神速のGK   作:インパラス

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社長サンは、オリキャラ。でも、まだ登場してないだけで…

それは、ないか。


お休み

 

 

 四月二日、月曜。

 今日は完全オフだ。一秒の練習時間もない。東京が地元の寮生の奴らは、だいたいこの日に帰宅するらしい。

 地方から来る奴なんて稀だ。地元にサッカーチームなんか腐る程あるのに、わざわざ東京に行く奴なんてそうはいない。セレクションに誘ったオッサンも、それを受けたアフロもかなり奇特な奴らだということだ。

 

 「含太くん、おはよう。ほら、そろそろ杏里も起きて来るから、戻って」

 「ん、ああ。じゃ、そのまま朝食作ってくる」

 「ありがとう…私は二度寝するから…」

 「はい、おやすみ」

 

 愛媛に帰省していた。いっても、オカンと兄貴には会ってないが。

 昨日の夜飛行機に乗って、タクシーに乗り継ぎ、この別荘に着いたのは二十一時頃だった。夕食は、空港にある定食屋。社長サンはサバ味噌、お嬢様は、すき焼き定食、俺はチキン南蛮を食った。

 アフロも一応誘いはしたが、練習したいからいいんだと。ま、俺には関係ない、勝手にやってろって感じだ。

 

 「…おはよう…ございます…」

 「おはよ」

 「…?……あ」

 

 お嬢様が部屋から出てきた。だが、俺がいることに気づいていなかったのか、まあ、年頃の女としてはヤベえ顔。天然入ってる横髪は、ワカメみてえに、前にうねっているし。母親と同じく朝が弱いのか、目つきもアレだ。

 

 「あ…あの、顔洗ってきます!」

 

 隠そうとする分、まだ可愛いよな。社長サンなんか、よだれ垂らしたままだ。 

 

 

 

 「…あ、美味しいです。…弟選手はお料理もできるんですね」

 「そうかな?簡単なものだけど」

 「美味しいです」

 「そっか」

 

 悪い気はしないけど、目玉焼きトーストと野菜スープって結構適当だと思う。

 ここで朝作るのは初だな。家でも作ったことなんかなかった。女の子の家では偶にやっていたが。

 

 「あの人、多分昼頃まで寝てると思うけど、どうする?」

 

 昨日の時点でも、疲れが溜まっている感じだったからな。夜も寝る時は、死んだように眠っていた。

 

 「…あ…じゃあ、下でサッカーしませんか?」

 「オッケー」

 

 オフの日までサッカーかよと思ったが、世話になっている身だ。文句はねえよ。

 

 

 

 

 「…あの、昨日はどうでしたか?合宿から帰ってきたAチームとの、初練習だったんですよね」

 「あ〜、うん…」

 

 ワンタッチルールで、ボールを蹴っている。中々上手いんだよな。ゆるいボールなら、アフロより上手いんじゃねえの。

 

 「詳しく教えてくれませんか」

 「あまり覚えてないけど…」

 

 嘘だ。見た限りは記憶に残っているが、話すのが面倒。

 

 「…冗談ですよね?ちゃんと、覚えていますよね」

 「ハイ、話しますよ」

 

 微妙に不機嫌になった時は、言うこと聞いてやる。この、偶にガキっぽいお嬢様は、適当に流していると気づいたら、途端に不機嫌になる。暫く口を利かなくなった時もあったっけ。

 

 「…では、福田監督は、弟選手にGKをさせなかったんですね…あの、もしかして、中盤での起用を考えているのでは?」

 「まさか」

 

 サッカーは、点を取られなければ基本負けることはない。なのに、この俺をキーパーから外すだと?そんな無能なことを、オッサンはしないだろう。

 練習だけって、牙突のオッサンも言ってたしよ。

 

 「でも…リーグでは、勝ち点が重要なんです。セレクションの時のように、PK戦がある訳ではありません。引き分けでは、勝ち点が1、勝てば、3が付きます。…弟選手が、点を止める以上に、貢献できるとしたら…中盤、もしくはより前線での起用も考えられます」

 

 知らねえよ。俺が前に出なくてもいいだろ。

 万全の守りがある状態で、FWが点を決められないとすれば、それはもはやカス以下だ。

 

 「でも、やっぱり苦手なんだよね。接触プレーがさ」

 「…そう言うと思っていました。ですので、今から練習をしましょう」

 「は?」

 「…避けては駄目ですよ。私が当たるので、ボールをキープして下さい」

 「は?」

 

 そのあと、昼になるまで、お嬢様に当たられたり、足を使われたり、プレスをかけられたり、競り合ったりした。

 

 

 

 

 

 「本当に、帰らなくていいの?」

 「うん、別に」

 

 実家に帰らないのかと、何度か聞かれたが断った。アフロがいねえし、俺だけ帰ってもしょうがねえからな。

 

 

 

 

 

 

 愛媛から東京に戻って十日後、今日は高校の入学式だ。

 長々の入学式も終わり、今は教室で教師が来るまでの、待機時間。

 ここにアフロはいない。お嬢様もいない。というか、教練が違う。ここは、特進英語のクラスだ。

 俺の学費全額免除の条件の一つに、この特進英語科のクラスに入ることもあったからね。当然、試験はパスしている。

 

 「花ちゃん」

 「…ん?あ、弟くん?」

 「花ちゃんって、同じクラスだったんだね。少し驚いたよ」

 「…私も驚きだよ。弟くんって、勉強できるのか。そんな頭してるから、不良だと思ってたぞ」

 「これは、ファッションだよ」

 「ふーん、触ってみても?前から気になっていたんだ」

 「いいよ、どうぞ」

 「では、失礼します」

 

 花ちゃんは、遠慮なく掴んできた。触る手つきは優しいけど。

 まあ、普通はあり得んが、微妙に気落ちしてるっぽかったからな。顔が可愛いから特別だ。

 

 「…なあ、アシト何か言ってた?」

 「?いや、特に何も」

 「そっか」

 

 花ちゃんは、ほころんでいた顔を、すっと元に戻した。

 おいおい、アフロがらみかよ。

 

 

 

 

 

 入学式から、一週間後。

 やっと、公式戦だ。

 俺は当然、GKだ。これで、お嬢様が言っていたように中盤とかだったら、抜けてたわ。

 アフロはFW、左のトップに入っている。

 アフロは、他の奴らと入学式の日以来、未だに揉めているようだ。アフロ側には、チビが仲良しこよしで引っ付いている。だが、アフロが揉めているのは、縦ラインの二人だ。多分今日、あそこは機能しないだろう。

 まあ、俺がGKの時点で、負ける確率はゼロだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回短くて申し訳ないです。


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