復讐するは我にあり   作:真庭烏賊

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凶報を聞きこれに伴い決戦の準備をする被害者。加害者達は互いにぶつかり合い、慰め合う。この結末は、天すらも知りえない。


雄々しき華の覚悟

「そ、そんな・・・白蓮ちゃんが・・・」

 

洛陽の会議室にて劉備の落胆の声が響いた。

 

無理もない。彼女の数少ない盟友でもある公孫賛から宣戦布告状、及び絶縁状を突き出されたのだから。

 

「しかし、これで西涼以外のものは敵に回ったも同然だな。凛に風、何かこの危機を斬り抜く策は無いだろうか?」

 

 

と白き槍遣い、趙雲が二人の軍師に問う。内心、彼女もまた戸惑いを隠せてはいなかったが今の現状どうするかを考えねば成らなかった。

 

「そ~ですね~・・・ぐ~。」

 

「こんな時に寝るな!!」ビシッ!

 

「おぉ!凛ちゃんスイマセン。良い案が浮かばないものでしてついつい現実逃避という名の睡魔に襲われまして。」

 

 

と間延びする声を発するも案の浮かばない顔をする程昱、郭嘉の両名。

 

 

「ふん、成らば打って出るまで!董卓様に汚名を着せた烏合の集など我が武で蹴散らしてくれん。」

 

と声を上げるのは元何進軍将校、華雄であった。勇ましい彼女であったが、

 

 

「せやな。今はとにかく虎牢関で守備に徹するのが一番やな。」

 

と、騎将張遼が引き換えめな意見を出したのだった。

 

 

「な!籠城だと!それでは我が武を振るえんではないか!!」

 

と、華雄が吠えるものの。

 

 

「アホか!そんな事で敗れたら全てが無くなるんやで!!」

 

「ぐむむむむ・・・」

 

 

と張遼の一声に華雄も黙る他無かった。

 

 

 

「・・・今はそれしか無いわね。泗水関の関羽達にも伝えて。無理せずに虎牢関まで撤退するようにって。」

 

と、董卓軍の軍師・賈駆は宣言し。虎牢関に兵を集中させた。

 

 

凡そ、十五万。董卓軍最大兵数である。一週間もすれば馬謄から援軍が来る。それまで持てば・・・と考えての事であった。

 

 

しかし、その計画は破たんする。

 

狂賊と謳われる一人の掌によって。

 

 

 

「・・・・くそ!!」

 

華雄は憤っていた。

 

彼女は元々五胡出身の奴隷であったのだが、当時肉屋を営んでいた大将軍何進に買われて以来、奴隷と言うよりも人として生きてこれたのだった。何進は腐敗が続く漢王朝を何とか出来ないか、商売の赤字続きを見て困り果てていた。

 

そんな折、鎖に繋がれ見世物になっていた華雄を見てなんとかしなければと奮い立ち、華雄を買い取ったのだった。

 

手始めに、麗しい妹を十常侍に売り込み皇帝の妃にしてもらい種を儲けさせた。そして、見事に皇子を生み自分は大将軍に付くのだった。軍部に入ったのは、政治では長年洛陽の陰に住み着いた十常侍に勝てない事は分かっていた為、軍部の力で十常侍に対抗しようとしたのだ。

 

そんな何進を見て救われた華雄は、自分も何か出来ないかと武器を振るい軍略の本を読み、遂に将になる事が出来たのだ。忠孝が果たせると思った時、黄巾の乱が起きたのだ。華雄は大将軍代理として勇ましく出陣し、見事乱を治める事が出来たのだった。

 

しかし、帰還した彼女に待っていたのは恩人何進の死。そして、何進の血を引く皇后と皇子の自害であった。何があったのかと残っていた兵に聞いてみると、何進が十常侍との権力争いに勝てる所まで来たが霊帝の訃報があり、隙を付けられ暗殺されたのだ。その後、何進に呼ばれていた董卓に十常侍は滅されたのだが兄である何進の妹君、皇后が次は自分達ではと早とちりし皇子共々毒を呷って自害したのだった。

