グランブルーから地上へ行くのは間違っているだろうか? 作:クウト
この小説を読み返してみて、ベル君がミノタウロスと戦ってるシーンを全カットしたでしょ?
でもせっかくランちゃんとかに鍛えてもらったんだからね。
見せ場あげないとね。
読まなくても本編には問題ないよ。
「あぁ、頑張ったな。もう俺に任せていいからな」
そう、あの人は言ってくれた。
グランさん。神様が連れてきてくれた団員。
グランさんは僕なんかよりもずっと強くて、頼りにもなって、仲間に信頼されていて、まるで物語の主人公のような人だと思った。
その人は今も、危機に晒されている僕を助けようとしてくれている。
ダンジョンで急に現れたミノタウロス。僕が敵うはずもない強敵。グランさんに任せてしまうのも仕方ないだろう?
……そんなわけ、あるか!!
「ダメです。それじゃあ、ダメなんです」
「ベル君?」
グランさんの困惑したような声が聞こえる。
仕方ないだろう。グランさんにとったら僕はまだ、守る対象なのだから。
「ここで助けられたら、僕は何の為に、グランさんに基礎を教えてもらったんですか?」
一人でも戦えるように訓練をしてもらった。
「何の為に、ランスロットさんに技を教えてもらったんですか?」
生き残る為に技を伝授してもらった。
「何の為に、アイズさんに稽古をつけてもらったんですか?」
いつかあの人の隣に並ぶ為に、僕は強くなろうとしたんだ!!
「逃げたら、ダメなんです。僕は、ヘスティアファミリアの団長なんです。いつまでも、貴方達に支えられたままではいけないんです!!」
たとえグランさんでも!このちっぽけなプライドだけは触らせない!!助けられるばかりで何が英雄になりたいだ!!こんな所で、止まっていられないんだから!!!
「……そうか。いつの間にかベル君も、心に竜骨を持っていたんだな」
「竜骨?」
「あぁ、決して折れない、信念って奴だよ」
「……はい」
竜骨、信念。
あぁ、この人はこうやって仲間に信頼されていたのか。
「ベル君。どんな困難な状況であっても、君だけは立ち上がれる。それでもと立ち上がれる漢になってこい!」
「はい!!!」
まだまだこの人には敵わない。
そう思いながら僕はこの強敵と対峙する。
少しでもこの人達の場所に近づく為に。
改めてミノタウロスと対峙する。
……正直怖い。だけど!
「……はぁあああああ!!!」
駆け出す身体が軽い。
頭が冴えているのがわかる。
相手は体の大きさを利用した大振りが多い。
当たれば即死。だけど、僕の方が速い。
だから当たらなければ良い。
『ヴォオ!』
「グランさんの方が、もっと強い!」
ミノタウロスが振り下ろす大剣をヘスティアナイフで受け止め流し、その隙にバゼラードで斬りつける。
……くそ、硬い!
ヘスティアナイフなら斬れるだろうか?いや、相手の懐に入るには隙を作るしかない。今の僕にはヘスティアナイフで防御をする事でしか大きな隙は作れない。
『ヴゥオオオアア!!』
「ベル様!!」
ミノタウロスの強力な力で僕の身体が吹き飛ばされる。そこを見逃すはずもなくミノタウロスは追撃を仕掛ける。
「まだだ!!」
僕の速さを褒めてくれたランスロットさん。
僕の武器にである速さで、ミノタウロスの一閃をなんとか躱す。
……攻めきれない。なら。
「【ファイアボルト】!!」
僕の魔法でミノタウロスが怯み叫ぶ。
その隙に離れ体制を立て直すか、それとも攻めてみるか。
……今の僕ならできる!!そのための技を教えてもらったのだから!!
「ブレードインパルス!!」
風のように駆け抜け飛び上がり、ヘスティアナイフでミノタウロスを斬る。一撃で仕留める為に首を狙ったその一閃。
『ヴゥッオオオオ!!』
ミノタウロスが犠牲にした右手で防がれる。
だけどそのせいで右手の手首を切り落とせた。
「まだだぁあああ!!!」
着地した瞬間に全速力でミノタウロスが落とした大剣を受け止めて斬り返す。
重い大剣を振り回す勢いにまかせて何度も斬りつける。たまらず距離を取ろうと暴れ出すミノタウロスに対して僕は落ち着いて距離を取る。
あのまま攻撃を続けていると捨て身の攻撃に出られた時、僕の身体なんて潰されるだろう。
僕も睨みながらミノタウロスは四つん這いになり地面を踏みしめる。おそらく切り札だろう。
ならば僕も、己の全力で相手をする。
「あああああああ!!!!」
『ヴヴォオオオオ!!!!」
お互いの突撃。
僕はミノタウロスの角に大剣を打ち付けるが、砕ける。角には傷もついていない。
ミノタウロスが勝利を確信したのかニヤリと笑った気がした。
だが、まだ僕には手札が残っている。
アイズさんとの訓練で培った経験。
僕はミノタウロスの懐に身体を入れ込みヘスティアナイフを突き刺す。
「【ファイアボルト】!!」
ミノタウロスの身体から炎雷が吹き上がり、焼け焦げた身体が散らばった。
「……僕の、勝ちだ」
意識が朦朧とする。
気を抜けば意識を失うだろう。
だけど最後に、追いつきたい二人がしっかりとこちらを見ているのに気がついた。
グランさん、アイズさん。
僕は、必ず貴方達に追いつきます。
そして、視界が黒に染まった。
本編も番外も短くてすまんね。
フィンブル掘るわ。