畏れよ、我を   作:hi・mazin

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何とか前回から一週間以内に投稿できた。

次回も頑張る。





第十九話 迷宮に潜む罠? 私は知ってるけどね。

 

 

 

ダンジョンにやって来ました。いや~サポーターって本当に便利!

 

ボウケンシャーである私はダンジョンに潜ったら取り敢えず採取、採伐、採掘を可能な限り行い、すぐにリュックサックを一杯にしてしまうんだけど、今回からはリリルカさんが加わったことでアイテム所持制限が増えたことで、何時もなら捨ててしまう低価値アイテムもバンバンリュックサックに詰め込んでいます。

 

無論モンスターの魔石やドロップアイテムも根こそぎ積めてます。この後のイベント(ナイフ盗難)はベル君に解決してもらう必要があるから、私はその間にアイテムの換金でもして暇を潰す気でいるから何時もより多めに取らないとね。

 

そして何時もより実りが良い状態でイベントが起こる地下七階層までやって来ました。

 

ベル君も七階層に来るのは二回目なので少し緊張してるかな?

 

あ、いや全く緊張してへんがな、それどころか新装備を試したくてウズウズしていますね。

 

それもそのはず、ここに来るまでのモンスターは私が全て【畏れよ、我を】からの【命ず、輩を喰らえ】に【命ず、自ら滅せよ】しちゃったせいで全然活躍出来てないもんね。

 

ごめんねベル君、でもこれは必要なことなんだ。今一緒にいるリリルカさんに私の魔法に早くなれてもらう必要があったんだ。

 

何故なら、私の魔法は初見さんにはちょっぴり刺激がキツイみたいで、すぐに私の事を悪者にするのです。

 

なので一階層からリリルカさんにはたっっっっぷり私の魔法の凄さを堪能してもらいました。

 

ベル君は私の魔法に慣れたもので、「カメ子さん、今日は張り切ってますね。」なんて普通に声をかけてくれたがリリルカさんは表面上は「うわ~ 流石はカメ子さんお強いです!」なんて言ってたが……お前顔中汗まみれだからな。いっさい動揺なんてしてませんよ、って顔してるけど笑顔ひきつってるぞ。

 

まあ、我らが主人公ベル君はそんなリリルカさんの変化なんて全く気づいていないようで「よし、次いきましょう」と意気揚々にダンジョンを進んでいく。

 

「やっぱり止めとけばよかった……」

 

なんて呟きが聞こえてきたがあえて聞こえないふりをする。

 

と言うか、私たちに関わった以上、キミのヒロインイベントを完遂するまでは絶対に逃がさないからね。

 

大丈夫、怖がることはないんだよ。私たち絶対にオトモダチになれると思うんだ……だから逃げようなんて考えないでね。

もしも逃げたりしたら…ゆるさないよ…

 

「っ! ベル様っ!」

 

リリルカさんの声を聞き現実に戻ってきたが…リリルカさんや、ベル君にだけ声を掛けるんじゃなくて私にも一声欲しかったなぁ。

まあ、そんなこと考えている余裕がないくらい蟻やら蛾やら兎やらがわらわら出てきましたね。

 

「いっ いきなり…」

 

なんて驚いていますけど…これ本当に驚いているんだろうか?

 

リリルカさんのサポーター歴は詳しくは判らないけど、私やベル君よりも長いはずである、そんな彼女が七階層のモンスターに群がられたくらいで動揺するかな?

 

「大丈夫。あれくらいだったら、何度も乗り越えている!」

 

うんその通り、確かに数は多いが、私の魔法的にはわらわら湧いて出る方がありがたいんですけどね(同士討ち)

 

ではベル君、いつも通りモンスターに突貫して撹乱をお願いね。

 

「はい、行きます!」

 

そう言い残しベル君はモンスターに向けて駆け出し、一番手前の蟻をぶった切り、背後から迫ってくる蛾を振り向きざまに一突きで倒し、そのままモンスターの集団に突撃していく。

その隙に私はモンスターの側面に回り込み、ベル君が先頭の蟻にナイフを突き立てた瞬間に合わせて魔法を放つ!

 

【畏れよ、我を】

 

その言葉と同時に、生き残っている蟻や兎やらから信じられないほどの大きさの金切り声が漏れ出していき、我先にこの場から離れようとベル君に対して背を向ける、もっとも、そんな隙だらけの姿をベル君が見逃すはずもなく、一匹ずつ確実に仕留められていく。

 

しかしベル君、こんな混沌とした戦場なのにしっかりと仲間を呼ぶ蟻から処理していくとは、なかなか現場での判断能力がついてきたんではないか?

原作と比べても、この世界線のベル君の戦闘能力はかなり高いのではないのかな。

 

あ、リリルカさんのこと忘れてたけど、彼女逃げ出してないよね。

 

そう思って周りを見回すと、リリルカさんはベル君の邪魔にならないようにモンスターの死骸を画面端まで運んでくれている。

うん、これならベル君も何も気にせずいけるだろう。

 

「わぁぁっ ベ、ベル様ー! また生まれましたぁ!」

 

確かに、リリルカさんのすぐ横の石柱にヒビが入り蟻の頭部が出てきている。

 

私が対処してもいいが、私が武器を構えるよりも早く、ベル君の飛び蹴りが炸裂し、石柱から生まれる前に蟻は絶命してしまったようだ。

 

うん分かっていたことだが、ベル君のステイタス高すぎじゃねえ?

