その分長くしました。
そして、まだよく展開を決定できてません。
伏線回収とか全くできる気がしないです。
そういった点も含め感想募集してます。
ショッピングモールでは僕の苦手な幸せそうなリア充が沢山いた。みんな笑顔で歩いている。楽しい事もないのに笑えるのかよって思う。他の人は楽しい事があるから笑ってるのに自分にとって楽しい事がないイラつきを人にぶつけてしまう。けど、僕に楽しい事がないのは本当だろうか。きっと、そんなことは無いんだろう。理由は分からないけどきっと今は僕にとって楽しいはずだ。
「秀介君ってさ、笑わないの?」
渡辺に笑顔で聞かれる。そういえば、僕、女性といる時に笑ってないな。声出して笑ったりしてないな。まぁ、いいかな…笑えなくても。普段からあまり笑わないし。
「僕も笑うよ。楽しい事があればね。」
「私といるのは楽しくないの?」
楽しくない…わけがない。楽しくないなんて全く感じない。楽しい理由が分かった。渡辺といるからだ。ただ、耕太の表現を借りるなら思春期男子の僕は恥ずかしさからか笑えない。
「楽しいよ…」
「じゃあ、今日は楽しい事沢山しよ!」いやらしい意味かな?そんなわけがないこの流れでそういった意味で捉えれば僕は君子にはなれない。なりたくないけど。まぁ、渡辺のその思いには感謝したい。
「ありがとう。で、どこ行くの?」
「うーん、じゃあ、ゲームセンター行こうよ!」やっぱり感謝したくない。ゲームセンターなんて所は僕は嫌いだ。が、断れない。向こうとしてはこちらを楽しませるためにやっているのだろう。それを蹴ったら、、と考えるとやはり、断れない。
「おぉ、いいよ…」
「ゲームセンターへヨーソロー!」うん、、、正直これもよくわかんない。ヨーソロー?まぁ、G〇〇gleで調べればいいかな…
「これ一緒にやらない?」
渡辺が太陽のような輝く笑顔で指を指した先は、ホラーシューティングゲームだった。2人でだいぶ狭い箱の中に入ってやるもので、空気が出たり、心拍数を測れたりする。僕はこういったものは嫌いではなかった。しかし、怖いものとしては都市伝説や体験談などといった少し謎が残る怖いものの方がより楽しめる。驚かすような怖さが嫌いという訳では無い。勿論苦手ではない。ただ、乗り気にはなれない。歯医者は別段嫌いではないが好んで行こうと思わないのと同じだ。
「ねぇ、乗ろうよ〜!!」
ただ、こんな笑顔で言われると断れない。
「あぁ、いいよ」
乗り込むとかなり暗い。しかも、3Dでゲームを出来るらしい。何だか長ったるしい説明が始まる。これも要約すると大したことは言っていない。本質は、敵を打ちましょうということだ。
「楽しみだね!」
渡辺はいつも笑顔だな…僕は決してつまらないわけでも楽しくないわけでもない。女性といると上手く笑えなくなっていただけなのだ。いつからかは知らないが。そうしてるとゲームが始まる。左右いや、至る所から怪物が出る。反射的に身構えてしまったり、飛び跳ねてしまう。渡辺はそれを見て笑っているみたいだ。これは防衛本能なわけだから仕方がない。笑われることではないはずだ。ただ、段々と曜も余裕がなくなっていったのか、体ビクッと震わせることが出てきた。というより、心臓に悪い。ここで、急に何かが飛び出してくる。同時に空気も出る。
「キヤァァァぇぁぁぉぁぁぁぁぁぁぁ」
「きやあああああ」
僕は今までの数倍は飛び上がり、曜はこっちに抱きついてくる。そしてその後は放心状態ですぐゲームオーバーとなってしまう。冷静に考えると怖くないのだが。冷静に考えると渡辺が僕に抱きついてるわけで。さらに落ち着いて考えるとその渡辺を抱きしめている僕がいるのだが。感覚としてはライブの際に感情が高まり余計なことをしてしまうのに近い。やってしまった。渡辺は楽しそうに抱きついたままだが僕は強く後悔していた。とりあえず、機械から降りる。
僕は抱きつかれたことと想像以上に驚いてしまったことによる恥ずかしさで顔を赤く染めていたが、渡辺の方は楽しそうに笑っていた。きっと、男性と遊ぶ事に慣れているのだろう。
その後もゲームセンターで遊ぶゲームを普段殆どしない僕は渡辺が完封し続けることが続いた。
ゲームをするのに飽きた渡辺が次に提案してきたのは昼食だった。渡辺としてはフードコートで済ませたかったようだが僕はあえてそれを無視した。フードコートなどの落ち着かないところでの食事は作業をしながら問題を解くようなもので、本来の楽しさを味わうことができない。代替案としてショッピングモール内のレストランを提案する。値段は上がるが良いものを取ることが人を作る。そう僕は信じているので苦ではなかった。渡辺もその考えに賛同してくれたため、現在レストランで食事をとっている。僕はトマトのパスタで渡辺はハンバーグであった。
「にしても秀介君ゲーム弱いしビビりだね〜」
心外である。ゲームほど時間の無駄はないと考えているし、ビビらないのはむしろ人として問題がある。自然界で群れのリーダーとなる個体は危険に敏感だ。ただ、本音を言うとめんどくさいので我慢する。
「まぁ、ね。」
その後も渡辺は色々と続けるが、結局は自分の友達の話が多く僕はよく分からない。ただ、渡辺が楽しそうなので構わない。食事を終え会計をする。一円単位で割り勘ということでも良かったのだが僕が無理を言ってレストランにしてもらったので8割僕が負担することを渡辺に話す。最初は断っていた渡辺も最終的には了解する。そのままの流れで買い物をする。今日ここに来た理由はあくまでも買い物なのだ。しかし、何を買いに来たのかを僕は聞いていない。渡辺が話してないのかもしれないし、僕が忘れたのかもしれない。ただ、僕が渡辺に引っ張られて着いたこの店に渡辺の欲しいものがあるのかというとないと思う。なぜなら、ここは男性向けの服屋だからだ。
「私、制服が好きなんだけど、男の人用の作ったことがなくて…だから、モデルになってよ」
渡辺の言うことはよく分からないことが多い。制服が好きということはわかった。男の人用のを作る?
