ゲゲゲの鬼太郎 天翔の少年   作:狂骨

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猫娘と龍崎


暴龍

 

 

「犬山は分かってたが…まさかクラスの奴らまでいるとはな」

現れた龍崎は全身から黒いオーラを放ち辺りの者を見渡す。龍崎が現れた瞬間 まなの口を塞いでいたかまいたち、鬼太郎へ向けて石化効果のある唾液を吹きかけようとしたたんたん坊の動きが止まった。

 

辺りの皆が静止する中、倒れている猫娘は驚きながら龍崎に尋ねた。

 

「な…なんでアンタがここに…」

 

「あぁ。今朝方、知り合いの妖怪から話を聞いてな」

 

ーーーーーー

 

「お化けの学校?」

今朝の渋谷のファストフード店にて。コーヒーを飲みながら勉強を進めていた龍崎は通話をしていた相手からのその単語に手を止める。

 

『えぇ。何でも噂らしいわよ。夜中の3時に三丁目のお墓で呪文を唱えると四丁目の扉が開いてお化けの学校に行けるって』

 

「ほぅ?」

話している相手は大人のように少し声が低く、喋り方も色気がある女性だった。

 

「お化けの学校か…聞いた事ねぇな」

龍崎は記憶を辿りながらコーヒーを口にする。

 

『まぁごく最近の情報だから。でも結構有名みたいよ?数人の友達が帰ってこないとか』

 

「…神隠しみたいだな」

 

『えぇ。ま、調べるのはアンタの自由よ。じゃあね』

 

「あぁ」

そう言うと通信が途絶える。

 

「ッ…何で俺のナワバリにはこんな面倒事が多いんだよ…」

舌打ちをした後、コーヒーを飲み終えると、ゴミを片付けて店を出て行った。

 

ーーーーーーー

その後、深夜にて龍崎は言われた通り三丁目の墓地へとやって来た。街からは少なからず5人の子供が消息を絶っている為に電話の女性が言っていた事は真実だろう。話によればクラスメイトも数名消えているらしい。

 

「(ま…俺のナワバリの範疇とならば、野放しはできんな…)」

 

時刻は情報の通り3時。眠気が漂う中、手にポケットを入れながら目的地である神社に到着すると辺りを見回した。

 

「さて…ここか?」

着いた場所を見て、龍崎は何かを感じ取る。それは、別の世界へと繋がる線のようなモノだった。

 

「幻術か…?まぁいいか」

龍崎は軽く咳払いをし、喉の調子を整えると呪文を唱えた。

 

『サンマイダーラーナギダーラーモウジャノヨコネニキモツイタ。サンマイダーラーナギダーラーモウジャノヨコネニキモツイタ』

 

龍崎の口から次々と妖気の込められた声が辺りへと呪詛の様に浸透していった。

すると、目の前の空間が歪みだし、扉が現れた。その中から小さいながらも大量の妖気が感じ取れる。

 

「これが四丁目の入り口か。さてと…いくか…」

鬼が出るか蛇が出るか。何かがいる事は間違いない。戦闘スタイルであるオールバックにし、髪を縛るとその扉を潜り抜けた。

 

 

扉を潜ると、いつもの街中とは異なる住宅地の景色が映り込んできた。

 

「これが四丁目か…?あんまし変わらねぇな」

辺りを見回してみると社会からは多くの妖怪達の視線が感じられた。

 

「(結構な数だな…。何でここに集まってんだ…?)」

こちらから目線を移すとすぐさま逃げていく。まぁ当然だろう。龍崎の身体からは一般の妖怪よりも遥かに巨大な妖気が漏れ出しているからだ。

 

ドォオオン!!

 

「ん?何だ?」

 

その時 近くから何かが壊れる音がした。

 

「…?(この妖気…まさか…)」

瞬時に感じ取った妖気。それは以前感じた事のあるものだった。疑問に思った龍崎はその漂う妖気の跡を追う。

 

「何で生き返ってんだ?」

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「それで来たんだよ。カスみてぇな妖力が集まってると思ったらやっぱりお前らだったんだな」

 

「な…儂らがカスだとぉ…!?」

 

龍崎の言葉にたんたん坊は堪忍袋の尾が切れ、口内から煙を吐き出す。

 

「悉く馬鹿にしおって…ちょうどいい…!!ドームでの雪辱…今ここで晴らしてくれるわ…!!」

 

その言葉とともに口内からは次々と唾液が噴射されていった。その唾液は空気を突き破り、凄まじい速度へと達しながら龍崎に目掛けて飛んでいく。

 

その瞬間

 

 

 

 

 

「…ドン」

 

その言葉と共に龍崎の手先から青い光線が放たれ唾液を貫くとともにその線上に存在するたんたん坊の眉間を貫いた。

 

 

「が…あぁ…!!!」

 

