大ドイツ国召喚   作:イブ_ib

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ニコ動に上がる動画を作っていて遅れてしまいました。手減裵露


砲艦外交

「貴様らは一体なにをやっている!!!」

 

ルディアスの怒りを込めた叫びが、王の間に響く。

 

3度にわたって行われたアルタラス島上陸作戦、そしてその全ての作戦が失敗し、おまけに監察軍までもが全滅に近い被害を受けた。

 

派遣部隊が壊滅し、アルタラスに再度軍を送るために、本国の軍や、監察軍、属領の統治機構の兵士までもを引っ張り出して再編している。

 

 

「アルタラスに再侵攻出来るまでどれくらいかかるか?!」

 

苛立ちを込めた声でルディアスは、アルデに尋ねる。

 

「・・はっ、 かなり短く見積もっても2ヶ月はかかるかと・・・」

 

 

「・・良いか!必ずアルタラスを占領し 、我が皇国の顔に泥をつけた事を後悔させてやれ!わかったな?!」

 

 

「ははぁっ!」

 

 

ーーすると、1人の職員が王の間に転がり込んできた。

 

「たっ!大変でございます!!」

 

 

「騒がしいぞ!無礼な!」

 

 

「それが・・・たった今、アルタラスから講和の締結を持ちかける魔信が入ってきました!」

 

 

「何ィ・・・、文明圏外国ごときが講和など大それた事をぬかしおって!!」

 

 

「・・・いや、これは案外使えるかもしれんぞ・・・」

 

 

ルディアスは気味悪く笑いながら職員の方を見た。

 

 

「外務省に講和或いは休戦を結んで良いと伝えろ、どうせ一時的なものだからな」

 

 

どうやらルディアスは戦争を一旦中断させた後、再度軍を編成しアルタラスに攻め込もうとしているらしい。

 

 

その後、紆余曲折あってアルタラスとパーパルディア間で休戦協定が結ばれた。

 

 

◇◆◇◆◇

アルタラス王国

アテノール城

 

「あ、ありえん・・・パーパルディアが

・・自分で言うのも何だが文明圏外国と休戦協定を結ぶなど・・・」

 

ターラ14世は執務室で呟いていた。

それを聞き、大臣などの重鎮は口を揃えて喋る。

 

「しかし、奴らは直ぐに軍備を整えてまた攻めてくるでしょう」

 

「奴らは再び王国に攻めるために、休戦しただけに過ぎません、我等も早急に軍備の増強を・・・」

 

「解っておる、その為ドイツにも兵器を供与してくれぬか打診しているところだ。」

 

アルタラス王国は再び訪れるであろう脅威に備えて、奔走の日々を過ごす事となる。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆

 

パーパルディア

皇都エストシラント

 

 

第三文明圏1の国力を誇り、列強に名を列ねる国の首都は、今大混乱の真っ只中にあった。

 

沖に今まで見たこともない巨大な戦艦がやって来たのだから。

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

ドイツは、パーパルディアに対してこれまで通りの対話での解決ではなく、力での解決にシフトチェンジした。

 

詰まる所砲艦外交だ。

 

◇◆◇◆◇

 

「グ!グラ・バルカスだ!あいつらがここまで来やがったんだ!!」

 

香辛料を売りに来ていた男性はとてつもない大声を上げると、そのまま気絶してしまう。

 

人々は恐れおののき、その騒ぎに驚いたのか馬や牛が暴れ負傷者が出る。

 

この事は早急に第一外務局局長のエルト

に伝えられた。

 

「そ・・そんな・・グラ・バルカスが・・?!」

 

国力はともかく、質においては同等であったレイフォルを単艦で滅ぼしたあのグラ・バルカスがやって来るとは・・・

 

「し、しかしなぜ第三文明圏に?!彼らは第二文明圏のレイフォルを陥したら、次に当たるのは中央世界のはず・・・!」

 

 

すると、また役員から報告が上がる。

 

「大変です!ドイツです!!あ、あの戦艦は・・ドイツのものです ぅ〜〜!!!!」

 

「なっ!なんですってぇ!!」

 

エルトは飛び上がらんばかりに驚く。

 

「ドイツといえば外3(第3外務局)が対応していた筈です!」

 

 

エルトは急いで外3に向かう、ドイツはロデニウス大陸のほぼ全土を掌握した国として外1でもある程度認知されていた、しかしそこはパーパルディア、

文明圏外の話だった為、大した武器は持ってないと思っていたのだ。

 

◇◆◇◆◇

 

第3外務局

そこでは皆蜂の巣を引っ叩いた様な騒ぎを起こしていた。

 

エルトは近くにいた職員を捕まえる。

 

「カイオスは今どこにいますか!」

 

「エッ!エルト様! 局長は執務室におります!」

 

 

エルトは執務室に入る。

 

そこには魔信の対応で必死になっているカイオスがいた。

 

「エルト様!どうなされました!?」

 

「どうもこうもありますか!!ドイツは貴方の所が対応していた筈ですよ!」

 

「い、いえそれが・・・」

 

「それがなんです?!」

 

「それが・・課長が出張でして・・・その、予定が合いませんで・・えっと、そのなんといいますか・・・」

 

「はっきり言いなさい!!」

 

「窓口側の認識が・・文明圏外の国でしたので・・その、 門前払いに・・・」

 

近くでライタという職員がぐったりと倒れていた。

(髪は真っ白に染まっている)

 

「・・そ、そんな!」

 

エルトは絶句する。

 

もしドイツが門前払いにされた事で怒り、皇都を焼きはらおうとしていたら・・・そう想像するだけでも背筋が凍る。

 

