ゲゲゲの鬼太郎 天翔の少年   作:狂骨

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魔女アニエス

 

 

「お前は…あ〜あの時の魔女か」

 

「アニエスよ!!……貴方は?」

 

「『龍崎 忍』しがない半妖さ」

 

「龍崎…ね。じゃあ龍崎、早速だけど___」

 

「断る」

 

「って早いわよ!!!」

 

それからアニエスは自身の目的であるアルカナの指輪の破壊や、バックベアード達が目論むブリガドーン計画について話した。

 

 

だが、龍崎の答えは____

 

 

「やだ」

 

「ち…ちょっと!何で手伝ってくれないの!?ふぎ!?」

 

詰め寄ろうとしたアニエスの頭を龍崎は鷲掴みする。

 

「ゴチャゴチャうるせぇんだよ。何で何の交流もねぇテメェに俺が協力しなきゃいけねぇんだ?あぁ?」

 

「いいいいいたいいたいいたい!!!」

 

「そもそも頼むときは『お願いします』だろ?なぁ?」

 

「分かった!分かったからやめてぇ!!!」

 

ーーーーーーー

ーーーーー

 

「ぜぇ…ぜぇ…」

 

「アルカナの指輪と、人間を妖怪奴隷にし世界征服するブリガドーン計画…か。ソイツ何歳だ?世界征服なんてこのご時世イタすぎるだろ」

 

「知らないわよ!それに信じらんない!か弱い女子にこんな事するなんて!」

 

「差別はよくねぇからな。男だろうが女だろうが、俺は全力で締め上げるぞ」

 

それから龍崎は再び詳しくそのことについて聞く。

 

「んで、アルカナの指輪は不定期な場所に現れるから、見つけたら急いで向かわないといけないと」

 

「そ!鬼太郎達にも頼んだけど…人手が足りないと思ったから…」

 

「だから俺を探してたって訳か」

言いづらそうにアニエスは目を逸らしながら答えるが、龍崎は首を横に振る。

 

「興味ねぇ」

 

「はぁ!?」

 

龍崎の放った一言にアニエスは再び驚き彼に詰め寄った。

 

「全人類が奴隷にされるのよ!?それでもいいの!?」

 

「だったらその時に動く。奴らが攻めてくる気配がねぇウチは放っくんだよ。それに、テメェの都合なんて知ったこっちゃねぇ」

 

「くっ…!!」

 

そう言い龍崎が欠伸をしながら淡々と告げるとアニエスは歯を食い縛りながらその場を飛び立った。

 

「じゃあもういいわよ!!このチビ!」

 

「あぁ…?」

 

「いや…あの…いいです…他当たります…」

 

「よろしい」

 

ーーーーーーーー

ーーーーー

ーー

 

それから翌日。

 

「さて…気晴らしにラーメンでも食いにいくか」

 

土日となり、学校が休みになった為に龍崎はTシャツに黒い長ズボンといったラフな服装で道を歩いていた。

 

 

そんな中であった。

 

「ウヒ…ウヒヒヒヒ!見ぃ〜つけたぁ〜!!」

 

「あ?」

 

突如として背後から不気味な笑い声が聞こえ、振り返るとそこには数日前にゲゲゲの森を襲撃した西洋妖怪の一人 ビクターの姿があった。

 

「テメェは西洋妖怪か。何の用だ?」

 

「決まってるでしょ〜!!」

 

不気味な風貌から予想できる歯切れの悪い言動と仕草。見ているだけで身体が震えてしまいそうな程の雰囲気を漂わせていたビクターはアタッシュケースを開く。

 

「アニエス様を返してもら____」

 

 

だが、彼の言葉が言い終わる前に龍崎の拳が動いていた。

 

「ガハァ!?」

 

「うぜぇ」

 

放たれた龍崎の拳はビクターの顔面へと深く突き刺さると彼の身体を吹っ飛ばし、アスファルトの地面へと倒れた。

 

「ハッ。脆いな」

 

「い…いつつ…痛い痛いヨォ…!!!」

 

「ん?」

 

龍崎が落胆する中、倒れ伏したビクターは小刻みに震えながら起き上がった。

 

 

すると

 

