皇都エストシラントは混乱に陥っていた。
ドイツの飛行船を魔帝の乗り物という商人や、所詮ドイツは文明圏外無敵皇軍恐るるに足らずと発言する貴族。
レイフォルのことを聞き、ここも攻撃されるのではないかと荷物をまとめて地方に避難をする市民で皇都は混乱を極めていた・・・・。
◆◇◆◇◆
「・・・レミールよ、今回のドイツの件だが・・これはどういうことだ?」
「・・・はっ、それは・・」
パーパルディア皇帝ルディアスは、会談時の議事録を見てレミールに問い掛ける。
「いつものお前なら、文明圏外の国相手にきちんと教育する筈なのにこれではまるで平伏外交では無いか?」
「・・・」
レミールは何と言おうか言葉に詰まっていた。
勿論ルディアスも何も知らないわけでは無かった、ドイツの飛行船が飛んでいてる所もしっかりと見ていたし、外交団から渡された資料も目を通していた。
「・・・まぁ良い、レミールが決めたのであれば私はこれ以上は詮索しない。
ただし向こう側が舐めてかかって来たら
何方が上なのかはっきりさせてやれ、わかったな?」
「はっ・・・・」
話が終わり、レミールが部屋から出て行くとルディアスは目を閉じて考える。
(栄える者はいつか必ず衰える・・・か、皇国に限ってそんな事はあり得ないと思っていたが・・歴史は繰り返されるのか・・・・)
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その日もドイツとの会談が行われていた。
「という事で、資料に書いてある国とドイツは安全保障条約を結んでおります。」
「そうか・・・ 、っ!」
レミールが資料をパラパラとめくっていると、その国名の中にアルタラスとフェンの名前があった。
「現在アルタラス王国、フェン王国、トーパ王国に兵器等を輸出及び軍事顧問を派遣しております」
(・・なるほど、道理で我が軍の攻撃をはねのけることができたのか・・・・・
ドイツの兵器は大変魅力的で我が国も欲しいのだが・・・)
そんな様子のレミールを見て外交官は思う。
(レミールは見た感じ、我が国の武器を欲しがってるな・・・しかしあんたらの国を見るにそうもいかんのだよ・・・)
これまで散々周辺諸国に対して威圧的な外交を行い、戦争になれば負かした相手国の王族やその親族縁者を皆殺しにする。
そんな野蛮な国がドイツの兵器を手に入れたらどうなるだろうか。
ドイツとしてもパーパルディアには兵器類は輸出しないと決めていたのである。
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アルタラス王国
王都ル・ブリアス
アテノール城
「 諜報員の報告によると、工業都市デュロにおける兵器工場の動きが止まっているとの情報が入ってきました。」
「どうやらドイツと接触してから、皇国軍の動きが沈静化している模様です」
「ターラ王、ここはひとつ大きく出てもよろしいのではないでしょうか?」
「うーーむ・・・」
会議で大臣達が、いろいろ話し合う中ターラ14世は唸りながら首をひねる。
「これはチャンスです、このまま皇国と講和しましょう、ドイツの後ろ盾があればうまくいくはずです」
「そうだな・・・そうだ!」
いきなりターラ14世は叫び、従者にある書類を持ってくるように命じた。
「王様、どうなされましたか?」
「いや、この戦争の他にもう一個けりをつけなければいけない相手がおってな」
そう言ってターラ14世は従者の持って来た紙を見せた。
そこには・・・
『○アルタラス王国は魔石採掘場・シルウ トラス鉱山を皇国に献上せよ。
○アルタラス王国王女ルミエスを、奴隷
として皇国へ差し出せ。』