神速のGK   作:インパラス

12 / 23

タイトル通りです。


四角の関係

 

 

 

 

 「…!!!うおおおお!!こ、こ、ここれはああああああッッ!!」

 

 アフロが、長々と感想を垂れ流し始める。昔から、ヤケに饒舌なのが、クソうぜえ。

 

 「だまって食えよ!!!」

 

 チビが怒鳴り声を上げた。アフロはマジで黙って食え。

 

 「それは違うぞ!!アシト、キミは食べ方がなってない!」

 

 続いて花ちゃん。

 そのまま、肉の焼き方をアフロに説明し出した。勘弁してやれよ。家が病院の君と違って、肉なんか食ってこなかったんだ。魚は死ぬほど食ってきたが。

 俺は、偶に肉も食ってたが。当然、奢りで。

 

 「…そうして、表面をカリっとさせることによって、肉の食感にアクセントを……カリっもぐもぐ……はふぁ、あああ、あああぁ〜〜っっ!!」

 

 エロい声が近くのテーブルまで伝わった。周りで食っている奴らも、花ちゃんに目を向けている。

 

 昨日の勝利の祝勝会ということで、海堂電機(お嬢様)からの奢りだ。Bチームの全員が、焼肉店に揃っている。

 俺は昨日、社長サンにも寿司に連れて行ってもらったがな。もはや、常連になりつつある。

 つうか、お嬢様に誘われなかったら、参加しなかった。

 

 「杏里ちゃん、これいい感じだよ」

 「…ありがとうございます。弟選手」

 

 「花、お前もっと試合観に来い!次も勝っちゃるけんなーー?」

 「にひー」

 

 横で、アフロと花ちゃんが顔を合わせて笑い合っていた。見るからにガキっぽい。

 

 「で、今日はなんでいるんだ?花」

 「あ、それは…」

 「あたしが呼んだのです。女性一人が心細かったので」

 

 俺がいるだろお嬢様。花ちゃん呼んだのは、ナイスだがな。

 

 「そう言えば、杏里と弟くんって仲いいよな?」

 「俺と花ちゃんも仲いいじゃん。昼一緒に食べてるし」

 「だね。まあ同じ教室だし。で、杏里は?」

 「ごくん…海堂はなー、去年からの付き合いなんや。俺らの地元に別荘があって…」

 「…おい」

 

 アフロが余計なことを漏らし始めた。社長サンの話までいったら、面倒なんだよ。クソアフロが。

 

 「去年から偶に海堂が来てなー、俺とゴンタと三人でサッカーしたりもしたぞ」

 

 肉に酔っているアフロは止まらなかった。お嬢様も、我観せず…いや満更でもない様子で、箸をつついている。おい。

 

 「……」

 「……」

 

 誰も喋らない。妙な空気が、このテーブルだけに発生した。まあ、話が続かないなら別にいいがよ。お、この肉は中々…。

 

 「あーー!?ゴンタ、それ俺の肉やぞ!」

 「あー?」

 「ああっ、それも俺が育てたやつ…」

 「アシト、私のあげるよ」

 「…兄選手、私のもどうぞ」

 

 お嬢様、それさっき俺がやったやつだろ。

 

 「…いじわるは、ダメですよ?」

 「ハイハイ」

 

 そっからは、クソ寒い劇を見せつけられた。金髪がアフロに謝って、オチが見え始めた時に、何を考えたのか、モミアゲがアホなことを言い始めた。レッツプレイフットボール!って、ギャグかと思ったぜ。このモミアゲは、寒すぎる青春ちゃんらしい。そのノリで、金髪くんとチビに握手までさせやがったし。

 

 「…じい」

 「おそばに」

 「今、J1エスペリオン戦がやってるんです。つけてさしあげて」

 

 お嬢様がジジイに命じたのは、テレビの電源をつけることだった。お嬢様してますね、お嬢様。

 

 『交代です!高校2年生…まだ16歳です!エスペリオンユースの至宝、栗林晴久。今、J1の舞台に立ちます!!』

 

 へー、アレが。空かしたツラ。出るのが当たり前って顔だ。

 

 「…ほら、弟選手も立って下さい。皆さん、テレビの前に行ってますよ」

 「えー…ここでも見えるよ」

 

 花ちゃんも座ったままだし、一人は可愛そうだろ。

 

 「…いいから、行きますよ」

 

 お嬢様が、両手で腕を抱いた。

 社長サンには、まだ劣るが結構あんな。しかも弾力がいい。

 花ちゃんに、手招きをする。花ちゃんは、キョトンとした後、立ち上がって付いて来た。

 

 「ん?海堂…お、ゴンタも観んのか、花も」

 「ああ、そこ空けろ」

 「空いてるやろ」

 

 「…兄選手」

 「ん?何や海堂」

 「一つ、イメージトレーニングをしてみませんか?…栗林選手の動きだけ追ってみてください。彼は高校生。ポジションは中盤ですが、あなたと条件は一緒です。彼が…」

 

 お嬢様が、アフロに話し始めた。アフロも、真剣に聞いている様子。

 

 「花ちゃんも、ああいう選手のファンだったり?」

 「違う。実は、私そんなにサッカー知らないんだ」

 「へー、以外。でも、アフロのファンなんだよね」

 「…ああ、そういえばあの時弟くんもいたね。そうだよ、私はアシトの世界で最初のファンなんだ。それと…」

 「それと?」

 「ううん……」

 

 話変えるか。

 

 「明日、スピーキングのテストあるけど、花ちゃんどんな感じ?」

 「うーん、ぼちぼちかな。ライティングなら得意だけどな、話すとなると、まだまだなんだよなー。弟くんは?授業でも話せてるよね、先生にもよく当てられてる」

 

