畏れよ、我を   作:hi・mazin

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思いのほか早く投稿できました

このくらいの文字数の方が私的に楽でいいです


第三話 誤解しないでいただきたい。私は怖くないです

 

 

原作主人公がもうすぐやって来る。そう確信した私はお金を稼ぐために今日も元気に迷宮に潜っていく。

 

もっとも、私はモンスターを仕留めるのが苦手なので、協力して潜ってくれるファミリアを募集してもらったが、一週間たっても応募がゼロだった。

 

解せぬ。

 

仕方がないから今日も一人寂しく潜ってます。え、ソロで潜るのは危険だと受付のお姉さんに止められなかったのかって?

 

もちろん最初は止められたさ、だが、私はそんじゃそこらの無謀系オリ主ではない、ボウケンシャーなのだ。

ダンジョンについての知識講義、低階層の地図作成の依頼、採取依頼、モンスターの討伐テスト、などなど。

大よそスキップされるであろうチュートリアルを真面目にこなし「冒険者は冒険をしてはいけない」が口癖の担当のお姉さんに「素行に問題なし。」とお墨付きを貰っているため、ある程度ソロで動き回っても問題はないのだ。

 

あ、主人公君はチュートリアルをほぼガン無視して無謀なことばかりしているから、同じファミリアになる予定の私はとばっちりで怒られるんじゃないだろうか。

「新人の手綱をちゃんと握りなさい」って感じに・・・ああ、なんか、その場面がリアルに想像できる。

今の私に苦労性属性まで追加されたら、キャラ盛りすぎって言われそう。

 

おっと、前方から狼タイプの敵三体接近中。

気づくのが早かったお陰で余裕で余裕で魔法が撃てる。

もっとも、私の魔法は主要人物みたいに派手さは全くないけどね。

 

さて、せーーーの【畏れよ、我を】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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その日の迷宮はなんだか少しおかしかった。いや、迷宮はいつもおかしく不思議に満ちているが今日は特別だった。

 

その日は実地訓練の総仕上げとしてファミリアの先輩の先導のもと新人多数のチームで潜っていた。

 

新人の俺らはこの実地訓練で合格を貰えれば自由に迷宮に行くことを許されるため皆必死になっていた。

 

しかし、第三階層に入ってから、急にモンスターの様子が変わった。

 

別に急に強くなったとか、イレギュラーが発生したとかじゃないんだが、なんと言うか・・・出会うモンスターが例外なく何か【恐ろしいもの】から逃げてきたかのように恐怖で顔が歪んでいた。

 

もちろん、まともな精神状態でないモンスターを屠るのは訓練を積んできた俺らにとっては造作もなかった。

だが、先輩だけはこの異常の原因に心当たりがあるらしく、厳つい顔を歪めていた。

そして、曲がり角の奥を確認した先輩が急に訓練の中止を宣言した。

 

もちろん、此処まで順調に来ていた俺らは反対し、まだやれるとアピールしたが先輩は「イカれ女」がいるから駄目だと口にする。

 

「イカれ女」―――それは神々の神会でつけられた渾名ではなく、一部の冒険者がある女性冒険者を貶めるためにつけた渾名だと記憶していた。

 

真面目な先輩がそんな人を辱しめる渾名を口にしたことに少しショックを受けたが、なぜ、彼女がいると駄目なのかどうしても納得ができない俺は先輩が確認していた曲がり角の向うを覗いてみた。

 

先輩が「馬鹿! よせ!」と俺の肩を掴むが俺はその手を振り払い好奇心の赴くまま彼女を視界に入れる。

 

ああ、先輩の言うことを聞いていればよかった、そうすれば、あんな光景見なくてもすんだのに。

 

曲がり角の向こうでは、狼型のモンスターが狂ったようにお互いを喰い合い、鮮血をまき散らしていた。

だがオカシイ、互いを喰い合っているモンスターはまったく悲鳴をあげていない、それどころか、どこか喜々としてお互いの肉を喰い破っていた。

 

そんな狂気の中心で歪んだ笑みを浮かべる少女の姿に俺は悲鳴を上げそうになるが後ろから先輩が俺の口を塞ぎ皆の元に引きずって行ってくれた。

その後どうやって帰ったか全く覚えていないが、あの少女の歪んだ笑顔が・・・・

 

【今でも頭から離れない・・・】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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地上に無事に帰ってきた私は久しぶりに手に入れた魔石と毛皮のドロップアイテムを換金するために、冒険者組合で清算を待っていた。

 

いや~久しぶりに【畏れよ、我を】で逃げ出さないモンスターがいたから【命ず、輩を喰らえ】で同士討ちにしてやったぜ。

魔石にドロップ品美味しいです。

 

もっとも、ゲームと違い、かなりグロテスクなのは未だに馴れず、同士討ちの様子をひきつった笑顔で見つめていたが、あれじゃダメだ。

目の前の光景に目を奪われ、周りをまったく警戒出来ていなかった。あんな棒立ち状態を晒していては後ろから奇襲してくださいと言っているものだ。

 

あんな無様な姿を晒さない様に自身のグロ耐性を鍛えよう。

しかし、グロ耐性ってどうやって鍛えたらいいんだろう?

また鶏を〆るか。

うん、良いかもしれない、メタメタに切り裂くように調理すればグロ耐性を強化出来るし、お肉も手に入る、一石二鳥だな

でも、女神様に見つからないようにしないとな、そんな様子を見られたら食べ物で遊ぶなと怒るかもしれない。

 

 

あと、私の冒険に協力してくれる人はゼロだったので掲示板に張ってた募集用紙を破いて捨てた。

だが、なぜ私が紙を破ったくらいでみんなびくってなるんだよ。

別に募集が来なかったのでイライラしているわけじゃないよ。

 

破いて丸めた紙をゴミ箱にシュート! 超エキサイティング!!

 

あ、清算終わりました? 三万ヴァリス。え、いいんですかこんな大金いただいて。

やったぜ、今晩は久しぶりにジャガ丸君以外が食卓に並ぶぜ。

 

あ、女神様が迎えに来てくれている。みてみて女神様、今日はいっぱい稼げたよ、だから私を褒めてもいいんだよ。

 

・・・なんでそんな悲しそうな顔をするんですか、私なんか悪い事しました?

 

 

 





女神ヘスティアが悲しんだ理由

薄幸系の眷属が返り血まみれて帰ってきて、「お金・・・稼いだ・・・褒めて」
と儚げに笑ったから

ギルドの皆が引いていたのも同じ理由

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