「ん、メイ。こんな感じに出来たけれども、どう?」
とりあえずつぶっていた目を開いて、鏡を見る儂ことメイ。
デート、で化粧品を買ってきた日の事。儂は主様である帆乃香に儂の肌に合うかどうかも合わせて、化粧を教えてもらっておった。中々に難しいがこれはなれ、と言われた。
なれ、かあ。そんな事をなれる人間様はとてもすごいのじゃよなあ。
「…なんじゃろ。なんじゃろうな。これ、儂?」
「そうそう、メイ。うん、やっぱり化粧ってすごいね。人を化けさせるよ」
「本当じゃな…」
本当に、儂?ってなっている儂。いやほら、肌の方は大丈夫だし、臭いもまあ…なんとかなっておる。いやほら、混ざっておらなければ、そこまで臭いとは思わないんじゃなあ。
中々に不思議である。嫌なんで混ざるとあんな臭いんじゃろうな????
「でも、これなら私のお嫁さん、っていっても引かれたりはしない、かな」
「引かれるのかの?!」
「うん。…というか通報されるかもしれない」
「あ。……もう少し大人の方が良かったかの???」
「いや、それはそれ。これはこれ、だよ。どんな姿でもメイはメイだし、私の大好きなお嫁さん」
「………………」
なんか照れ隠しに蹴りたくなってきたので、思わず蹴ってしまう儂。いやほら、真顔でそう言われると中々に攻撃力が高いのじゃな。まあ、儂もたまーに言うと思うが。
いや、言っておこうと思う。
「主様は毎朝、こんな事をして大変なのじゃな。お疲れ様なのじゃ」
「まあ、ねえ。一応社会人としてのマナーと言うか」
「マナー?」
「なんだろう、他の人と上手くやるための約束事というか?」
「あー…。なんじゃろう、狐同士でもあるの」
「ある、よねえ。…ヒナちゃんとセイちゃんは平気かな、って思ったけれどきちんとしてそうだったわ」
「ヒナとセイ、特にセイはな。笠間様があんな感じじゃしの」
「仕事場ではかっこいいんだよ?うちの会社のエース様なんだから」
うんうん、と頷きながらそう言う主様。会社でエース、というのはよくわからないけれど、多分偉い人、なのじゃろう。なにせ神の使い様である。普段はちゃらんぽらんだけれどやる時はやる、のじゃろう。
いや、見てないからわからないのじゃけれど。王子様の方は普段からしっかりしておるし、えーす、と言われてもなんの違和感もないのだけれど。
「……今度、笠間様がどんな仕事してるか、カメラでとってくるね」
「あ。声か何かにだしていたかの???…大丈夫じゃか?その個人情報も扱っておるのじゃろう?」
「そのへんはほら…あー…難しいかあ。笠間様が仕事でどれだけやれるかって説明したいんだけどなあ。普段が普段だものね…」
いや、大事な先輩なのはこう言ってもらうと伝わっているのじゃが。じゃが…。
まあ、なにはともあれ、これで主様のご実家へいける、ということである。そこで、どうなるかは分からないが。きちんと挨拶をして、それで認められると、いいのじゃよなあ…。