Happy Wedding ー1番辛くて1番幸せな時間ー   作:ゆりかご5735

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かぞく

妹「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

走る

 

走る

 

走る

 

お姉の手を握って

 

走る

 

どのくらい走ったのか

 

考えなしに走り回ったけど

 

いつの間にか『あの場所』に来ていた

 

姉「桜…ここって」

 

妹「うん、私とお姉が初めてキスした場所」

 

そこは、ベンチしかない小さな公園

 

何もないけど

 

私達の思い出はいっぱいつまっていた

 

妹「ちょっと…座ろ…」

 

姉「うん…」

 

姉「ちょっと…寒いね」

 

妹「ん…じゃあ、もっとくっつこ」

 

姉「うん…///」

 

 

私の手と違って、お姉の手は華奢で綺麗だ

 

羨ましい

 

ぎゅぅ…と

 

指と指を重ね合わせてお互い手を繋いで、キスをした

 

余った手でお姉の体を引き寄せて強く抱きしめる

 

妹「ねぇ…お姉…」

 

姉「ん?」

 

妹「母さんの言う通りさ…やっぱり、このままじゃ駄目なのかな…」

 

姉「…わかんないよ」

 

妹「でもさ…私達、何も解決できてない…母さんから逃げただけだ…」

 

姉「…お母さん」ポロポロ…ポロ

 

妹「もぅ…お姉はすぐ泣くな」

 

姉「だって…っ…わたじ…お母さんに酷いこと…」

 

妹「うん…私も、当たっちゃった…」

 

姉「う…うぇぇぇん…」ポロポロ

 

妹「後で謝ろ…でさ、またちゃんと話そう」

 

姉「うんっ…っ…うん…」

 

妹「…母さんなら…きっと分かってくれるから」

 

姉「…うん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

母「桜っ!瑠璃っ!」

 

姉「おっ、お母さん!?」

 

走ってきたのか、全身汗まみれで肩で息するお母さんがいた

 

母「もぉっ!よかった…無事で…」

 

妹「ご、ごめん…母さん」

 

母「心配したんだから…」

 

妹「…うん、ごめん」

 

母「…ううん、私の方こそごめん………約束…したのにね…」

 

妹「ぇ…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『今日からここがあなた達の家だよ』

 

この子達にとって家とは「帰らなきゃいけない場所」だった

 

『困ったことがあったら何でも言って、私が絶対助けてあげるから』

 

この子達にとって私は「警戒しなきゃいけない大人」だった

 

『何して遊ぼっか~?』

 

私の差し伸ばす手が、この子達にとってどれほど怖いものだったか

 

 

この子達が家に来て、少し経った

 

私に対して少しだけ緊張を解き始めてくれた

 

『ん?お手伝いしてくれるの?…ありがとね、じゃあこのお皿机に運んでくれる?』

 

小さなお皿を渡した

 

 

パリンっ…

 

 

「ごっ…ごめんなさい!…ごめんなさい」

 

『だ、大丈夫!?怪我はっ!?』

 

「ごめんなさい…!ごめんなさい…!」

 

「いいんだよ瑠璃、それよりどこか怪我とか…」

 

「殴らないで…」

 

「…」

 

その時の瑠璃の目が、未だに忘れられない

 

 

 

 

『絶対幸せにするから』

 

私は決心し、約束した

 

『あなた達の幸せのためなら…私なんだってするから…』

 

『早く家に帰りたいって思わせてやるから…』

 

『いつか、お母さん大好きって言わせてやるから…』

 

『人目なんか気にしないで…堂々とした子に育て上げてやるから…』

 

『絶対絶ッ対…誰がなんと言おうと…私はあんた達の味方だから…絶対見捨てないから』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

姉「お母…さん?」

 

母「…2人はさ…ほんと、立派に育ってくれたよ…母さんは嬉しい」

 

妹「…」

 

母「あなた達なら…大丈夫よね」

 

姉妹「「ぇ…」」

 

 

母「やるからには絶対幸せになりなよ…母さん応援するから」

 

 

なんかもう、その言葉を聞いた途端

 

母さんに対する色んなものがこみ上げてきて

 

我慢出来なかった

 

 

妹「が、がぁざぁぁん…ん…んぇぇぇ…ぇっ…」ポロポロ…ポロポロ

 

母「も~…ほら、よしよし」

 

姉「お、っがあざんっ…っ…ありがっ…ど…」ポロポロ

 

母「ほらほら、泣かないでよ…うちの娘は泣き虫だなぁ」

 

 

 

 

 

 

母さんは…何をするにも、いつも理由には私達姉妹がいた

 

いつでも私達のことを気遣って、自分のことは二の次だった母さんは

 

いつの間にか私達の憧れになっていた

 

突然押し付けられた私達

 

母さんの人生にとって、私達姉妹はどれほどの負担になっていただろう

 

『それ以上に桜と瑠璃は私の支えになってくれてるんだよ』

 

って言ってくれた時

 

すごく嬉しかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妹「か、母さんっ…わ、わだじ…っ…幸せだよ」

 

母「…!さ、桜…?」

 

姉「うんっ…うんっ…わだしもぉっ…幸せすぎるよっ…」

 

母「瑠璃…っ…ぐっ…うぁ…」ポロポロポロポロ

 

姉「お母さんっ…だっ、だいずぎ…」ポロポロ

 

妹「わたじもっ…だいずぎ…」ポロポロ

 

母「私っ…も…だよっ…っ…」ポロポロ

 

姉「もう…何もいらないがら…っ…ごれがら…もっ…っ……ずっど…ずっど…一緒にいてくだざい…っ…」ポロポロ

 

 

母「うんっ…ずっと…ずっど…っ…一緒…」

 

 

 

 

 

 

もう…無理なワガママはこれっきりにしようと、家に帰ったあとお姉と約束した

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「文也くん…」

 

「文也くんがいなくなって…もう10年か…」

 

「あっという間だよね…」

 

「桜と瑠璃には…助けられたなぁ…」

 

「立ち直れたのも…あの子達のおかげなんだよ…多分、あの子達がいなかったら…私…もっと早くそっちに行ってたよ…あはは…」

 

「って、笑えないよね、ごめんごめん」

 

「あのね…文也くんに報告があるの」

 

「桜と瑠璃のこと…あの子達ね、お付き合いしてたのよ、ビックリでしょ」

 

「まぁ、さすがに私の前だと普段通りだけどさ…陰でイチャイチャしてると思うとさ…なんかドキドキするよね」

 

「…ねぇ文也くん」

 

「これでよかったのかな…」

 

「って、駄目だよね、私がこんな弱気じゃ」

 

「…私、がんばるよ…だから、もう少し見ててね」

 

「おやすみなさい」

 




続きます
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