オラリオで日常を謳歌するのは間違っているだろうか   作:アルアール

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7話 人が多いオラリオ。 つまりは常に視線を感じる。

「じゃぁ、ダリルさん、私はこちらですので。ここで」

「そうですね。フーリムさん、今回は迷宮都市(オラリオ)まで送っていただき有難うございました!」

フーリムさんが門を入ってすぐのところで、左にある脇道を指差している。今は、馬車が邪魔にならないように脇に寄せている。

門から伸びる道はフーリムさんが持っているような馬車を想定しているらしく、横幅が10メートル程もあり馬車同士がすれ違う事は出来そうだ。

 

僕は、先ほどのウサギの少年、ベル・クラネルが僕をチラッと見た後に歩き出した道を眺めて迷宮都市(オラリオ)の大きさを再確認する。

 

どうやらここでフーリムさんとお別れのようだ。本当に今回は助かった。この1週間フーリムさんから迷宮都市(オラリオ)について色々聞けて楽しかったし、それに、フーリムさんが馬車に乗せてくれなかったら正直言ってここまでたどり着けた自信がない。

 

ここまで来て思ったけど、もし里帰りすることがあったらお金を貯めて馬車を買おうと思う、絶対に。

 

僕は、そのままフーリムさんの馬車が見えなくなるまで見ていた。

 

 

「さてと、ここまで来たのはいいけど、これからどうしよっかな」

まず初めに、腰を落ち着ける場所を探すために周りを見渡す。

ここは迷宮都市(オラリオ)の入り口である大きな門の脇であるため人が多い。一番人口が多いヒューマンは勿論、僕と同じエルフ、それに様々な動物に似た獣人。彼らは慣れた手つきで人混みを避けて歩いている。

 

「人が多いなぁ。それに凄い賑わいだ。これが大都市か」

この大通りの両脇では色々な店があり、エルフがリンゴを売ってたり、子供が酒を売っていたりと都会は驚きが多い。

 

「まぁ、取り敢えず近場から見て回ろうかな。っと、その前にお昼食べよ」

僕は真上にある太陽と、先程からキュルルと鳴き声を上げるお腹から昼食を食べられる所を探そうと決める。

 

どうせ座るとこ探してたんだし、お昼休憩も一緒に取ればいいよね。

出来れば安くて美味しいところがあればいいんだけど。

 

僕は懐から財布を取り出すと中味を確認する。

 

「…20,000ヴァリスか。これでお昼食べられるよね? 流石に」

いやでも、マガルさんが確か迷宮都市(オラリオ)のご飯は高いって言ってたよな。

このお金は村を出る時にマガルさんから貰ったものだけど、流石にこれだけあればお昼くらい食べられるだろうが、コレは所属するファミリアが決まるまでの宿代も含んでいる。

そうである為、あまり無駄遣いはできないし、なるべく高い迷宮都市(オラリオ)のご飯には手を出したくはない。

 

だから、少しでも懐を傷めないために今までの道中で手に入れた物を売ろうと思う。

 

「まずは魔石をお金に変えるか」

僕は腰巾着の中に入れている魔石を確認する。ここまでの道中で手に入れた10余りの魔石だ。大きさにして爪の先程の小ささだけど売れないことはないはずだ。

…売れなかったらどうしようか。

 

まぁその時はその時で、お昼は屋台の安いもので済ませればいいか。

 

行くところも決まった僕は、魔石をリュックの中に仕舞うと魔石を売るために歩き出す。目指す先はダンジョンがあるバベルの塔だ。

確か、道中にフーリムさんから聞いた話によると、本当はバベルから離れたギルドで魔石の買取や民間やギルドからの依頼の受理などをするらしいが、バベルの塔でも魔石買取用にギルドが設営されているらしい。

 

どうせギルドの場所もよくわからないのだ。なら、圧倒的存在感を放っている、迷い用がない目印があるバベルに向かえば間違い無いだろう。

 

「よし、じゃぁ行くか」

僕は、天まで届くほどの塔を眺めて行き先を決めた。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆

「…はぁ、まさかこれだけとはなぁ」

僕は思わず溜息を吐きながら、手に収まる数枚の硬貨を眺める。何度数えても増えることがなく、どう見たってよくて100ヴァリスだ。

 

いや流石にさ、外のモンスターの魔石は塵ほどの価値しかないって聞いたけどさ、流石にこれだけとは思わないでしょ。

 

僕は目の前にあるバベルの塔の入り口を恨めしそうに眺める。

僕が今いるのは、バベルの塔の前に広がる円型をした広場におり、中央にある噴水のそばにあるベンチに腰をかけていた。

まだ2月後半であるというのに、日光が真上から来ているから少し肌が汗ばむ。

 

バベルの塔の入り口は様々な種族の、冒険者らしき鎧などの防具を身に纏った人が忙しなく出たり入ったりしている。

多分だが、この時間帯だしお昼のためにダンジョンから一回戻って来ているのだろうと予想をつける。

 

「…あの人達はいくら稼いだんだろ」

つい本職の冒険者と、見習いにすらなっていない自分の格差を感じて考えてしまう。

 

まぁ、言い訳じゃないけどまだ僕は迷宮都市(オラリオ)に来たばかりだ。ならしょうがないだろう。

早くファミリアに入ってダンジョンに行こ。

 

「…取り敢えずご飯を探すかぁ。安い屋台で」

僕は手に持っている硬貨を財布にしまうと立ち上がる。

背後の噴水がちょうど水を放ったらしく、首筋に掛かった水が冷たくて気持ちいい。

 

