いや、なんでさ。ほら、ベル君をこっちに」

 

「フィン達と一緒に居てくれないか?」

 

……あかん!

これめんどいやつや!!

ユエル達に助けを求めようとしたが百合百合してる空間があっただけで助けを求められそうじゃなく、俺は仕方なく一時的にロキファミリアと行動を共にすることになった。




そんなわけでユエルとソシエに来ていただきました。
最近ずっと悩んでいたのが今回の話で出てくる敵。それと味方の仲間(仲間の方は決めてた)。
ツッコミどころはあるかもしれませんが許してくれると嬉しい。
それはそうと、俺のソードオラトリアはどこに行ったのだろうか。
もしかしなくてもこの前売った本の中に紛れてたか?

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