「皆!大丈夫か!?」
「ひ…ひやぁ…何とかなぁ…」
「すまんのぅ鬼太郎〜…」
鬼太郎は元に戻った皆の元へと駆け寄り、子泣き爺や砂かけばば、そして猫娘達も何も異常がない事を確認するとホッとむねをなでおろした。
そんな中であった。
「おい鬼太郎!!あれ…まずいんじゃねぇか!?」
「え…?」
突如としてその場にいたねずみ男が焦り出し上を指差した。その声に鬼太郎はすぐさま彼の指差す方向へと目を向けると、そこにはアニエスに向けて、指を向ける龍崎の姿があった。
「一旦木綿!!」
「あいよ〜!!」
それを見た鬼太郎は猫娘よりも早く飛び上がり、呼び出しに答えた一旦木綿に乗るとすぐさま龍崎に向けて指鉄砲を放った。
「指鉄砲!!」
「!」
放たれた指鉄砲は空気を突き抜けていきながら龍崎へと迫っていくと、その身体へと直撃した。
「……なにしやがる?」
「こっちのセリフだ。なぜアニエスを…?」
空中で体勢を立て直した龍崎が鋭い目を向ける中、アニエスの前に立った鬼太郎は鋭い目を向ける。
「分かるだろ?落とし前だよ。俺のナワバリに侵入して好き勝手やりやがった西洋妖怪のゴミどもの責任をとってもらわねぇとな」
「ふざけるな!!彼女は何もしていない!むしろ人間達に被害が及ばないようにしてくれていた!!」
「同じ騒ぎを起こした西洋妖怪に変わりねぇだろ?まぁそれでも邪魔するってなら____
______テメェから消してやるよ鬼太郎…!!!」
その言葉とともに、龍崎が両手を広げた。すると、突如として周囲の景色の色が変わり、巨大な岩場が広がる景色となり、鬼太郎や猫娘達を閉じ込めた。
【異ノ世界】
「な…なんだこれは…!?」
「異ノ世界(コトナリのセカイ)妖気で作った空間だ。妖怪共が人間をまやかすために作る異空間で大体は外との時間の流れに差がある。俺の異ノ世界の時間差は1/6。ここでの1時間が現実では10分になる」
すると
龍崎の全身から青い炎が溢れ出した。それによって周囲には巨大な重圧と共に妖気で包まれる。
「前のような手加減はなしだ。本気で行くぞ鬼太郎」
「く…そうか…」
対して鬼太郎は自身の髪の毛を逆立てると龍崎に向けて放つ。
「なら戦うしかないようだな!!髪の毛針!!」
「またその技か」
龍崎は全身から妖気を放出する。すると、放たれた髪の毛針がその妖気に当たった途端に消滅していった。
「なに!?」
「テメェの髪の毛針は妖気で髪の毛を硬質化させて打つんだろ?だったらその妖気を分解しちまえばいい。簡単な事だ」
「く…!!」
髪の毛針を封じられた鬼太郎は今度は龍崎に向けて人差し指を向ける。すると、その指先へと空気が集められていった。
そして最大限に収縮されると鬼太郎は龍崎目掛けて放つ。
「指鉄砲…ッ!!!」
「だからそういう技は効かねぇって言ってんだろ…!!!」
その言葉と共に、龍崎の身体はその場から飛び出し、迫りくる指鉄砲をかわすと一瞬で鬼太郎の目の前に降り立った。
そして、鬼太郎の前に降り立つと彼に目掛けて拳を放つ。
「ふん…!!!」
「がぁ!?」
放たれたその拳は深く減り込み、伝わったその衝撃波によって鬼太郎は胃液を吐き出した。
「鬼太郎!!」
「まだ終わらねぇぞ」
アニエスの声が響く中、鬼太郎を殴り飛ばした龍崎はその場から鬼太郎を投げ飛ばす。
「そらぁ!!!」
「がはぁ!?」
そして一瞬にして追いつくと、その身体を上に蹴り上げ、吹き飛ばされる鬼太郎目掛けて炎を纏った拳を向けた。
その瞬間
「焼けろ」
「!?」
街を焼き尽くす程の超巨大な蒼炎が放たれ、落下していく鬼太郎を飲み込むと地面へと着弾し大爆発を起こした。
