「ほいじゃあ、お姉ちゃん、車置いてくるけぇ」
「うん、よろしゅうお願いのぉ」
「先行ってますね」
そう言って姉の運転する車から降り、今回の目的である彼女のお墓の前へと行くためにあるき出す私達。
まあ、本当はそこまでノリノリってわけじゃないのだけれども。普段タバコ吸わないのだけどタバコを吸いたくなるぐらいには億劫ではあったりする。でもここまで来ちゃったわけだし、今更帰りまーすはできないのであった。
「…なるほどの」
「ん?感じる?」
「まあ、時期が時期じゃからの。とはいえ、そんなに悪いのはおらんし、大丈夫じゃろう。…それにあれじゃろ?主様の元カノが締めておるのかはしらんが、悪さをしようもんなら大変なことになるんじゃろ?」
「どうだろうなあ、ただ彼女は気に入らないことがあると殴る、ってタイプだったからなあ」
「DV野郎かの?」
「いや、私には手を出してこなかったよ。壁とかにはあたってたけれど」
「ふむ…、いやそれも十分DVなのでは?」
「…どうなんだろうね」
首を傾げながらそういった私。ものに当たるのもDVなのかもしれないかもなあ、とは思ったけれど、付き合ってるときはそんなことなかった、なんだろう、恋愛ハイってやつだったのかもしれないし、そういうのに疎かっただけかもしれない。
まあ、でも、そんな私だからうまく付き合えてたのかもしれないし。
「そうじゃ、掃除道具」
「そうそう、掃除道具。いやまあ、やってくれてるとは思うけれど、せっかく来たんだしねえ」
「こういうところに管理人さんは大変じゃろうなあ」
「他のところは見えない人がやってるんじゃないかなあ。……ここは今から、その人のお墓に行く人が管理人やってるんだけど」
「普段は管理人室で寝てる感じじゃな?」
「そうだね、家買ったって報告ないし」
「なになに、うちの話?」
私がメイと話をしていると後からそう話し掛けられた。びくぅっ、と肩を上げる私達。
「そがいに驚かれると、ちいと傷つくなあ。…久しぶり、帆乃香」
私達が後ろを振り向くと同時に、そう話しかけてきた、小麦色の肌をした背の高い女性。服装は半袖のシャツにロングスカートといった出で立ち。
「突然こがいな場所で話しかけてくる方が悪いたぁ思わん?…遅うなってすまんのぉ、遥」
「ほんと、ずっと待っとったうちの身にもなってよね。んで、隣の子が今の彼女?元カノの墓参りに連れてくるたぁどがいな考えなのかしら」
「別れ話を切り出したしたなぁ遥の方じゃろ。じゃけぇ、ちいととした復讐よ、復讐。まったくあの頃の夢を見してまで、来てほしかったんじゃろうに」
「そうじゃったかな?…まあ、ええや。はじめまして、今の彼女さん。うちの名前は崎元遥。気軽に遥お姉さんって呼んでくれんさってええわよ」
「ええわよってなん…」
ため息を付きながら、私はメイの方に向いて。
「今回の帰郷の目的の子。えーっと何年やってるんだっけ、幽霊」
「何年じゃったっけな、もうね、長いことやっとると年数やらどがぁでもようなるんよ」
「そ、そんなもん、なんですね…」
なんとも言えない顔をしているメイ。いやまあ、多分そんな反応になるよねえ。私も苦笑いをむけるしかないもの。
とりあえず、雪に持ってきた差し入れをわたし、お墓へと向かう私達なのでした。