まなside
先日の龍崎君が起こした事件によって、彼は停学となりその他の虐めていた人達は皆 全治一ヶ月の怪我を負い入院となっていた。いや、中には一生残る傷を負わされた子もいた。特に深く関わっていた斎藤君は右手がもう使い物にならなくなり、また他の幾人かは手や脚の骨が粉々になり完治には行き渡らないらしい。
翌日にはクラスの皆の話す話題が殆ど龍崎君のことだった。
「龍崎君って普段 大人しいのに怒るとあんなに変わるんだ…」
「凄いかったよね。ほぼ別人だったもん」
皆にとって普段の龍崎君はただ大人しいそれと頭が良いと言うのが印象だった。けど今回の件でそれが180°変わってしまった。凶暴で女子男子関係なく容赦ない。そして暴力思考。それが新しい龍崎君の印象 故に『不良』と釘付けられた。
普段から龍崎君に目を向けない人達も今回の件で注目し、中には近寄らない方がいいと広めている人もいた。
「今後 アイツと話すのやめようぜ…?」
「だな…あんな凶暴な奴と話してたと思うとゾッとするぜ…」
その声は男子の方から聞こえてきた。彼らは龍崎君と委員会の事でいろいろと話し合っていた人達だ。言わば龍崎君と一番話しているといってもいい。一番親しい彼らがそんな事を言ったとなると相当なショックだったのかもしれない。
けれども、その言葉を否定する人だっていた。
「龍崎君がどうであれ今回はアイツらが悪いじゃない。なんで龍崎君が悪いみたいになってんのよ」
「そうよ!アイツらの自業自得よ!」
「あぁ…。あぁなるのも無理はねぇよ!アイツ入学当初から虐められてたらしいじゃねぇか!それに…気づかなかった俺らも十分悪いんだからよ!」
そう言い何人かの人はその2人が言ったことを否定した。その中には蒼馬もいた。
「お前ら簡単に言ってるけどよ…本当にそう思えるのか!?斎藤達を殴ってる時のあの表情を見ただろ!?」
2人のうち 1人が言った言葉に皆は思い出した。あの時、龍崎君は斎藤君や先生の顔を殴りながら……“笑っていた”。
それを思い出すと皆は何も言えなくなってしまった。
「笑いながら人を殴るなんてもう普通じゃねぇだろ!」
「そうだよ!完全なる不良だよ!あんな奴!」
そう言い2人は口々に龍崎君の悪口を言い始めた。それに対して怒りを見せて反論する子もいれば同意する子もいてその子達の口喧嘩が始まってしまった。
ガラガラガラ
「はい席について。HR始めるぞ」
新しい担任の先生が入ってきた事によって皆の口喧嘩は収まった。因みに担任の先生は龍崎君の虐めの件で最初から知っていた事とずっと無視し続けていた事を認め学校を辞めさせられる事となった。
HRが開かれ 普通の日常が始まった。
ーーーーーーー
「はぁ…!はぁ…!はぁ…!」
新宿駅近くにある路地裏にて1人の制服を着て髪を金色に染めたスケバンらしき女子高生が息を切らしていた。
「なんなのよアイツ!何処までも追いかけてくるじゃない!」
そう言い女子高生は噴水の影から自分の走ってきた場所を見た。そこには追いかける様子を見せる人はいなく 通行人しか映っていなかった。
「ふぅ…何とか撒いたわ…ていうかあの中学生なんなのよ!ガチでキモいわ…」
そう言いながら女子高生は前へ向き歩き出した。すると、突然 何かにぶつかった。
「ッ…痛ぇな!何処見て歩いてん…だ……」
その瞬間 女子高生の顔は恐怖に飲まれた。目の前にいるのは自分と同じくらいのtシャツに学生ズボンというラフな格好をした龍崎が立っていた。
「よう、逃げても無駄だぞ」
「ッ…!」
時は数十分前
龍崎は都内にある『超大盛りラーメン 20分で食べ切れたら無料』というシステムのあるラーメン屋へと向かうため 山手線に乗っている時だった。
ガタッ
「あ、すいません」
「いえ、こちらこそ」
既に夕方なのか車内は混み合っており、今もスーツを着たサラリーマンとぶつかってしまった。最近は痴漢冤罪が多発しているため 多くの人は片手にビジネスカバン、そして吊革や、両手を交差しながら鞄を抱えるという風にそれぞれの間違われないようなスタイルで立っていた。龍崎も片手に吊革 片方はポケットの手の中にしまっていた。
その時だった。ポケットに入れてあった龍崎の手が突然 捕まれた。
「コイツ痴漢です!」
「?」
