畏れよ、我を   作:hi・mazin

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いつも誤字報告をして下さる皆様にはとても感謝しております。

本当にありがとうございます。




第十五話 イベントからは逃れられない。

あれからすぐにシルさんを発見した私は預かっていた財布を渡した。

 

どうやら彼女はちょうど買い物をして財布がないのに気付いたらしく、店の前で涙目になっていた。

 

そこに私が颯爽と現れ財布を渡すと言うファインプレーをしたお陰で大きな問題にはされなかった。

 

だがシルさん、私たちは初対面ではないのだから「どなたか存じませんがありがとうございます。」って言わないでよ。

 

私だよ、私。みんな大好きカメ子さんだよ。服が違うだけで印象はそんなに変わらないでしょ。

 

ああ、謝らないで!何かスゴくモヤモヤするから。

噂と違って話しやすい人なんですねだって?

 

え?全然印象が違う? かわいらしい!

・・・そっか・・・くふふふふ

え、恐ろしい顔しているって?

・・・笑顔なんですけど。

 

確かに私は見た目は闇ギルドの暗黒魔道士みたいで、目もハイライトがなくて死んだような目とか言われてるし、ダンジョンでは回避不可の呪いを振り撒いているけど根はいい子なの

 

・・・いや、これアカンやつや。

 

いや、まてよ! ここで誤解を解いたらこの世界初のお友達をゲット出来るかもしれない。

 

慎重に言葉を選ぶんだ私。ここが運命の分かれ道だ、私は誤解されやすいから変に言葉を飾らずストレートに行こうか。

 

「大丈夫。私は怖くない。ただ、私の平穏を乱すヤツは・・・呪う」

 

相手の目を見て真剣な顔して言ってやった。

どうだ、正解か!

 

シルさんは怯えた表情で一歩下がった。

 

あ、これ失敗したパターンや。

 

バカな!何処に失敗する要素があったと言うのだ!態度も表情も言葉も適切なはずだ!

 

く、ここは戦略的一時撤退だ。

 

それではシルさん、また近いうちにご飯食べにいきますからね。じゃさらだばー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出店で買い物をしているシル・フローヴァは困った状況に追い込まれていた。

 

「なぁ、姉ちゃんよ。冷やかしなら余所に行きなよ」

 

「ちょ、ちょっと待ってください!・・・確かに鞄にいれたはずなのに・・・」

 

鞄の中をガサゴソ探すが財布は見つからない。

出店の親父さんもイライラしてきたのか顔が険しくなり、後ろに並んでるお客様からの視線も痛い。

ああ、どうしよう。と焦っていると隣から財布が現れた。

 

「忘れ物、届けに来た。」

 

助かった~。そう思った彼女は手早くお会計を済ませて、財布を届けに来た恩人に向かい合う。

 

「どなたか存じませんがありがとうございます。あ、私シル・フローヴァと言います。」

 

「・・・知ってる・・・会ったことある」

 

「え?」

 

「私、カメ子。お店に誘われた。」

 

「え? え~!」

 

普段の怪しげな格好とはまるで違う出で立ちだが、よくよく見れば特徴的な髪の色、何の感情も読み取れない目

 

「ご、ごめんなさい!あまりにも普段の格好と違ってたから、つい」

 

「いい」

 

あまり表情や態度に変化はないように見えるが、よくよく観察してみれば、多少拗ねてるようにもみえる。

 

「今日の格好とてもかわいらしいですね。」

 

話題を変える為とはいえ少し露骨すぎたかな、思ったが

 

「くふふふふ」

 

彼女はそんなことには気付かないのかスカートの端をいじりながら小さく笑っていた。しかし。

 

「顔が怖い」

 

如何にも悪役がするような笑顔につい本音が出てしまった。しかし、彼女は気にしている様子はなかった。

 

その姿を見て噂は所詮噂に過ぎないのかと考えていたが、次の瞬間に彼女の雰囲気は一変した。

 

「大丈夫。私は怖くない。ただ、私の平穏を乱すヤツは・・・呪う」

 

そう言った彼女は先程の穏やかなものではなかった。

感情が全く読み取れない能面の様な顔。

こちらを見つめる瞳は全く熱が感じられない。

 

あまりの変わり様に自然と一歩後ろに下がってしまう。

 

そんなシル・フローヴァの姿を寂しそうに見つめる彼女は「また、ご飯、食べにいく」

そう言い残して走っていった。

 

残されたシル・フローヴァはカメ子という人物は噂通りの人か、それとも違うのかが判らなくなっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふう、思ったより簡単に用事がすんでしまった。

 

そして、すべてが終わった・・・

 

やはり私だけではお友達をゲットするのは難しいのかなぁ。

 

ベル君とか女神様をクッションにしないと私の苦悩は解消されないのか。

 

闘技場に到着したが約束の時間まであと一時間以上はある。

 

しかし、危険を回避すべく女神様とベル君から離れたけど時間が経てば経つほど・・・罪悪感がヤバイ!

