中央暦1639年10月1○日
ドイツ国 ベルリン
総統官邸
「・・・という事があったそうです」
この前、パーパルディアの使者が来たことについてを総統に報告していた。
「ロウリアに続きパーパルディアもか・・・、この世界の国は皆こうなのか?」
「・・・しかし一概には言え無いようです、先日アルタラス王国経由でムーという国とコンタクトを取りましたが、相手は比較的温和な雰囲気だった様です」
「そうか、一安心といった所だな・・・、それと 、もし我が国とパーパルディアが戦争になったらどうなるか、国家保安部から報告はあるか?」
「はい、第六局によれば、我が艦隊とパーパルディア艦隊が交戦するとなれば、
我が艦の砲で一方的に殲滅出来るとの情報が入っております」
「まぁ当然だろうな」
「そして、パーパルディアの首都である、皇都エストシラントは海沿いにありますので艦砲射撃によって壊滅させる事も可能ですが、首都壊滅による混乱を考えますと、空軍の支援を受け、上陸からの占領が一番だと考えております」
「国防については問題なし・・・か、グラ・バルガス帝国とかいう国についてはどうなっている?」
「総統閣下、レイフォルへ向かわせた諜報員が持ち帰った資料によれば、グラ・バルカス帝国は第八帝国と名乗っており、現在は先ほど行ったムーを含む第二文明圏全体に対して、宣戦布告しているとのことです。」
「第八帝国・・か、面白いじゃないか、
現在は艦船の増産を行なっているが、
彼の国と戦争になったとして勝てる見込みはあるのか?」
「ハッ、第六局によりますとグレード・アトラスターといわれる巨大戦艦、そして多数の空母を保有しているため、現在の状態では厳しいですが、Z計画が完遂すればグ帝の艦隊は物の数ではないでしょう。
陸上戦の方も先日諜報員が撮ってきたグ帝兵士の銃器や、戦車を見るに我が軍の方が優勢であるという分析になりました」
「うむ、よろしい、そのグラ・バルカスとかいう国には目を離すな、いいな!」
「ハッ!ハイルヒトラーッ!!」
◇◆◇◆◇◆◇
中央暦1639年10月6日
ムー 港湾都市マイカル
晴天
雲はまばらに浮かんでいるだけで、視界は極めて良好。
ドイツ外交官を乗せた船は艦尾につけたハーケンクロイツの旗をはためかせ、悠々と進んでいる、ムーとはアルタラス王国経由で連絡を取っていたので、途中からムー海軍が護衛に加わってきた。
「ほぅ、あれがムーの軍艦か」
「かなり古い型の様ですな、まるで欧州大戦の軍艦みたいだ」
外交官達はのんびりとムーの軍艦を眺めていた。
◇◆◇◆◇
(護衛という形でムーの軍艦を見せる事で、列強であるムーの隔絶した技術の差を痛感するだろう)
港湾都市マイカルでドイツ船を待っていたマイラスは、そのように考えていた、
すると、遠くから軍艦に護衛されながら入港する船が見えた。
「あれか・・・」
どうやらドイツも機械による動力船を持っているようだ、その間もドイツ船はタグボートに曳かれて接岸し、ドイツ外交官達が降りてくる。
「初めまして。会議までの1週間、ムーをご紹介させていただきます、マイラスと申します」
「ドイツ国外務省のロータルです、今回ムー国をご紹介頂けるとの事で、大変嬉しく思います。こちらは補佐のラウスです」
文明圏外の国と聞いていたが、落ち着いた態度であったので、マイラスは少しだけ安堵する。
「それでは、長旅でお疲れでしょうから、本格的に案内をするのは明日からとします。本日はこのマイカル港を案内した後、首都内のホテルへご案内致します」
マイラスはマイカル港に停泊中のムー海軍の新型戦艦「ラ・カサミ」の所へ使者を連れて行く。
列強1、2位を争う軍事力を誇るムーの勇姿を、ドイツに見せつけなければならない・・・。
しかしマイラスはロウリア王国で魔写された、ドイツの戦艦(実は重巡のドイッチュラント級、ポケット[戦艦]なので、ある意味間違ってはいない)を思い出す。
「ラ・カサミ」よりも巨大な船体に、
主砲に30㎝口径相当の3連装が2基、計6門、まともに撃ち合えば、こちらが被害を被るだろう。
少々の不安を抱えながらも、2人を「ラ・カサミ」の前に案内する。
「これが我がムーの誇る最新艦の「ラ・カサミ」です」
目の前に浮かぶ3、40年前程度の戦艦に
外交官は言葉に詰まる。
(これはまるで、欧州大戦の戦艦そのものではないか・・・)
(列強1、2を争う国の戦艦がこの程度とは・・・、我が国の脅威にもならんな・・)
「貴国も中々立派な戦艦をお持ちなようで」
「いやぁ、さすが列強ムー国といった所でしょうか」
2人は笑うが、マイラスはどうも嘘臭く感じていた、実際そうだった。
その後2人はムーの用意した自動車に乗り、ホテルへ向かったのであった。
◇◆◇◆◇◆◇◆翌日
ムー歴史資料館で、ムーは別次元の可能性は高いが同じ地球から転移してきたという衝撃の事実が判明した後、マイラスは2人を連れて、アイナンク空港へ向かった。
◇◆◇◆◇
アイナンク空港
ここの格納庫には、全体が白く、青いストライプの模様が入った固定脚の複葉機が用意されていた。
「おぉ、いい飛行機だな、素晴らしい」
(複葉機か・・・)
ロータルは飛行機マニアな為、目の前の複葉機のスポーティな配色に些か興奮気味であったが、補佐のラウスは明らかに旧式の飛行機にムーの技術は大したことないと判断していた。
その後の話によると、ドイツはムーよりも強力なエンジン、武装を積んだ航空機を保有していることが判明する、プライドをズタズタにされたマイラスは、なんとしてもドイツの技術を得ようと決意する。
その後はグラ・バルカス帝国の脅威が存在する状況下に友好的で進んだ技術を保有するドイツを拒否する理由もなく、その後国交樹立を果たしたという。