「……」
その光景を上空で見ていた龍崎は、その中心地へと目を向けると、驚きの表情を見せる。
「ほぅ?防いだか」
すると
燃え盛る炎が晴れ、ちゃんちゃんこで身を包んだ鬼太郎が現れた。霊毛ちゃんちゃんこには伸縮自在のみならず、どんな熱にも耐えられる強靭な防火性も備えられているのだ。
「霊毛ちゃんちゃんこ……幽霊族の思念一つ一つが糸となって編まれたと聞いていたが、やっぱりすげぇな」
「……」
龍崎が称賛の声を漏らす中、鬼太郎は自身の腕にちゃんちゃんこを纏わせた。それを見た龍崎は口笛を鳴らすと、すぐさま構える。
「まだ立ち上がるのか。まぁそうこなくっちゃな」
「当たり前だ…それにお前には聞きたいことが山程ある!」
その言葉と共に鬼太郎の全身から妖力が湧き上がった。
「洗いざらい吐いてもらうぞ…お前達の目的と…鳳凰…そして『霊壱』という男についてな…!!!」
その言葉と共に鬼太郎はその場から飛び出し龍崎目掛けて駆け出した。
その時であった。
「じゃあもっと俺を楽しませろよ?」
龍崎の妖気が突然変わった。
「___【地獄武闘】…!!!」
その言葉と共に龍崎の蒼い妖気に黒い稲妻が迸る。
ーーーーーーー
ーーーーー
ーーー
ー
その後、勝負は一瞬で決まった。
「がぁ…!?」
周囲に散らばった炎が燃え盛る中、その中心地では鬼太郎の首を掴み上げている龍崎だけが立っていた。
「この程度か?前とちっとも変わってねぇ…霊壱の息子ならもっと粘れよ?」
「ぐぎ…!!!」
その言葉と共に鬼太郎の首を掴む握力は更に強まっていった。
その時であった。
_____ッ!!!!!!
「!?」
突如としてその場に“まったく別”の超巨大な妖気が漂った。その妖気はまるで密林に潜む獣のような圧倒的な威圧感と獰猛な攻撃性を感じさせる程、猛々しくも凶暴なものであり、その妖気を感じ取った龍崎はすぐさま振り向く。
その瞬間
「ぐ!?」
何者かが龍崎の頬へと拳を放った。放たれた拳は龍崎の頬へと深く抉り込み、彼の顔を歪ませていく。
そんな中、龍崎は自身を殴りつけた存在を目にし、驚きの目を向けた。
「テメェは…!?」
そして、彼の言葉が出るよりも早く、放たれた拳は龍崎の強靭な肉体をその場から吹き飛ばし、目の前にある巨大な岩へと叩きつけたのであった。
「…!!!」
初めて龍崎が殴り飛ばされた。自身でもまったくダメージを与えられなかったあの龍崎を。
そんな至難な技をアッサリとやってのけたその影を見た鬼太郎は戦慄する。
「お前……猫娘…なのか…!?」
目の前に立っていたのは、全身から金色と黒の混ぜ合わされた混沌な色の妖気を発する猫娘であった。
その顔はいつものように猫のような鋭い眼光に裂けた口などは存在しない。裂けてはいないものの、その口元からは鋭い牙が光り、更にその目はサバンナを生きる猛獣の様に鋭く、そして今まで伸縮自在な爪のみが変化するその身体はやや筋肉質となり、両手両足からは筋が湧き上がっていたのだ。
_____ゴルルル…!!!
聞こえてくるのは猫のような声ではない。“熊すら喰い殺す最強の猛獣”の威嚇する唸り声。
「はっ。久しぶりだな、こんなに痛い攻撃は…」
叩きつけられた瓦礫から降り立った龍崎はその姿に笑みをこぼす。
「にしてもコイツは驚いたな…まさか猫…テメェが龍と対をなすと言われてる____
_________“虎”だったとはな」
「グルルルッ!!!!」
その言葉に反応するかのように猫娘の全身を覆う虎の妖気は更に激しさを増していくのであった。