グランブルーから地上へ行くのは間違っているだろうか?   作:クウト

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あっぶねぇ!!手元狂ってログアウトしてしまった。
登録したアドレスもIDも思い出せず一瞬焦った。ユーザー検索に救われた。


仲間の為なら怒りもする

走り去るベル君を呆然と見送った後俺は金髪と獣人の冒険者に話しかけてみることにした。

 

「あのーちょっといいですか?」

 

「……はい」

 

「なんだぁ?さっきの雑魚どもじゃねぇか」

 

なんだこいつ。

まぁいいか。相手にしてもきりがないタイプだ。

 

「うちの団員を助けてもらったみたいでありがとうございます」

 

「……うん。でも、逃げられちゃった。それにこっちが悪いから……」

 

「本当にすいません。多分お礼もできていないでしょう?また後ほどお礼させてください」

 

「けっ。雑魚どもからの礼なんていらねぇよ」

 

「なんやあいつぅ……!」

 

イラっときているユエルは放っておいて話を進める。

金髪の方はアイズ・ヴァレンシュタインと言うらしい。ほうほう、ベル君が言っていたロキファミリアのLv.5の人か。獣人の方はベート・ローガと言うそうだ。ちなみに今もユエルと言い合っていたりする。俺の方はアイズさんから今回のミノタウロスについて聞いているのだが。

 

「あんだけ震え上がるぐらいなら初めから冒険者になろうとしてんじゃねぇよ」

 

「あ、あんたなぁ!言ってええ事と悪い事があるやろ!?」

 

その発言は許せなかった。

 

「ベート・ローガさんでしたっけ?」

 

「あぁん?」

 

「貴方がベル君に対して何か思うのは別にいい。だがそれを喚き散らすな。程度が知れるぞ」

 

「んだとてめぇ」

 

「もう一度言ってやろうか?あまり吠えるな犬っころ」

 

「……殺す!」

 

勢いよく振り出される蹴り。

ジョブチェンジ発動。

オーガ。

くりだされた蹴りを素手で受け止め拳を振り上げる。武器まで変化させてしまったら手札を見せすぎてしまうからやめておいた。

 

「カウンターだこの野郎」

 

その拳をベート・ローガの頰にえぐり込んだ。

 

「がぁ!?」

 

「ベートさん!」

 

「グランキレとるやん」

 

闘気発動。

俺の纏う気が大きくなったせいでアイズさんがはじき出されるかのように飛び下がる。

 

「この程度か?犬」

 

「……さっきから犬犬言いやがって。俺はウェアウルフだ!」

 

「うるせぇ。一応ベル君の恩人の仲間だから今回限りは見逃してやるよ。行くぞユエル」

 

倒れたベート・ローガを放って歩き出す。

 

「待てよ……」

 

「グラン目冷たすぎて怖いわ」

 

「待てって言ってるだろうがぁ!!!」

 

俺を茶化しながら追いかけてくるユエルを追い抜き、ベート・ローガはこの場から去ろうとする俺にめがけて飛びかかってくる。

はぁ。20%だ。

ジョブチェンジ発動。

ファイター。

 

「レギンレイヴ」

 

殺すのは問題になる。だからできるだけの手加減をしてバハムートソード・フツルスを鞘に入れたまま打撃武器として使う事にした。ゲームと違って100%の力で殴るわけではない。威力自体の調整が可能だからこそこんな芸当で奥義の発動もできてしまう。

 

「かはっ!」

 

今度こそ気を失い倒れるベート・ローガ。

はぁ、ロキファミリアと戦争とかなったらシャレになんねぇなぁ。

 

「悪いなアイズさん。今回の事、追求するなら俺だけにしてくれないか?」

 

「……大丈夫。元々こっちが悪いから」

 

「そうか、それならたすか「それより」ん?」

 

「私と戦ってほしい」

 

どうしてこうなった?

いや、本気でなんでこうなったのかわからない。ベート・ローガの仇とかならわかるがそういう訳でも無さそうだし。聞いてみるのが早いか。

 

「なんで?」

 

「あなたはまだLv.1の筈。それなのにベートさんに勝てた。その強さの秘密を、私は知りたい」

 

「……」

 

「だから、私と戦って」

 

「それは、俺と戦う事で得るものじゃないだろ?」

 

「……どういう事?」

 

「それがわかったら戦おう。それまでお預けだ」

 

そろそろ血みどろのまま飛び出していったベル君が気になる。ここで時間を潰してても損なだけだ。それにユエルを風呂に放り込まなければいけない。だから俺はアイズさんを無視してダンジョンから抜け出した。

 

 

 

「それまで、お預けだ」

 

ぬぐぅ!!