「制服作れるの?」
「うん、Aqoursの衣装も作ってたしね。」
そういえば、そんな事を言っていた気がする。手先が器用なのはとても良いことだと思う。僕は不器用な為より強くそう感じる。そして、モデルになってってどういう事?着せ替え人形になるということか。そうなんだろう。まぁ、別にいいのかな。そこまでめんどくさいことでも無さそうだし。
「まぁ、いいよ。モデルというか、制服着たりするの。」
「ありがとう。」
これがこの春最大の判断ミスになることを僕は知らなかった。
地獄を見た。あの後、何軒か服屋をまわり、シャツなどの必要なものを買い、布屋に行き、沢山の布を買い、その布を僕が持ち、うちに帰宅する。そのまま、午後の残った時間を使い渡辺は布を裁断し、縫い始める。恐ろしい手際だった。その間僕はひたすら、元々渡辺が購入していた制服を着せられる。水兵から消防士、警官、裁判官に医師。とにかく色々なものを着せられた。服を脱ぎ着してというのは想像以上に疲れた。僕の嫌いな写真もたくさん撮られた。今は学校の制服を着たまま待たされている。どうやら渡辺の方も仕上がったみたいだ。見ると船長のような制服を作ったみたいだ。これを着て最後に撮影されておよそ3時間続いた着替えを繰り返す時間が終わった。
「秀介君やっぱり制服似合うね。もっと沢山作りたくなっちゃったな。」
しばらくは勘弁して欲しい。ただ、楽しくなかった訳でもないし、褒められると嬉しい。しかし、それを表現するのは僕にはできなかった。
「まぁ、それより夕食あるしそろそろ帰るね。」
「夕飯も一緒に食べようよ。ちょっと遠いけどレストランの割引券もあるし。」
有効期限が今日までのようだ。しかも、2枚ある。かなりの割引がされるみたいなのでこれをただの紙にするのは残念に感じる。
「じゃあ、全額払わせてよ。それなら行く。」
よくわからない提案だが、なんとなく散々情けない所を渡辺に見せてしまった僕としてはこういった所をしっかりとしておきたいのだ。
「それは、、」
渡辺も暫くは躊躇し反対したが、結局は折れた。昼も似たようなやり取りをしたことから、渡辺はお金をあまり持ってないと推測した。おこずかいを1日で溶かすような人間だろう。というより、買い物中にそんな事を言っていた気がする。そうとなれば、渡辺の役に立てたと感じ嬉しくなる。今まで迷惑をかけ続けてしまったから感じる感情であって渡辺の事が好きとかという訳では無い。
「じゃあ、行こっか!ヨーソロー!」
調べた所ヨーソローは宜候を指していると知った。前進とか了解といった意味を持つようだ。
「よーそろ、、、」
何故だろう勝手に返してしまった。恥ずかしい。まぁ、いいかな…渡辺が笑いかけてくる。普段から輝いている笑顔がさらに輝く。それを見ると嬉しくなる。
「秀介君、、、やっと返してくれたね!私、渡辺曜は待っていたのであります!」
恥ずかしさと嬉しさが混ざり合う。なんとも言えないこの気持ちを抱えたまま会話をするのは僕にはできない。
「まぁ、、行こっか。」
家を出てバスに乗る。その道中渡辺は僕にずっと話しかけてくる。きっと、今僕は笑えてるのだろう。女性との会話で笑うなんて久しぶりだ。別に渡辺の話が面白い訳ではない。ただ、2人の間には春の小川のような穏やかな流れがあった。人を癒す流れだ。渡辺は感じてるかは分からないが僕は感じていた。2人で声を出して笑い合う。こんな経験をした事がなかった僕は心臓が跳ね上がる様な感覚だった。しかし、優しく癒される。気がつくと降りるべき停留所に着いていた。どうやら海の方のようだ。潮風と少し薄暗い街の中に店はあった。小さめの店で高校生が多くいそうな雰囲気だった。店内でも変わらず渡辺と話す。
自分達の穏やかな空間の外に聞き覚えのある声が聞こえる。音の発生源を見ると、そこにはよく知った顔がいた。しかし、その隣にいる女性は分からない。渡辺もつられてそちらに目を向ける。
