さて、儂が化粧をした次の日。主様が仕事から帰ってくるとなにか、雰囲気が変わっていた。
今まで主様は外ハネしているロングヘアーだったのじゃが、今は、そう、なんといったかの…。ナチュラルボブ、というんだったかの??それになっておる。外ハネはしておる。
「そ、その髪、どうしたのじゃ?いや、似合っておるのじゃが」
「ふふー、今日、実は午後休をとっててね、そのときに美容院にいっていきたんだ」
「びよういん、に」
「そう。まあ、今週の金曜日、実家帰るしね」
「!そうじゃな、つまりあれじゃな?気合を入れるための」
「そう、気合を入れるための。…いや、それだけじゃないよ?」
「それだけじゃないのじゃ???」
小首をかしげながら聞く儂。いや、でもなんじゃろうな。儂はまあ、髪の毛を変えると、儂の狐の状態での毛も変わってしまうから切れないのじゃが。なんかこう、気合を入れる時は髪の毛を切るっていうのはなんとなくわかるのじゃ。
あとはそのー…。
「はっ、まさか主様?!」
「違うからね?!メイが思ってることはぜんぜん違うからね?!ほら、暑いじゃん。それもあるからさ」
「あー、あつあつなのじゃな」
「そうそう、あつあつ」
うんうん、と頷きながら儂をなでつつ、そういった主様。よかったのじゃ、失恋とかじゃなくて。…いや、儂以外に恋する相手が居たらそれは不倫にあたってしまうの???なら失恋してよかったということになるのでは…???
いやまあ、でも主様が悲しむ顔を見たくないし中々にあれなのじゃ。あれ。もやもやはするけれども、それでも、みたいな。うーん、中々に言葉にするのは難しいのじゃな。
「どうしたの?」
「いや、なんでもないのじゃ。儂の考えすぎじゃったしな」
「そうなの???」
「そうじゃ」
「そうかー」
「……。あのの、主様」
真面目な顔をして主様に向き合う儂。今日は、これを言おう、としているのじゃ。
頑張れ儂。負けるな、儂。
「お風呂にする?ご飯にする?それとも…わ、し?」
これを言ったあと顔真っ赤になるのがわかった。いやだって、これはその、あれじゃろ。わしって言われたら色々とすっとばしてあれをしなければいけないのじゃろ?いや、言ったからにはやる準備はできてはいるのじゃが。
じゃが!
「…………メイ?」
「んぅ?」
「それ、どこで覚えたの?こうドキドキはするからメイ、っていいたいんだけれども」
「言ってくれていいのじゃよ???…どこで覚えたかはその…内緒じゃ」
いたずらっぽく笑って。フフ、うまく言ったのじゃ。儂の勝ちじゃな。いや勝ち負けとかの話ではないのじゃが。
「そうだね。お風呂はいって、ご飯たべて…それから。メイ。私は全部欲しいよ」
「ぜん、ぶ。全部じゃな?」
「うん、全部。だって、メイは私の…お嫁さん、なんだから」
…こう言われてしまえば、儂はどんどん主様が好きになる。つまり、勝負に勝って試合に負けたのだ。やはり主様は強いのである。
ぎゅぅー、と一通り抱き合ったあとお風呂入って、ご飯食べて、それから。