オラリオで日常を謳歌するのは間違っているだろうか 作:アルアール
①物価変更 酒場のご飯 1000ヴァリス前後→500ヴァリス前後
ミノたん定食 1200ヴァリス→800ヴァリス
「うふふ、んふふふふふふ♪」
あぁ、嫌だわ。思わず声に出てしまったわ。
でも、しょうがないじゃ無い。こんな新しいオモチャを与えられたら神様も興奮するものよ?
私が今いるのはバベルの塔の最上階。
全ての人種や、
全面ガラス張りで全てが見通せて夜も綺麗なのだ。
でも何十年も見続けると飽きるものね。
前はあのゼウスとヘラがいて少しは楽しめたけど、今になっては唯一足元に及ぶかもしれないのはロキだけだろうけど、あそこの子達は愚直でつまらないわ。
いえ、あの金髪の子は見込みがありそうだけど、
私が
いつも通り面白いものがないかと、人間ウォッチをしようと地上を見下ろした時、思わず目を瞑ってしまった。
「…え?」
だって私が近くで見ようと双眼鏡で見る前から、明らかに一つだけ眩しいほどの光を放っていたのよ?
いつもはもっと近くで見ないと色も、形もよくわからないけど、この魂は驚くほどの光を放っていた。日中であるのによく見なくても分かるほどの大きな光。それも、金に近い紫色の光だ。
「ふふ、綺麗ね。一体コレはなんなのかしら」
そもそも金色の魂は人間、下界の子供達が持つことは本来ありえない。
金は神の象徴、明らかな上位の階位が持つ魂の色でなければありえないのだ。
偶然なんてありえない。
「あぁ、もっと近くで見せてちょうだい」
こんな面白いモノを、私が注目しないわけがないわ。
私は眩しさに目が慣れると、もっと近くで見たくなって
手を目の前に振るうと時空を破るように一瞬にして鏡が現れる。
この鏡は私たち神が使える基本的な力で、遠くから見たいものを見ることができるものだ。
本当は勝手に使ったら怒られるのだけど、そんなことどうでもいいわ。
私はそのまま光を放つ光源にピントを合わせて視線を向ける。
「…近くで見ても、本当に綺麗。見た目はエルフよね? エルフがこんな輝きを持つなんて…。うふふ、でもいいわ。この子はもう私の物よ」
鏡には紫色の髪をしたエルフが映る。
エルフであるせいか、顔は端正な作りをしており美少年と称しても問題ないほどだ。それに、下手をしたらそこらへんにいる美神に対抗できるかもしれない原石を持っている。
「顔も合格点よ。それに、この輝き…。でも今はまだ不合格ね。混ざり切ってないわ」
私は金色を放つ魂を包むような紫色の膜が、しっかり混ざり切っていないのに気がつく。赤と青がムラになっておりまだ綺麗な紫色を成していない。
それでも、もしもこの紫が綺麗な膜になったら?
眩しいほどの金色を、綺麗な紫で覆ったら?
それは今までにない程の魂になるかもしれない。
私には、なぜ金色の魂を持っているかなんて関係ない。
私はコレクターなの。
アレほどのレアを手に入れないなんてあり得ないわ。
「…私がその色を完璧にしてあげるわ。そしてもし、完璧になったら…」
あら? 流石ね。
私が鏡ごしに彼を見つめていると突然こちらに振り向き
鏡ごしの為、実際に視線が合うことなんてないけれど、それほど正確に私の視線と重なった。
彼の綺麗な、
視線が重なった瞬間に、私は思わず
「…あの瞳も綺麗ねぇ。んふふ。いいわ。すぐに完璧にしてあげるわ。うふふふ、ふふふふふ♪」
私は王座の様な椅子に座ると足を組んで思わず笑い声を上げてしまう。
「あぁ、最高のオモチャが来たわ」
空から降り注ぐ太陽の日差しが、白ドレスのスリットから覗く真っ白の足に当たって輝く。
さすが私、美の女神フレイヤね。
シミひとつない綺麗な肌。
これで堕ちない男はいなかったわ。
あの子は絶対私が手に入れるのよ。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「いらっしゃいませにゃぁー! みゃー1人でいいかにゃ?」
「え? はい、じゃぁ一人で」
両開きの木の板を押して中に入ると、開く時に出たキュィという音に気がついたのか店員さんが笑顔で近づいて来た。
どうやら猫型の獣人らしい。茶色のショートヘアに同じ色の耳と尻尾が生えた可愛らしい女の子だ。それに笑顔がよく似合っている。
あと少し変な格好をしている。緑のワンピースをベースにした制服に、フリフリしたカチューシャみたいなのを頭に付けた格好だ。別に可愛いから問題ないが、都会の店員はこういう格好なのだろうか。
いや、それよりあからさまに語尾が猫なんだが。まぁ、可愛いからいいけどさ。
僕は一瞬声が詰まってしまったが、そのまま彼女に案内されるようにカウンターへ向かった。
どうやらお昼時らしく中は冒険者らしき男たちが多く集っており、テーブル席は殆どが埋まっている。
僕を案内している猫の彼女以外の店員も忙しなく料理やジョッキを運んで大変そうだ。
「じゃぁ、ここに座っててにゃ。料理はここに書いてあるからさっさと選ぶにゃ」
彼女はメニュー表を渡すとそのまま注文が来るのを待っているらしく、尻尾をフリフリしながらこちらを覗き込んで来る。
そっか、これ早く決めなきゃいけないのか。
そこまでお腹減ってなかったからゆっくり決めたかったんだけどな。
僕は猫の彼女から渡されたメニュー表に目を落とす。
メニュー表には聞いた事ないような料理名がずらっと並んでおりよくわからない。
いや、唯どれもがが500ヴァリス前後で高いことだけが分かる。都会高くない? え、500ヴァリスとかモンスター50匹分くらい?
