ゲゲゲの鬼太郎 天翔の少年   作:狂骨

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復活の妖怪城

鬼太郎side

僕は今、人 一人も通らない夕方の工事現場で ある妖怪と接触していた。

その妖怪は子供を攫おうとした。だが寸前でリモコン下駄で防ぐ事が出来た。その妖怪は見る限り 身体中から妖気が溢れ出ており 相当な妖力を秘めている。すると髪から父さんが頭を出し注意を促した。僕は頷き 目の前にいる妖怪へ目を向けた。

 

「子供を攫っていたのはお前のようだなたんたん坊。子供を返してもらおうか」

「その要求丁重にお断りしよう。我らの目的のためには13本の人柱が必要なのだよッ!」

たんたん坊が拒否したと同時に僕に向けて口を大きく開いた。

僕は危険と察知しすぐさまその口が開いている軌道とは別の地点へ身体を動かした。案の定 その口から奴の体液が吐き出され 僕の横スレスレに後ろへ飛んで行った。その体液は地面に付着するとすぐに巨大な岩となった。

「気をつけろ鬼太郎ッ!奴の体液に触れると石にされるぞ!」

「はいッ!」

僕は距離を置き接近戦を避けるため 遠距離に長けたリモコン下駄でたんたん坊を攻撃した。だがたんたん坊はそれを地面に潜る形で避けると視界から消えた。

 

「ぬんッ!!」

「ガバァッ…!」

その瞬間 たんたん坊の巨大な図体が背後から突っ込んできた。

流石の僕もいきなり背後からの攻撃は防ぐ事は出来ず そのまま 上に位置する工事現場に吹っ飛ばされた。

僕は何とか着地をし 態勢を立て直そうとしたが その隙が命取りだった。

 

「終わりだッ!」

その声がする方向を向いた 瞬間 僕の体は硬直した。既に奴の体液が目の前に迫ってきていたからだ。

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ーーーーー

ーー

 

鬼太郎がたんたん坊と接触してから数時間後 日は完全に沈み 夜になった頃。とある場所に一人の人間が侵入していた。

その人間は まな だった。彼女は最近 相次いでいる子供の誘拐事件の真相の真相を確かめるため 昼間見た 異様な魔法陣の書かれている工事現場へときていたのだ。目的の場所へ着くとすぐさま 昼間 撮った写真と見比べた。

 

「間違いない……ここだ!」

目の前には 魔法陣と 昼間になかった 13本の柱が立っていた。その13本の柱からは黒い靄のようなものが浮き出ていた。

それと同時にその柱 一本一本から子供が助けを求める声が聞こえてきた。

「早く猫姉さん達に知らせないと…!」

まな はすぐさま携帯を取り出すと柱の写真を撮り猫娘に送信した。その時

 

「おやおや、こんなところに小娘が一人。ふくふくして美味そうだね〜♪」

そこには二人の異形な姿の妖怪が立っていた。一人は髪から蛇のような生き物を垂らしている女性。

「待てよ二口女。好都合じゃねぇか。コイツで13本目が揃うんだぜ?」

もう一人は顔の骨格が人としては考えられない形をしており ボロ布を纏っている男だった。

その男は二口女という妖怪をなだめるとまな を睨んだ。

「だろ?たんたん坊」

するとまな の近くの地面が歪み そこからたんたん坊が現れた。

「おうよ。こんなに早く揃うとは俺達は実に運がいい。それに加え 新しい仲間も手に入ったしな」

「仲間?誰だいソイツ?」

二口女は気になるとたんたん坊に尋ねた。するとたんたん坊は自分の背後の暗闇に目を向けた。そこには一つの人影があった。

「コイツだ。おい!コッチにこい!」

たんたん坊に言われるとその影はゆっくりとこちらに近づいて来た。月明かりに照らされ その姿が露わになると まな は絶句した。

 

「りゅ……龍崎…君…」

そこには 自分のクラスメイトである『龍崎 忍』が立っていた。流石の龍崎も まな がいるとは思わなかった為、目があった瞬間 驚きの表情を浮かべたがそれ以外は何も反応を見せなかった。

一方で、まな の言葉を聞いた たんたん坊は龍崎を睨んだ。

「ほう?コイツお前の知り合いか?。まぁいい。これで準備は整った…カッ!」

そう言うとたんたん坊は まな へ向かって自分の眼光を当てた。その瞬間 まな のいる地面が歪み 底なし沼のようにズルズルとまな の身体を引き込んでいった。

まな は逃げようとしたが完全に脚をとられ もう逃げられなかった。

 

「き……きた…ろ……う…」

まな は飲み込まれる直前に最後の力を振り絞り その場にいる妖怪達 全員の姿を写し 猫娘へと送信した。

そして、送信音と共にまな の姿は見えなくなった。

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猫娘side

私は今 連続で相次いでいる子供の誘拐事件の調査をしていた。まな には危険だから関わらないことを忠告した。

夕方から調査を開始してから数時間が経ち すっかり夜になった時 私の携帯の着信音がなった。みると まな からだった。

 

『柱の中に攫われた子供達が囚われてるみたいなの!』

『約束破ってごめん』

『でもお願い!!皆を助けてあげて!!』

「ッ!まさか まな …!」

私はこの文面から 子供達と一緒にまな も捕まったと思いすぐさま砂かけ婆へ連絡した。見ると その文面には首謀者と思われる妖怪の写真も貼られていた。

その写真に私は目が止まってしまった。

 

「こ……コイツ……」

そこには、前に私を助けてくれた人型妖怪が写っていた。

私はすぐさまこの事を鬼太郎に伝えるため その場を去った。

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「ハッハッハッ!!これで13本目が揃ったッ!妖怪城の復活だぁぁッ!!」

たんたん坊の叫びと共にその場の地面が隆起し その中から巨大な城が姿を現した。

すると、龍崎は何かを感じとり たんたん坊達へ知らせた。

「たんたん坊様、妖気が6つ…こちらに近づいております」

「ほう。好都合なものよ。行くぞお前らッ!憎き鬼太郎を根絶やしにするのだッ!!」

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ーーーー

ーー

 

一方で、城の砦の前では猫娘の知らせを聞きつけた鬼太郎とその他数体の妖怪達が集まっていた。

 

「この写真から見る限り…まな は多分 城の最深部にいる筈よ」

「よし…行くぞ皆ッ!!!」

「「「「「おうッ!!(えぇッ!!)」」」」」

鬼太郎の合図と共に皆は妖怪城へと乗り込んだ。

 

 

 


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