突然 車内に響き渡った声に皆は一斉にその声のした方向に目線を向けた。
「あの…私はポケットに手を入れていただけですが?」
「嘘つくな!今 私の胸触ったろ!次の駅で降りろ!」
女子高生の言い分は正に言いがかりだった。そもそもこの女子高生の位置は龍崎の真後ろ。胸を触るとなると必ず身体を曲げなければならない。だが 曲げたとなると横にいる人にもそれなりに負担がかかる。故に胸を触る事などほぼ不可能な筈だ。龍崎が訳を話そうにもその女子高生はギャーギャーと騒ぎ出し手がつけられなった。そして、次の駅に着いた時に手を引かれ言われるがまま強引に降ろされた。
「つまり貴方はこの人の胸を触ったと?」
「いえ。私はずっと吊革を掴んでいました。それに片方の手もずっとポケットに入れてましたよ?」
龍崎が言い分を話すと横から女子高生が大声で叫んだ。
「とぼけんな!胸さわっただろ!ちゃんと私は見たんだ!これ以上シラを切るなら警察呼ぶぞ!」
「お…落ち着いて」
取り調べをしているのは随分と小柄な駅員だったため 女子高生の気迫に押され落ち着かせる事が出来なかった。女子高生は静かになる事なく、次々に龍崎へと要求した。
「今すぐ土下座しろ!そして示談金寄越せ!」
今の言葉で龍崎は確信した。この女は示談金目的で冤罪を被せてきたのだと。
「(ッ…人をダシにして金を稼ぐのか…人間にはこういう奴もいるんだな…)」
そう思いながら反論しようとした時 1人のサラリーマンが声を掛けてきた。それは初めに龍崎がぶつかったサラリーマンである。
「ちょっといいですか?」
「なんだよおじさん!」
女子高生は敵意をむき出しにする。それを無視しサラリーマンは駅員へと顔を向けた。
「彼は無実です。私が立っていた時 彼女は彼の真後ろにいました。それに加え彼の手はずっとポケットに入っていてもう片方の手もずっと吊革を掴んでいましたよ?」
「!」
サラリーマンの証言を聞いた女子高生は罰が悪そうな顔になった。
「そうですか。ありがとうございます。さて、少し貴方にもお話しを」
駅員が女子高生の方へ首を向けた時 その女子高生はいきなり走り出し龍崎を突き飛ばすと改札の方へと消えていった。駅員は跡を追おうとしたが龍崎が別にいいと言った。
「俺は疑いが晴れたので別にいいです。ありがとうございました」
駅員から名誉毀損として訴える事ができると言われたが気にせず 龍崎はサラリーマンに御礼を言うとその場を後にした。
だが、龍崎は許してなどいなかったのだ。相手をダシにして金を稼ぐと言う考えは龍崎にとって一番嫌いな考えだった。また、今回 自分が標的にされた為 怒りを露わにしていた。
ーーーーーーー
そして龍崎はその女子高生の跡を追って今に至ると言うわけだ。
「な…何よアンタ!さっきからずっと付けてきやがって!このストーカーが!」
「はぁ?お前が逃げるから悪いんだろ?証拠も何もない罪を被せやがって」
龍崎は鋭い目を向け女子高生を睨んだ。彼女はすぐさま助けを呼ぶため大声で叫んだ。
「助け…!むぐ!?」
「喋んなよクソアマ」
叫ぼうとした口は龍崎の手によって無理矢理塞がれ人に気づかれる事はなかった。女子高生は涙を流し何とか口を開こうとする。
「最近の本で読んだよ。痴漢って結構重い罪だったっけな?冤罪だろうと有罪である確率が高いらしい。しかも被害者は多額の金を払われるらしいな。お前、まさかそれが目的で仕掛けてきたのか?」
怒りの意思を込めながら龍崎は問いただす。女子高生は頷こうとはしなかった。
「反応を見せないとなると、認めるか。他人の人生を壊して金を稼ごうとするとはどこからそんな考えが思いつくのか不思議だな」
そう言い龍崎は片方の腕に筋肉を集中させた。
「取り敢えずここで死ね。冤罪を掛けられた上に予定も狂ったから流石にムカついた」
「ッ…!!ムゥ!!」
龍崎の本気で殺そうとする姿勢に女子高生は涙を流し何かを叫ぼうとした。だが、龍崎は止まらない。
「何か言いたそうだがお前に言う権利なんてねぇよ。じゃあな」
「ッ…!」
涙でグシャグシャになった顔に龍崎の握り拳が放たれた。
その放たれた拳により顔が陥没し、身体は後ろのコンクリートの壁へと叩きつけられ絶命した。
「恨むなら冤罪を掛けた自分を恨むんだな」