 話せるのは、セフレにハーフがいたからなんだよ。俺が東京に出るタイミングで…どこだっけ、アトランタだっけか。帰って、それっきりだ。

 

 「俺は、知り合いがいたからね。…そうだ、今度一緒に勉強とかどう?」

 「…!本当か!?私、友達と 勉強会とかしてみたかったんだよな、カフェとかで」

 

 俺も、そんなのしたことねえな。したいと思ったこともないが。

 

 「へぇ、じゃあ明日やる?テストの反省も兼ねてさ。明日は、練習も完全オフだし」

 「そうだなー、じゃあ…」

 

 「弟選手」「花」

 

 「あ?」「うん?」

 

 お嬢様とアフロが、俺と花ちゃんを見ていた。なんだ…妬いているんですね。分かりやすすぎんだろ。

 

 「ゴンタ、試合ちゃんと見てたんか?」

 「別に」

 

 「花さんも、今、明日の話はいいでしょう」

 「あ…ご、ごめ…」

 「ごめん、俺が話振って、花ちゃんに相手してもらってたんだ」

 「……」

 

 見た感じで、仲良くねえよなこの二人。タイプが違うからか。

 

 「海堂がせっかく教えてくれてたんやぞ。ちゃんと聞けよゴンタ。えっとなー…」

 

 聞く気ないのに、アフロが偉そうに語り始める。お嬢様は、ウンウンと頷いている。花ちゃんは、お嬢様に言われたことを気にしているのか、小さくなっている。

 

 「俺、まだ食いたいからさ、後で教えてくれ、な?今から観てもあれだからさ、アシト目線でどうだったか、後でまとめて教えてくれ」

 「…!!わかった、俺にまかせろ!」

 「杏里ちゃんも、こいつのこと頼むよ。頼りにしてる」

 「…はい」

 

 「じゃ、花ちゃん。席に戻ろうか。肉食べよう、肉」

 「…すごいな、キミ」

 「何が?」

 「ううん、どうも」

 

 どいつもコイツも、チョロい奴らばっかだ。楽でいいがな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ここはな…」

 「…ああ、なるほど」

 

 教室で、花ちゃんと席を合わせて、仲良く今日の復習をしている。

 どっかのカフェの予定だったが、雨が降ってきたため、教室でやることになった。

 普段は受けない、放課後のプラス1コマを終え、その後に始めた。もうすぐ七時になる。確か、校舎もそれくらいで閉められるはずだ。

 

 「ふぅー…ありがとう、弟くん!また一緒にやらないか、こんな風にさ!正直、すごく助かるんだけど…」

 「どうぞ俺からもよろしく。こっちも勉強になるし、一人でやるよりも楽しいからさ」

 

 実際は、勉強なんて、した記憶ほとんどねえ。大体見たら分かるし、一回聞いたら覚えるしな。

 つうか、この子。ガキっぽいと思ってたが、素直で可愛いわ。ニコニコと笑顔がいい。オッサンの妹ってのが、足を引っ張るが。

 うーん、やっぱり、顔とスタイルが良くて、金持ってる楽な女が一番だ。

 花ちゃんを送った後、今日も行くかな。

 

 「これさ、アシトに渡しておいてくれないかな?弟くん」

 「ん?これって…」

 

 見たことあるなと思えば、あれだ。愛媛の実家の、冷蔵庫に貼られていた紙だ。字が同じだ。興味ねえから、読んではいなかったが。

 

 「これって、ウチの冷蔵庫に貼られてたけど、花ちゃんが書いてたんだ」

 「そうです。去年のセレクションの後に、アシトに渡したんだ」

 「へー」

 

 その時から、アフロちゃんを贔屓にしていると。アフロのくせによ、こんな可愛い子に。

 

 「凄いな。兄貴の飯は前から考えられていたけど、夏過ぎた頃から、ちょっと変わったんだ。花ちゃんのお陰だったんだね。将来は、そういう仕事に?」

 「…医者です。スポーツ外科医になるんだ」

 「へえ…正直、意外だけど…きっと成れると思うよ。献立一つにここまで考えているし、こうして勤勉的。うん、応援する。頑張れ」

 「…!…どうも」

 

 口元緩みまくってる。初心っぽいのが、すげえ可愛い。

 

 「俺もさ、これに書いてある通りに食べてもいいかな?何かできることがあれば、協力するからさ」

 「…アシトに、渡してくれるならいいよ。弟くんは、弟くんだしね。……あと…できれば、食べ続けた後の、簡単なデータとか貰えると助かる…かも、しれない」

 「データって?」

 「クラブハウスにも計測器あるんだけど、筋力量の変化とか…あとは、体感でいいから、運動量の違いとか…その、面倒だと思うけど…」

 「いや、全然」

 「そ、そうか?」

 「俺菓子類食わねえし…まあ、偶に外食したりするけど…」

 「あ、それくらいならいいんだ。お昼だって…あ、お昼一緒に食べてるから、お昼ご飯の献立も立てれるな!」

 「うん、いいよ。ぜひよろしく」

 「嫌いなものは!?」

 「ないな。辛すぎる甘すぎるとかの、極端なものはアレだけど」

 「あはは、そんなものは書かないぞ。これ、アシト用に作ったものなんだ。だから、弟くん用にも作ってくる。アシトとは、体格だって違うしね。現時点での、身体データって貰える?」

 「いきなりすげーやる気…なんでもどうぞ。協力するって言ったしな」

 「ははっ…約束だからな!」

 

  有りだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




逃げて花ちゃん
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。