「っと、そう言えば迷宮都市(オラリオ)の地図があったんだ」

これから近くを適当に巡って屋台探しに行こうかと思ったが、先程のギルドの設営場で迷宮都市(オラリオ)の地図を貰ったことを思い出す。

 

魔石を持って行った時に、所属ファミリアを聞かれてこれは外のモンスターの魔石と教えると、納得したのか頷きながら地図をくれた。

どうやら、この時期は季節の境目であるせいか新たな冒険者志望の子が迷宮都市(オラリオ)に来ることが多いらしく、そういう子にここで迷わないように地図をあげているそうだ。

 

「…ここの事かぁ」

まぁその後に、本当は行っちゃまずいところに行って余計なトラブルを起こして欲しくないという呟きをしていたが。

 

僕は地図に載っている歓楽街や貧困街を眺めながら納得する。歓楽街に興味がないこともないが、まだ来たばかりだ。後からでも十分遅くないだろう。

 

「っと、どれどれ。屋台は、ここら辺か」

僕はバベルを中心に放射線状に広がる大通りを眺めて屋台のあり方を予想付ける。どうやら迷宮都市(オラリオ)の入り口の門と、ここバベルの塔までの大通りが飲食店が多いらしい。

 

「いや、適当かよ」

地図にわかりやすく‘食べ物が多い’と書かれているし。

分かりやすいのはいいけど、まるで子供を相手にしているような書き方だなぁ。

もしかして冒険者ってこうしないとわからなかったりするのかな?

まぁ、そこまで酷くないか。

 

「よし、いくか」

僕は地図を懐にしまうと、屋台を探すために大通りへと足を向けた。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆

「本当によく見たら屋台とかお店が多いなぁ」

実は先ほどこの道を通ってバベルの塔まで行ったのだが、その時は迷子にならないように上を向いてバベルを眺めながら行ったため、よく見ていなかった。

 

こうしてみると本当に多いなぁ。

 

「っと、すみません」

「…っち」

まぁその分人も多いけどさ。

 

僕はすれ違いざまにぶつかった冒険者風の男に睨まれながらも謝る。

正直ここまで人通りが多いのだ。そこまで怒らな来てもいいではないかとは思うが、争いごとに発展しても嫌なのでおとなしく身を引く。

 

「…ハァ、なんか嫌んなっちゃうなぁ。早く何か食べ…っ! なんだ?!」

僕は嫌になった気持ちを忘れようと食べ物探しに戻ろうかと前を向いた瞬間、まるで首筋を矢が掠めたような悪寒が全身を襲う。

明らかに()()()()()()()()()。エルフである為か、人に見られるのは迷宮都市(オラリオ)に来てから少しは慣れたと思ったが、そんな生温い視線じゃない。

 

「…一体どこからっ!」

道のど真ん中でいきなり叫んだエルフに、すれ違う人が訝しげな視線を向けて通り過ぎているが、そんなの気にしている暇がない。

まるで、そうまるで心の中、()()()()()()()()()()()()()()嫌な感じの視線だ。

 

不快だ、本当に不快感が襲って来る。

 

僕はすぐ様目を瞑り集中力を高めると、何処から視線が飛んで来るのかを探す。

 

「一体どこから…バベルか!」

近くで買い物をしているエルフの、すれ違った褐色の肌の少女の、屋台で食べ物を売っている少女の変な人を発見したかのような視線。そして、斜め上から注がれた強烈なまでの悪寒が走る視線。

そう、この高さからの視線は()()しかない。

 

僕は犯人を探すように振り返って視線の先、バベルの塔の上の方を見る。

 

「…ってあれ、消えた」

僕がバベルの塔を見たと同時に先程まで感じていた視線が消えた。

 

おかしい、何故いきなり消えたのか。もしかしてバレたと思ったから視線を外したのか?

いやでも、いくらなんでもここからバベルの塔の誰の視線かわかるほど感覚は鋭くない。それにぴったり場所がわかっても、流石にここから顔が見えるわけではないのだが。

 

「…バベルってことは冒険者? なら何で冒険者に見られたんだ? いや、あの視線から場所はほど一番上辺りからだ。って事はお偉いさんとかか? いや、ん〜わかんない」

視線が消えた為に僕の集中力も弱めると、先程まで消えていた街の雑踏が耳に入って来る。

ついでに遠くから聞こえる、僕を通報するかどうかの声も聞こえて来た。

 

冒険者の街である為か住人は慣れているらしく少しチラ見して去っていくが、近くの店の人は邪魔者を見るような目で見て来る。

 

いや、商売の邪魔なのは分かるけど、そんな冷たい目で見なくてもいいじゃないか。

 

「…まぁ、消えたならいいけどさ。でも一応、ここから離れたほうがいいかな?」

未だに残る不快感にモヤモヤしつつも、僕は好奇な視線から逃げるようにして人混みに紛れる。

 

正直今ので空腹が飛んでしまったが、先程のでどっと疲労が押し寄せて来たから何処かに座りたい。

お金は無くはないのだ。仕方がないが、取り敢えずどこか飲食ができる店に入ろう。

 

僕は首筋から流れる冷や汗をシャツで拭いながら、取り敢えず近くにあった酒場らしき店に足を踏み入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




わっかりやすい、ばれっばれな伏線してすんません。

でも、少しでも接点持たせとかないと、突然原作キャラと絡ませるのは難しいんですよーーーーー!
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