狐女房とOLさん   作:のゔぇんぶれ

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その少女、裸エプロン。

6月、ジメジメっとした梅雨の季節。

もう少しすれば少しはカラッとして…いやしないか。それでも、ビールが美味しい季節が来る。

いや、ビールはいつでも美味しいんだけれど。一年で一番、ビールが飲みたい季節が来る。

そう思いながら、私、髙森帆乃香(たかもりほのか)は会社から電車と徒歩で一時間かけて愛しの我が城(と言っても2DLKのマンションだけど、住んでいればまあ、どんなところでもお城ってことで)に帰ってきた。

鍵を開けて、誰も居ない部屋に頭を下げたまま入って。

 

「ただいま」

 

と声をかけた。そう、それまではいつも通りだった。

 

「あ、主様。おかえりなさい、なのじゃ」

「うん、ただいま」

 

…ん?んんんん?

いや、いやまてまて。この部屋には人間は私、しか居ないはずだ。

だが、確かに声はした。「おかえりなさい」と。

頭を上げると、そこには裸エプロンの狐耳を生やした、少女が居た。

私は目をパチクリさせて。

 

「ああ、すみません。部屋を間違えました」

 

そう言って、扉の外へ出た。

え、えーっとちょっとまってくれ。いつの間に私はあんな変態趣味に。

確かに風邪ひいた時とかお酒に酔ってる時は「寂しいなあ、なんかこう、裸エプロンでお迎えしてくれる彼女とか居てくれたらなー」とは思ってたよ!だけど実際居ると恐怖でしかないよ!

っていうか知らないよ!あんな子!誰だよ!不法侵入だよ!!!!

とりあえず警察に

 

「ま、まつのじゃ主様!ワシじゃ!メイじゃ!」

「メイ…?」

「そうじゃ!メイじゃ!」

「メイは狐です。貴方のような少女ではない」

 

とりあえず警察に連絡して自首しないと……きっと酔っ払って連れて帰ってきちゃったんだ…狐耳があるのは不思議だけどきっとカチューシャかなにかだよ…。

はー…駄目な飼い主でごめんねメイ…。

 

「くぉーんっきゅー」

「あ、メイっ!」

 

確かに愛狐の声がしたので扉を開ける。

が、そこにいるのは裸エプロン狐耳少女だ。愛狐ではない。

扉に手をかけて、出ようとするとぐいっと引き寄せられた。

 

「ほら、これでどうじゃ。もふもふじゃろ…?」

「うわっ本当だもふもふだ…」

 

人の形しているのにもふもふだ…。

どういうことなの…と抱きつかれた状態から顔を上げると。

人の形をした狐がそこに居た。

 

「…どういうことなのメイ」

「うむ。主様、こないだ風邪で苦しんでいた時、「ああ看病してくれる彼女がほしい…」って言っていたじゃろ?」

「えっ?私そんなこと言っていたの?!」

 

口に出していたらしい。

いやそんな覚えないのだけれども。譫言だったのかもしれない。

…あれ?私だいぶやばかったのあの時。

 

「で、ワシ、考えたんじゃ。大好きな主様のためになにかしてあげたいと。

そこで、じゃ。ワシの地元に伝わる秘技である人化の術があったのを思い出しての」

「秘技」

「秘技じゃ。それをどうにかこうにか狐づてをつかってな、なんとか聞き出したのじゃ」

「狐づて」

「うむ。持つものは友じゃ」

 

カッカッカと笑うメイ。

…なんだろう、現実感はないし、夢か何かを見ているような気がするんだけれども。メイの言葉に嘘は見られない。

いや、ただ嘘、と思いたくないだけかもしれないのだけれども。

それにしても、メイがそんなふうに思っててくれたなんて…。

 

「…うっぇぇぇぇぇぇぇ」

「ど、どうしたのじゃ主様?!?!?!?!?!?な、なにか痛いこととか辛いことがあったのか?!

メイでなんとかできることかや?!」

「…あ゛り゛がどう゛メ゛イ゛イ゛ィ゛ィ゛」

「お、お礼?!?メイなにかお礼言われるようなことしたかや?!

主様…。そ、そうじゃこういう時は」

 

メイが困惑顔のまま私の頭を撫でた。

もふもふに包まれている。今私はもふもふに包まれているのです。

 

 

 

もふもふにつつまれているのです。(大事なことなので二回いいました)

 

 

 

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