僕は今まで倒したモンスターの数に換算して、先ほどとは別の冷や汗を流してしまう。
「じゃ、じゃぁこのミノたんのステーキ定食で」
「みゃ? おみゃぁエルフなのにガッツリ肉なんだにゃ。 わかったにゃ!じゃぁ少し待ってるにゃ!」
「え? まぁお肉は好きですから…って、もう行っちゃったよ」
猫の彼女は一瞬目を丸くしながらも直ぐに大きく頷くと、尻尾を大きく振りながら厨房へ小走りで行った。
「元気だなぁ」
僕は去っていく彼女を尻目に店内を見渡す。
客が多いのは見るまでもないが、そこら彼処にいる店員は全員女性で、皆猫の彼女と同じ可愛らしい制服で身を包んでいる為、男の客が多い理由が少しわかった。
狙っているのか全員が一定以上の容姿をしており、一瞬そのような店かと思ってしまうが、僕も可愛らしい女性を見るのは嬉しいので気にしない。
そもそもが村に同年代の女性がいなく、これが女の子という生き物なのか、と少しずつテンションが上がってしまう。
まぁ、あからさまに見たりしないけどさ。
「…いい店だなぁ」
僕はどこからか聞こえる陽気な音楽に少し癒される。まだ日中であるのに酒を飲んで騒いでいる男がいるのに少し納得してしまう。
これじゃぁ、楽しい気分になっちゃうしね。
まぁでも、騒いじゃあダメだけどさ。
「…ふぅ。この後どうしようかなぁ」
僕は騒いでいる男が女性店員に頭をひっぱたかれて地面に叩きつけられたのを尻目に、前を向き直して一息つく。
普通に客も慣れているらしく、地面で気絶している男なんて気にならないのか、そのまま食事を続けている。
「取り敢えず宿を探して、後はファミリアを探さなきゃいけないからギルドに行くか?」
そもそも
まぁ聞いた話だと、神から刻まれる
まぁ、過ごしやすい、居心地がいいファミリアなら文句は無い。
ーーーなぁ、明後日にある
ーーーあぁ? そんなの、へファイストス・ファミリアだろ。
「フェアーフィリア? なんだそれ」
後ろのテーブルに座っている男たちの会話が聞こえてきた。二人組の冒険者が酒を交えて陽気な声で話している。
昼から飲んで大丈夫か、とは思ったがそれ以上に気になることを聞いた。
彼らが言うフェアーフィリアとは一体なんだろうか?
「むむむ、お祭りか? 優勝って言ってたし武闘会か何かか?」
いや、彼らは優勝するのがへファイストス・ファミリアと言っていた。
確かへファイストス・ファミリアは鍛治専門のファミリアのはず。なら、武器関連、鍛治関連のお祭りか何かかな?
