儂、メイは告白される方するのも告白されるのも生まれてはじめてである。まあ、初めてで最後になりそうなのじゃが。
いや、そもそもこういうところで告白ってことはそういうことであろう。儂、テレビでよく見たからな。きっとそういうことなのじゃ。
うーん、あれじゃ、ニヤニヤがとまらん。落ち着け儂。
「あのね、メイ。私、私、メイのことが」
「………」
「好きなの。その…、家族、として、じゃなくて、一人の女の人、として」
「…………」
き、きたのじゃ。い、いかん、顔が。顔が…!
思わず、ニヤニヤしたまま儂は後ろを向いた。落ち着け儂。顔を、こう、落ち着かせるんじゃ。
…………、いかん。ニヤニヤもそうなのじゃが、顔があっつい。多分鏡で見たら真っ赤じゃ。なかなか主様のほうを向けん。
なんて、思っておったら…
「あ、アハハハ、ごめんね。こんなこと言っちゃって。冗談だよ冗談。驚いた?」
震える声でそういった主様。い、いかん、完全に誤解しておる!そうじゃないのじゃ、ただ、儂の。儂の顔が見せられたものじゃないから。と、とりあえず早くそちらを見なければ。
…いや、今のとんでもない顔を見せて平気じゃろうか…。いやでも、だいぶ勘違いしておるじゃろうし、ぱっと、顔を上げて後ろをむこうとしたときには。
「本当にごめん。………ちょっと頭冷やしてくる。大丈夫、すぐ戻ってくるよ」
そう言って、儂に背を向けてあるき出そうとしている主様が。
い、いかんっ!これはいかんぞ!……儂は主様の方向を向いて、服を掴む。
「……どこへ行こうというのじゃ」
「どこって………、メイには関係ないでしょ」
「関係なくないのじゃ…!まだ、返事を言ってなかろ?!」
「返事…?返事をきかせてくれるの?」
「…のぅ、主様。主様は、儂が人になって主様と初めてあった時、覚えておるかの?」
「………うん」
「そろそろ一ヶ月になるかの。色々あったのぉ、主様」
「そうだね。濃かった。…………とても濃かった」
頷きながら、どうやら、ちょっと泣いている主様。ああ、そうか。儂の、対応は少し間違っておったのかもしれぬ。とりあえず、抱きしめる。凄いドキドキしておる。
「のぅ、主様。主様が告白、をしてくれた時。とても嬉しかったのじゃ。嬉しくて嬉しくて、顔がとても、な。見せられたものじゃなくて…」
「…いや、とかじゃなくて…?」
「嫌だったら儂はさっさと帰っておったし、そもそも、この街へはこないの」
「…本当に…本当に…?」
「本当の、本当じゃ」
「……メイ、あのね………」
「わかっておる。主様の気持ちはわかっておる。……のぅ、主様。儂、妖狐になって日が浅いし、まだまだ妖狐としても主様の彼女としても未熟かもしれんが、儂と一緒に居てくれる、かの?」
「………もちろん………」
「良かったのじゃ。…主様、大好きじゃよ」
「メ゛イ゛…わ゛だし゛も゛ぉ゛」
「ふふっ……」
子供のように泣きじゃくる主様の頭をなでながら、儂は優しく笑ったのである。