私の方が先にボウケンシャーになったんだよ、ここまで戦闘力に差が出てくると笑えてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、モンスター討伐が済んだらお待ちかねの剥ぎ取りタイムとなります。

ここで変な物欲を持つとドロップアイテムの取得に大きな影響が出るから無心で剥ぎ取るべし、どの世界でも物欲センサーはキッチリ仕事してくれます。

 

「さーてと片付けちゃいましょう」

 

そう言ってリリルカさんは手際よくモンスターを捌いていく。

 

「へぇー、リリルカさん魔石の取り方上手だねぇ…」

 

「そんなことないですよベル様。リリにはこれくらいしか取り柄がありませんから」

 

おっと、二人の会話イベントが始まったみたいだから、リリルカさんがベル君のナイフを盗難する隙を作らないといけませんね。

 

下手に近くに寄らず、尚且つベル君の背後に回らない様にしないと、リリルカさんも安心して盗難出来ないだろう。

 

うん、仲間の装備が盗難されるのを知っておりながらそれを見逃す先輩ボウケンシャーの私、いくらヒロインイベントのためと言ってもリリルカさんの盗難に手を貸すような真似をすることになるとは、なんか、こう、腑に落ちない。

 

あと、最初の遭遇でリューさんが遅れてきたことも何か引っ掛かるんですよね。

 

もし、ナイフを取り返すイベントにもリューさんが遅刻したらナイフが返って来ない恐れがある。

 

それは不味い、リリルカさんのヒロインイベントが終わるだけでなく、ナイフの借金のみが残ってしまう。

 

うむむむ、しょうがない、盗難イベントにはなるべく関わらない様にしないとと思ったが万一を考えて参加しますか。

 

でも私、盗品なんかを横流しする違法店の場所なんて知らないんだけど(汗)

 

まあ、私は何かとトラブルに巻き込まれるから路地裏をウロチョロしてればエンカウントするはず。

 

リリルカさん。リューさんにエンカウントしたらリンゴ投擲から腹蹴りですみますけど、私とエンカウントしたら【畏れよ、我を】になりますから………お覚悟をお願いします。

 

おっと、モンスターの剥ぎ取りも会話イベントも終盤に差し掛かってきたようで二人はベル君のナイフと女神様の話題へとシフトしている。

 

ではここで……二人とも、私は少し向こうの様子を見てくる。

 

「えっ 今からですか?」

 

うん、ちょっぴり気になることがあってね。あ、石柱の蟻からも魔石を回収しておいて、勿体無いから…

 

そう言い残し、ベル君が引き留めるのも聞かずダンジョンの出口に向かって歩き始める。こうすれば、あとで合流するときにベル君の背後に回らないで良いから、リリルカさんもその方が都合が良いだろう。

 

ちょっぴり歩いてから壁に隠れながら二人の様子を覗き見る。

ちょっと高めの位置にいる蟻の腹にナイフを差し込んで悪戦苦闘するベル君。

 

人の良い笑顔から、誰も信じていないような冷たい目になったリリルカさんは無防備なベル君のお腰のナイフを鞘から抜き取り懐にしまいこむ。

 

そんな二人を隠れて見ている私は事が終わったと同時に二人のもとに戻っていく。

 

「カメ子さん、一人離れて何をしてたんですか?」

 

ナニをしてたんじゃなくて、ナニをされるのを見てたんです。

 

まあ、ベル君に感づかれてもいけないし、なるべく視線を合わせないように立ち回らないとね。

 

「さて、ベル様、カメ子様。今日はこれくらいにしましょうか」

 

「えっ、もう? 僕はまだ余裕があるけど…」

 

おう、同意を求めるような視線を向けんなや、リリルカさんは窃盗がバレる前にトンズラしたいんだよ。

 

「いえいえ、それは油断です。今日倒したパープルモスは毒鱗粉を撒き散らします、即効性こそありませんが何度も浴びれば『毒』の症状が発生します」

 

何度も浴びないと『毒』にならないなんて……なんて温いんだ。

 

世界樹の迷宮の『毒』に慣れ親しんだボウケンシャーにしてみればヌルゲーすぎる。

 

「うっ 嘘!?」

 

「本当です。愚鈍なリリは解毒剤をきらしておりまして……」

 

おう、だからこっちみんなや。そんな顔しても私も解毒剤持ってないからね(三本持ってる)

 

「ど、毒かぁ…カメ子さんも解毒剤持ってないから、帰り道は全力で行かないと…」

 

すんごく深刻な顔してるけど…何度も浴びなければいいだけの話だからね。

 

「大丈夫ですベル様! 他の冒険者様の通った道を逆戻りすればモンスターはいません。人のいるところを選べばモンスターとの遭遇はゼロになります!」

 

私にはベル君にお腰のナイフを意識させないようにしようとしてるのが丸分かりだがベル君はしきりに感心している。

 

さて、リリルカさんが動きやすいように私が先頭を歩くことを提案しますか。

 

リリルカさんは「えっ、いいんですか!」なんて言って驚いていた。

私はリリルカさんの肩に手を置きながら耳元で「その方が都合がいいでしょ」と呟くとビクッと一瞬震え、「なんのことでしょうか?」なんて言ってきた。

 

不味い、ちょっぴり核心をつきすぎたようだ。

ここで私に不信感を持たれるのも不味いので「んっ? 私が先頭の方が不慮の事故に対処しやすいと思った」と惚けると目に見えてホッとした表情になった。

 

さあ二人とも地上に帰りましょう!あ、リリルカさん、報酬は入る前に話した通り全体の三割でよろしいですか?

 

 

 

 

 





リリ
「ヨッシャ!やり遂げた! 急いで換金しなくちゃ」

カメ子ちゃん
「ふふふふ、逃がさないって言ったじゃない。私達はずっと一緒だよ」

ベル君
「リリもカメ子さんも凄く頼りになるなぁ 僕も頑張らなくちゃ!」

多分みんなこんなことを考えています。



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