「梨子ちゃーん!何してるの?」
きっと渡辺が声をかけるまでは2つの空間があったのだろう。こちらのテーブルとあちらのテーブルにそれぞれ。それが交わってしまった。
「曜ちゃんこそ何してるの?もしかして、、デートとか?」
その女性は意地悪そうな口調で聞き返す。ただ、嫌な感じはなくお互いの心が通じているのだろうと感じた。
「デートとかじゃ、、、ないよ…」
デートではないならなぜ渡辺はこんなに顔を赤くしているのだろう。しっかりと否定すれば良いだけなのに。
「ああ、僕はたまたま渡辺さんにお世話になった者です。それより、耕太がお世話になってます。お似合いのカップルですね。」
そう声をかけると僕にバレてないと感じていた耕太は驚く。そして、その女性は先程の渡辺と同じように顔を赤くする。
お互いに話を整理する時間が多くかかったが、こちらの誤解もとけ、向こうの事情も分かった。吹奏楽をしている耕太とAqoursの作曲担当でピアノがお上手な桜内さん。桜内さんが音楽室を探して迷っているところを耕太が見つけ案内したらしい。そこから、話が繋がり、最終的にはこちらと同じようにクーポンの期限からこの店に行こうとなったようだ。なるほど、似たようなことしてると感じた。
「にしても、驚いたなぁ!あの、思春期真っ盛りの秀介が女の子と食事に行くなんて!」
余計なお世話だ。別に思春期だからとかではない。もう、高校生だ。思春期はとうに終わっている。
「うるさい。お前と違って、そういう面は細心の注意を払ってるだけだって。その点お前は相変わらずだよな…」
耕太はすぐ女性と遊ぶ。ただ、付き合ったとかの話は聞かないので女性も男性も関係なく接する事が出来るだけなのだろう。
「いや、、、音楽は世界を繋ぐからな!」
こいつは僕の言葉をどう捉えたんだろう。
「耕太君は何やってるの?吹奏楽」
渡辺は先程からこちらの会話に参加するが桜内さんは遠慮気味である。
「俺っすか?俺はチューバですよ。まぁ、才能も特にないし、ぼちぼちって感じですけどね〜。桜内とかみたいな感動する演奏はできないっすよ。」
いつもと変わらぬ、雑な敬語だ。
「私の演奏よりも全然響いてくるような音だったよ。全体で合わせれば、絶対私なんかよりいいって。何回も言ってるでしょ?」
桜内さんはそう言う。確かにチューバ単体では分からないけど全体での演奏の中ではきっと光るものがあるのだろう。にしても、何回も言われてるのに同じ事を言うのはいつもと変わりない。
「桜内そんなこと言ってたっけ?まぁ、なんでもいっかな〜」
「このやり取りもう5回目くらいなのに…」
桜内が苦笑いするのもうなずける。ただ、耕太がこうなのはいつもの事だ。
その後も、4人で話をする。楽しさからか自然と声を出して笑っていた。
そんな時にあの音が聞こえる。まずい。こんな楽しい時にまた、戦わないとなのか。
ガチャン!
耕太がコップを倒してしまったみたいだ。丁度帰る流れだったので、店員さんを呼んで会計ついでに片付けてもらう。店を出ると耕太はさっきの事を謝りに行くと言って店にまた入っていった。桜内さんは家はこの辺のようなのでそのまま別れ、再び渡辺と2人の空間が訪れる。はずだった。
「少しやらなきゃ行けないのがあるから、曜は先帰ってて。」
曜って呼ぶのも慣れた。自然と自転車に乗れるようになるのに近い。
「それってまた、怪物が出たってこと?私待ってるよ。また、秀介君怪我するんでしょ?」
ありがたい。だが、迷惑をかけたくないし、自分がボロボロになった所を見られたくない。
「いや、先帰ってて。大丈夫だからさ。」
「ダメ〜。秀介君は強がらなくていいの。」
言うことを聞かなそうなので、礼を言ってカバンからデッキを取り出す。すぐに人に頼ってしまう自分の弱さが出てしまった。本当は家に帰らせるべきなのだろう。まぁ、いいかな…
「変身」