 

今の私は自身の安全のために主神と家族を売り渡した最低野郎である。

 

しかし、このイベントはベル君の大切なパワーアップイベントであり、女神ヘスティアルートのフラグでもあり、女神フレイヤルートのフラグでもあり、シル・フローヴァルートのフラグでもあり、本命のアイズルートのフラグでもある。

 

そんな序盤のフラグを私が【畏れよ・我を】して台無しにしたら、ベル君になんてお詫びをしたらいいのだろう。

 

ここで頑張ってもらわないとベル君に残されているヒロインは・・・ひい、ふう、みい、よう

 

・・・あれ、けっこういっぱい残っている?

ええい! ハーレム型主人公のヒロインは底無しか!?

 

しかし、周りがイヤに騒がしいな。どうせ原作通りモンスターが逃げたしたのだろう。

 

武装した人達が闘技場の周りにいる人たちを避難させ始めていた。

 

流石は民衆の神ガネーシャ様だ。神としてのプライドより人々の安全を考えてる。

 

「そこのキミ! ここは危険だ 私と共に来なさい!」

 

おお、対応が早い。だが、狙われているのはうちのファミリアの男の子だから私たちには関係無いけど。

特に問題ないので私はいいです。

 

「何を言っているんだ!いいから来なさい!」

 

ちょっと強引に手を掴まれてしまった。どうやらこの青年は私を無理やり避難させる気だろう。

 

だが私はモンスターに襲われないという確固たる自信がある。

 

ついでに待ち会わせ場所から動きたくないという気持ちもある。

 

「くっ!! もうここまで来たのか!」

 

何か私が駄々こねてたらモンスターが現れ、私を避難誘導に来た青年は逃げ切れないと思ったようで私を掴んでた手を離し、背中の剣に手をかけた。

 

どうやらこの青年はそこまで強くはないようだ。青年の手は震えており、顔は青白くなっていた。

 

しかしそんなことはどうでもいい!

ついに私にも恋愛イベントの神が舞い降りたのだ!

 

儚げな少女を助けるために実力以上の敵に立ち向かう!

ベタでありがちな展開だが私は大満足です。

神様ありがとうございます!

 

背格好から多分年上、顔は渋くも甘くもないがイケメン。

 

ちゃんと私をモンスターから庇うように立つ姿もプラス要因。

 

いいよね、このままラブコメ時空に突入しても。

 

ベル君も女神様もラブコメしてるんだから私も便乗してもいいよね、いや、誰が何と言おうと私はこの青年とキャッウフフな関係になってやる。

 

「ぐわぁぁ!!」

 

ああ!? ちょっとトリップしてたらダーリン(仮)がモンスターに殴られて吹き飛んでいった!

 

おのれモンスターめ!勘違いばかりされて不幸ばかりの私にやっとめぐってきたチャンスを潰すなんて・・・許さんぞ

 

「キ、キミだけでも、に、逃げるんだ。」

 

おお、そんなにボロボロになっても私の心配をしてくれるなんて、まるでマンガのヒロインになった気分だよ。

 

でも大丈夫、私もボウケンシャーの端くれ、こんなピンチは慣れっこさ。

 

さて、このモンスターは女神フレイヤ様の魅了をうけた個体だったっけ?

それとも女神様を襲っている個体のみが魅了されていたんだっけ?

 

まあ、どっちでもいいや・・・【畏れよ、我を】

 

 

ガアガアガアガア!!!!!!??

 

くふふふふ。モンスターの恐怖に歪んだ顔はダンジョンでも街でも変わらないなぁ(ご満悦)

 

だが、このままだと逃げられる恐れがあるから、すぐにとどめをさす。

 

【命ず、自ら滅せよ】

 

・・・うぷ、グロい、吐きそう、血生臭い。

 

ああ、血が撒き散らされて周りに汚れが!

だが安心してほしい、この青年が落とした剣を持ちましてまだピクピク動いてるモンスターの胸部をグサグサ。

 

よし、魔石を破壊したお陰でグロ死体からゴミの山になった

 

さて、この剣をあの青年に返しますか。

 

そして始まるベル君にも負けないラブストーリー。

 

はいどーぞ(精一杯の笑顔)

 

「ひ、ひぃ!!た、助け」

 

なんか知らないうちにフラグが消滅してた。

 

解せぬ。

 

あれ? 何か周りの雰囲気も暗いね。私、勇敢にモンスターと戦ったよね?

 

あれか、私の魔法が主要メンバーの人達より地味だから私の魔法の凄さが分かりづらかったのかな。

 

う~ん、どうしようこの空気・・・よし、変なこと言って余計な勘違いされても困るから、私、カメ子はクールに去るぜ。

 

 

 




助けに来た青年+街の人から見たカメ子さん

①呪いで発狂するモンスターを見て「くふふふふ。モンスターの恐怖に歪んだ顔はダンジョンでも街でも変わらないぁ」発言

②自滅させたモンスターに剣を突き刺すオーバーキル行為

③言い訳も説明もなく立ち去る。


あれ? うちのオリ主、引き返せない所まで誤解されてへん

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