眉間が貫かれたたんたん坊はそのままうめき声を上げながら身体中から靄を出し遂には消えてしまった。

 

「…!」

 

猫娘は驚きながら龍崎の手を見る。見れば彼の人差し指が輝いていたのだ。

 

「な…指鉄砲!?」

 

「違ぇよ。指鉄砲は空気を妖力で圧縮させて放つ技。これはただ単に体内にある妖力を指先から光線として出しただけだ」

 

驚く猫娘に説明し終えた龍崎は消えたたんたん坊から目を離し、背後にてまなをまなを人質に取るかまいたちへと振り返る。

 

「さて、次はテメェだ」

 

「な…!?」

 

龍崎はたんたん坊へ行った時と同じように指先を向ける。すると、指先が再び輝き出した。指先を向けられたかまいたちは咄嗟にまなを盾に首筋へと刃を突きつけた。

 

「おいお前!この小娘がどうなってもいい…がぁ!?」

 

「知るかよ」

 

かまいたちが喋り終わるその直前に龍崎の指が再び輝き出すと光線が放たれかまいたちの脳天と心臓を貫いた。かまいたちが消滅した事で人質に取られていたまなは無事に解放された。

 

「まな!」

 

全ての妖怪が倒された事で猫娘は傷つきながらも立ち上がるとかまいたちから解放されたまな へと向かっていった。

 

すると その様子を見ていた鬼太郎は龍崎へと声を掛けた。

 

「龍崎…」

 

「ん?あぁ鬼太郎か。お前もいたな」

 

声を掛けると龍崎はまるで鬼太郎自身を忘れていたかのような口調で振り向いた。それに対して鬼太郎は長らく疑問に思っていた彼の目的について尋ねた。

 

「お前は一体…なにが目的なんだ…?僕達の敵なのか?味方なのか…?」

 

「ふむ…」

 

その質問に対して彼は顎に手を当てる。

 

「敵と答えたら?」

 

「特に何も…けど…もしも僕らの仲間に手を出せば絶対に許しはしない…」

 

「なら、答えはどちらでもない…だ。俺はただナワバリを荒らす奴らを消すだけであってお前らと偶然にも目的が合致しただけだ」

 

「…そうか」

 

その答えを聞いた鬼太郎は頷く。だが、鬼太郎にはもう一つ気になる点があった。それについて目玉親父も知っているのか、代弁するかの如く尋ねる。

 

「ならばもう一つ聞かせてもらおう…猫娘から聞いたんじゃがお主…前に『これから来る闘い』について言っておったが…どう言う意味じゃ…?」

 

「あぁ。猫から聞いたのか。ふむ…」

 

目玉親父から尋ねられた龍崎は目玉親父を見つめながら顎に手を当てる。

 

「な…なんじゃ…?」

 

「いや、別に。これからくる戦いってのは簡単だ。『不死鳥の復活』」

 

「不死鳥…?」

 

龍崎から聞かされたその単語に目玉親父は首を傾げる。それは初耳というよりも一度耳にした覚えがあるかのような反応であった。首を傾げる目玉親父に対して龍崎は欠伸をすると背を向けた。

 

「お前なら一番良く知ってるだろ?元“統率者”様」

 

「…!!!」

 

その言葉を聞いた目玉親父はこれまでにない程まで身体を硬らせ、全身から汗を流し始めた。

その一方で背を向けた龍崎はそのままクラスメイト達にも目を配る事なくその場を去っていった。それを見た鬼太郎は咄嗟に彼の後を追うべく脚を踏み込む。

 

「お…おい龍崎!今のはどういう意___ぐぅ!?」

 

その時だ。急な強風が舞い辺りに砂が吹き荒れ始めた。それによって鬼太郎は後を追おうとする脚を止めざるを得なくなり、顔を腕で覆った。校庭全域に広がる砂嵐は龍崎を中心に吹き荒れ辺りの皆の視界を塞いでしまったのだ。

 

 

 

そして砂嵐が止んだ時には既に龍崎の姿は消えていった。

 

「くぅ…」

言葉の真意を確かめる事が出来なかった鬼太郎は歯を噛み締めながらも即座に倒れている猫娘へと駆け寄った。

すると 山と山の間から朝日が登り、四丁目を照らし出した。すると、景色が歪みだし、校舎は消えて元の3丁目の墓地の景色となったのだった。

 

長い夜の戦いが終わったものの、鬼太郎達の中にある龍崎への不信感は消える事は無かった。

 




電話の女性

龍崎の知り合いで天才外科医。数十年前に海外の大学の医学部へ進学し博士を取得。その後数年間に渡り世界中を飛び回り自身の手で数多くの患者を救い、活躍してきた。2年前に帰国し、現在は京都大学医学部附属病院で外科医をしている。(フィクション)
六将の一人であり、知能や医療技術は全妖怪の中でもトップ。一時期は恐山病院にて特別顧問を担っていた。
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