お祭りと聞いてぜひとも参加したいとは思うが、そんな事をしている暇があるかどうかもわからないし、明後日までにファミリアを見つけられなきゃあお金も厳しいから働き先を探さなきゃいけないことになるかもしれない。
「お待たせにゃー。筋肉モリモリ、ミノたんのステーキ定食だにゃぁ」
「あ、ありがとうございます。うわぁ、美味しそうですね!」
考え事をしていると猫の彼女が僕が注文したミノたんを持ってきた。
僕の目の前には綺麗に焼かれた分厚いステーキが野菜と一緒に持っているお皿がある。
やっぱり高いだけはある。800ヴァリスもしたのだ、美味しくなくては困る。
思わずヨダレが出そうになるが、彼女が去って行く前に先ほどの疑問を聞いておきたい。
「あ、猫のお姉さん。聞きたいことがあるんですけどいいですか?」
「にゃ? 猫のお姉さんってウチのことにゃ? ウチはアーニャにゃ! ちゃんと覚えとくにゃ! 所でなんにゃ?」
名前を知らなかったのでそう呼んだが、どうやらアーニャさんと言うらしい。目の前でアーニャさんがプンプンと怒っているが、店員の名前を知ることなんて滅多に無いししょうがないじゃ無いか。
「明後日にあるフェアーフィリアってなんですか? お祭かなんかですか?」
「
やばい、何を言っているのかわからない。胸を張って、彼女の中では自信を持って説明しいているらしいが、武器を見る祭りってなんだよ。それだけじゃよくわかんないなぁ。
どうしよう。ここまで胸を張っているのだ、ここでどう言うことかを聞き直すと機嫌を悪くするかもしれない。
「アーニャ、それでは何も分かりませんよ」
なんて返答しようかと悩んでいると、横から女性の声がかかる。
いったい誰だと思い、声の先を向くとそこには綺麗なエルフがいた。
一瞬綺麗な声だなと思ったが、これでは納得してしまう。
エルフらしい端整な顔に、すらっとした身体がとても美しく感じる。
それ以上に、彼女が放つ気配が僕の神経に触れた。
まるで刃物、そう理性を持った野生生物を前にしたかのような鋭いモノを感じた。
強そうだなぁ。
「なんでにゃ! ウチはちゃんと説明したにゃ! にゃ?エルフのおみゃーもちゃんと分かったはずにゃ!」
「あ、あはは。そ、そうですね」
同僚らしいエルフの彼女のセリフに心外だと怒りを表すが、正直助かった。
このエルフの女性はしっかり説明してくれそうだし。
「それで、フェアリーフィリアって武器を見る祭りなんですか?」
「そうですね、正確には各ファミリアが作った武器をそれぞれ見せ合ってどれが一番か競う祭りです。評価項目は切れ味、美しさ、魔法伝導率ですね」
脇でアーニャさんがみゃぁみゃぁと鳴いているが、僕は気にせずに目の前のエルフさんの説明を聞く。
「ほぉ、そうなんですね。ありがとうございます」
「いぇ、私の同僚の失態ですので。それよりもアーニャそろそろ戻らないと大変ですよ」
失態というほどのことでも無いけど、エルフさんは優雅な動作で頭を下げた。
随分と礼儀正しい人だ。それに育ちがいいのかな? これが所謂お嬢様というやつかもしれない。
エルフさんがそのままアーニャに厨房の方を向かせると、アーニャさんが青い顔をする。先ほどまでの騒ぎようが嘘のようだ。
何事かと思い目を向けると、厨房にいる大きな女性が額に青筋を立てて笑顔でこちらを見ていた。
この店には鬼がいるのだろうか?
「にゃ、にゃにゃにゃ。じゃ、じゃぁ紫エルフ、ウチはもう戻るにゃ!」
アーニャさんがカクカクした動作でこちらに向き直ると、そのまま料理を持ってきたお盆を片手に去っていった。
あれじゃぁ、仕方ない。
僕は大きな女性を視界に入れないように、ミーシャさんを可哀想な目をして見送った。
「じゃぁ、私も仕事があるのでこれで」
「あぁ、ありがとうございました」
エルフさんも買い物帰りらしく茶色の袋を抱えて厨房の方に歩き出す。
そのまま僕も、まだ若干暖かいステーキを食べようとナイフに手を伸ばした時、エルフさんから声が聞こえた。
「…腰に挿した刀。随分な業物見たいですが、この時期は気をつけたほうがいい。時期も相まって盗人も活発になりますから」
彼女は振り返ることなく僕に忠告すると、そのままアーニャさんに続くように厨房に向かった。
「…
僕は彼女の忠告を口に出して再確認すると、再びステーキに手を伸ばした。
「あ、そう言えば、名前聞いてなかったな」
僕の小さな呟きが切った肉を片手に口から漏れた。
フレイヤ。
いいですよねぇ。
一応これで、ダリルとの接点を持たせるんですけど、ヒロインにしようか迷ってます。
一応まだ明かしていない設定では、ヒロインになってもいろいろと問題がない様になるんですけどねぇ。(⌒-⌒; )
あ、品評祭はオリジナルストーリーです。
ちなみに設定では、品評祭の時のベル君は、いろいろなファミリアに入団断られまくって宿に引きこもっている状態です。