「痛い痛い痛い…イタぁイヨォオオオオオオ!!!!!」

 

その身体が変形し、一瞬にして3メートルを超える筋骨隆々の大男へと変化を遂げた。下半身は勿論だが、上半身の筋肉の発達は常軌を逸しており、片手で龍崎の身体をまるまると掴めてしまう程であった。

 

 

「ヴァァァアアァアアァ!!!!」

 

もはやその叫び声は元の少年のような声などではない。この世のものとは思えぬ死者の叫び声であり、その叫び声を鳴り響かせながらビクターは龍崎目掛けて拳を振り翳した。

 

「ヴワァ!!!!」

 

「ふん」

 

振り下ろされたその拳を龍崎は避けるが、その拳が地面へと衝突すると、巨大な衝撃波を発生させ、住宅地を揺らし岩盤をも砕いた。

 

その拳の一撃を受ければどんな妖怪であろうともタダでは済まないだろう。

 

 

 

 

だが、龍崎にとってそんな変化など______

 

 

 

 

 

 

 

 

___________ダンゴムシが身体を丸める程度のものであった。

 

 

 

グシャ

 

 

「あぁ…!?」

 

その直後。巨大化したビクターの腹部に風穴が空いた。

 

「お前に一つ教えておいてやる。自我を失うパワー型はタフになるから確かに便利だが、欠点がある。それは重心が脆い事だ。そのパワーを維持するなら支える重心にも相応の負荷が掛かる。身体の重心を破壊すれば一気に崩れてただの自我のない肉の塊になるんだよ」

 

「がぁ!?グハァ!!」

その言葉と共にビクターの身体へと次々と風穴が空いていった。

 

それによってビクターの巨大な身体は、自身の体重による負荷を支えきれず、その組織が次々と崩れていき、遂には粉々になりながら地面へと崩れ落ちていった。

 

「な…なに…!?コレぇ!?」

 

「妖力の弾丸だよ。高密度に圧縮させて弾丸の様に撃ったのさ。だがこの攻撃も見えねぇとなると、狼男もそうだが、テメェらと戦っても全く面白くなさそうだな」

 

ビクターをバラバラに破壊した龍崎は、いまだに蠢こうとするその身体に目掛けて手を向けた。

 

すると、龍崎の腕が蒼く発光し、掌へと蒼い光球を形成した。

 

「じゃあな。俺に挑んだことを後悔しな」

 

そう言い龍崎は生成した妖力の塊をビクター目掛けて放とうとした。

 

 

 

 

 

その時であった。

 

突然と目の前の空間が歪み、その中から銀髪の長身の女性が姿を現した。

 

「ん?テメェは」

 

「…」

 

その女性に龍崎は見覚えがあった。そうだ。彼女は以前、ゲゲゲの森を襲撃した西洋妖怪の一人であり、アニエスの姉『アデル』であった。

 

現れたアデルはすぐさま宝石を取り出して握り締める。

 

すると、空間が歪みバラバラに破壊されたビクター共々姿を消したのであった。

 

「…ッ。邪魔が入ったか」

彼女によって、ビクターは回収され、仕留め損なった事を理解したのか、妖力を消し、舌打ちをついた。

 

 

すると

 

「り…龍崎!?」

 

「ん?」

 

背後から聞き覚えのある声が聞こえ振り向くと、そこにはアニエスのみならず まなの姿があった。

 

「何だテメェか」

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

あれから場所を移動して龍崎はアニエス、まなと共に喫茶店へと来ていた。

 

「えっと…龍崎くんは何であそこにいたの?」

 

「変なフランケンが俺に喧嘩ふっかけてきてな。取り敢えずバラバラにしてやって、消そうとしたが銀髪の女に連れてかれて逃げられた。それもりも、何でお前らが二人でいる?」

 

ホットコーヒーを啜りながらまなの質問に答えると、今度は龍崎がまなの横で座っているアニエスへと目を向ける。

 

「えっと…指輪を見つけて路頭に迷ってたらまなに会って…」

 

「ふぅん」

 

「そんな事より…」

 

「あ?」

 

龍崎が頷きながらコーヒーを口にすると、アニエスは突然と詰め寄った。

 

「ビクターを追い詰めたんでしょう!?やっぱりアンタ強いじゃない!」

 

