あれから2週間後
人は政権を取り戻した。狸達がいなくなった事で狸派と反狸派との差別がなくなり、尻尾をつけるものもいなくなった。
その他にも、妖怪獣襲撃の際での失態やアッサリと政権を放棄した事に対しての不平不満をぶつけられ総理は鬱となった。その事で来年へ向けての選挙が準備されている。
だが不思議だ。人間にまで巻きついていた狸の邪悪な妖気が一夜にして何処かへと飛び去っていってしまった。
何が原因かは分からん。
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「ふわぁ…なんかスッキリしないなぁ…」
そう言い龍崎はあくびをする。周りからはいつも変わらずの人の足音が聞こえてくる。
ガラガラガラガラ
学校に着き、教室のドアを開けてみると 何故か人数が多かった。
その理由は 龍崎を虐めていた者たちが皆 退院したからだ。だが、その姿は決して完治したとは言えなかった。包帯をつけている者が殆どであり、男子より身体が弱い女子に限っては顔や頭を縫っていた。
そして、一番 被害にあった主犯格である斎藤は 義手になっており、右手から機械のような腕が生えていた。
一見可哀想に見えるが自業自得だと周りの皆はそう言い距離を取っていた。
彼らは龍崎の姿を見るとすぐさま目をそらす。
その様子に龍崎は笑みを浮かべながら通り過ぎ席へとついた。
「(今日から普通の日常か…つまらんな)」
そう思い頬杖をつきながら窓を見た。
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「ギャァァァァ!!」
渋谷駅の改札にて 1人の女性が悲鳴をあげていた。その悲鳴が耳に届いた者はすぐさま振り返る。悲鳴が聞こえた先にはとんでもない光景が広がっていた。
そこには 炎に焼かれている二人の男女がいたのだ。
既に二人に意識はなく 、肉となったその亡骸の腹が裂け中から臓器が漏れ出しており、その臓器が焼かれ周囲に只ならぬ異臭を漂わせていた。
「な…何だこれは!?何があったんですか!?」
駆けつけた警察が近くで尻餅をついている車掌らしき人物へと問う。車掌は口をあぐあぐとさせながら分からない…と答えた。
「おい!消化器持ってこい!水でもいい!早く!」
「皆さんは下がって!」
警察が駆けつけ 大混乱へと落ちる渋谷駅。人がパニックに陥る中 その景色を見て微笑んでいる1人の若者がいた。
そしてこの事態はすぐにSNSへと掲示されニュースへとなった。
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「…ねぇ鬼太郎」
「なんだい?」
「これ見て」
猫娘は目玉親父の入浴を眺めている鬼太郎にある画像を見せた。それは渋谷駅で起きた事件だ。
「これは…」
「たった今 投稿された画像よ。渋谷駅で男女2人の身体がいきなり燃えたらしいの」
「なんじゃと!?」
猫娘の話を聞いた瞬間 目玉親父は風呂から飛び出た。
猫娘から画像を見せてもらうと目玉親父はう〜んと考える。
「このような現象…今まで見た事がないの……炎を操る妖怪でもこんな芸当はできん…」
「となると…誰が…」
「うむ。調べてみるか」
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一方で 警察が押し寄せテレビが集まる渋谷駅にて
「あ〜あ。失敗か。爆散せずに燃えたか」
学生服を着た1人の少年がビルからその景色を面白そうに見ていた。
「完成にはしばらく掛かるな。さてと、次の機会を待とうか」
そう言うとその少年の姿が消えた。
渋谷で起きたこの怪事件 ニュースでも取り上げられ、全国的に話題となった。専門家達はこの現象を『人体発火現象』ではないかと予想した。
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翌日
「ねぇねぇまな。これ知ってる?」
「うん。人がいきなり燃え上がった現象だよね」
学校でまな は友人である雅から昨日の出来事について話していた。
「しかもこれ一回じゃないみたい。今朝にも起きたらしいよ?」
「怖いなぁ…」
その写真を見ながら2人はため息をつく。
その2人の横を教科書を手に持つ龍崎が通り過ぎた。
「そう言えば龍崎君ってここずっとあんな感じだよね。いつも物理と化学の教科書 読んでるよ」
「うん。テストでいえば分かるけどまだ遠いし…検定でもあるのかな…?」
理学の教科書を黙読しながら廊下を歩く龍崎を2人は不思議に思った。
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「ここが現場か…」
SNSへと挙げられた場所へと着いた鬼太郎と猫娘は辺りを見回した。
「…妖気が感じ取れない…」
「おかしいのぅ…」
そんな中 猫娘は人混みの中である人物を見つけた。
「あれ…アイツ…!」
それは妖怪獣の件以来 姿をくらましていた龍崎だった。猫娘は龍崎なら何かを知っているのではないかと思い走り出し人混みの中へと入り込んだ。
「ちょ!猫娘!」
その後 猫娘が乗った電車は走り出し鬼太郎と目玉親父はポツンと駅に取り残された。
ヒュ〜…
「……戻りますか」
「そうじゃな」