シウスは司令室で頭を抱えていた。
当初の予定であれば、被害無しで上陸後、ルバイル平野でリントヴルムを使い、アルタラス王国軍を殲滅、予定では3日乃至4日でアルタラス王国を陥とす事が出来ると言われていた。
しかし蓋を開けたら如何であろうか。
陸戦隊は3400人が犠牲になり、砲艦も26隻が沈められた。パーパルディア皇国軍が文明圏外国に、ここまでこっ酷くやられるとは誰が思おうか。
その時、
「シウス司令、本国より通信が入りました」
「そうか、直ぐ代わる」
◇◆◇◆◇
「もしもし、こちらアルタラス侵攻軍司令のシウスだ。」
「私だ、」
通信機からの声に、シウスは硬直する。
「!・・・、我が栄えあるパーパルディア皇国軍の最高司令官にあらせられるアルデ最高司令官・・・」
「御託はいい、いつになったらアルタラスは陥せる?皇帝陛下がお待ちになっておるのだぞ」
「はい・・・必ずや・・・、必ず5日、いや、3日後には・・・」
「また通信を入れる、努力しなさい」
「はい・・最高司令官・・・」
通信を切った後、あまりのストレスに
胸を押さえて倒れこむ。
「大変だ!シウス司令が!」
シウスは幸い一命をとりとめたが、この事により、シウスは手段を選ばなくなって行く。
◇◆◇◆◇◆◇
アルタラス王国 アテノール城
アルタラス国王のターラ14世は、パーパルディア軍との戦闘の報告書を見ていた。
「まさか、列強の攻撃を二度も水際で防ぐとは・・」
ターラ14世はにわかに信じられない気持ちに囚われていた、確かに1度目は完全に油断してただろう、しかし2度目は完全に本気だった、それさえも撃退したのだ。
当初、ドイツの武器を輸入したくとも金が足らず、ドイツとの約束で代わりに魔石鉱山の情報や、小規模でいいので鉱山の一部を渡して欲しいという要求がなされた。
勿論この事には反発の声が上がったが、
「亡国の危機だ、やむを得ん」
この王の一言で決まったのであった。
◇◆◇◆◇◆
ドイツ陸軍兵器局
そこでは先日制定された、「新世界供給技術法」で定められた、
[ドイツの脅威にはならないが、その他の文明圏外国や、パーパルディアレベルの国には脅威となる兵器を供給する]
という物であり、クワ・トイネ公国に向け、鋼鉄製の戦列艦や、溶接で作ったA7Vの様な戦車などが作られていた。
◆◇◆◇◆◇◆
アルタラス王国 北側海岸
日も暮れた頃、複雑に入り組んだ入江から、一隻の小型艦が現れる、このSボートもドイツから購入したものだ。
「この船は素晴らしいな」
Sボートの船長であるサクジョーは
40ノットで爆走する船上で呟く。
「船長、そろそろ敵艦がいる海域に突入します」
「よし、速度そのまま、敵艦隊に突っ込むぞ」
Sボートは、パーパルディア艦隊へ向かっていった。
◆◇◆◇◆◇
パーパルディア艦隊
竜母を戦列艦が守る形で、沖の方で待機している。
夜ということや流石にここまで攻撃してくる敵はいないだろうと、見張りも緩んでいる。
そんな中、1人の見張りが目を凝らす。
「・・・なんか 、聞こえる・・・なんだ?」
すると、いきなり暗闇から連続した爆音が鳴り響く。
突如、木製の船体がズタズタになり、
見張りの上半身が吹き飛ぶ。
「なんだ!何が起こった?!」
他の見張りがなんだなんだと騒ぎ始める。
船の下の方で何かが高速で進んでいるが、
どうすることもできず見るだけしか出来ない。
「船長!奴ら棒立ちでみてるだけです!」
「よし!そのまま竜母へ接近して魚雷を発射!」
3.5㎝機関砲は、揚陸艦や、小型の戦列艦をズタズタに引き裂き、沈めるが、
対魔弾鉄鋼式装甲を装備している戦列艦などは、弾かれることもあった。
しかし目標は竜母だ、暗闇で視界も悪い中、船を操り、竜母の所まで向かう。
「敵 竜母発見!」
「よし!魚雷 発射!!」
発射された二本の魚雷は目の前にいる、
[ミール]にまっすぐ向かっていった。
「魚雷、装填!」
その後も予備魚雷を、竜母に向けて発射した。
そして、Sボートは未だ混乱の中にあるパーパルディア艦隊から、全速力で闇に隠れる様に逃げた。