さて、お茶請けの漬物とお茶をいただきながらご主人の卒業アルバムを見ているわけじゃが。
「……………」
「あら、どしたん。なんかやねこい顔してしもうて」
「やねこい?」
「ああ、難しいってこと。メイさん、ぶちやねこい顔して帆乃香の卒業アルバムを見よる時があるけぇ」
「あー…。そうですか。私はそんなつもりはないんですけれどね」
ふふっ、と笑いながらそういった儂。いや、まあ、たしかに親しそうな女の子と一緒にいるときのご主人を見ると胸がきゅーっ、となるときはあるのだけれども。そういう時に難しい顔になっているのかもしれないのじゃ。
なんじゃろうな。これが嫉妬というやつなのか。
「ちょくちょくご…帆乃香さんと一緒に写って親しそうにしている方、いらっしゃるじゃないですか」
「ああ。幼馴染の遥ちゃんかな。小中高、と一緒じゃった」
「遥さん…」
「そうそう、そんでもって、帆乃香にとっての…」
「ただいまー」
ご主人のお母様が大事なことを言おうとしていたところにご主人さまと見知らぬ男性が帰ってきてリビングにやってきたようで。いや、まあ、それはそれでいいのだけれども。
ご主人にとっての…ご主人にとってのなんじゃ…
「いやあ、この時間になるとやっぱスーパーそれなりに人おるね。それなりに時間取られたわ。
あ、あとお父さんも拾うてきたけぇ」
「拾うてきたってなんじゃ拾うてきたって」
「実際そうじゃろうよ。………って、メイ…?その手に持ってるものは…?」
「あー……。帆乃香さんの卒業アルバム、じゃ」
「おわあああああああああ!?お母さん!?何勝手に人の思い出、見しとるの!?」
「手持ち無沙汰じゃったけぇのぉ。食い入るように見てくれんさって嬉しかったわ。それに、メイさん意外と興味津々じゃったわよね?」
「否定はできない、です」
おおおおおう、と膝から崩れるご主人。なんじゃろう、ここまであれだと見なければよかったまであるかもしれない。まあ、そうじゃよな。誰にだって知られたくない過去ってあるよの…。
とりあえず、膝から崩れ去ったご主人の近くへ言って。
「ごめんなさいなのじゃ。儂が無理言って見せてもらってたから」
「………いや、まあ……。うん………。大丈夫。見せに帰ってきたところはあるから…」
「時間が省けてよかったじゃない」
「母さん!?見した人が言うセリフじゃないよそれ!?父さんからもなんか言うて」
「母さん、…………いや、そのなんじゃ。結婚前の年頃の女の子の過去を晒すような真似は良うない」
一緒に帰ってきた男性は御父様だった模様で。
御父様にそう言われ、舌をちろ、と出しながら頭を下げたお母様。うん、これは実は反省していない。まあ、たしかにノリノリで見た儂も儂なんじゃが。否定はしないぞ。
お姉さまが帰ってくるまで、なんかこのなんとも言えない感じは続きました、とさ。