 

華雄にとって董卓は恩人の仇を討ってくれた邪魔者であり、何進の希望であった皇子を死に追いやった疫病神であった。

 

最早、華雄自信漢王朝にそれほどの執着は無くこの連合にて強者と当たり恩人達の元へ行こうと自殺願望みたいのが芽生えたいたのだが、それを止めたのはやはり董卓。そして新しく仲間に成ったという天の御遣いであった。

 

シスイ関の先手が呂布と関羽と聞き、華雄は

『煩い家畜風情に宝剣を振り回すのは勿体無い。我が錆びれた斧で十分でありましょう。』

と本来、自分の矜持である武を貶めながらも死に場所を得たい彼女の言葉を

『みんなが生き残る為にもシスイ関で決着を着けたいのです。どうか、我々に任せてください。』

と彼女達は死に場所すら取り上げてしまい、流れ流れで自分は洛陽残留に決まってしまったのだった。

 

「どっちにしろ、私は生きた屍か・・・我が武を超える敵は何処かな。」自分よりも強いと感じた呂布・関羽は味方の為、いっそ連合に行こうかと迷ったがやはり洛陽は恩人何進との出会いの場所。其処を守って死にたいと思ってしまっていたのだった。

 

奇しくも、この後知らされる知らせに董卓軍は大いに混乱するのだった。

 

 

そして連合陣営において。

 

 

「待たれよ、公孫賛殿。」

 

と公孫賛呼びとめたのは、先ほど散々公孫賛を馬鹿にした孫権であった。

 

「何か。」

と何所か黒いものが張り付いた公孫賛は振り返る。

 

 

「うむ、実を言うと我々と盟を結んでほしい。天の御遣いを恨む者同士として。」

と爆弾を落したのだった。

 

 

「な!?」

と声を挙げてしまったのだった。しかし、目をキラキラさせて自分の答えを待つ孫権を見て公孫賛は唸り。

 

 

「・・・しばらく考えさせてくれ。」

 

と応えたのだった。やはり天の御遣いを恨んでいても劉備の事は利用された友人と見ていた。恐らく孫権の事だから加担している劉備も殺したがるだろうから、答えを明確には出さなかった。

 

 

「あぁ、では。答えはいつでも待っているぞ!」

と少女のように孫権は駈け出して行ったのを見た公孫賛は遣る瀬無い顔に成ったものの、

 

「何とかするか。」

と呟き、自分に忠を誓ってくれた兵達の元へ帰るのだった。

 

その後齎された報告に連合中が騒がしくなるのだった。

 

 

 

同じころ。

 

一つの戦争が起きていた。

 

 

「な、何者なのだ!!」

洛陽の近郊、孟津の港町で戦いが繰り広げられていた。

 

港に近づく軍船から正確に矢が放たれ、伏せられていたのか軍馬に蹂躙され、数少ない守備兵はあっと言う間に壊滅に追いやられていた。

 

「っぐ!!」

最後になってしまった守備隊長は胸に刺さった矢の痛みに耐えながら敵の旗印を確認した。

 

「ま、まさか貴様らか・・・」

 

霞んだ目で見れた相手の旗は丸に十文字。

 

そして目の前に立つ者の血に染まった手にしているのは其の象徴、十文字槍。

 

 

 

「貴様らか・・・白波賊!!」

 

 

「そうよ、其のまさかよ!!」

 

死の予感で歪んだ顔から見れたのは喜悦の表情。

そして十文字槍は隊長の喉に突き刺さりながら進み、遂には首を胴体から切り離したのだった。

 

その後両陣営に知らされた報告は一つ。

 

白波賊参戦であった。




ふー、なんとか出来た。

やっぱ、感想見ると元気が湧きますね。これからも待っています。

しばらく忙しくなるので少し遅れる予定です。

ではまた次回。
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