「そしてドイツはなんと言っているのですか・・・」

 

 

「いえ、ドイツはこれまで通り国交の樹立と・・、フェン軍祭時においての皇国軍による攻撃で受けた被害の損害賠償と、アルタラス戦時のドイツ人保護の際に受けた被害の損害賠償を求めております」

 

「・・そうですか」

 

「エルト様、いくらなんでもこの件は第3外務局には重すぎます、第1外務局で対応すべき案件かと」

 

「そうですね、それに早急に皇帝陛下に伝えなければなりません」

 

 

・・そして、この事は即座に皇帝に報告されてドイツに対しての外交権は第1外務局へ譲渡された。

 

◇◆◇◆◇

 

「して、ドイツというのはそんなにすごい国なのか?所詮文明圏外の国なのだろう?」

 

第1外務局に出向したパーパルディア皇国皇族の皇女レミールはドイツとの外交を担当する事となったが、未だにレミールはドイツを文明圏外の蛮国という認識だった。

 

エルトは早急にドイツに対しての認識を改めてもらう様に必死で話す。

 

 

「お言葉ですがレミール様、ドイツはレイフォルを滅ぼしたグラ・バルカス帝国と同等の国力を持っていると思われる国です・・」

 

「ふん、第1外務局の局長でもあろうお前がそこまで引け腰とはな、所詮は蛮族だ大した事はない。」

 

そのままレミールは、ドイツの外交官がいる部屋へ入る。

 

◇◆◇◆

 

(・・・まだなのか?)

 

外交官のティルは腕時計をこっそり見ながら思う、部屋に通されて既に30分は経っているだろう。

 

すると、扉が開き全く悪びれた様子も無く、寧ろ堂々とした様子で1人の若い女性が入って来た、そしてその後ろからは

数人のお偉方と思われる数人が若干青ざめた顔で付いてきた。

 

ティルの目の前に置かれた長椅子に全員が座ると、若い女性の隣の四十路半ばと思われる女性が話を切り出して来た。

 

「では自己紹介を・・」

 

「・・・はぁ、分かりました」

 

 

ティルは立ち上がり自己紹介をする

 

「ドイツ国外務省職員のティルと申します。以後お見知り置きを」

 

「どうぞかけてください」

 

 

その後皇国側の自己紹介が終わると、いきなり真ん中のレミールが話を切り出す。

 

「お前がドイツ国の使者か、お前の国は最近有名のようだがな。 ・・・私は長話は好きじゃないのでな、お前は我が皇国に対してどんな用事で来た?」

 

 

「は、先程申した通り我が国と貴国間の国交樹立、そしてフェン軍祭時においての皇国軍による攻撃で受けた被害の損害賠償と、アルタラス戦時のドイツ人保護の際に受けた被害の損害賠償を貴国に求めます」

 

 

それを聞いたレミールは立ち上がり、怒りを隠す様子も無く喋る。

 

「なにぃ! 監察軍を攻撃しておいて自分達は被害者面するというのか?!」

 

 

「何の通達も無しに攻撃して来たのはそちらでしょう、我々は火の粉を振り払っただけです」

 

 

「・・・!! キサマ!監察軍を火の粉呼ばわりするとは・・・!」

 

 

「レミール様、ここは私が・・」

 

怒りに震えるレミールを落ち着かせながら、エルトが話し始める。

 

「成る程、 ・・・しかし私はもちろんのこと、パーパルディア皇国で貴方の国の事をよく知りません、まずは貴方の国が

どの様な国なのか教えていただきたい。」

 

出来る限り冷静を装いながらエルトは続ける。

 

 

「簡単な資料を用意しました、写真付きです、きちんと大陸共通語ですのでご安心を」

 

(・・蛮族だが変な所できちんとしてるな)

 

レミールは資料に目を通す。

 

(・・・)

 

紙にはカラーで撮られた色とりどりの写真が貼られていた。

その写真には 量産されズラリと並ぶ自動車 、山間部に一直線に伸びるアウトバーン、そしてベルリンの官庁街。

 

その写真に写るどれもが、皇国よりも超越した技術をもっていることを物語る。

 

しかしレミールはこの写真を見るなり、

鼻で笑い。

 

「はっ、なんだと思えばどれもこれも

ムーの写真ではないか、貴様らには恥というのはないのか?ん?」

 

レミールがそう言い放ったのを見てエルトは心臓が跳ね上がるほど驚いた。

 

確かに車や街の様子はムーのそれと似ているだろう、しかし実際のムーの写真と見比べれば車のデザインや建物の様式が異なっている事がわかる。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

ドイツ側の外交官もまさかの反応に驚きを隠せないようだ。

 

「・・・は、 え、は?」

 

「だからこの写真はムーを写した写真であろう、貴様の国はムーの写真を恰も自国の事の様に言いふらしているのか?

ペテンもいいところだな」

 

 

「・・・・」

 

ドイツの外交官は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をした後、何か考え込む様な仕草をした。

 

「わかりました・・・その様でしたら、

我が国から使節団を派遣したいのですが宜しいでしょうか」

 

 

それを聞いたレミールはドイツはムーの写真を使っている事を認めたという勘違いをした。

 

「良いだろう、使節団の派遣を許可する。我が皇国の強大さを身をもって体感すると良い」

 

 

レミールは自信たっぷりにそう言い放つと、高らかに笑いながら部屋から出て行った。

 

◇◆◇◆◇◆

 

シャルンホルストで十分なインパクトを与えたと思っていた首脳部は、レミールの反応にただただ驚かされた。

 

ドイツは皇国に使節団を派遣する事となったのであった

 

 


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