ゲゲゲの鬼太郎 天翔の少年   作:狂骨

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龍を呼ぶ猫

この数日間で調査して分かった事がある。

 

刑部狸は総理であるが表舞台には姿を現さず手下に指示を出し政治を行なっている。

また、東京の何処かに、その刑部狸が潜んでいる世界へ行く入り口が複数存在する。

蛟龍という妖怪獣が奴らの首領であり、今は大都市の外れに眠っている。

“要石”というものが妖力の源であり、それを破壊すると狸達は死ぬ。

昼には活動せず、真夜中の見回りで多くの狸達が姿を現わす。

 

 

「これが今のとこか。そっちはどうだ?」

「思った通りだわ」

一応 八尺にも調査に協力してもらった。奴は活動範囲が結構広いから表面上は狸派として今は尻尾を付けてもらっている。内容は奴らの現れる場所。

 

「場所は突き止めきれてないけど夜になると多くの狸達が民家や神社から出てくるわね」

「となると神社の方が手っ取り早そうだな。明日に行ってみるか」

 

ある程度 情報は掴めた。後はどうやって奴らのいる世界へ入るかだな。

ーーーーーーーー

 

あれから数日 鬼太郎は帰ってくることは無かった。

 

あの日 狸達の事をオババ達に伝えて まな を帰らせてからもう一度来てみたら穴が塞がれていて侵入が不可能だと思った私たちは一時的に森に戻った。

 

「むむ…どうしたものか…」

「…」

私はどうしたらいいのか分からない。けれど私は必ず帰ってくると信じていた。

だから待った。

 

けれど、数日経っても帰ってくる事は無かった。そうしている間に政権は狸達に乗っ取られ 奴らが好き勝手に政治を動かしていた。そうなると私はまなが心配になった。また 攫われる恐れがある。

 

「おばば、まなが心配だから見に行ってくるわ」

「なら 儂らも行こう。今の世間はお主だけでは危険じゃからな」

「ありがとう」

 

私達はすぐさま まなの家に向かった。

 

ーーーーーーー

 

 

皆が眠る深夜 まな も自室で睡眠していた。

 

すると

 

トントン

 

「ん?」

誰かが窓を叩く音が聞こえ目を覚ました。目をこすりながら見てみると そこには猫娘が立っていた。

 

「猫姐さん!」

すぐさま駆け寄り鍵を解くと窓を開けた。

 

「あの時から連絡がないから心配で心配で…」

「えぇ。心配かけたわね」

すると後ろから一反木綿に乗った砂かけ婆や子泣き爺がゆっくりと部屋へと入ってきた。

 

「まさかこの歳になって泥棒の真似事をするとはの〜」

まなは突然の訪問に驚いていた。

 

「こっちもまなが心配だったのよ。それに、レジスタンスの相談もしなきゃね。どこもかしこも狸だらけ」

そう言い猫娘はヒールを抜くと部屋へと入った。

 

「鬼太郎は…来ないんですか?」

「…」

唐突にそのことを聞かれた猫娘は動きを止めた。そして震える声で数日経っても姿を見せない事を話した。

 

「まさか…鬼太郎は…もう…」

もうダメなのかと言いかけたまな に猫娘は答える。

 

「そんな事はない。鬼太郎に限ってそんな事は…」

 

その時 ズシンズシンと地響きがし、ベランダを見るとぬりかべが何かを手に持っていた。

 

「ぬりかべ。どうしたの?」

「目玉親父 見つけた」

そう言いまな の部屋へと手を入れ 握っていた手を開いた。 そこにはボロボロで脚を引きずっている目玉親父がいた。

 

「皆…すまん…心配かけたの…」

そう言い目玉親父はぬりかべの手から滑り落ちたが猫娘がギリギリで受け止める。

 

「親父さん!?大丈夫!?」

「わ…わしの事よりも…鬼太郎が…!」

 

それから目玉親父はアレからの出来事を話し出した。

 

“要石”と呼ばれる狸達の妖力の源を壊そうとしたものの その要石には“妖怪が触れると石化する”という呪いがかけられており、鬼太郎はその呪いによって石化してしまった事を。

 

 

「そんな…鬼太郎が…石に…」

あまりのショックに猫娘は俯いてしまった。そして目玉親父は涙を流した。たった一人の息子を石にされたとなると相当なショックとなるだろう。

 

「これからどげんすれば…」

「何とか要石を壊さねば…でなければ日本は狸の国になってしまう…」

 

だが今の人数では確実に負ける。皆は考えた。

 

「私に考えがある…」

顔を俯かせながら猫娘はある事を思い付いたのだ。

 

「どんな考えじゃ!?」

「まさか…囮とか!?」

皆が期待する中 猫娘は顔を上げた。その顔は酷く歪んでおり、何か悔しみのある表情をしていた。その表情を見るだけで思いついた作戦がとてつもないデメリットのある作戦だと皆は読み取った。

 

「まな…“アイツ”とクラスが一緒なら…連絡先は分かるわね…?」

「え?うん…あまり話さないから追加 はしてないけど…」

「すぐに私のところに送って…」

猫娘の顔はとても深刻だった。成功すれば鬼太郎を救えると共に狸達全員を葬れる。だが、失敗すれば自分は殺されるだろう。それ程までに危険な考えであった。

目玉親父は汗を流した。

 

「猫娘…お前 まさか…!」

 

目玉親父の予想は的中していた。

猫娘は自身の中で最も強い妖怪へと助けを求めるのだ。

「アイツを…『龍崎』を呼ぶ…!」

 

 

 




ガチで東京行きたいな〜

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