よし、順調に更新できてるぞ。
これからもがんばるぞ。
【
簡単に説明すると読むだけでどんなに才能が欠落した無能でも魔法が覚えられるという奇跡のような本である。
もちろんその価値に見合った価格があり、一般冒険者にはとても手が出せない高価なものである。
しかし、
「なら、気晴らしに読書なんていかがでしょう?」
「読書…」
「本の世界に触れて胸が躍りだせば今の気分を一新できるかもしれませんよ?」
良かった~、原作通りの読書を勧めてくれましたね。一応シルさんとの縁を切らさないよう毎日お弁当をたかりに来たかいがありましたね。
いや、この言い方は語弊があるな。
え~と、シルさんの恋路を応援してたかいがありましたね、かな?
まぁ、私も毎日お弁当作ってベル君に持たせてますけどね。
いや、誤解しないでください、ベル君も成長期の少年らしく結構食べるのでシルさんのお弁当1個では足りない時があるみたいなのですよ、だから私の分のお弁当を少し多めに作って持って行ってるだけですので、そこんとこよろしく。
それはさて置き、原作通り希少性が高く価値のある魔導書を我らの主人公のベル君は女の子を口説き落とすだけで手に入れるようです。
「実はこの本お客様の忘れ物なんですけど…」
ほう、忘れ物ですか? まぁ、とある女神様がベル君に読ますために用意したものだし、ある意味落とし主はベル君になるかなぁ。
「えっ、だったらダメなんじゃ…」
だーかーらーとある女神様がベル君のために用意したものだから実質ベル君の落とし物なの、まあ頭の中でそう言うだけで実際には口に出さないカメ子ちゃんなのである。
「ちゃんと返して頂ければ問題ありません…」
でもこれ一回使ったら効果がなくなるタイプですよ、ベル君もシルさんもそこんとこ分かってるんだろうか?
「…減るものではないですし、これはきっと冒険者様の本ですからベルさんのお役に立つことが載ってるかもしれません」
原作通り分かってなかった(汗)
ヤバイですよ、こんな高価なもの使ったら私たちの稼ぎじゃ返せないよ、一応貯金も少しあるけど最近女神様のドレス買ったり、お洋服買ったりしてたから残高が減ってるから弁償代が足りないかも知れない、そうなれば本代を返すためどこからか借金しなきゃならなくなって借金生活の始まりだよ。
あ、いや、借金生活なのは今更か。ベル君は気づいてないし女神様は内緒にしているけど、ベル君のナイフ代のせいで我が家は火の車通り越して火炎車の借金生活でした(ウケル)
う~ん、どちらも結果的に私は払わなくても良いだろうけど精神的に辛いですよこれ。
「…私にはこんなことしかできませんから、ベルさんどうか受け取ってもらえませんか?」
照れ顔で本を差し出すシルさん、ベル君も若干顔を赤くしながら受け取りました。
そして実はベル君の隣に座って果実水を飲みながらその様子を黙ってみている私。
原作通りの光景だが若干空気になりつつある私は、何かイライラしたので果実水をストローで一気に飲み干し漫画やアニメでよく聞くジュゾゾゾオと音を上げて飲み干した。
「うわっ!びっくりした、どうかしたんですかカメ子さん?」
どうかしたって? いつまでも続くキミたちの甘い空気を断ち切ってあげたんですよ。
「あ、甘い空気って、もう、からかわないでくださいカメ子さん」
「そ、そうですよ、別に僕はそんなつもりは…」
ふ(余裕の笑み) 顔を赤くしながら否定しても説得力ないですよ。しかし昨日のダンジョンと言い今日のこの言い回しと言い、私コミュ力アップしてない。
今までの勘違いされキャラとは一線を画してない?
「もう、カメ子さんったら、どこでそんな言葉を覚えたんですか」
おやシルさん、そんなこと聞いちゃいますか? 流れに乗ってきている私に聞いちゃいますか? だったら答えてあげますよ「本のなかで…」ドヤァ!
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という感じで中々和やかな雰囲気で酒場から帰ってきた私たちはさっそく読書を開始するのである。
ベル君はソファーに座りながら机に向かい本の表紙をじっと見つめている。
私はその隣にちょこんと座りベル君が魔導書を読んで倒れた時に備えて待機している。
「受け取っちゃった…今さら悩んでもしょうがない…とりあえず読んでみよう…」
フムフム、なるほど、確かに
今更ですが私はこの世界の読み書きができます、どうやら私を転生させてくれた神様はそこんとこのバックアップは完璧らしく全く違和感なく日常生活を送れています。
そんな異世界チートをもってしてもこの本の内容は分からない、やはり文字という体裁をとっているがこれは何かしらの魔術を発動させる公式図みたいなものなんだろうか?