「ビクター?さっきのフランケンか。ただデカいだけの雑魚だったぞ」

 

「だったら話が早いわ!!やっぱり指輪を…」

 

 

アニエスが身を乗り出そうとした時であった。

 

 

 

_____座れ小娘ッ!!!!

 

「…!?」

 

突如として頭の中に龍崎の怒声が響き渡り、口から出掛けていた言葉を詰まらせると、すぐさま座った。

 

そして、それを龍崎は鋭い瞳で見る。

 

「さっきのは偶然だ。俺にちょっかい掛けて来たからやったんだよ。だからと言ってテメェに手を貸すって話にはならねぇだろ?」

 

「……」

 

「返す言葉なしってことはじゃじゃ馬のテメェにも理解できたようだな」

 

龍崎のその一言にアニエスは何も言葉にできず、ただ暗い表情のまま俯いてしまった。

 

俯くアニエスに鋭い瞳を向けながら静かにコーヒーを飲む龍崎。その二人の空間に取り残されたまなはどうすれば良いのか分からず気まずそうにしていた。

 

「えっと…り…龍崎くん!!何か頼む!?アニエスも!私なんかお腹空いちゃったな〜!!あはは…」

 

 

そんな中であった。

 

〜♪

 

「…ん?」

 

突然と龍崎の携帯が鳴り、龍崎は取り出すと耳に当てた。

 

「なんだ“茨木”か。どうした?……あぁ分かった」

 

しばらく通話した龍崎は携帯をしまうと千円札を置いて立ち上がる。

 

「急用ができた。俺はこれで失礼するよ」

 

「えぇ!?ちょっと待ってよ!どこに行くの!?」

 

「九州」

 

龍崎はまなの呼び止める声にただ一言だけ残して店を出て行き、取り残されたまなは必死にアニエスを慰めるのであった。

 

◇◇◇◇◇◇◇

 

 

それから九州で急用を終えた龍崎は、現在は京都の病院の屋上にいた。

 

「今回の件もすぐに片付いた様ね。相変わらず、因習のある村には容赦がないわね」

 

「ふん。どいつもコイツも厄災払いのために生贄だの、何だのくだらねぇ」

 

彼の隣には手術があったのか、外科医の衣服を身に纏う狐鈴の姿があった。

 

そんな中であった。龍崎はある事を彼女に尋ねる。

 

「で?“第一位”の奴の結界はどうなってる?」

 

「問題なく安定しているわ。この調子なら、あと2.3年は大丈夫だと思う……けど」

 

「けど…?」

 

狐鈴のこぼした最後の言葉に龍崎は反応して聞き返すと、彼女はため息をつきながら答えた。

 

「先日、その周辺を『ぬらりひょん』がうろついていたと報告が入ったの」

 

「…!!」

 

その言葉を聞いた龍崎は思わず飲んでいた口を止め、瞳を鋭くさせた。

 

「厄介な奴が気つきやがったか…いや、既に気付いていた…と言うべきか」

 

『ぬらりひょん』それは老人に似た姿であり、自在に気配を消す能力を持つ妖怪である。力こそあまりないものの、その知能は高く持ち前の能力を利用して現在の政府に顔が効く程の立場を会得しているのである。

 

そして現在こそ老いてはいるものの若き頃はその知能のみならず、巨大な力も保有しており、幾多の妖怪を従えて百鬼夜行を率いていたその姿から『日本妖怪総大将』と呼ばれていた。

 

「…まぁ、奴を見つけたらすぐに殺すしかねぇな」

龍崎は目を鋭くさせると飲み終えたジュースの箱を握り締める。

 

「俺もそろそろ本腰を入れるか…ぬらりひょんはともかく、奴を仕留められるのは幽霊族だけだからな」

 

「あ、そうだ。今日はハロウィンだそうじゃない」

 

「ハロウィン?あぁ、全国中の魑魅魍魎が渋谷で百鬼夜行起こす祭りか。それがどうかしたのか?」

 

すると、狐鈴はニコニコとしながらある画面を龍崎へと見せる。

 

「限定スイーツ、お願いできるかしら?」

 

そこにはハロウィンの限定スイーツの広告があった。

 

 


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