最弱の蟹で学生が航海へ   作:°C

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ばしばし投稿します。
一気読みしちゃって下さい!!


苦戦と再会

暗い闇の中にそいつはいた。静まり返った住宅地にそこにだけ異世界を持ってきたかなような違和感と共にいた。

僕は素早く駆け出し間合いを詰める。近頃は策略などなしでも楽に倒せる力を付けていた。相手がこちらを認識するや否や攻撃を始める。右の拳を出し、素早く蹴りといった形で攻撃を途切れさせない。今回はこの上なく簡単な戦いだった。

「ストライクベント」

ほぼ勝負の決まったこの状態から相手に対して何度も執拗に攻撃を繰り返す。敢えて、ファイナルベントを使わない。この瞬間が楽しい。自分の手によってこの害獣をいたぶりその命を絶つことが出来るのだ。

「ぐぁ!」

突然の痛み。今も目の前にはあの怪物がいるはずなのだが。後ろを振り返る。其の瞬間、また更に痛みが襲う。

怪物はもう1匹いたのだ。そのまま倒される。今度は2体に囲まれいつの間にか、不利になっていた。2体は先程の仕返しと言わんばかりの打撃を与える。いつもは使わないカードを取り出す。

「アドベント」

ボルキャンサーは先程まで痛めつけていた相手を抑え込む。1対1に出来ればこちらはかなり有利である。ハサミを素早く振り下ろす。今度は上げる。左手で抑えて胴体を挟む。反撃のできない相手に頭突きを放つ。それも1度や2度ではない。何度もだ。だいぶよわったようなので終わらせようとしたところで悪い予感がして横を見る。ボルキャンサーが逆に押され怪物はこちらを攻撃してきた。挟んでいたハサミも取れてしまい、また2体に押されてしまう。自分の唯一の長所の防御を持ってしてもかなり痛い。

「ガードベント」

盾で当たるようにして相手を吹き飛ばす。本当は使いたくなかったが仕方がない。

「ファイナルベント」

片方は倒してしまったが最初からいた方はまだ生き残っていた。蹴る。蹴る。ひたすら蹴り続ける。怪物はいつの間にか動かなくなっていた。

 

 

 

 

傷ついた体で家まで帰ろうとする。凄くだるくて重たい。体だけでなく内側も。結局は渡辺の事で思い悩んでいることを暴力で一時的な解決を図っているだけだ。何が仮面ライダーだ。結局は自分一人の不満を満たすためのものにしている。こんな人間だから渡辺は嫌うのだろう。考えれば考えるほど悪い方に考えがめぐる。

 

 

 

自宅のマンションの階段を上がる。1段1段登るのがとてつもなく過酷に感じる。少しよろめく。よろめきながら玄関の扉を開け部屋の中に入る。はずだった。よろめいた体を誰かが支える。

「大丈夫…?」

この声、この香り、この雰囲気、すぐに分かった。僕の心に安らぎを作りそれを破壊した人でもある。ただ、向こうが壊したというより僕の言動から壊させたという表現が正しいのだろう。

何故ここにいるのかは知らない。ただ、声の感じはこの前の1件と同じで、少し口ごもる感じだった。何故ここにいるのだろう。僕には分からない。

「…大丈夫だけど。どうしてここにいるの?」

「それは、、、少し相談というか、、なんというか、、なんか来てしまったのであります。」

その理由の雑さに呆然とする。ただ、こんなふうに外で話すのは疲れるので取り敢えず家にあげる。

「また、戦ってたの?」

「まぁ、ね。それより、相談って?」

「これなんだけど、、」

渡辺の手には僕の大好きな数学の問題集があった。しかし、何故僕なのだろう。あの男と一緒に勉強すればいいのに…

「で、なんで僕なの?」

「だって、秀介くん数学は学校より早く進めてるって聞いたし、、、迷惑だったかな?」

迷惑ではないが、僕に頼るべきではない。他に頼るべき人がいるだろうに。そういった点でいうと迷惑だ。日中にあのヨハネとかいう方に釘をさされているわけであるし。

「まぁ、渡辺がいいなら、、、できる範囲で、」

結局、渡辺の不安そうな表情を見ると助けないのは悪人しかできないだろう。

「曜って呼んで…」

「いや、、、」

ここでもまた罪を感じる。人の彼女を名前で呼ぶのには強い抵抗がある。

「曜…は、、どこができないの?」

「ありがとう。」

渡辺の笑顔はまるでこれから訪れる夏の向日葵よりも輝いて見えた。

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