今回の影廊もひとくせある徘徊者達に歓喜の声が漏れてしまいましたよ…
____もういいや…何もかも。
毎日見る悪夢と束縛のある叔父と関わる生活に段々と嫌気がさし、それを晴らすために初めてタバコを吸った。
だが、そのタバコのために使ったライターが原因で叔父と喧嘩し、それと共に心の中が空っぽになり、ふと頭の中をよぎったその考えに従ってしまい私は身を投げた。
だが、私は死ねなかった。とある神様によって、その身体に不死の呪いを掛けられ異界に呼び出されてしまった。死ぬつもりで飛び降りたのに死ぬことが許されない身体にされて異界に呼び出されるなんて迷惑なんてものじゃない。
その呪いを解くためには神様に会うしかない。私に不死身の呪いが込められた烙印を付けた張本人『禍津分神』に。そして会って呪いを解いて望み通りその生涯に幕を下ろす。
死ぬために私は迷い込んだ異界『雨ノ四葩』へと足を踏み入れた。
だけど、いくら不死身でも、痛いものは痛かった。時には走り回る徘徊者の複数の腕に身体を貫かれ、神楽鈴を鳴らしながら踊る面を被った徘徊者にも貫かれ、何度も何度も私は死に、その度に場所で蘇った。
「はぁ…!はぁ…!はぁ…!」
暗く不気味な回廊を駆け抜けながら、私は走った。
シャンシャンシャンシャン
___〜!!!!!
背後から鳴り響いてくるのは神楽鈴の音と走り回る徘徊者。コイツらに何度も殺されていた。せっかく脱出するための勾玉も5個集まったというのにここで殺されてなるものか
だが、私の信念はすぐに潰えた。
「行き止まり…」
目の前に見えてきたのは、行手を遮る木造の壁。そして振り返れば既に2体の徘徊者がせまってきていた。
___あぁ…また死ぬのか…
徘徊者が来る中、私は何も考えず、ただ目を閉じて、自分の死を悟った。
その時であった。
「邪魔だ」
「…え?」
突如としてその場に私以外の何者かの声が響くとともに、目の前に迫っていた徘徊者達がバラバラに刻まれていった。
「どう…いう…こと…?」
目の前の徘徊者たちがバラバラに刻まれ地面へと崩れ落ちていく光景を見る中、声の主がゆっくりと露わになってきた。
「え…誰…?」
私の目の前に立っていたのは、私と同い年ぐらいの男の子だった。服装は学ランだから中学生ぐらいだろうか。
「ん?なんでこんなとこに生身の人間がいるんだ?」
その中学生は私を見つけるとゆっくりと膝を下ろしてこっちに目線を合わせながら話しかけてきた。
「名前は?」
「時雨…アナタは…?」
思わず自身の名を名乗り、相手にも尋ねてしまった。
すると、その中学生は答えた。
「龍崎 忍。妖怪だよ」
これが、私が初めて妖怪という者と邂逅した瞬間だった。