そう言い龍崎はその場から消え表通りへと出ると屈伸をした。
「ん〜…あんまスッキリしねぇな。ラーメン食って発散させるか」
そう言い龍崎は目的地であるラーメン屋へと向かった。
ーーーーーーー
龍崎が向かった先はビルが少なく居酒屋が多い場所に立地するラーメン屋であった。
「えっと…これか。すいませんこれ一つ」
「はいよ!超大盛りチャレンジ入りました!」
『よいしょッ!』
まるで祭りかのように頼むと同時に店長が叫びそれに応えるように次々と店員達も神輿を担ぐかのように叫んだ。
すると周りにいる酔ったサラリーマンやキャリアウーマン達が手を叩きだした。
「お!?店長特製の超大盛りラーメンチャレンジが始まったぞ!?」
「今度の挑戦者は結構な ちびっ子じゃない!」
「頑張れよにーちゃん!」
ラーメンを一つ頼んだだけで店内はもうヒートアップし、大宴会が始まった。
すると
「へいお待ちッ!」
店長の力強い声と共に龍崎の目の前に通常よりも二倍の大きさの器に丸ごとと言っていい程のチャーシュー、 そして面を隠すかのような大量のもやしが乗っけられており、麺の姿はどこにもなかった。
「凄い量ですね」
「ハッハッハッ!先週考えた奴でな。まだ誰も制限時間内に完食出来てねぇんだ」
「制限時間?」
「おうよ。20分以内に食べ切れたら無料 かつ割引券プレゼント 30分以内は2000円 それ以降は全額支払いとなっている。因みにスープも全部飲んでな」
「成る程」
見ると店長の手にはストップウォッチが握られていた。
「では……スタートッ!」
合図と同時に龍崎は麺を見つけるため もやしを次々と口にいれた。その速度はとてつもなく、周りにいる人たちは皆 驚いていた。
「す…すげぇ…難関ポイントであるもやしをペロリと…」
「あの小さい身体のどこに入ってくんだ!?」
周りの声に耳を貸すことなく龍崎は次々と迫り来る食感と味に興奮し、食べ進めていた。
そしてもやしを食べきると麺が現れた。だがその量も計り知れず。店長曰く6玉いれたらしい。だが、興奮状態となった龍崎に量など関係なかった。素早い手つきでチャーシューを裂きそれを麺と共に口に運んだ。
「ッ!うまい…」
あまりにもの食感と味に思わず口に出てしまった。口に運んだ瞬間 チャーシューがすぐに崩れ 歯ごたえのある麺を噛むと同時にその味や欠片が染み付き最高の旨さを伝せてきた。
一方で周りの皆は龍崎の勢いが予想外過ぎた事にドン引きすると同時に先程よりも一層 盛り上がっていた。
「すげぇぞにーちゃん!」
「食べ始めてから10分であそこまで食い終わるなんてな!」
「こりゃあ見ものだぞ!」
「いけいけぇー!!」
龍崎が食べている前では店長は何も言えずただ見ることしかできなかった。
「す…すげぇ…相撲取りやラグビー選手でも10分でそこまでいけなかったんだぜ…?アンタ…何かやってんのか…?」
その質問に龍崎は麺を食べる手を止めると答えた。
「何もやってませんよ。ただの中学生です」
「!?」
店長の反応を見る事なく答えた瞬間にまた食べ始めた。
ーーーーーーー
「ご馳走さまでした」
最後のスープが飲み干されたと同時にストップウォッチが押された。
カチッ
「じゅ………15分……35秒…」
押されたタイムを店長が読み上げた瞬間 店内や、他の店から見にきた観客達が一斉に大歓声を上げた。
『うぉおおおおおおおおお!!!!』
「すげぇぞ!あの超大盛りを時間内に食べきりやがった!」
「しかも中学生だぜ!?」
「信じられねぇよ!」
まるでオリンピック時のようなムードに包まれ、辺りは大騒ぎとなっていた。そんな中 店長は涙を流していた。
「嬉しいぜ…創業以来であんなに美味そうに食べてる奴を見るのは初めてだ…。しかも完食しちまうとはな…にいちゃん、俺の負けだぜ。約束通りお代は結構だ。また、食いに来てくれるか?」
その問いに龍崎は笑みを浮かべ答えた。
「えぇ。また来ますよ」
その後 龍崎は店長や沢山の酔っ払い達に見送られながら夜の街へと消えていった。
ほんと 示談金目的で冤罪を掛ける女性って最低ですよね。最近 漫画チャンネルでよく見ますけどもマジで死刑にした方がいいと思う。
というかそもそも何で他人の人生を壊してでも金を稼ごうという考えが思いつくんですかね?