狐女房とOLさん   作:のゔぇんぶれ

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そのOL 同期と

さて、お昼ごはんが終わると先輩達も私も、そして食事をしに行った同僚達も自分の仕事をするために、自分の仕事場所であるデスクへと戻る。まあ、営業さん達は自分のデスクにいる方が少ないと思うけれど。まあ、営業さんがお仕事を持ってきてくれないと、私達技術職は仕事がなくなってしまうからね。あと、営業さんは私達技術職とお客様の間に立ってくれるから、すごい助かってる。

さて、仕事しようとパソコンをスリープから起こしてロック画面まで持っていくと。

 

「高森さん」

「はい?」

 

隣の席で、同期の豊田琴子(とよだことこ)さんに話しかけられた。いや、珍しい。ほら、仕事関係ではたまーに同じ仕事をやったりするし、話したことがない、ということはないのだけれども、こういうふうに同じ仕事をしていない時に話しかけられるのはめったに無い。

茶髪でメガネを掛けてて、とても美人さん。高嶺の花、といえば高嶺の花になる。私と比べたら月とスッポンである。もちろん私がすっぽんの方。…まあ、自分を下げるのはこの辺にしておこう。あまり精神面によろしくないし。

 

「高森さん、最近、恋人ができたんですって?」

「ああ。はい。それは、そうですね」

 

一体どこから漏れたんだか。いや、心当たりは二人ほどあるけれども。…いや実際一人か。直美先輩は、言わないだろうし。

とりあえず、少し頭をかきながら、豊田さんの方を見やる。なんだか、とても真剣な顔をしている。

 

「…あの、本日、時間ありますか?ちょっと、相談したいことが」

「今日ですか。少し待ってくださいね」

 

ポッケから手帳を取り出す私。携帯の手帳にも予定は書いてあるんだけれども、データが吹き飛ぶこともあるだろうから、と手帳も持っている。まあ、データが吹っ飛んだことなんて一度もないのだけれど…。いや、あるか。一回携帯をトイレに落としたんだよね。あのときは泣いた。でもって、その時から、手帳を持つようにした。流石に入れ直しはとても大変だからね。

 

「…、あ、今日空いてますね。飛び入りでお客様の無茶振りがなければ、ですが」

「よかった。じゃあ、アドバイスがほしいな、って思いまして…」

「アドバイス。仕事関係ですか?それとも、プライベートのことで?」

「プライベートのことですね。………まあ、詳しい話は食事をしながら」

 

こちらを真剣な目でじ、と見つめながらそういった豊田さん。…そう、なんか。その真剣な目はまるで、メイに告白する前の私、にみえた。いや、見えただけで実際ぜんぜん違うのだけれども。

私はうなずいて、携帯でメイに「今日は同期とご飯食べてくるから、夕飯いらない。あと待ってなくていいから、早めに寝て、体壊さないでね」と連絡を入れた。

……いや、ほんと、メイに体を壊されてしまっては私が泣くからな。早めに寝てもらおう。うん。


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