龍崎が去り、数日。ゲゲゲの森では鬼太郎が龍崎の言葉に疑問を浮かべていた。
「父さん…奴の言っていた言葉の『不死鳥の復活』とは…一体なんなんでしょう…?」
「うむ…」
鬼太郎が尋ねると、目玉親父は何故だか、いつもよりよそよそしく、唸り出す。
その様子に鬼太郎は首を傾げる。
「どうしたんですか父さん?あれから様子が変ですよ?」
「いや…何故だか聞き覚えがあるんじゃ。『不死鳥の復活』……う〜ん……」
その時であった。
__カー!!カー!!
窓から化けガラスが入り込み、手紙を差し出してくる。
「これは…妖怪の…取り敢えず、今の話は後にしましょう」
「そうじゃな……」
鬼太郎の手に乗り、髪の毛に入り込んだ目玉親父は何故だか化けガラスの介入に安堵するのだった。
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深夜の高速道路。京都から東京へと続く長い道路にて。暗い道路を一定区間に配置された街灯が照らし過ぎ去っていくことで渋い雰囲気を醸し出してくれる。そんな道を多くの種類の車が一定間に設置された街灯のスポットライトを次々と潜り抜けながら走り去っていき、同じく走り去っていく一台の高級車があった。
「珍しいわね、貴方がドライブに付き合ってくれるなんて、龍崎」
運転席に座るのはスーツにサングラスを掛けたクールなビジネスウーマンであった。スラッとした身長に加えてやや凹凸のある魅惑的な身体が見る者の目をくすぐってくる。
「たまには悪くないからな」
そんな彼女の助手席にはいつもの様に学生服を着用し、窓に肘を置きながら外の景色を眺めている龍崎の姿があった。
「何か変わった事でもあったの?」
「いや、特に。取り敢えず近況報告だ。鬼太郎に“例の件”について伝えてきた。まぁ、案の定 奴は無反応だったが、“霊壱”の方は何となく察してたな」
「やっぱり。まぁ、アタシはそれよりもアンタがよく話す“猫ちゃん”についても聞きたいわね〜」
「うるせぇぞ女狐」
彼女の頬を釣り上げながら切り出された話題を龍崎は跳ね返すと、“ある件”について尋ねる。
「奴の封印はあとどのくらいだ?」
「私の見立てによればザッと数年…てとこかしらね。それまでに準備を終えないと……確実に世界は終わるわ」
その言葉と共に街灯の灯りが彼女の顔を通り照らす。それを聞いた龍崎は顎に手を当てながら頷いた。
「そうか。なら、俺も手を早めるか」
そんな時であった。
____ブゥウウウン
「…ん?おい、目の前の車、なんか変だぞ」
前方を走っていた一台の車が、直線ではなく、何度も何度も左右に揺れ始めていき、終いにはコチラに向けて蛇行運転をし始めた。
それを見た龍崎は最近のニュースを思い出したのかため息をつく。
「こいつは…煽りか。最近になって増えてきたな。ついてねぇ」
「うふふ…何言っているのかしら?むしろ好都合よ。ストレス発散には丁度いいもの」
そう言うと女性は舌なめずりしながらギアに手を掛け、アクセルを踏み込んだ。
それによって龍崎の乗っていた車が激しいエンジン音とと共に走り出し、煽り運転をしていた車へと進んで行く。
そして
ガン___!!!
激しい音を鳴り響かせながら龍崎達の乗っていた車が前の車へと激突した。
「おい、あまりやりすぎるなよ?」
「分かってないわね。目には目を。煽り運転には煽り運転。やられたらやり返すのが鉄則よ」
そう言い彼女はアクセルを緩める事なく次々と踏み込みながらスピードを出していき、何度も何度も前の車へと激突していった。激突していくたびに前の車体は歪んで行き、それと共に此方がスピードを上げているために次々と前へと突き進んでいった。
そして、遂にはコチラのスピードが上回り車を押し始めてしまった。歪んだ車を押していく中、運転していた彼女は怪しい笑みを浮かべながら、アクセルを踏む足へと力をこめていく。
「このままブレーキを踏めば大きく転倒するわ。向こうもそれを察してるのかブレーキを踏む様子がない…賢い判断よ。けど_______
_________高速から落とされる事が想定できないならまだまだね♡」
その瞬間
アクセルが限界まで踏まれると共に車は最高速度を発しながら目の前のカーブへ目掛けて突き進んでいく。
「はぁ…めんどくせ」
そんな中、女性の考えを読んだのか龍崎はシートベルトを外し、同じくシートベルを外した彼女と共に左右のドアへと手を掛け扉を開けると同時に飛び出した。
そして 二人が同時にドアを開け、車から飛び立つと_______
________二人が乗っていた車は猛スピードを出したまま直進し続けていき、前のカーブを突き抜け、押していた車と共に落下していったのだった。
その後 何かが砕け散る破壊音と共にとてつもない大爆発が巻き起こり、下からは炎が燃え盛った。
高速道路にある柵へと降り立った二人は、高速の下にある崖に転落し燃え盛る2台の車を見つめていた。
「おい。炎が森に移ったらどうするんだ?」
「問題ないわ。最初から消すつもりだったし」
そう言うと女性は懐から一枚の札を取り出すと、ゆっくりと呪詛を唱え始めた。すると、その女性の指に挟まれていた札が水色に輝き、無数に分裂しながら雲の中へと飛び立っていく。
その時であった。
____ポタ。
その場……否、その場所が含まれた都道府県全域に雨が降り始めた。空から降り注ぐ無数の雨水は次々と地面に落ちて四散していくと凹んだ場所に溜まっていった。
それによって先程、爆発して燃え盛っていた車の炎が次々と鎮火されていく。
「相変わらず、お前の呪術はすげぇな」
「ふふ。これでも弱めにしてやった方なんだけどね〜」
そう言い女性は目を鋭くさせながら妖艶な笑みを浮かべると、龍崎に笑みを浮かべる。
【六将 第5位『鈴鹿 林檎』】
「悪いわね。東京まで送ってあげられなくて」
「いいさ。歩いて帰れる。それよりもまた何かあったら報告する」
「えぇ♪こっちも、たまには関東にお邪魔させてもらうわよ」
そう言い狐鈴は投げキッスをすると、その場から高速の下にある森へと飛び降りていったのだった。
オリキャラ
鈴鹿 林檎 (すずか りんご)
見た目 べるぜバブの林檎
龍崎と同じ六将の一人で序列は第5位。鈴鹿御前と人間との半妖であり、狐の子であるために呪術が得意。また、妖怪でも屈指の知能を持っており、呪術のみならず医術、交渉術、といった様々なスキルを取得している。一時は恐山大病院にて執刀医をしていた。