 

「はっはっはこの副団長さんキメ顔で言ってるのめっちゃウケるわ」

 

あれからダンジョンから出て風呂に入り改めてギルドへ向かっている途中。ユエルはずっとこんな感じでいじってきている始末。

 

「なぁなぁどんな気持ち?お風呂入って落ち着いてよく考えてみたら最大派閥の幹部ぶん殴った重大さ感じて焦ってるのどんな気持ち?」

 

「う、うるさい!へへいいぞかかってきやがれ。全力全開で迎え撃ってやるよ。野郎どもぶっ殺してやる!」

 

「うはははは!!グラン焦りすぎでテンション安定しとらんし!それよりどない?うちの香りも良くなったやろ?ん?ん?嗅いでみてもええんやで?グランが落ち着くまで抱き締めたるわ。ほれほれ」

 

こ、この!

……はぁ、やめよう。これ以上続けても疲れるだけだ。とりあえず久しぶりにユエルと街を歩くのだ。異世界を含まなくても依頼とかで少し顔合わせる時が少なくなっていたし俺も楽しむべきだ。

 

「ん?なんやあれ?コロッケ?」

 

「ジャガ丸くんって食べ物。なんかいろんな味があるやつ」

 

「なんやこれ小倉クリームなんて誰が食べんねん」

 

「さぁ?まぁ色々な人がいるってこったな。何食う?」

 

「ソース」

 

「ソースと塩ください」

 

しれっと買い食いをしたり。

 

「異世界って言っても武器とかは同じ様なんいっぱいやなぁ」

 

「だなぁでもなんか絶対に壊れない武器があるとか聞いた」

 

「なにそれ欲しいわ」

 

「でも性能自体は少し下がるとか」

 

「なにそれいらんわ」

 

武器屋ひやかしたり。

 

「話には聞いてたけどいろんな種族がいるんやなぁ」

 

「まぁそれは向こうでも変わらんだろ?」

 

「星晶獣とか含めたらごった煮やな」

 

道行く人をジャガ丸くん食べながら見たり。

そうしているとギルドに着いたのはだいぶ遅くなってしまった。ユエルのベル君とやらはええの?という一言がなければダラダラとしたままだった。

そしてたどり着いたギルドではギルドの受付嬢エイナさんとベル君が話し合っている。あー無茶したとかなんとか言われてるんだろうなぁ。

 

「ヴァレンシュタイン氏も強くなったベル君に振り向いてくれるかもよ?」

 

「本当ですか!?」

 

全然違う話じゃん。

 

「なになに?ベル君は恋でもしたか?」

 

「うわぁ!?グ、グランさん!?」

 

俺がいきなり話に入ったせいでびっくりしてる。

可愛がりのある団長だなぁ。

 

「そんで?アイズさんに助けてもらって恋に落ちたか?」

 

「え!?いや、その!えっと」

 

「だがベル君。助けて貰ったのにお礼も言わず逃げちゃうのはどうかと思うなぁ」

 

「あ……」

 

ニヤニヤ。

 

「せやで?あんな可愛い子やのにな。もしかしたら怖がられたかもしれないとか考え込んじゃってるかも……」

 

ユエルもニヤニヤ。

 

「どうしたらいいですか!?ていうかあなた誰ですか!?」

 

「初めまして兎君。グランのハーレムメンバーの一人のユエルちゃんや。よろしゅうなぁ」

 

「おいこら純粋なベル君になに吹き込んでやがる」

 

「間違っとらんやろ?グランの周り見たら誰かしらいるんやし慕われてるのに間違いはないやろ?」

 

「おいやめて。ほら、ベル君がキラキラした目で見てくるから」

 

「まぁハーレム築いてる人って一歩間違えたらクズ野郎なんやけどな!!」

 

やめてあげて!!俺にも少しグサッとくるけどそれが目標の一つであるベル君にダメージ入るから!!

 

「と、とりあえず帰らない?」

 

「せやなぁ。なぁなぁ兎君!グランの話聞きたない?自分では言えない様な話もあるから」

 

「是非聞きたいです!」

 

「そろそろ俺弄りはやめてもらえませんかねぇ!!」

 

その後めちゃくちゃいじられた。


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