朗報
【ペイントレード】大人気!! これは本編登場か番外編登場かで迷う。
しかし、皆さんは勘違いをしている、ダンジョンはソロで潜るものではなく、パーティーを組んで潜るものなのである。
耐性がある敵が出てきたら無理に戦わず、逃げるかアイテム係になればいいんだよ。無理して全滅したら「やべぇ、最後にセーブしたの何時だっけ?」になっちゃうぞ。
ベル君加入から半月が経ちました。最初のころは私の魔法で怯えて発狂したモンスターにビビってたベル君でしたが。
「ふぅ、今日はあまり逃がさず倒せましたね。」
今ではすっかり怯えたモンスターの処理に慣れ、ほぼ逃がすことなく殲滅してくれています。
いや、それでいいのか主人公。やっていることは【英雄】ってより【暗殺者】とか【始末屋】っぽいぞ。
おい、なに普通に魔石を拾ってるんだ。少しは違和感を持てよ。お前が目指しているモノとは180度違う道を走ってんだぞ。
ちょっと、これ、やばいよ、やばいよ。これってもしかしなくても私のせいだよね。どうにかして、軌道修正しないと彼の人生が壊れちゃ~う(滝汗)
ついでに原作の流れもおじゃんになっちゃ~う、そのせいで助かる人が助からなくなって悲惨なことになっちゃ~う。
「ん? カメ子さん、考え事ですか?ダンジョンの中でぼ~っとしてちゃ危ないですよ」
んなことわかってるよ。ああ、うまいこと軌道修正できるいいアイディアないかなぁ。いっそのこともの凄いピンチに陥って、ベル君超絶覚醒って美味い話、ないかなぁ。
ん?、なんかそんな感じのイベントが序盤にあったような……なかったような……あったとしても私のせいでもう潰れてしまってる可能性も無きにあらずかも……
「うわぁぁあぁあぁ!!」
うっさい! 今私は世界の事を考えているんだ。そんな驚愕と恐怖の混じった悲鳴を上げたって私は構ってあげない…うわぁぁぁぁぁ!!いきなり手を掴むな! 引っ張るな!! 走るな! ころんじゃうだろ!
何時もより必死になって私の手を引きながら逃げるなんて、何があったの!? 状況を説明して!?
ブモォォォォッ!!
って!ミノタウロス!? ミノタウロスなんで!? ここ地下5階層だよ、階層間違ってない?アナタはもっと下層で出現するモンスターでしょう? 何でここにいるの!?
ん、でもコイツ、もう恐慌状態になってんじゃない。これは美味しい相手だ。最初から状態異常になってるなんて私に潰してほしいって言ってるものじゃないか。
ちょっとベル君ストップ。私、コイツ、潰す。お~け~?
「ウワァァァァァッ!! だ、だれかっ!!」
あ、駄目だ、こっちも恐慌状態で話せる状態じゃないです。コンタクト不可状態ですわ。
もう、ベル君こんな偶発的遭遇戦ぐらいで取り乱すなんて情けない。格上のFOEと不意に遭遇する事はボウケンシャーでは当たり前なんだ。だから冷静に行動する事がだいじなんだ。慌てず相手の行動パターンを把握し、戦力差を分析し、回避経路を頭に描きながら行動…って行き止まりかよ!!
もう!私の話を聞いてなかったの? 逃げ道を確認するのもボウケンシャーの必須項目なんだぞ。
まぁ、今回は私が対処可能だったから良かったもの次からは気を付けるように。
では……【命ず、自ら滅せ…】っキャ、私に抱き着くな! 腰に手を回すな! 胸に顔を埋めるな!紙耐久の私に力いっぱいくっ付くな!
…と言うか…苦しい。ちょっとベル君、今身体からメキって音がしたんだけどアナタ怖がりすぎじゃないですか?
それによく見てみなさい、あのミノタウロス、私たちなんか眼中にないって感じだから横に避けたら意外と大丈夫かもよ。
あ、さらに力を込められて、もはや抱き着くと言うレベルではなく、サバ折りに近いかもしれないなぁ。
このままではミノタウロスに殺されるより先にベル君にしめ殺されるのが先かもしれない。
女神様、先立つ不孝をお許しください。キッチンに鶏を捌いて置いていますので晩御飯にどうぞ……
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ブモォォォォッ!!
……ブェッ!! クサ! 生臭! なにこれ血? ベル君にしがみ付かれて一瞬気を失っていたら、いきなり生絞り生血をぶっかけられた!
