畏れよ、我を   作:hi・mazin

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毎日、毎日。暑くて苦しい。世界樹の新作を早くプレイしたい。




第八話 私って、もしかしてヤバい子ですか?

 

 

 

ふう~、さっぱりした。やっぱダンジョンから帰りのシャワーは最高ですね。なんせ今回は頭からミノタウロスの生血シャワーを浴びたからね、地上に帰るまで生臭いし血で服はベトベトだったし、おまけに地上に帰れば職員の人に悲鳴を上げられるし、他の冒険者も私の姿を見てドン引で散々だわ。私は大丈夫だよ~と笑顔で人畜無害ぷりをアピールしたから変な誤解はされてないと思う。

 

おかげで着替えの服を自費で買うはめになってしまった。くぅ、普通の服なんか着たら私のアイデンティティーが…私の個性が…失われてしまうのに…無念。

 

ま、それを差し引いてもお釣りがくる儲けがあったから懐はそんなに痛まないけどね。

 

なんせミノタウロスの魔石とドロップアイテムだよ、アイテムがドロップしたのが見えた瞬間声に出して笑ってしまったよ。

 

そのせいでちょうど周りにいたロキ・ファミリアの皆様にドン引きされてたがな。ちゃうねん、私たちの様な弱小ファミリアはあれだけで数週間生活できる収入なの、ちょっと声に出して笑ったくらいでそんなに引かないでよ。

 

帰り際にまたベートさんに絡まれて、『なにが目的だ~』って絡まれたからちょっとカッコつけて「愉しむため」って答えてしまった。

 

正直、厨二すぎる発言をしてしまって恥ずかしい。今後どういう顔してロキ・ファミリアの面々に会えばいいか分からない、会うたびに『よ、愉しんでるか~(笑)』などと煽られると、私は…私は…恥ずかしすぎて死ぬかもしれない。

 

おっと、そういえばこの後担当職員のエイナさんから呼び出しを受けていたんだ、まぁ、十中八九、ベル君の事だと思う。なんせダンジョンで別れたっきり一度も会ってないもん、先に帰ってるんなら待っててほしかったよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ダメじゃないの! 新人連れて五階層まで潜るなんて。貴女だってまだレベル1なんだから。いつも言ってるでしょ?冒険者は冒険しちゃダメだって」

 

はい…返す言葉もございません。私も前衛がいるからと調子にのってました。

 

「貴女は凄い幸運なんだよ?まだレベル1の冒険者がミノタウロスに襲われて生きて帰れたんだから」

 

確かに、いくら私の魔法が強くても私自身は紙装甲な貧弱ボディ。一撃でも攻撃を食らったらアウトだろうなぁ。

やっぱりダンジョンを攻略するためにもステイタスの強化は必須だな。

 

とは言っても、我がボディは異界の神から与えられたモノとは言え、身体能力は冒険者としては平均的であり、一年近くダンジョンに潜ってもレベルは上がらず、ステイタスも【魔力】の上昇値は高いがそれ以外は低ステイタスである。しかし、最近ステイタスの更新をしていない、もしかしたらレベルアップ条件を満たしているかもしれないから帰ったら女神様に更新をお願いしよう。

 

「ベル君も先に帰っちゃったし、貴女も今日は帰りなさい。」

 

はい、お世話になりました…って、エイナさん、血で汚れた『カースメーカー』装備を抱えてどこに行くのですか?

 

「どこって? 前から言っていますけど、いい加減にこの拘束具を身に着けるのはやめなさい。」

 

ええええええええええ!! 何言ってますの、その服は私の全てなんですよ! お願いですから返してください!

 

おお、縋りついて懇願したら返してくれたぞ。やっぱり誠意って大事だな…ちょっとみっともなかったが仕方がない。こればっかりは捨てるわけにはいかないからね。

 

おお、我がアイデンティティーお帰り、帰ったら綺麗に洗濯してあげるからね、手錠は錆びないようにしっかりと水気を取って錆び止めスプレーを掛けてあげるからね。

 

ん。エイナさん、そんな悲しそうな顔で私を見てどうしたんですか? 私何かしましたか? え、これを捨てる気はないのかって? ありませんよ。この拘束具はとても大事なものなんです、替えのきかないものなんです。

分かってくれましたか?

 

あれ? 自分で言っといてなんですが…これってもしかしなくても、私、危ない子みたいじゃない?

