呉の艦娘達に見送られながら、舞鶴へと旅立った俺こと上条当麻。
そこで待ち受けていたのは一隻の艦娘であった。
side上条
「あ、えーっと…もしかしてここ所属の子か?出迎えに来てくれた…でいいん…だよな?」
とりあえず状況を把握するため、俺は少女に訊ねてみる。
「あっはい!吹雪といいます!よろしくお願いします司令官!」
めっちゃ緊張した顔で敬礼しながら言ってくれるけど、正直すごくやりづらい……。
「そんなに緊張しないでいいぞ?あんまり固いと俺も接しづらいからさ…」
「へっ…?でも、失礼に当たるんじゃ…」
ポカンとしたりモジモジしたり忙しい奴だな。
「別にそんなに気にしなくてもいいって、要するに俺が気にするかしないかってだけの話だろ?なら、簡単じゃねえか、俺はそんなこと気にしないし」
「…………」
それを聞いてまたもやポカンするセーラー服の少女。
俺、そんな変なこと言ったか?
そんなことを考えていると、少女は可笑しそうに笑いだした。
なぜ急に笑いだしたのか分からない俺は首を傾げていると、笑い終えたのか少女が話し出す。
「ふふっ、大将だって言うからどんな怖い人が来るのかと思ってましたけど、全然そんなことないですね」
「まあな、大将なんて名ばかりの一般海兵みたいなもんだし…」
実際、元帥の爺さんには好き勝手使われてる訳だし……。
それを聞いた少女はまた可笑しそうに『それじゃあ他の一般海兵さんに失礼ですよ』と笑う。
そんなもんかね、と俺も釣られて笑いだす。
暫し笑い合った後、俺は自己紹介がまだだったことを思い出した。
「そういえば、自己紹介がまだだったな。俺は上条当麻。まあ、飾りだけの大将首だ」
「クスッ…飾りだけなんですね、では改めまして…。私は特型駆逐艦、吹雪型の一番艦の吹雪です!よろしくお願いします司令官!」
ビシッと敬礼を決める吹雪。
流石と言うべきか、それはとても様になっていた。
「あ、えっと…とりあえず執務室まで案内してもらえるか」
「あっ…そうでしたすみません…」
笑顔だったのが恥ずかしいのか瞬間的に縮こまる吹雪の名乗った少女。
これ、大丈夫なのか…と少し途方に暮れる俺であった。
―――――――――――――――――
「へぇ、それじゃあ上条司令官はここに来る前に二つの鎮守府に居たんですね」
執務室に案内してもらっている道中、雑談も兼ねて軽く俺のことを話していた。
「あぁ、その前は海軍なんかとはなんの関わりもないただの学生だったからな」
「えっ…!?じゃあどうして提督になれたんでしょう…」
「さあ?俺にもさっぱりだ」
元帥の爺さんも未だに理由を教えてくれないから、分からずじまいのままだ。
「不思議なこともあるんですね…あっ、着きました!ここが執務室です」
「おぉ…」
案内された先にあったのはゴッテゴテの刺繍?の入った扉…ではなく、鎮守府によくある普通の扉だった。
「なんつーか、普通だな」
「それはそうですよ、いったい何を想像してたんですか?」
「いや、なんかこぉ…もっとゴテゴテーッとした何かをさ…」
「逆に想像つかないですよ!?
司令官の想像何なんですか!?」
なんかすごい勢いでツッコまれてしまった……。
仕方ないだろ前の所がそう言うとこだったんだから……
そう言うと吹雪が顔を引き吊らせながら『司令官、苦労されてるんですね…』と慰められてしまった。解せぬ……。
執務室以外の施設の場所を案内してもらうため舞鶴の散策を始めた俺達二人。
とりあえずで向かったのは工廠で……。
次回、とある大将の幻想殺し
明石と建造