その証拠に本を見ているベル君は何か汗かきながらふらついてるけど、横でのぞき見している私にはそんな体調不良は見られない。
そんなこんなしてる内にベル君は眠るように机に倒れこんだし私は自分が着ているマントを脱ぎベル君に被せた、これで万が一にも風邪などは引かないだろう。
本は最初は何の変化も見られなかったが、時間がたつにつれて文字みたいなのが消えていく。
ふーん、どうやら時間をかけてベル君に魔法をダウンロードしてるみたいだね。
さて新しいお話が始まるまで時間があるし、今のうちに家事を終わらせてベル君の装備の整備でもしますかな、どうせこの後魔法の威力が知りたくて一人でダンジョンに行っちゃうんだし、せめて装備だけでも万全にしといてあげますか。
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「ただいま~! ベル君、カメ子君いい子にしてたかい?」
お、女神様がご帰宅されたみたいだ。しかもお夕食が出来たと同時に帰ってくるなんてタイミングが神がかってるなぁ、いや、神様だったわ。
おかえりなさい女神様、お夕飯の出来てますよ、今からご用意いたしましょうか?
「おいおい忘れたのかい、今日はステイタスを更新するって言っただろう?」
あ~そうでしたね、こうしんびでしたねなにかあたらしいスキルがはつげんしてるかなあ(棒)
「ふふふ、新たに発現してるかどうかは更新してみないと分からないなぁ…ところでベル君の姿が見えないけど何処にいるんだい」
あ~ベル君なら向こうで本を見ながら寝落ちしてますよ、女神様も帰ってきたしまだ寝てるなら起こさなきゃね。
・
・
・
「ベル君…ベル君っ!起きたまえ」
は~、やっぱりまだ寝てたよ、魔導書の内容はダウンロードし終わったかい? この魔法はキミが憧れている人との縁をより深くするものだからしっかりしなさいよ。
「あ、………か、神様…それにカメ子さん…」
はいはい私だよ、よく眠れたかいベル君?
「そうだよボクだ。こんなところで寝ちゃって、まったく……マントを貸してくれたカメ子君にはちゃんとお礼を言うんだぞ」
「え? あ! マントありがとうございます」
いえいえ、どういたしまして。いつも使ってるやつだから汗臭くなかった?
「い、いえ! 全然臭くないです! むしろいい匂いでした…あ、いやなんでもないです!」
おっ、おう、私は難聴系オリ主ではないから最後までしっかり聞こえたが、まあベル君が不快でなかったらいいや。早速渡されたマントを着込んでフードを被れば、あっというまに【カースメーカー♀】の出来上がりってね。
「二人とも話は済んだかい? さあ、更新するよ!」
「あ、はい 今行きます」
ベッドをポフポフ叩きながら催促する女神様に服を脱ぎ始めるベル君、その隙に魔導書を確認したところ、見事に全ページ真っ白だったので無事に魔法をダウンロード出来たようだ。
「カメ子君から聞いたよ、知り合いから本を借りたそうじゃないか。後で僕にも見せてくれよ、あんな古めかしい本あまりお目にかかったことがないんだ」
すみません女神様、もう真っ白でメモ用紙か日記帳にするくらいしか利用価値がなくなってます。
何時も通り女神様とベル君はイチャイチャしながらステイタス更新を始めた。
「…ま、魔法…魔法が発現した」
どうやら原作通りのようだ、となれば次は。
「え…ええええ!!」
やはりベル君は驚きを隠せずガバっと上半身を勢いよくのけぞらせ、腰あたりに座っていた女神様はその反動でバランスを崩しベッドの下に転がり落ちていく。
何てさせる訳にはいかないので完璧なヘッドスライディングを決め女神様のクッションになることに成功し女神様は無傷で私はおでこを強打したようでジンジンする。
「おおお!カメ子君ボクをかばってこんなっ!しっかりするんだ!」
ああ女神様、貴女が無事でよかった。ちょっと痛かったけど大丈夫ですよ。
「かっ神様、本当ですかっ!? 魔法ですよっ!? 僕魔法が使えるようになりました!」
「うん、大げさ…って言うには野暮だね、おめでとうベル君……でももうちょっと周りを気にしようか」
「あわわわ、すみません神様、カメ子さん、怪我はないですか!?」
ないです。そんな事より、女神様から魔法について聞きなされ、そして好奇心を抑えきれずダンジョンに突撃しキミの憧れの人とのフラグを立ててきなさい。
私は女神様の話に一喜一憂するベル君を見ながら笑みを浮かべるのであった。
【次回】、ベル君ダンジョンで魔力枯渇で気絶で大ピンチ! でも憧れの人に助けられたから問題なし。カメ子ちゃんは最初から最後まで見てるだけで助ける気なし。