拘束具を後生大事にし決して捨てようともせず毎日着てダンジョンに向かう子、捨てられそうになったら必死なって抵抗をする。

 

…ああ、これは『カースメーカー』を知らない人に誤解されますね。

 

ま、まずい! 誤解を…誤解を解かねば。

 

違うんですエイナさん、誤解なんです! これを捨てないのは悲しい過去に縛られているからではありません…そう、神様から貰ったものなので捨てるに捨てられないだけです!

 

え? な、なんでここでヘスティア様の名前が出てくるんです?

 

いや違います! 神様違いです、ヘスティア様は悪くないです。拘束具は私を私にしてくれた神様がくれたもので…え? ヘスティア様に出会う前に神様がどうしたんですか? 改宗? いえ、したことはありませんよ。

……アカン、説明すればするほど誤解が生まれていく感じだ。

 

こうなったら……それでは、今日はこれで失礼します。また明日からサポートのほどよろしくお願いします。

そう言って逃げるように帰っていく私を誰が責められようか、はぁ、明日からダンジョンどうしようかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はぁ、最近はめっきりため息をする回数が減ったと思っていたけど、やっぱり、今回の件でもうしばらくはため息を吐き続ける事になるだろうなぁ。

 

「カメ子君を置いてきたって、何をやってんだいベル君!」

 

「ご、ごごごごごめんなさい。ちょっとダンジョンで死にかけちゃって。…て、いったたた。すみません神様」

 

はぁ、帰ってくるなり、このありさまだよ。ここで回れ右してほとぼりが冷めるまでぶらぶらしたいけど、この様子じゃ私が帰らないともっと酷い事になりそうだね。

 

じゃ、ただいまぁ~っと何事もなかったように扉を開けたら、女神様に組み付かれているベル君の姿が目に入った

 

「か、カメ子さん。無事だったんですね」

 

「まったく、帰ってくるのが遅かったじゃないか。ベル君がキミを置いてきたなんて言ったから心配してたんだよ」

 

すみません。ミノタウロスの換金してからちょっとお説教を受けてましたので遅くなっちゃいました

 

「ミ、ミノタウロスの換金ってどういう意味ですか?」

 

ん、何を言ってるのベル君。そのままの意味だよ、キミがアイズさんから逃げて行ったあとでもう一匹現れたから始末しただけだよ。

 

ん、どうしたんだい、そんな驚いたような顔して。あの程度私にとっては造作もない事なんだよ(一撃でも貰えばアウトなのは敢えて黙っている)

 

だからベル君、これからも強敵は私に任せて、キミは私の後ろをおっかなびっくりついて来なさい、キミは何もしなくていいのだよ。

あ、いや、待って、壁役がいるからやっぱり前を歩いてもらいたいなぁ。

 

って、聞いてる? そんな難しい顔して何考えてるの? まぁ、ど~せアイズ・ヴァレンシュタインの事でしょう?

それなら私に聞くといいよ。なんせ私は彼女とお茶を飲んでお喋りしたことがあるからね(あれで?)

 

お、すんごく食いついてきたね。はははは、そんなに迫ってこなくてもステイタスを更新した後でゆっくり話して上げるよ。

 

と、言う訳で女神様ステイタスの更新をお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベル君は何もしなくていい、ただ私の後ろをついてくればいい。そう彼女に言われたベルは悔しくて堪らなかった。

 

思い返せばこれまでのダンジョン攻略は彼女に頼りきりで自分からは何もしてこなかった。

ただ、彼女の後をついて回り、モンスターが現れれば彼女の呪詛により動けなくなったものから切り捨てていくだけだった。

 

情けない、何が【英雄】になるだ。こんなんじゃ…こんなんじゃ!到底【英雄】なんて無理じゃないか! カメ子さんには悪いけどこれからは彼女には頼らず……『私はアイズとお茶する仲なんだよ』え? 本当ですかカメ子さん! じゃ、じゃあ、彼女の趣味とか…好きな食べ物とか…特定の相手がいるのかとか全部知ってるんですか!?

 

え?ステイタス更新の後で? 神様! よろしくお願いします!! カメ子さん今日のお茶は僕が用意しますね。

 

更新結果はステイタスの若干の向上、しかし魔力はゼロのまま。スキルの項目も…神様が言うにはいつも通り空欄だそうだ。

 

 






特に書く事ないなぁ。カメ子ちゃんのステイタス更新でも書こうと思うけど、お察しの通り今だにレベル1だし
まぁ、ええやろ


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