洛陽の街道にて華雄は滾っていた。
死んだ身とはいえ、自分よりも将としての器がでかい張遼と戦えるのだから。
「闘るとしようか!」
その言葉を切欠に、互いに武器を構える。両者に、隙は一切無い。
それでも互いに手にする武器の切っ先の如き視線を向け合う。
その視線が交わった瞬間、互いに一歩を踏みしめる。
同時に動き出したが、そこは張遼、神速の名はただ馬術が長けているのを表しているだけではなかった。華雄が一歩踏みしめる間に彼女は何歩も踏みしめ、距離を詰めてきた。
華雄とて伊達に彼女と共に過ごした期間があったわけではなく、張遼に関してそれなりに知っているはずだった。
しかし、張遼の本気は華雄の想像していた速度を優に超えていた。
「やはり張梁によって強化されているのだろうな。」
尋常でない速度のまま放たれた突きが華雄に触れようとする。が、その寸前に横に飛びさることで華雄は何とか回避する。
そしてすぐに、張遼を睨み付ける。張遼はすでに突きを放った際の後ろ足を軸にして、身を翻し速度を落とすことなく、そのまま華雄の方へと向かってくる。張遼は一歩で距離を詰め、華雄に向かって大きな横振りによる一撃を放った。
華雄は、その一撃を僅かに下ることで避ける。だが、切っ先が僅かに触れ、華雄の甲冑の一部を破壊した。
だが、気にも留めず、張遼が振り抜いたことで出来た隙を見定め、華雄は後ろの脚で踏み込んだ。
そして、華雄は戦斧を振り下ろし。
「今度こそ安らかに眠れ、霞。」
同期であり、友であった死兵に別れを告げ。
同時に首を刎ねたのだった。
「う、嘘よ・・・どうして!神速の張文遠は華雄よりも強いはずじゃぁ・・・」
「あぁ、強いぞ。あいつは。」
崩れ落ちた張遼を見て、腰を崩してしまった張梁の前に来て華雄はそう呟いた。
「私は、良くあいつに負けた。その度に反省し、次の模擬戦で反省を生かし勝利すべく鍛錬を重ねた。・・・だがそれは兵士を使った、将としての模擬戦。・・・一対一の純粋な一騎打ちでは、私はこれでも張遼よりも勝星を挙げているのだぞ。」
「そ、そんな「ましてや。」っへ?」
張梁は腰を抜かしたまま、華雄を仰ぎ見た。
其の眼には、戦斧を高々にあげた華雄の姿が映し出されていた。
「っひ、ひぃぃぃ!?!」
「お前の敗因は、二つ。術で強化した張遼に過信して兵士を連れてこなかった事。そして・・・私を侮り過ぎた事だ!!」
そして、多少怒りを込めた華雄は戦斧を振り落とし、顔が涙でぐしゃぐしゃになった張梁の脳天をかち割ったのであった。
華雄は二人の死体を一応、家の陰に置いといた。野放しにして置いては野犬の餌になってしまうからだ。途中で馬を拾い、洛陽城外に向かった。
外に出ると、乱戦も乱戦。連合軍が、董卓軍が、賊が、所狭しと戦っているのだ。
ふと、自分を見ている将が入る事に気付いた。
顔を鬼の仮面で隠していたが、手に持つ大剣からでる氣が自分を振るえさせる。
「奴も化け物の一人か、っくっく。・・・いざ。」
華雄は馬の腹を蹴り、鬼面の将へと突進した。
対する鬼面の将、候惇もまた無言で突進して行った。
華雄は待ちどうしかった。やっと名乗れる。我は何進大将軍の副将、と。事の時の為の武をいざ見せてくれん!!
「我こそは!
「貴様の名乗り等いらん」
・・・え?」
其の一瞬、華雄は斬られていたのだった。
おひさーっす。
いやはや仕事で疲れて小説の時間が取れんかった。また遅くなるかも。
では、また次回。