ペッ、ペッ。口に入っちゃった、生臭くて気持ち悪い。 ……誰だ、この私に血のシャワーをプレゼントしてくれた奴は、これは訴訟も辞さない。
「…あの、大丈夫ですか?」
ん、どこかで聞いたことのある声だな? ベル君この声はだれだっけ?
「うわぁぁぁぁ」
…ワ~オ、私を置き去りにして走っていっちゃったよ、一体どうしたんだ、今日のキミはちょっと情緒不安定すぎひん。
「…カメ子…さん?」
ん、私を知ってるのか、どこのどなたさんです?って、お前は!
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「…あの、大丈夫ですか?」
「うわぁぁぁぁ」
遠征帰りに上層へと逃がしてしまったミノタウロスを倒したアイズ・ヴァレンシュタインは被害者と思しき少年に声を掛けたが…逃げられてしまった。
急に奇声を上げながら走り去った少年?に多少驚いたがこれで上層に逃げて行ったモンスターの討伐は終わり。ふぅ、とため息が漏れたところで、まだだれか残っている事に気が付いた。
残っていた人も、先ほどの少年と同じく血まみれになっていたが、さほど動揺している様には見えなかった。
と、いうか。その人物には見覚えがあった。
「…カメ子…さん?」
「ん…」
「あの、大丈夫ですか?」
「大丈夫、問題ない」
その言葉通り、見た感じ彼女は負傷しているようには見えなかった。しかし、彼女はレベル1だったはずだ、格上のモンスターであるミノタウロスに襲われていたのに、なぜ彼女はそんなに平静を保っていられるのだろう。
ちょうどいい機会だ、ロキ・ファミリアで別れてからもう一度話したいと思っていたところである。もう少ししたら仲間が追いついてくるはずなので、安全を確保出来たら話をしてみよう。そう考えていると後ろからモンスターの気配が近づいてくる。
「追い込んだ! アイズそいつで最後だ!」
聞こえてきた団長の言葉通り半狂乱のミノタウロスが視界に入った、この距離ならそばにいる彼女に近づく前に倒すことが可能だろう。
「…下がっていて」
そう彼女に促すが、彼女はどこ吹く風とばかりにアイズの言葉に従わず、
「私が、やる」
アイズはレベル1には無茶だ、と思う反面、いろいろと噂の絶えない彼女の実力が見れるかもしれない、という期待も抱いていた。
もしかすると、彼女の戦い方が自分のレベルupに活かせるかもしれないという気持ちもあり彼女の行動を黙認した。
そして彼女は呟く……【命ず、自ら滅せよ】と……
そして、とても恐ろしいことが起こった。
半狂乱のミノタウロスが急に動きを止め、その両腕を自らの腹に突き刺した。
ぐちゃぐちゃとナニかをかき回す音がダンジョンに木霊する。
自らの腹の中を掻きまわしているミノタウロスは痛みを感じていない。いや、それどころか口角を釣り上げ笑っているように見える。
腹から臓物を掻きだした…奴は笑っている。
出血量がさらに増え足元の血だまりがさらに広かる…奴は嗤っている。
ついには身体から魔石を抉りだす…灰になる瞬間まで…ヤツハワラッテイタ。
いつの間にか合流していたロキ・ファミリアの仲間たちは呆然とその光景を眺めているだけだった。
「ふふふ」
誰もが絶句する中、その笑い声はアイズの後ろから聞こえてくる。
嗤っていたのは彼女だった、今までの無表情ではなく酷く歪んだ笑顔で佇んでいた。
彼女が歩き出し、ミノタウロスの魔石とドロップ品を拾い上げる。
「私が…倒した…だからもらう」
そう言い残し、彼女は立ち去って行く、誰も彼女を止めようとしなかった、しかし…
「おい! 待てよイカレ女!」
ベートの怒声に彼女は歩みを止め振り返る。
「お前はなんの目的でダンジョンに潜ってんだよ!」
ベートの言葉に足を止め此方に振り向いた彼女は一瞬何かを考える素振りを見せたが、すぐに答えた。
「愉しむため」
そう答え、笑顔を見せる。しかし、その顔は先ほどのように歪んではいなく、普通の笑顔だった。
一体、どちらの笑顔が本当の彼女だろう…
話は終わりとばかりに去っていく彼女の背中を見送りながらアイズはまた話せなかったと少しガッカリした。
次回、『ベル君、カメ子とダンジョン行かないってよ』
え? なんで? 私のどこが不満なの? 私、貴方のためならどんな奴だって恐怖のどん底に叩き込める自信があるよ。
ふふふ、逃がさない、貴方は私の愉しみの一つなんだから…
そーゆーとこだぞ。